裏六甲にアルプスと名の付くところがあると聞いたことはあった。しかし、それが何処なのかは、十分承知していなかった。 六甲アルプスとは、風化した岩石の痩せ尾根が、まるで恐竜の背のようになって続いているスリリングなエリアであるという。その六甲アルプスの入口が、「まやちゃん」さんや「山猿」さんのご指摘で、地獄谷東尾根にある693m高地のやや南であるらしいことを知った。 これは確認してみなければと、本日(平成21年4月19日)早速出かけてみた。 |
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地獄谷の堰堤 |
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山中に入ってすぐの分岐を左に入る(10:20)。次に、すぐ道が左右に分岐する。東尾根へは左の登り道を進むのであるが、右はどこへ続くのか気になっていたので少し進んでみた。 すぐに大きな堰堤につきあっ立った。道は堰堤手前で流れを渡り、地獄谷の方に続いているようだ。今日は地獄谷東尾根を登るので、この堰堤の所から強引に尾根に登ろうと試みた。 薄い踏み跡もあるように思われたが、堰堤内側の水面が下に見えるあたり(写真上)で上に進めなくなった。強引な突破はあきらめて、元の分岐点に戻ってきた(10:36)。そこから、本来の地獄谷東尾根へのルートを再スタートする。 |
地獄谷東尾根からの景色 |
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地獄谷東尾根道はタフなルートである。急な登りと下りを繰り返しながら次第に高度を上げていく。 東尾根に入って1時間位たったあたりで、北側に展望が開けた場所があった。そこからは大池の町並みがきれいに見渡せた(写真上)。 さらに、そこから傾斜度が45度はあろうかという急な登りを、汗まみれになりながら突破して進み、なんとか693m高地までやってきた(11:45 写真右)。 ここで小休止である。 |
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693m高地 |
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693m高地から古寺山を望む |
693m高地から逢ケ山を望む |
693m高地は、松の木が幹を前方に張り出している。その幹に乗って693m高地の東側に広がる景色を確認した。 真正面には古寺山がお椀を伏せたような形で対峙している(写真上)。 その右後ろには、逢ケ山がもう一回り大きなお椀を伏せている(写真右上)。 さらにその右側には高尾山が並んでいる(写真右)。この山の頂は尖がっている。 逢ケ山と高尾山の間に小さく先端だけ見えているのが水無山であろう。 |
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693m高地から高尾山を望む |
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また、対面の大きな尾根筋はシュラインロードのある尾根だが、その手前に、露岩が見え隠れする尾根筋が走っている(写真左)。 写真では確認しにくいかもしれないが、何箇所か尾根上に鋭い岩が突出している様子が窺える。 位置関係からして、恐らくそれが六甲アルプスと思われる。 |
693m高地から六甲アルプスを望む |
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六甲アルプスの所在が確認できたので、そこを目指して、そろそろ693m高地を出発することにした(12:05)。ここからは、六甲アルプスの入り口を見落とさないよう、左手側を慎重に確認しながら進むことにする。 尾根道は登り下りはあるものの、おおむね高度を下げている。 やがて笹が茂るエリアになった(12:17)。その笹も次第に丈の高いものになってきた。 その笹道を5分ほど進むと笹がなくなり、次に急な下り道となった(12:22)。そこを下りきり、また、登り返して、再び笹が登場し始めた場所はピーク状になった所だった(12:27 写真右)。 |
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六甲アルプス入口 |
693m高地を出発してここまで20分ほど経過していた。 ここから東に向かって枝尾根が延びている。その尾根には薄い踏み跡が続いている。直感的に六甲アルプスの入り口と思い、そこに踏み込んだ。 あたりには、オレンジの紐や、白テープの表示もある。 よく見ると、幅広の白テープには「六甲アルプス」の表示もされていた(写真右)。 |
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六甲アルプスを示すテープ表示 |
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ワクワクしながら六甲アルプスに踏み込んだ。 いきなり、脆い岩の塊(写真左)が登場した。 危なっかしい崩れそうな岩を乗り越えると、馬の背状の裸尾根になり(写真下)、さらに前方にブッシュ状の尾根が続いている。 |
六甲アルプスが始まった |
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ルートにはいい間隔で、オレンジ色の紐と、白いテープ表示が続いている。 しかし、踏み跡の様子からすると、ここに踏み込む者の数はあまり多くはないようだ。ブッシュに阻まれ、時に進むべき方向に迷う箇所もあるからだ。 とはいっても、尾根筋のルートなので方向を間違えることはない!! |
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馬の背状の六甲アルプス |
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風化の進む六甲アルプス |
脆い岩場の六甲アルプス |
オレンジ色の紐と、白いテープに導かれながら、その後も脆く崩れそうな岩場(写真上、右上)を慎重に越えて行くと、垂直にそびえ立った大きな岩に突き当たった。 ここにはロープが垂らしてある(写真右)。このロープに頼らなければ、ここは到底越えられない。 慎重に垂直の壁を登って、何とか大岩を突破した。 |
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ロープの張られた箇所もある |
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大きな岩を越えると、前方に六甲アルプスの尾根筋の連なりが見える場所が登場した(写真左)。 緑の木々の間に鋭い岩が見えている。ちょうど、693m高地から確認した六甲アルプスの様子と同じ感じだ。 ここから見ると、六甲アルプスのそれらの岩々は、越えられるのだろうかと不安を覚える。”さすがアルプスといわれる所以か!!”と変に納得している当方であった。 |
危険な岩場の連続する六甲アルプス |
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アルプスの岩に恐れている場合ではない。前進あるのみ!と気持ちを奮い立たせ、歩を進めていくと、その大岩が眼前に登場した。心配していた通り、この脆そうな垂直に立つ大岩は到底越えられそうにない。 そこで、迂回の踏み跡を慎重に探すと、左下から岩を巻くようにルートが続いていた。 脆くて今にも崩れそうな大岩の直下を通過しているときに、上から岩の破片でも落ちてくると、一巻の終わりだ。ドキドキしながら、大岩の下を巻いていく。 次の大岩は右下から巻いて越える。 ここでもオレンジ色の紐が道を誘導してくれた。 |
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大岩は麓を巻いて進む |
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リッジ状の六甲アルプス |
ここが六甲アルプスのピークか |
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3箇所ほど大岩を巻きながら進んで行くと、この尾根の一番のピークらしきところに至った(写真上)。ここの木には白いテープが巻かれ、それには登頂の記念の記録らしきものがマジックで記されていた。しかし、時の経過により文字はほとんど読めない状態だ。 ピークの真正面には古寺山が望める(写真左)。このピークから後ろを振り返ると、今ドキドキしながら越えてきたリッジ状の危なっかしい尾根筋が確認できた(写真左上)。 このピークの箇所で、脆い岩場の尾根は終了する。あとは尾根の下りである。 |
真正面に古寺山を望む |
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尾根筋の下りは急勾配で始まった。ルートは明確だ。しかし、更に下ると、そのルートもブッシュ状の中に入り、次第に不明瞭になってきた。おまけに勾配が極端に急となったのだ。木につかまって慎重に下らないと、どこまでも滑り落ちて行く感じだ。 不明瞭で急勾配の斜面を、何処に下りつくのかという不安と闘いながら進んでいると、間隔をおいて、オレンジの紐とトラテープの案内表示が続いているのに気づいた。ブッシュの中で、これには助けられた。この六甲アルプスの最後の下りは、概ね尾根の背に沿って進むという感じであった。ブッシュの急斜面に悪戦苦闘しながら、何とかドライブウェイまで降りてきた。そこにはカーブ37の表示があった(13:20)。 |
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カーブ37に出て来た |
六甲アルプスは野趣溢れるルートであることは間違いないが、絶えず危険と隣りあわせであることを考慮すると、一般にはあまりお勧めできないコースといえる。このルートを歩行される方は自らの判断と責任で十分注意して行動して下さい。 |