天狗岩(名号岩南峰)までのコースは、神戸電鉄鵯越駅から六甲全山縦走路を進み、途中で石井ダム方向に進路を変えて、ダムの周遊路から天狗岩に取付くこととする。 神戸電鉄の電車に揺られ鵯越駅で下車する。鵯越駅は各駅停車しか止まらないので注意したい。 駅前で軽く準備運動をして出発する(9:16)。 駅の東側に六甲全山縦走路が設けられているので、その道に入る。縦走路入口にはハイキング道案内図の看板もあるのでわかり易い。 |
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神鉄鵯越駅 |
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六甲縦走路に入るとすぐに「鵯越市民公園」で右折する。良く歩かれた六甲縦走路沿いには古い石灯篭も残る(写真左)。 歴史に名を残す鵯越なので、これも古い史跡かもしれない。そんなことを考えながら、ゆっくりと縦走路を歩いていると、複数のハイカーに追い越された。鵯越駅からはすぐ縦走路に入れるので、この辺りを歩くハイカーは多い。
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古い石灯篭 |
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やがて縦走路は舗装路に合流する(写真右 9:24)。この合流地点で左折する。(なお、ここで右に下っていくと烏原貯水池に至る。) なお、この合流地点からは、伊屋ヶ谷東尾根へ登っていく山道も分岐している。 |
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舗装路から左へ |
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少し舗装路を進むと神戸市水道局烏原ポンプ場の門構えが見えてくる(写真左)。 この建物の左側を進んでいくと、ポンプ場の敷地の裏側で119番通報プレートの付いた道標が登場する(9:26)。この道標の「→菊水山」の案内に従い、階段道を下っていく。 階段を下ると、また、舗装路となる。この舗装路は烏原川沿いの道である。烏原川沿いの舗装路を更に北に進むと、烏原砂防ダムのところで自動車道(山麓バイパス)の高架を潜る(12:09)。 |
神戸市水道局烏原ポンプ場 |
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次に、左手側に不動明王が見えてくる。この周囲は、地元の方々がいつもきれいに掃除しておられるので気持ちよく歩ける。 不動明王を過ぎると舗装路は急な登りになって、右側に「神戸市建設局中央水環境センター鈴蘭台処理場」が見えてくる。 水環境センターを左側から巻くように舗装路を進むと、道がフェンスで遮られている(写真右 9:38)。ここは、フェンスの右側の切れ目を進む。 |
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フェンス右側を進む |
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フェンスを越えると、真正面に菊水山が見えるようになる。 次に、左手側に「CAFE KIKUSUI BASE!!」の看板が目に入る。このカフェの先で、縦走路は左に入る。 少し進むと、縦走路から分岐して階段が左に登っている(9:42)。ここは、神戸電鉄の旧菊水山駅への入口である。 旧菊水山駅は平成17年3月に営業休止したので、今は駅の様子を外から見ることはできない。 |
正面に菊水山 |
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旧菊水山駅を過ぎると、また、真正面に菊水山が見えてくる(写真上)。ここまでくると、菊水山もだいぶ近づいた感じとなる。 次に、石井ダム・神戸電鉄鈴蘭台方面の道標が登場する(写真右 9:47)ので、ここで左折して縦走路を離れ、石井ダムの方に進む。 |
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石井ダム方面分岐 |
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神戸電鉄の線路をくぐって進むと、前方に石井ダムが見えてくる(写真左)。 巨大なコンクリートの塊が、威圧感をもって迫ってくる。 |
石井ダムに向かう |
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更に、石井ダムに向かっていくと、常用洪水吐から流れ落ちる水流が確認できる。 石井ダムは重力式コンクリートダムで、洪水調節を主な目的とするが、縦走路に近くハイカーも多いので、レクリエーション多目的ダムでもある。 レクリエーション目的の市民は、ダム堰堤に向かって左側に設けられた階段を使って、ダムの天端に登っていける。 |
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石井ダム堰堤 |
天端に向かう階段を見上げると、複数名のハイカーが下ってきているのが見える。レクリエーション多目的ダムの目的は達成しているように思える。 なお、石井ダムでは堰堤躯体の中に空洞を設け、多目的ホールが作られている。普段は入れないが、何かのイベントの時に一度見学したことがある。興味深い設備であったような記憶があある。 ダムの中は、なかなか見る機会がないので、広く開放して多目的ホールを見学できるようにしてはどうだろうか。 |
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天端に向かう階段 |
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そんなことを考えながら、天端に向かう階段に取付く。この階段は、約330段で相当に登りごたえがある。 上方から下ってくる方とすれ違いながら、また、何度も休憩をはさみながら、なんとか石井ダム天端まで登りついた(10:00)。 登ったところの先にダムの管理事務所があり、その後方に今日目指す天狗岩(名号岩南峰)が見えている。 |
ダム管理事務所と天狗岩 |
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天端は広く、花壇もある。天端の花壇は珍しく、レクリエーション多目的ダムの面目躍如だ。広い天端をウロウロして少し休憩を入れる。 天端からは、ダム下流に景色が広がっている。 神戸電鉄の電車が、橋梁を通過していくのが見える。その向こうには、神戸の市街地が遠望できる。 |
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石井ダム天端 |
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しばしの休憩後、ダム管理事務所横の舗装路に従い、鈴蘭台方面に進んでいく。石井ダム周遊路は地元の方の格好の散策路のようで
、歩く人は多い。 天狗岩の下を過ぎ、「みょうごう橋」を渡って名号岩の下を通過した(10:07)。 この、みょうごう橋を鈴蘭台側に渡ったところに、兵庫登山会設置の「妙号岩(高さ55m)」の看板がある(写真下 10:09)。 |
天狗岩(名号岩南峰)方向に進む |
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兵庫登山会設置の看板には名号岩の謂れとともに、「先代に感謝し、安全な旅を・・・」の表記がある。今日は急斜面の天狗岩の脇を登るので、看板に従い、安全第一で進みたい。 なお、岩の名称については、一般に「妙号岩」と「名号岩」の二種の漢字の使用が認められる。兵庫登山会の看板では「妙号岩」が使用されているが、この記録では、石井ダムにあった「石井ダム周辺図」の看板の表記に従い、「名号岩」を使用する。 |
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兵庫登山会設置の看板 |
この兵庫登山会設置の看板のところから、名号岩の真下まで進むことができる。ガードレールを乗り越えて兵庫登山会の看板から踏み跡を登っていく(10:09)。すぐに、足元に小さな基準点らしきものが確認できる。兵庫県の設置したもので「石井ダム No.6」の表記がある。
更に、踏み跡に従って進むと、すぐに「名号岩」の真下に至る(写真右 10:10)。 この名号岩には、南無阿弥陀仏の文字が彫り込まれている。高さ54.5mで一文字の大きさ121センチもあるらしい。しかし、岩の真下からでは、名号岩の文字は読みにくい。 |
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名号岩直下 |
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南無阿弥陀仏の文字は、石井村から烏原川を遡り山田村に至る旅人の安全を祈って、文久年間(1861〜1863)に小部村極楽寺の第22世修誉蹄善(しゅうよたいぜん)和尚が独力で仕上げたものとの伝承があるらしい。 ここから窺うに、岩壁に大きな文字を掘るのは、相当な困難が伴ったことが想定できる。和尚さんの強い思いが伝わってくるようだ。 しばし、「名号岩」の真下で、南無阿弥陀仏の文字に思いを馳せる。
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名号岩 |
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さて、踏み跡は「名号岩」から更に先に続いているので、先に進んでみる。足場を確認しながら、慎重に進んでいく。 前方の上部にこれから目指す天狗岩の頂が見え隠れしている(写真右)。 |
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前方上部に天狗岩頂が |
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名号岩を振り返る |
真下に石井ダム周遊路 |
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少し進んで、「名号岩」の方を振り返ってみる。そそり立つ岩壁が圧倒的な存在感を示している(写真左上)。 下方を見やると、石井ダムの周遊路が真下に見える(写真上)。急傾斜の岩壁の真下を進んでいることが実感できる。慎重さを持って進む必要性を強く意識する。 やがて、岩壁に細い補助ロープがある個所を通過した(写真左 10:23)。ここでは、ロープをつかみ滑落に注意して進む。
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岩壁に補助ロープ |
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そのロープの箇所からもう少し進んだ先が、ちょうど天狗岩の真下あたりのようで、大小の岩がごろつく場所になっていた(10:26)。 ここからは、踏み跡が上に登っている。その踏み跡をたどり、天狗岩を目指し登り始める。すぐ、細いロープが登場した(写真右)。 斜面が急なので、このロープと岩をつかみながら三転確保で登っていく。 |
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ロープ場を登る |
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急斜面にへばりつくようにして体を引き上げていく。どんどん高度が上がっていくのが実感される。 次にまた、ロープが登場した(写真左 10:33)。 斜面に出っ張る岩の間をロープにつかまり登っていく。 |
急斜面に補助ロープ |
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そのロープ場の上は更に急傾斜の斜面となっていた。 そこには、ロープが二本重ねで張られていた(写真右 10:34)。そのロープの安全性を確認しながら、慎重に斜面を登る。 |
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二本重ねのロープ場を登る |
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二本重ねのロープ場を登りきると、次は大きな岩をトラバースするようにロープが張られていた(写真左 10:37)。ここは、大岩をへつるように進む。 |
岩壁をへつる |
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トラバースした先で、また、急斜面が待ち構えていた(写真右 10:38)。
岩場のほぼ垂直の登りである。 ここも、ロープを頼りに慎重に登る。 この斜面は、ロープがなければ登坂は不可能だろう。設置された方に感謝したい。 |
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ほぼ垂直の岩場 |
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登りきったところから、後方を振り返ると、石井ダムの深緑の水面がだいぶ下方になっていた。 そこからも急な登りが続くが、しっかりとした踏み跡が山の斜面に続いている。
その斜面を登りながら、北側の名号岩方向を見やると、もう、名号岩の天辺より高い位置になっていた。天狗岩の頂上ももうすぐだろうと思いながら、踏み跡を更に登る。 |
石井ダムを見おろす |
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しかし次に、難所が待っていた。岩場の登りだがロープがない。登りの距離は短いが、足元が切れ落ちている。ここで足を踏み外すとまずい。今日一の注意で岩場を登り切った。ここは最善の注意を払いたい。 その先に、もう一か所、ロープの登りがあり(写真右)、そこを登りきったところが天狗岩の頂上だった(10:50)。 兵庫登山会の看板から、ここ天狗岩の頂上まで、ちょうど40分程を経過していた。 |
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最後のロープ場 |
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天狗岩(妙号岩南峰) |
天狗岩(岩場のテラス) |
登りついたところは天狗岩先端の岩場だった。急な岩場の天辺であり、滑落しないように注意する。 身を乗り出すように岩場の先を見ると、岩壁に岩場のテラスが確認できた(写真右上)。 ここは何度も来ているが、いつ来ても高度感で背中がモゾモゾする。足もすくむが、周囲に絶景が広がるのでしばしその景色を楽しむ。 |
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真下に石井ダムの湖面 |
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さて、天狗岩からの景色も堪能したので、そろそろ天狗岩を出発したい(10:58)。天狗岩からはイヤガ谷東尾根に出て、その尾根を登って鈴蘭台第五団地に向かいたい。 天狗岩から約10分でイヤガ谷東尾根に合流した(11:08)。その尾根道では、多くのハイカーが列をなして進んでいた。その最後尾について行く。 |
あじさい山歩会 |
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最後尾の方のリュックには「あじさい山歩会」の旗がひらめいていた。その方にお聞きすると、今日は鵯越駅を出発してイヤガ谷東尾根に登ってきたそうで、50名ほどの参加者らしい。先に行かれますかと、声掛けをいただいたが、当方も急がないので、最後尾につかせていただいた。 あじさい山歩会は、神戸市シルバーカレッジの中の組織のようで、「健康・安全第一楽しいハイク」を標語に、ハイクを楽しんでおられるらしい。 |
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イヤガ谷東尾根 |
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よく整備のされたイヤガ谷東尾根を「あじさい山歩会」の方々についてゆっくり進んでいくと、やがて、鈴蘭台第五団地に到着した。イヤガ谷東尾根道は、ちょうど57棟の裏側に出てくる。 |
鈴蘭台第五団地に到着 |
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鈴蘭台第五団地からは、神鉄鈴蘭台駅、西鈴蘭台駅が最寄だが、徒歩で20分は必要だ。そこで、今日は神鉄バスの君影線を利用することとし、陸橋下バス停から車中の人となった(11:30)。 天狗岩への登りはロープを頼りに、緊張の連続するコースだが、岩の頂上からの景色は何度来ても感動ものであった。 |
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陸橋下バス停 |
今回歩いた天狗岩への登りは、ロープはあるものの急斜面の連続です。危険な斜面も多く、一般のハイカーの歩行には適さない道であることを注記しておきます。 |