伊屋ヶ谷東尾根・妙号岩南谷
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神鉄鈴蘭台駅==神鉄バス==陸橋下バス停(10:03)==伊屋ヶ谷東尾根入口(10:08)==君影ロックガーデン(10:24)==
伊屋ヶ谷東尾根==天狗岩(妙号岩南峰)(11:05)==妙号岩南谷==石井ダム(12:26)==ダム周遊==神鉄鈴蘭台駅(13:45)
(約4時間 平成29年9月10日)  
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黄色文字の写真はクリックで拡大します。
 伊屋ヶ谷は、高尾山(鵯越)の東側の谷で、住宅地に近いが来る者もまれである。ウィキペディアによれば“神戸最後の秘境”とされている。その伊屋ヶ谷の東側の尾根(伊屋ヶ谷東尾根)の付近には君影ロックガーデンや妙号岩など見どころが多い。その伊屋ヶ谷東尾根から妙号岩に至る山道には古い踏み跡の枝道がある。それは妙号岩の南側を烏原川方面に下っている。この枝道も秘境っぽいので、妙号岩南谷と勝手に名付けて、本日(平成29年9月10日)探査を挙行してみた。
 駅前の再開発が進む神戸電鉄鈴蘭台駅。平成30年には橋上駅舎が完成と聞くが、その駅前から神鉄バス君影団地線のバスに乗り込む。
 路線バスだが少し小ぶりの車体に5分程揺られ、「陸橋下」バス停で下車する。ここはUR鈴蘭台第五団地内のバス停である。
 バス停で軽く準備運動をして出発とする(10:03)。
 バス停から少し東に進むとT字路に突き当たる。ここを右折して南に登っていく。
イヤガ谷東尾根取付き
イヤガ谷東尾根取付き
君影ロックガーデン方面分岐  舗装路を道なりに上っていくと、道は右折して第五団地57棟に近づいていく。その57棟の手前にイヤガ谷東尾根道への取付きがある(写真上 10:08)。写真のカーブミラーから入っていき、すぐにピカチューの表示があって山道となる。
 山道の両脇の笹は刈り込まれて、道の整備状態は良好だ。 すぐに山道は分岐する(写真左10:10)。ここには道標があり、イヤガ谷東尾根道は右で、左は森林管理道と表記されている。君影ロックガーデンを目指して左の森林管理道に入る。
君影ロックガーデンは左へ
 少し登って道が平坦となったところに三角点がある。標柱も何もないが、これが鈴蘭台四等三角点である。
 鈴蘭台四等三角点を過ぎ、よく歩かれた道を進んでいく。この辺りでは、右手側の下方に、イヤガ谷東尾根道が並走しているのが見えている。
四等三角点 点名:鈴蘭台
四等三角点 点名:鈴蘭台
君影ロックガーデンへの山道  やがて、君影ロックガーデンへの道は北に向かい、イヤガ谷東尾根道から離れていく。
 一帯は、間伐などの手入れがされた里山道で、適度に陽が差し込んで心地よい感じだ。
君影ロックガーデンへの山道
 やがて道が分岐する(写真右 ここを「A分岐」とする。)。ここは右がイヤガ谷東尾根道に戻っていく道で、左が君影ロックガーデンへと続く。
 A分岐を左折して君影ロックガーデンを目指して進む(10:22)。
 周囲は、少し夏草が繁茂して歩きにくいが、ルートはしっかりとしている。
A分岐
A分岐
君影ロックガーデンに登着  A分岐から2分で君影ロックガーデンに到着した(10:24)。
 ここは大きな岩尾根の突端で、なかなかの眺めだ。
 従前は「君影ロックガーデン」の表示もあったが、今は何ら案内表示はない。
 君影ロックガーデンの正面には菊水山が、その手前の下部には石井ダムのダム湖が、ダムの右には天狗岩(妙号岩南峰)が迫っている。
君影ロックガーデンに登着
 ダム湖のはるか向こうには神戸港の海面が遠望できる。君影ロックガーデンは展望がよい。
 君影ロックガーデンは大きな岩の塊で、その存在感は圧巻だ(写真右)。
 住宅地の間近でこのような景観が楽しめるのは、貴重な存在といえる。
 しばし、岩塊の上から景色を楽しむ。
君影ロックガーデン
君影ロックガーデン
土砂状況計測装置  景色を楽しんだ後、君影ロックガーデンを立ち去ろうとした時、岩の片隅にへんてこな機器の設置があることに気が付いた(写真左)。
 土砂状況計測装置と書かれており、“土砂状況等のデータを収集しているので、装置に触らないよう”注記されている。連絡先ははNECと書いてあったが、どこの土砂を計測しているのだろう。石井ダムなら少し遠いような気もするが・・・・?!。
土砂状況計測装置
 さて、君影ロックガーデンを後にして(10:27)、次は天狗岩(妙号岩南峰)を目指す。
 君影ロックガーデンからすぐにA分岐に至り、ここはイヤガ谷東尾根道方面(左折)に進む。
 良く踏まれた道をA分岐から5分進むとまた分岐点となる(写真右 10:34 ここを「B分岐」とする。)。B分岐は右に登ってく。
 B分岐は左側にも明確な道が下っているが、そちらは枯れ枝で塞いである。何年か前、その道を探査したことがあったが、忽然と道がなくなっていた。 参考の頁 
B分岐
B分岐
 B分岐を右に進むとすぐにイヤガ谷東尾根道に合流した(10:34)。
 合流地点には「緊急防災林整備(県民緑税の活用)」の真新しい看板が神戸市により設置されていた(写真右)。
 この看板には一帯の簡単な地図も描かれ、それによれば、この尾根道が「伊屋ヶ谷東尾根」と表記してある。従前より、この尾根道はカタカナ表記と思っていたが、漢字では「伊屋ヶ谷東尾根」と記すのであった。知らなかった。
伊屋ヶ谷東尾根
伊屋ヶ谷東尾根
古いイヤガ谷東尾根案内図  ところで、緊急防災林整備では、この一帯の表面土砂の流出を防ぐための土留め工事が実施しているようで、間伐を行い、植生の回復を目指していると説明がされている。看板を見ながら、豊かな緑を次の世代に引き継いでいってほしいと切に願うのだった。
 少し、伊屋ケ谷東尾根を進むと、傍らの雑草に埋もれながら、「イヤガ谷東尾根案内図」と表記された古い案内地図が残っていた(写真左)。
 その古い案内地図では、イヤガ谷東尾根には、今、歩いている尾根道以外にも、縦横に枝道が描かれている。しかし、石井ダムの工事の際に、そのほとんどが廃道とされた。
古いイヤガ谷東尾根案内図
 伊屋ヶ谷東尾根道を快適に進んでいくと、少し前方に、10名ほどのご婦人のグループが歩かれていた。にぎやかな談笑の声が聞こえてくる。県民緑税を活用して整備されている伊屋ヶ谷東尾根はご婦人にも歩きやすい道なのだ。
 やがて、「緊急防災林整備(県民緑税の活用)」の二つ目の看板が立つところまでやってきた。ここで伊屋ヶ谷東尾根道から左に道が分岐している(写真右 10:43)。この分岐には、特に表示はされていないが、ここが天狗岩(妙号岩南峰)への分岐である。
天狗岩(妙号岩南峰)への分岐
天狗岩(妙号岩南峰)への分岐
C分岐(怪しい分岐)  天狗岩への道もよく踏まれた道で、特に迷う箇所もない。しかし、伊屋ヶ谷東尾根道から5分程進んだところで、右手に道が分岐している個所を発見した(写真左 10:48)。この分岐を以降C分岐と表示する。
 C分岐の小さな木には赤テープと黄色の細紐が結んである。好事家により歩かれていることが想定される。
 これは、天狗岩からの帰りに探索せざるを得ないだろう。そう考えながら、更に天狗岩への道を進んでいく。
C分岐(怪しい分岐)
 花崗岩が風化してざらつく砂になった下り道を慎重に下って行くと、右手側前方に天狗岩が見えてきた(写真右)。
 天狗岩の荒々しい風貌がここまで伝わってくる。
 高ぶる気持ちで進んでいくと、やがて天狗岩に到着した(11:05)。
 ここでは、大きな岩の塊が石井ダムに対峙している。
天狗岩が見えてきた
天狗岩が見えてきた
 天狗岩の目の前では、菊水山の西壁(菊水ルンゼ)が迫っている(写真右)。
 石井ダムの湖面も眼下であり、圧倒的な眺望である。石井ダムの向こう側には神鉄の線路があり、通り過ぎる電車から走行音が聞こえてくる。
真正面に菊水ルンゼ
真正面に菊水ルンゼ
天狗岩(妙号岩南峰) 天狗岩(岩場のテラス)
天狗岩(妙号岩南峰) 天狗岩(岩場のテラス)
 天狗岩先端の岩の塊の間を抜け、更にもう一段下へと下っていく。
 急な岩場であり、滑落しないように注意して下る。すると、垂直な岩壁の真上に出ることができる。ここが、一般ハイカーが踏み込める最前線だろう。
 おそるおそる下を除くと、ダム湖の周遊路を散策する人が真下に見えている。
 高度への恐怖感が体中からモゾモゾと湧き出てくる。
北側には妙号岩
北側には妙号岩
切れ落ちる天狗岩の岩壁(足がすくむ)  怖さをこらえながら、身を乗り出して北側を望むと「南無阿弥陀仏」の妙号岩を登るクライマーの姿が確認できた(写真上)。
 約20分程、天狗岩の先端部にとどまり、恐怖感と共に絶景を楽しんだ。そろそろ、天狗岩を後にすることとし、大きな岩を登り返す。
 慎重に登って天狗岩の最上部まで戻ってきた。ここからは、先ほど通過したC分岐点まで戻ることにする。
切れ落ちる天狗岩の岩壁(足がすくむ)
古い丸太材の階段跡  天狗岩を出発して(11:14)、約5分でC分岐点に到着した(11:20)。
 C分岐点から明らかな踏み跡が下っている。どこまで、下れるのか探索を始める。
 少し下ると、丸太材でつくった階段が確認できた(写真左)。木材が劣化し、階段は荒廃しているが、確かに古くは山道として整備がされていたもののようだ。この道は、古い案内地図に描かれていたイヤガ谷東尾根の枝道の一つだったのだろう。
 そんなことを考えながら下っていくと、C分岐点から3分で細い谷底に下りついた。
古い丸太材の階段跡
 この谷は、ちょうど妙号岩の南側に位置するようなので、以後は、妙号岩南谷と勝手に呼称して記述を進めていく。
 妙号岩南谷の谷底は水の流れはなく、小岩の上に落ち葉が積もっている。その、小さな谷の脇に踏み跡が下っていた。
 あまり、歩かれた様子はないが、かすかな踏み跡が、谷を右に左に渡りながら続いている。
 この踏み跡が昔から歩かれていた道の名残なのか、最近の好事家が入り込んで付けたものなのかは、判然としない。
妙号岩南谷に下りつく
妙号岩南谷に下りつく
妙号岩南谷には薄い踏み跡がある  妙号岩南谷の谷底は水の流れはなく、落ち葉が幾重にも積もっている。その、小さな谷の脇に踏み跡が下っている。
 谷を右に左に渡りながら、かすかな踏み跡が下っているので、それを慎重に確認しながら歩を進める。
妙号岩南谷には薄い踏み跡がある
 落ち葉に足を滑らさないよう、谷を慎重に下っていくと、妙号岩南谷に水がチョロチョロと流れ始め、谷の傾斜もきつくなってきた(写真右)。
 きつい斜度の斜面に細く残る踏み跡を頼りに、滑落しないよう、さらに慎重に下っていく。
 やがて、谷歩きを初めて15分ほどで、右手側から枝谷が合流してきた。
 そこを過ぎると、谷道は倒木が行く手を塞ぐようになり、進行スピードが極度に低下する。
谷の傾斜がきつくなる
谷の傾斜がきつくなる
荒れた谷で進行が困難  時に踏み跡が全く確認できず、無理やり斜面をヘツりながら進む箇所となる。
 勝手に妙号岩南谷と名付けたものの、まずいところに踏み込んでしまったと、少々後悔しながらの谷歩きとなる。
荒れた谷で進行が困難
 次に、背の高い細い竹が繁茂する道となる。枯れた竹や斜めに倒れた竹が行く手を完全にふさいでいる。しかし、その竹藪の中には明確な踏み跡が続いている。これは、かつてよく歩かれてた頃の山道の名残だろう。
 道は確かに存在するので、竹をかき分けて強引に竹の中を進む。
 5分弱、竹と格闘して、なんとか竹藪を突破して抜け出すことができた(11:55)。明るいところに出てきたが、さらに困難が待ち受けていた。背の高い砂防堰堤が行く手を阻んでいる(写真右 11:59)。
前方に砂防堰堤が登場
前方に砂防堰堤が登場
石井一里橋の橋詰に飛び出した  砂防堰堤の右側は鬱蒼とした藪で、抜けれそうにない。 左側の斜面を高巻くことにする。その斜面を見ると、薄い踏み跡が残されている。先人も、ここで斜面を高巻いたようだ。
 斜面に取付いたが、踏み跡は散逸し、明確なルートが確認できない。右に左に行きつ戻りつしながら、なんとか堰堤を超えた。
 越えた所の先に、石井ダムの周遊路の橋が見えていた。あの橋に出れれば、妙号岩南谷の藪道も終了となる。しかし、橋に出るための道が確認できない。薄い踏み跡はあるようだが、歩かれなくなって久しいのか、踏み跡は藪の中に消えている感じだ。
石井一里橋の橋詰に飛び出した
 石井ダム周遊路の橋の手前でも、右に左に行きつ戻りつしながらルートファインディングに悪戦苦闘して、最終的には左側の斜面を高巻いて進むルートを選択した。
 そのルートには、先人の足跡も少し残されているようだった。
 最後の斜面を抜けると、石井一里橋の北側の橋詰に出てきた(12:26)。そこは、小さなスペースで、だれかがトマト数本を栽培している畑のある所だった(写真上)。妙号岩南谷は超難儀な谷道だった。
石井ダム(天端から望む吐出口)
石井ダム(天端から望む吐出口)
ダム湖の後方に天狗岩 石井ダム堰堤とダム管理所
ダム湖の後方に天狗岩 石井ダム堰堤とダム管理所
水辺広場  さて、無事に藪の妙号岩南谷道を抜け出たので、ここからは、しばし石井ダムを周遊してみたい。
 石井ダムは、洪水調節を目的とした重力式コンクリートダムで、平成16年にダム堤体が完成し、平成18年に周遊路が開放された。
 ダムの天端からは神戸市街とその向こうに瀬戸内の海が見えている。
 「レクリエーション多目的ダム」として、ダム周辺の道路を散策できるので、それを巡ってみたい。
 天端を渡り、対岸からこもれび広場に下ってみる。途中、ダム堰堤を見返すと、その高さに息をのむ(写真上)。石井ダムの堤高は66.2mもある。
水辺広場
 こもれび広場は草木に覆われていたのですぐに引き返し、次に、水辺広場の方に下っていく。こちらの方は、ダムの水面近くまで近づけるが、水面手前でゲートがあって、水に触れることはできない(写真上)。
 水辺広場にはベンチもあるので、湖面を眺めながらしばし休憩を入れる。
 水辺広場で休憩後、石井ダム周遊路から神戸電鉄鈴蘭台駅まで戻ることとする(13:09)。
北エントランスの案内標
北エントランスの案内標
神戸電鉄鈴蘭台車両工場  鈴蘭台駅まで道は、山間の中を神戸電鉄の線路と並走するので、鉄道ファンにはたまらない道である。今日も、鉄道写真ファンの方が、線路脇で一眼レフをセットして、電車を待ちわびていた。
 そんな風景の中、途中、神鉄車庫の脇を通って(写真左)、鈴蘭台駅には13時45分の到着となった。
 今日の妙号岩南谷歩きは苦難の道で、もう踏み込むことはないだろうと思いながら本日の山歩きを終了したのだった。
神戸電鉄鈴蘭台車両工場
 今回歩いた烏原川方面に下る谷道(妙号岩南谷道)は、廃道になってから久しいようで、途中に激しい藪道の箇所がある。道の消滅した箇所や危険な斜面も多く、全く歩行に適さない道でした。
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