平野谷東尾根 |
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平野谷は古い地図では皿器谷とも呼ばれたようだが、そういう地図には平野谷の東側の尾根筋に登山道の表示がある。平野谷東尾根という名のこの道は防火道とも呼ばれ、山林火災を防ぐために整備された道であった。 ところが、最近の地図には平野谷東尾根の登山道の表記は消え去っている。神戸市により廃道とされてしまったようだ。平野谷東尾根はどんな状態なのか、調査登坂を本日(平成24年10月20日)挙行してみた。 |
防火道と呼ばれた平野谷東尾根は、山火事の広がりを防ぐため尾根の草木が幅広く刈り払われて、よく整備されていた。その平野谷東尾根が廃道になって久しい。 ネットで調べると、道は荒れてはいるものの、歩行は可能のようだ。 従前、平野谷東尾根のアップダウンを楽しく歩いた記憶があるので、その道がどうなっているのか、調査の必要を感じ、平野谷東尾根に入ってみる。 |
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水の科学博物館の赤い鉄塔 | |
阪神電車を西元町で下車し、北に向かい進む(11:00)。下山手通7の交差点で広い車道を渡り、さらに北に進む。山の手小学校が左手側に現れると、前方に水の科学博物館の赤い鉄塔が見えてくる(写真上)。 その水の科学博物館の入口左側から細い歩道が始まる。ちょうど水の科学博物館(奥平野浄水場)の塀に沿うようにして、舗装された細道が続いているので(写真左)、それに従う。 その細道の舗装が途切れたところから山道になる。山道は比較的歩かれている感じで、廃道の様子はない。 |
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水の科学博物館沿いの細道 | |
しかし、ちょっと進んだところで、山道から階段道が右に分岐して、そこに「通行禁止」「この道は危険です。大師道または二本松林道をご利用下さい。」の表示が登場した(写真右)。 この階段が平野谷東尾根の取り付きである。 なお、この階段を登らないで、山道をそのまま西方向に進むと平野谷道に続いている感じだ。 今日は平野谷東尾根の現状調査が目的なので、「通行禁止」の表示はあるが、調査を優先して階段を登っていくことにする(11:33)。 |
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平野谷東尾根の登り口 | |
いきなりの急な登りが始まった。 元々は丸太の階段が整備されていたが、今は損壊が激しい(写真左)。 微かに残る丸太の破片と、先人がつけた土の窪みに足を掛けて、急勾配を慎重に登る。落ち葉の堆積はゲリラ豪雨で流されたのか比較的少ないが、落葉が多ければ、滑らないように更に注意が必要だ。 いずれにしても、ここを下る場合は相当な慎重さをもって臨む必要があることを注記しておく。 |
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平野谷東尾根に入る | |
1分ほど急斜面と格闘して、尾根の上に登りついた。 ほっとしたのも束の間で、また、急な登りが待っていた。 平野谷東尾根に入り第一番目に登場するコブである。この登りにも、古い丸太階段の名残があるが、ほとんど朽ち果てている(写真右)。 ここは光が入らないので下草がなく、山土は滑りやすい。落葉があればなおさら滑るので、下る場合は、相当な注意が必要だ。 |
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平野谷東尾根の急登(第一番) | |
第一番目のコブをフラフラになりながら登りきると、頭を赤ペンキで塗られた石柱が登場し始めた(写真左)。 平野谷東尾根は境界になっているのか、赤い石柱が多く並ぶ。 その赤い石柱の先に、すぐ、平野谷東尾根第二番目のコブが待っていた。 こちらは、やや、光が差し込み、短い笹が生えているので、それにつかまりながら体を引き上げる。 |
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平野谷東尾根の境界柱 | |
11:48 何とか二番目のコブを登りきった。ここから、緩やかな尾根道となった(写真右)。 そして、すぐに三等三角点(点名:林山)が登場した(写真下 11:50)。 この三角点は境界柱と間違えられたのか、頭が赤く塗られている。 なお、三角点の脇には神戸市水道事業管理者により送水トンネル敷の表示が立てられていた(写真右下)。23年4月から26年3月まで借用とあるので、その間は平野谷東尾根に、水道トンネルが敷設されているということか。 |
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平野谷東尾根 | |
林山三等三角点 | 送水トンネル敷の表示 |
林山三等三角点を過ぎると急な下りが待っていた。ここは相当急勾配で、落葉の堆積も多く滑りやすい。少し残る丸太階段の残骸に足を乗せ、慎重に下る。 また、ここはイノシシによる土の掘り返しも多く、ズズズー と、滑らないように注意したい。 下りきると、次に平野谷東尾根第三番目のコブが待っていた(写真右)。またまた急な登りである。それに今度の登りは距離が長い。この尾根道は、やはり相当タフな山道である。 |
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平野谷東尾根第三番目のコブ | |
延々と続く登りにくたくたになりかけた頃、何とかピークに登りついた(11:59)。 ここからはしばらく平坦な道のようだ。ほっとする。 そして次に道が分岐した(12:01)。東側に山道が延びている(写真左)。方向からして、大師道の方に下る道のようだ。 少しその道に進んでみたが、踏み跡がしっかりと残っているので今でも利用者がいるようだ。この道を利用して平野谷東尾根に入る者が少なからずいるということだろう。 |
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大師道方面への分岐 | |
枝道から平野谷東尾根に戻り、更に登って行くと、尾根道沿いに白い標柱が立っていた(写真右)。先ほどもあった水道トンネル用の借地の表示で、神戸市水道事業管理者が立てたものである。 これによると、この辺りは林山国有林と表示されている。 先ほど登場した三等三角点の点名「林山」はこの辺りの地名であることがこれで分かる。 |
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水道トンネル用の借地の表示 | |
水道トンネル用借地の表示があったあたりは、歩きやすい道であったが(写真左)、そこから更に進むと道は次第に笹に覆われた藪道になってきた。 その笹をかき分けながら登って行くと、ピーク状の場所に登りついた(12:09)。 |
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平野谷東尾根 | |
そのピーク状の場所から南側を振り返ると、神戸の町並みが顔をのぞかせていた(写真左)。 この尾根で、初めて景色がひろがった。この尾根道で展望があったのは、後にも先にもここだけで、その意味では、平野谷東尾根は全般に展望の利かない尾根道ということになる。 なお、このピークには3級基準点(NO1133)が六甲砂防事務所によって設置されていた。 |
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平野谷東尾根から望む町並み | |
さてこのピークから北の方向を見ると、まだまだ尾根が連なっている見える(写真写右)。先はまだまだ長いのだ。 ここからは、笹のススキの茂る道の激下りである。踏み跡はしっかりとしているので、道に迷うことはないが、足元が見づらいので注意したい。 下りきったらこんどは激登りである。本日第四番目に登場するコブの登りである。 この下りと登りが平野谷東尾根の最も特徴的なアップダウンの箇所といえるだろう。 |
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平野谷東尾根の連なり | |
12:22 何とか激登りを登りきった。その地点には、古い案内標柱が倒れていた。 六甲ではお馴染みの茶色の標柱で、それには119番通報プレート「ち57−4」が取り付けてあった(写真左)。従前はこの平野谷東尾根は神戸市により管理されていた登山道だったことが分かるが、今は無残である。 すてられた「ち57−4」を過ぎると、又、登りである。平野谷東尾根第五番目の登りとなる(1874)。五分ほど急緩の登りが続いた後、五番目のコブを登りきった(12:29)。ここからしばらくは、緩やかな道だ。 |
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119番通報プレート「ち57−4」 | |
息を整えながら進んで行くと、こんどは119番通報プレート「ち57−5」が倒されていた。この「ち57−5」の倒れた場所から、又また登りである(12:36)。この登りは、平野谷東尾根第六番目のコブということになる。 10分少々登り続けて、ピークに立った(12:48 1876)。この登りも相当キツかった!! その次に、小ぶりのコブを数個越え、笹で藪状になったエリアを過ぎると高圧鉄塔が登場した(12:54 写真右)。 この鉄塔から分岐して西方向にもしっかりとした道が付けられている。少し進んでみたが、これは鉄塔の管理道かもしれない。また、鉄塔の場所に戻り、平野谷東尾根を進む。 |
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平野谷東尾根の高圧鉄塔 | |
鉄塔からは、少し下りになっている。下ったところに、119番通報プレート「ち57−9」が張られた古い標柱が立っていた(13:02)。 案内の文字はペンキで塗り消されているが、うすく「奥平野浄水場」の文字が見える。 そこから、更に激下りで、二本松林道に降りついた(13:06)。そこにも「通行禁止 この道は危険です。大師道または二本松林道をご利用下さい。(神戸市森林整備事務所)」の表記があった(写真左)。 |
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通行禁止 | |
平野谷東尾根は急な登り下りが連続するタフなルートであり、整備がされなくなって全体に荒れた感じであった。特に下りでこの道を利用するのは不適当との感じをもった。豪雨のせいか、落葉の堆積量は少なかったが、それがあると更に滑りやすく、危険だろう。 さて、ここからは、二本松林道を西に進み、平野谷を下ることにする。 今日の二本松林道は、人の気配はなく、静まり返っている(写真右)。 |
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二本松林道 | |
平野谷に入り(13:35)、25分で麓まで下ってきた。 平野谷から出たところは、展望の場所である。椅子が数個置かれていて、地元の方のための展望台になっていた(14:00)。 ここから、五宮神社、祥福寺、大倉山公園と経て、高速神戸駅には14:35の到着だった。 平野谷東尾根が防火道と呼ばれていたころは、神戸電鉄のハイキングでも歩かれていた(平成19年4月3日)。当時は、集団で歩けるだけの整備がされていたのだが、いまは荒れて寂しい感じになっていたのは残念だった。 |
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神戸の町並みを望む |
平野谷東尾根は廃道であり、現在は登山道ではありません。注意願います。 なお、従前、平野谷東尾根が防火道として整備されていた頃の歩行記録(17/11/26)はこちらです。 |