文太郎道は高倉台団地から登るようだが、高倉台団地までは須磨浦公園からの六甲縦走路をたどりたい。 山陽電車に揺られて須磨浦公園駅を目指す。山陽須磨駅で山陽特急から各停の電車に乗り換える。乗り換えのホームからは、これから目指す鉢伏山、旗振山が真正面に見えている(写真右 8:50)。 各駅停車の電車を須磨浦公園駅で下車する(8:55)。ここから六甲縦走路を目指す者は多く、今日も駅前の広場は出発準備の者でごった返している。 |
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山陽須磨駅から望む鉢伏山 |
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須磨浦公園駅から鉢伏山に向かい階段道が登っているが、その前に今日は駅の近くにある敦盛塚を確認してみる。 駅前の案内地図にも敦盛塚の表記があり、それに従い駅西側の須磨浦公園立体駐車場の方に歩を進める。 駐車場を過ぎると、敦盛そばの店舗の脇に敦盛塚が祀られていた(9:02)。一の谷の合戦で命を落とした若き武将・平敦盛をまつるため大きな五輪塔が建てられている。花が手向けられ、きれいに掃除がされていたが、まだ早い時間なのか人影は全くなく、静かな一角となっている。 |
敦盛塚 |
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さて、敦盛塚にお参りしたのちは、文太郎道を目指し、縦走路を登ることとする。 敦盛橋で山陽電車の線路を越え、鉢伏山に向かう階段道に取付く。そこからひたすら階段道を上る。 歩き始めてのいきなりの階段道はなかなか厳しい。階段を登る多くの者が、皆一様に口数が少ない。連続する階段に息が切れておしゃべりどころではない。 |
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敦盛橋 |
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やがて 東部展望台まで登りついた(9:31)。ここには、ブラタモリのポスターが貼ってある。神戸開港150年目にちなみ、ブラタモリ(NHK総合テレビ「ブラタモリ 神戸の港」)が神戸にやってきたが、その際タモリさんが須磨浦山上遊園を訪問していた。
それをPRしたポスターだ。 放送は今年の2月18日(土)であったが、当方も見た。乗り心地の悪そうなカーレーターが記憶にある。 東部展望台の屋上展望台では、女性のグループが海に広がる景色を見て、屋上から歓声をあげていた。 |
東部展望台 |
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東部展望台からはカーレーターは利用せず、階段道で鉢伏山上を目指す。 3分で回転展望閣に登りつく(9:35)。
回転展望閣は3階が喫茶で360度の景色が眺められるらしいが、それはパスして鉢伏山上を目指す。 回転展望閣のすぐ裏が鉢伏山上で、そこは広場状の場所だった(9:38)。鉢伏山上は何もなく、更に展望もないのでそのまま通過する。 |
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回転展望閣 |
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鉢伏山からは北隣の旗振山を目指す。 少し下って、また登り返すと約5分弱で旗振山に登りつく(写真左 9:45)。 旗振山には旗振茶屋があり、茶屋前からの景色が素晴らしい。 多くのハイカーがここで感激の声をあげている。明石海峡大橋方面がとてもきれいだ。 |
旗振山 |
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旗振茶屋からの展望 |
旗振茶屋 |
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また、ここは摂津国と播磨国の国境で、その案内表示やら、「源平の戦」の説明やら、芭蕉、蕪村の句やらが色々掲示されニギニギしい感じだ。それに比し、穴に埋もれて見る人も少ない四等三角点(点名:鉢伏山)が少し寂しそうであった。 |
摂津国と播磨国の国境 |
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旗振山からは東隣の鉄拐山(てっかいやま)を目指す。 旗振茶屋から緩やかな道を下ったのち、ウバメガシの山道を進む。ウバメガシは海岸近くに密生して森を作るとされるが、このあたりはまさにその通りの様相だ。びっしりと並ぶウバメガシの植生の中で、展望のない尾根道を進む。
やがて 鉄拐山の登り口となる(9:45)。 縦走路は鉄拐山のピークを回避して、肩越えしている。多くのハイカーは鉄拐山に登ることなく縦走路を急ぐように進むが、当方は久方ぶりに鉄拐山のピークを目指す。 |
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鉄拐山 |
5分ほど登ると鉄拐山の山頂が見えてくる(10:00)。 従前のイメージでは鉄拐山の山頂はウバメガシに覆われてまるっきり展望がなかったが、今日は様子が全く異なっている。 山頂の東側の周囲の樹木が伐採され、素晴らしい展望が開けている。以前の木に覆われた鉄拐山の様子を知っているだけに、この大展望には感激だ。 |
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鉄拐山からの展望 |
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鉄拐山では多くのハイカーが眼下の景色に見入っていた。当方もここで5分ほど展望を楽しむ。感動の鉄拐山頂を後にして、縦走路に向かい下り始める(10:05)。 急な石階段を下って行くとすぐに縦走路に合流する。ここから、また、ウバメガシの道を東に進み、高倉山を目指す。 しばらく進んで、立原谷四等三角点を通過(10:14)。この三角点は縦走路脇の少し高いところに設置されているので見逃しがちだ。 |
鉄拐山の山頂 |
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立原谷四等三角点を過ぎると緩やかな下り階段となって、前方に「おらが茶屋」が見えてくる(写真右 10:19)。 おらが茶屋は2階が店舗で、3階(屋上)は展望台になっている。 屋上は先客がおられたが、展望台に登り景色を楽しむ(写真下)。360度に広がる展望は一見の価値ありだ。 |
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おらが茶屋 |
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なお、おらが茶屋の屋上には復興基準点の金属標が設置されている。「公共」の刻印がある基準点は震災復興のための測量で活躍したことだろう。 国土地理院が設置し、その後、国交省から神戸市が引継いでいるが、もう設置から20年以上経過した。時の経過は早いものだ・・・。 |
おらが茶屋からの景色 |
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おらが茶屋から縦走路に戻り、高倉台の住宅地に向かい細くて急な階段を下って行く(10:27)。 5分で階段を下り「さつき橋」を渡って高倉台の住宅地に入る。 高倉台に入ると、銀行、郵便局、喫茶店、交番、スーパーなどの商店街の前を通過する。ここでお金をおろして食料などの調達が可能だ。 高倉台の住宅地をぬける辺りでは前方に栂尾山の400階段が見えてくる(写真右)。
連なって階段を上る人影が、米粒くらいの大きさで見えている。 |
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高倉台から望む栂尾山 |
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高倉台の住宅地をぬけ、「つつじ橋」を渡る(10:38)。 渡り切ったところで現在の六甲縦走路は左に曲がるが、本日、目指す旧縦走路(文太郎道)はここで右に曲がる。
踏み跡があり、現在も少なからぬ者が歩いていることが知れる。
その踏み跡を少し進むと堰堤に突き当たる。その手前で踏み跡は左に曲がっており、堰堤脇から尾根に道がとりついている。 |
文太郎道はつつじ橋で右折 |
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文太郎道の尾根に取付く。 尾根は風化した真砂土で滑りやすい。ロープがあるので、それにつかまる。 少し登ると「元六甲縦走路(文太郎道)」の看板(10:47)。 |
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文太郎道に取付く |
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「この道には昔の六甲縦走路がそのまま残っています。文太郎道と呼ぶ所以です。」 と説明されている。 文太郎が縦走した大正末期のころは、道の整備もなく荒れた自然そのままの個所も多かっただろう。ここの文太郎道も、そういう雰囲気を残す道という事だろうか。 |
文太郎道の表示 |
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文太郎道の看板を過ぎると、急な登りとなった。 風化した砂と落葉で滑りやすいので、慎重に上る。ウバメガシだろうか、尾根の急な斜面の一面に密集している。その間を縫うように踏み跡が登っている。 10分弱、急斜面と格闘して平坦な尾根に乗った。
そこでほっとするも、次にまたすぐ急な尾根道の登りとなる。 |
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文太郎道は尾根道 |
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このあたりは風化の進む大きな岩の上に足跡が深く刻まれている。その足形に足をかけ、一歩一歩登って行く。
急斜面を5分ほど登って、また平坦な道となる。
しかし、すぐに急な道が目の前に迫ってくる。ここはロープがあり、それに助けられる。 |
文太郎道はワイルド |
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ロープ場を過ぎると少し下って、次に落ち葉の吹き溜まりとなった岩場の隙間のような個所を登る(写真右 11:04)。
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文太郎道(岩場の隙間道) |
岩場の隙間道を登りきると、すぐに栂尾山から須磨離宮公園に下るハイキング道に合流した(写真右 11:07)。 文太郎道は、おおよそ30分程、カシの木の茂る自然のままの尾根の踏み跡を登っていく道だった。 ロープが二か所あったが、その他は自然の中に古い踏み跡が残っていた。 |
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栂尾山への道に合流 |
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合流地点からは、すぐ先にある栂尾山のピークまで進んでみた。 400階段の縦走路から栂尾山に登ってきた多くのハイカーが栂尾山山頂の展望台で歓声を上げていた。 栂尾山山頂の展望台からは、なかなかの展望が楽しめる。 |
栂尾山の山頂が近づく |
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文太郎道では人の気配が全くなかったが、栂尾山の山頂はにぎやかだ(11:10)。 須磨アルプスを目指す多くのハイカーがここで一休みするということなのだろう。 |
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栂尾山の展望台 |
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栂尾山展望台からの景色 |
天井川への下り道 |
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さて、栂尾山の山頂で下山路を思案したが、今日は須磨離宮公園方向に下る道を選択することとする。 栂尾山の山頂直下に「須磨離宮公園・水野町」方面の案内表示があるのでそれに従う(11:20)。 この道は丸太材で階段もつくられ、よく整備された道である(写真上)。 そのよく整備された道を下り、途中で昼食も挟みながら、のんびりと歩く。 やがて、水野第六堰堤に下りついた(写真左 11:52)。 |
水野第六堰堤 |
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水野第六堰堤から天井川の左俣に沿って須磨名水の森の中を下る。 やがて天井川の右俣と左俣の合流地点となり(写真右 12:00)、次に水野第二堰堤を右側から越える(12:02)。 更に天井川沿いに須磨名水の森の中を下り、憩いの広場に到着(12:08)。 ここから車道に出て、山陽電車の東須磨駅を目指した。住宅街の中を進み東須磨駅には12時30分に到着。 今日は自然の残る文太郎道が確認でき、有意義な日であった。 |
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天井川右俣と左俣の合流点 |
須磨アルプスに向かう縦走路は多くのハイカーでいつもにぎわっていますが、縦走路に並走の文太郎道は歩く人も少なく、孤高を感じながらの歩行が可能です。((((^_^;) (^。^;) |