今年の夏はこの上ない暑さだった。当方、暑さは苦手につき、6月の終わりから9月の中旬まで山歩きは自重していた。 しかし、今年は六甲山全山縦走にチャレンジしたいと思い、その練習を兼ねて今日(平成19年9月24日)から六甲山の山歩きを再開することにした。今回は、「全縦チャレンジ その1」 と題して、須磨浦公園から鵯越駅までを歩いてみる。 この区間は、味気ない市街地の走行が3ケ所あるが、須磨アルプスという魅力溢れるポイントもあり、なかなか、楽しいコースである。 |
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須磨浦公園駅 |
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山陽電車の須磨浦公園駅に9時37分に降り立つ(写真上)。駅では複数のグループが山歩きの準備を行っている。当方は、そのグループの横を通り抜け、縦走路の出発点に取り付いた。 ほとんど海抜0mから、鉢伏山の山頂に向かい階段が続いている(写真左)。いきなり、それも延々と続く階段は、結構足にダメージを与える。 後ろを振り返って、すがすがしい海の景色を眺めてダメージの回復を図ろうとしたが、海上の空はどんよりと曇り、海も霞がかかった状態で、さわやかさの欠片もない。「猛暑でないだけましか!!」と思い直し、階段を登っていく。 |
須磨浦公園の登り階段 |
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上り始めて20分弱でロープウェーの山上駅に到着した(9:55)。今日は展望台で海を眺めている人はほとんどいない。 更に少し登ると、左は鉢伏山の山頂に登る道、右は平坦な縦走路という分岐点が現れた。階段の登りで疲れた足は、思わず平坦な縦走路の方を選択していた。 山上駅から10分弱で旗振山に到着した(10:04 写真右)。旗振茶屋の中からは、茶屋の常連の方々であろうか、談笑する賑やかな声が聞こえていた。茶屋の前の広場では気持ちいい風が吹いていた。ここからはコースを東にとる。 少し進んで足元の花に注意が引かれた。何か変な感じの花なのだ。 |
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旗振山 |
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変な感じの花は白色の彼岸花だった(写真左)。 赤しかないと思っていた彼岸花が白い花をつけているのである。地球温暖化の影響が出ているのであろうか??・・などと、考えながら、次の鉄拐山を目指して歩を進める。
帰宅してネットで調べたところ、白い色の彼岸花は、園芸用の改良種で、欧米で交配されて出来たものらしい。黄色い種類もあるとのこと。知らなかった!!・・・。 |
白色の彼岸花 |
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更に進んで鉄拐山の階段が見えてきた。この階段も結構急勾配である。しかし、今朝方、鉢伏山の山頂を不本意ながら回避してしまったので、鉄拐山はその頂きを極めることにした。ただし、鉄拐山の頂上は視界も効かず、見るべきものは何もない。 次に、高倉山を目指す。ところで、鉄拐山から高倉山に至る縦走路沿いには立原谷四等三角点が設置されている。この三角点は未踏であったので、これを探すべく、しばらく道沿いを探索した。しかし今回も発見には至らず。今日は全山縦走の練習でもあるので、これ以上無駄な時間は費やさないことにする。 |
高倉山 |
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やがて、おらが茶屋が眼前にせまってきた(10:30 写真上)。この辺りはいつもハイカーで賑わっている。 ここから望む周囲の景色は中々のものがある。この山の周辺の方は、この景色を楽しみにして山上を目指されるのであろう。 またこの山上には、元神戸市長の宮崎辰雄氏の筆になる「高倉山」の石碑が立っている(写真右)。 |
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高倉山の山名碑 |
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鉢伏山から高倉山までは尾根に沿って歩いてきた。しかし、縦走路はこの高倉山でいったん山を離れ、住宅地(高倉団地)に下ることになる。 高倉山からは次に目指す栂尾山が遠方に見えている(写真左)。 高倉山から高倉団地までは細い階段が下っている。この階段は急勾配なので十分注意したい。 団地内のコースは茶色のコンクリート道で分かりやすい。また、この道は住宅地の中を縫うように続いているので、住民の方の迷惑とならないように静かに通過する必要がある。 |
高倉山から栂尾山を望む |
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高倉団地を過ぎると、栂尾山へと登る有名な400段の階段が待っている(10:48
写真右)。 この階段は一気に登ると相当体力を消耗し、後々の縦走にも支障が出ると思われるので余裕を持って登りたい。ただし、縦走当日は、この辺りで渋滞が発生している可能性があり、一気に登ることは不可能かもしれない。 |
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栂尾山への急階段 |
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栂尾山の400段階段から今歩いてきた方向を振り返ると、縦走路のスタート地点の山々(鉄拐山、旗振山)を確認することができる(写真左)。 ここ栂尾山は標高274mの山であり、鉄拐山が234m、旗振山253mであるから、階段を登るに連れて次第にこれらの山を見下ろすような感じになってくる。 |
栂尾山から高倉山方面を望む |
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また、階段上部から高倉台の住宅街を見やると、この住宅地が山々の真中のくぼ地にすっぽりとはまったような状態で存在することがわかる。 これは、高倉台の住宅地が、元存在した高倉山から、神戸ポ−トアイランドの埋め立てのために土砂を削りとり、その跡地に造られた町だからである(写真左)。 高倉台はまるで外輪山に囲まれているような感じなのである。 |
高倉台の住宅街 |
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400段の階段を登りきって、更に尾根伝いに5分ほど進むと栂尾山の頂上(274m)となる(10:59)。 頂上には山名を示す標識(写真右)と丸太で組まれた展望台がある。この展望台に登ると視界が開ける。 栂尾山の頂上から少し下り、次にだらだらと続く坂道を登り返すと、横尾山の頂上(312.1m)となる。 横尾山の頂上は木々に囲まれ展望はない(写真下 11:13)。なお、横尾山にも栂尾山と同じ形状の山名標識が立っている。 |
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栂尾山頂上 |
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横尾山の頂上を過ぎると、次第に荒々しい岩場の様相が増してくる。須磨アルプスが近づきつつあることが実感される。 そして、絶好のタイミングで神戸市森林整備事務所が設置した注意書きの看板が現れる。 その看板には「ここからの須磨アルプスは、風化が激しく危険な場所もありますから、十分に注意してください。特に強風・降雨時には気をつけてください。」と記されている。 ”風化”、”激しい”、”危険”の文字が、何やら不安感をあおるような気がして”ワクワク、ドキドキ”してくる。 |
横尾山頂上 |
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森林整備事務所が設置した看板を過ぎると、鎖が張られた岩場の急な下りの箇所が登場する。ここで、急傾斜に悪戦苦闘する若い女性グループを追い抜く。須磨アルプスはスリルを求める女性ハイカーにも人気のようだ。 少し進んで、眼下に須磨アルプスの岩場が見てきた(写真右)。「馬の背」と言われる幅60〜80cmの細い尾根筋が確認できる。その両サイドは鋭い角度の岩肌で、見た瞬間圧倒されるような景色である。そのとき、後方から”ワーー!!すごい、すごい・・!”との黄色い歓声が聞こえてきた。先程追い越した女性グループが後方で感激の声を上げていた。 |
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須磨アルプス |
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須磨アルプスの岩肌 |
振り返って望む須磨アルプス |
須磨アルプスは標高からすれば200〜300m程度の低い山稜の連なりであるが、アルプスと言われるだけあって迫力は満点である。 馬の背を渡りきって、振り返ると迫力ある岩稜が間近に確認できる(写真上、右上、右)。 なお、2000人あまりが参加する縦走当日は、この馬の背辺りで相当渋滞するらしい。この細く鋭い稜線を見ていると、渋滞もやむをえないと実感した次第であった。 |
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振り返って望む須磨アルプス 2 |
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須磨アルプスを過ぎるとすぐに東山に至る(11:37)。東山ではいつものように、多くのハイカーが弁当を広げるなどしてくつろいでいた。休憩する場もないほどの人数であったので、ここはそのまま通過する。 東山頂上から少々進むと道が左右に分岐する(11:45)。右は板宿方面に下る道である。縦走路は左に進路をとる。するとすぐ石造りの急な下り階段となる。この辺りからは右手側に次に目指す高取山が見えてくる。 石の階段を下りきると横尾団地の住宅地である(11:53)。本日2つめの市街地走行となる。
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妙法寺 |
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横尾団地の中も道を誤りやすい。横尾団地まで下ってきたら、まず横尾小学校の方角を目指して進路を左(北北西)にとる。・・・と分かっていながら、道に迷い、しばらく住宅地の中をさまよってしまった。5分ほどタイムロスである。 何とか縦走路にたどり着き、17棟と表示された団地の手前を右に入る。ここから寂しげな歩道がしばらく続き、さらに、阪神高速神戸山手線を越えて進んで行くと道は妙法寺の前に出てきた(12:15 写真上)。 更に住宅街を進み、県道を越えて高取山の方に向かい車道を登っていく。この辺りで男性二人連れのハイカーに追いつく。この方たちも縦走に備えてルートの下見をされているのであろうか。 |
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高取山登り口から望む横尾団地 |
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やがて高取山登り口にたどり着いた(12:30)。この辺りから須磨アルプスの方を見やると、横尾団地を包み込むようにして山域が連なっているのが確認できる(写真上)。 高取山は標高328mの低山であるが、妙法寺側から登ると、だらだらと続く登り道が結構足に応える。また、このルートは、山上から下ってくるハイカーも多い。高取山が人気の山であることが窺える。 登ること30分で山頂の高取神社に到着した(13:00 写真左)。縦走路は神社境内の下を通過しているのでこれに従う。 |
高取神社 |
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高取山からは20分で麓の長者町の住宅地に下ってきた(13:20)。この辺りの住宅は相当な急傾斜地に立てられいる。道の勾配も相当なものである。 ここからは本日3つ目の市街地走行となる。ここも道に迷い易いので要注意である。市街地の中は最初下りで、県道長田箕谷線を越えると登りとなる。この登りは、神戸電鉄の線路をくぐる辺りまで続く。線路付近の道の勾配は相当急である。この急勾配をやや急ぎ足で登ったところ右足の太ももあたりが痙攣寸前となった。オーバーペースは現に慎まなければならないと再確認したのであった。 線路をくぐると鵯越の駅がすぐ見えてきた(写真右)。駅に到着したのは13時50分であり、須磨浦からここまでの所要時間は4時間10分であった。 |
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神戸電鉄鵯越駅 |