荒地山・鷹尾山・なかみ山 (お勧め度★★★) 東六甲【4-3】 |
秋晴れという言葉はあるが、冬晴れという言葉もあるのだろうか。いや、あるに違いないと思われるほど晴れ渡った今日の天気!これは山を目指さねばと、いそいで準備を整えた。昨夜の多飲が原因で、少々朝寝坊となってしまい、芦屋の駅に到着した時にはもう時計は11時を回っていた。 阪急芦屋川の駅を北側に出ると小さな公園がある。いつもなら、ここで多くのハイカーが出発準備しているが、今日はもう誰もいない(11:15)。 |
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芦屋川 |
いざ、出発!!自分自身に号令を発して芦屋川に沿い、北に向かって歩きだした。山芦屋町の住宅街に入ると道も坂道になる。山歩き前の準備運動には、ちょうどいい勾配だ。 芦屋川の駅から15分ほどでロックガーデンと城山との分岐点に到着した(写真右)。ここには城山方面への分岐を示す標識と、城山のいわれが記載された案内板が立っている。城山から荒地山を目指すには、この看板を見落とさないようにして、ここで右折しなければならない。
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城山との分岐点 |
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分岐点を右折すると、北側には芦屋風の邸宅が建っており、これを右側から巻くようにして進むと、すぐに山道に入る。 山道は階段で始まり、すぐに砂防ダムが前面に現れる。ダムの前を右折すると赤土の九十九折になった山道が始まる。山道が高度を上げるにつれて、南側には芦屋の市街とその向こうに海が見えてくる。このコースは随所に南側に眺望が開けた箇所が登場し爽快な気分でハイキングが楽しめる。 |
鷹尾山(城山) |
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駅から30分で鷹尾山(城山)頂上に到着(写真上 11:45)。 城山からは南西及び北西に視界が開けている。芦屋から岡本方面の市街地、そしてその向こうに青い海と空が広がっている(写真右)。目をやや北に向けると、そこには芦屋ロックガーデンの稜線が万物相から風吹岩に向かって延びているのが手にとるように望める。絶景である。
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鷹尾山の展望 |
先程のロックGとの分岐にあった城山に係る案内板には要旨次の説明があった。「城山(鷹尾城址)永正8年1511年細川高国、澄元の両軍勢による鷹尾城と芦屋川原の合戦は阪神地方の代表的な古戦場として知られている。今、城山の山頂には中世の城跡としての遺構は何も残っていないが、大阪湾を一望できる眺めはすばらしい。」
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鷹尾山の尾根道 |
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鷹尾山は古戦場として歴史に名を残す山なのだ。しかし、現在の頂上には、説明書きにあるとおり、城跡らしきものは何もなく、あるのはNHKとSunTVの中継塔だけだった。 |
鷹尾山からの景色 |
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頂上で10分ほど景色を楽しんだ後、荒地山に向けて出発した。荒地山への道は平坦路で始まる。すぐに送電線の鉄塔があり、そこからは西宮、大阪方面に視界が開けている。さらに進むと大きな岩が集まった箇所にでる。ここからは芦有ドライブウェイが芦屋川の谷に沿って切り込むように六甲の山並みに入っていくのが見れる。 |
荒地山手前のピーク |
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更に進むと尾根道は下りとなり、ここからは荒地山手前の小高い山が綺麗に望める(写真上)。 下りきった所には高座滝から登ってきた道が左から合流している。(12:10)
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石ころだらけの尾根道 |
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高座滝からの道との合流点を過ぎると、道はまた登りとなった。登り道にも石が重なり合っている(写真上)ので、一歩一歩足場を確認しながらの登っていく。 鷹尾山から荒地山の間の尾根道はアップダウンと平坦路が交互に登場する。この鷹尾山から荒地山までの尾根道を一般には馬の背と呼んでいる。それは、この尾根道が昭和の始め頃まで草木のない裸尾根であったからという。現在では植樹のおかげで裸尾根ではない(写真左)。
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馬の背 |
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周囲を展望しながら荒地山を目指す。ゆったり尾根道を登っていくと、巨大な岩の集まりが頻繁に登場するようになる。その岩の中のいくつかは上に登ることができるので、岩のトップから景色を楽しむのもなかなかいい。写真右下は、岩のトップから見た西側に連なる芦屋ロックガーデンの中央稜の様子である。 |
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周囲を展望 |
更に進み、鷹尾山方面を見返したところ、そこにも展望が広がっていた。この日は霞も少なく、芦屋、西宮そして大阪の市街地、更には大阪湾まで綺麗に見渡すことができた(写真下、右下)。
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芦屋ロックガーデン中央稜 |
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尾根道からの風景(大阪方面)1 |
尾根道からの風景(大阪方面)2 |
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登りが終わって送電線の鉄塔を越えると平坦な尾根道となる。平坦路をしばらく進むと、また、道は下りとなる。下りきった所には、奥高座滝から登ってきた道が左から合流している(写真左 12:30)。この合流点からまた登りが始まる。5分ほど登って鉄塔のピークに到着。ここにも大きな岩が散乱している。岩に登れば大阪方面に視界が開けている(写真下)。 平坦な尾根道を過ぎると道は、また、下りとなった。 |
奥高座滝への分岐 |
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この下りに入ると眼前に荒地山の異形な山容が現れる(写真下)。 荒地山は大きな岩が何個も何個も積み上げられて一つの山になり、その積み上げられた岩の間に草や短い木が何とかへばりつき頭を出して命をつないでいるといった様相である。 |
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尾根道からの風景(大阪方面)3 |
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荒地山のこの様相から「登ることができるのだろうか??」とか「道はあるのだろうか???」とかの不安が次々に湧き上がってくる。そんな不安を感じながら露岩が乱雑に堆積した山の急斜面を見ていると、何とほとんど垂直状態の大岩に人が1人、少し離れた巨岩にももう1人とハイカーが山に取り付きアタックをしている(写真下)。 |
荒地山 |
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「すごい・・・!!」と感激をすると共に「自分も喰らいついてやる!!」との気持ちが湧いてきた。 尾根道を下りきったところから、いよいよ荒地山への登りとなった(12:55)。 |
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荒地山 |
荒地山2(露岩にアタックするハイカー) |
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荒地山は山を登るというより、岩登りである。重なり合う巨岩と巨岩の間を前に進めそうなルートを探りながらよじ登っていくという感覚だ。必ず三点確保の状態を保ちながら、慎重に岩にいどむ。 |
荒地山3 |
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随所に赤いペンキで矢印があり、それに忠実に従う。また、ロープが張られた場所もあるので、ルートを外して立ち往生ということはないだろう。 途中大きな岩の上で休憩する。眼下にある岩の連なりと南に広がる景色が最高で、この景色を崖の途中の岩の上からドキドキしながら眺めるのが快感だ。岩は垂直に切れ込んでおり真下はほとんど見えない。まるで宙に浮いているかのような感覚で景色を眺められる。 |
荒地山4 |
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絶景を楽しんだ後、また、岩を登り始める。やがてルートは垂直の一枚岩に行く手を遮られる事になる。ここが、荒地山名物の岩梯子である(写真左)。 |
岩梯子 |
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岩梯子はまさに垂直の岩であり、ここでは岩角を頼りに指先とつま先に全神経を集中させて這い上がっていく。 足場の少ない垂直のハシゴを登っていくといった感じがあてはまるであろうか。岩梯子とはうまく命名したものだ。余計なことは考えず、気持ちを集中させ、次に手を掛ける岩角だけを必死で探しながら体を引き上げていく。 |
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岩梯子2 |
ドキドキしながらも、なんとか岩梯子をクリアーすることができた。 登ってきた岩梯子を真上から見下ろすと、写真右のような感じ。垂直度合いが伝わりますでしょうか。 |
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上から岩梯子を見る |
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岩梯子の次に待っていたのは、これまた荒地山名物の七右衛門穴だ(写真左)。 ここも巨岩と巨岩が重なり合って行く手を塞いでいるが、その巨岩の重なり合う間にわずかな隙間が開いている。 |
七右衛門穴 |
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七右衛門穴をすり抜けないと前には進めない。リュックを先に穴から上に放り上げ、次に、慎重に穴の間をよじ登っていく。いや、両腕で体を引き上げるという方が正しいか・・・。 何とかすり抜けた。少々体の周りに余計な脂肪のついた小生にとっては快挙であった。 |
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七右衛門穴(拡大) |
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ところで、この七右衛門穴の由来は、その昔、七右衛門という若者が世をすねて盗賊になり、行商人を襲っていたところ、石の宝殿の神様の怒りに触れ、この穴で頭を砕かれたのだという。それで、この穴が七右衛門穴と呼ばれるようになったのだ。行いの悪しき者は、この穴から抜けられず荒地山を出られないとも伝えられている。 当方は、この穴を抜けられたので、何とか神のたたりは逃れられた。 |
七右衛門穴辺りの景色 |
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七右衛門穴を何とか抜けられて一安心していると、上から中年の女性ハイカーが2人、談笑しながら岩場を下ってきた。 登りでも大変なのに、下りは大丈夫なの???との当方の心配を尻目に、2人は悠然と垂直の岩場を真下に下って行った。 経験を積むとああなれるのかと感心することしきりである。 |
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荒地山の岩と木 |
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岩場もここまで登ってくると南に広がる景色も格別のものになる。眼前に、先程踏破してきた鷹尾山やその向こうの町並みがまるで箱庭のように広がっていた(写真左)。素晴らしいの一言である。 約25分で岩場を登りつめた(13:20)。ここからも芦屋、西宮、大阪の市街地が綺麗に見渡すことができる。 |
荒地山から望む鷹尾山 |
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岩場を登りきったところでしばし眺望を楽しみながら休憩をとった後、荒地山頂上を目指して出発した。 ルートは、岩道から両サイドが笹に覆われた普通の山道となった(写真右)。この辺りの足場は湿っぽくべとついている。 |
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荒地山の笹の尾根道 |
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岩場を登りつめたところから平坦な尾根道を進むこと約10分で荒地山頂上に到着した(写真左 13:30)。 頂上はちょっとした広場になっているが眺望はない(写真下)。よって、ここはすぐに出発する。 |
荒地山 |
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荒地山頂上からは西向きに尾根道を進んでいく。 右手側には六甲最高峰を始めとして、六甲の連山が間近に見える。東おたふく山の草原も望むことができる(写真右下)。 |
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荒地山頂上 |
5分も歩かぬうちに右手側の笹のブッシュの中に、かまぼこ板に書かれた「なかみ山」の標識を発見した(写真下)。ここは、尾根道の途中で、とうてい山頂とは思えないような場所である。他に山頂を示すものは無いかとブッシュの中を掻き分けてみたが、それらしきものは無い。かまぼこ板に書かれた山名表示がぽつんとあるのみだった。 |
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荒地山から望む東おたふく山方面 |
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当方が、ここで「なかみ山」のかまぼこ板の写真を撮っていると、後ろから3名のハイカーがやってきた。その内の1人は地元の方らしくて、「ここに誰かがなかみ山の表示をつけているが、本当のなかみ山の頂上はもう少し先の岩場のようだよ。」と教えてくれた。本当の「なかみ山」の頂上とされる岩場は、ほんの数分西に進んだところにあった(写真下) |
なかみ山頂上 |
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そこからは、西方と北側に視界が開けていた。北側にゴルフ場(芦屋カントリークラブ)が見下ろせる。 「なかみ山」の岩場からの景色をしばし楽しんだ後、山を下り始めた。数分進んだところに「放尿禁止」の札がかかっているのを発見!「こんな山の中でどういうこと??この札」と思いながらさらに下ると、そこには水場があり、2人のおじさんがペットボトルに水を大事そうに注ぎいれていた。 |
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こちらが本物のなかみ山頂上? |
なるほど、「水場の上で放尿はなしだよネー。」などと思いながら下っていくと道は二股に分岐していた。今日は金鳥山から阪急電車の岡本駅方面に下ることにしているので、ここは右手(西側)に歩を進める。 なかみ山から下り始めて10分で魚屋道に合流。ここからは南に向かって進む。すぐに右手に打越峠方面への分岐点が現れた(14:05)。ここは直進すると、すぐに横池に向かう道が右手側に分岐していた。 |
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横池に到着 |
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「横池の静かな湖面を見てみよう。」と思い、池への道を下っていくと何やら子供達の楽しそうな声が聞こえてきた。 横池に到着すると、静かな湖面どころか、そこは小学生の遠足の場になっていた(写真上、左)。すると、子供たちのはしゃぎ声につられたのか、大きなイノシシが繁みから出てきた。当方は「オオオー・・」と驚くも、子供達は慣れた感じで特に相手にする様子もない。イノシシ君も餌をもらえそうにないと分かると、すぐにすたすたと繁みの中に帰っていった。 |
横池(雄池) |
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冬場でもあり、横池の水量は少なくなっていた。その水面は、はしゃぎまわる子供達を写して子供達とは対照的に静かであった。 横池からは池を右側に巻くように続く山道に入った。この道はしばらく散歩道のように山の中を廻った後、やがて魚屋道に合流した。魚屋道に入るとすぐに風吹岩に到着となった。ここは芦屋ロックガーデン一帯の中でも人気のスポットであり、多くのハイカーが岩の上に座して南に広がる景色を楽しんでいた。 |
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風吹岩 |
風吹岩から金鳥山に向かうには、ちょうど風吹岩の北側から西に向かって延びている山道を進むことになる(写真右)。 風吹岩から金鳥山方面に続く山道は、最初すべりやすい風化した赤土の下りで始まるが、全体的には歩きやすい山道である。 途中、ととや道が左手(東)方向に離れていく(写真下)。 |
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風吹岩から金鳥山方面への分岐 |
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ととや道方面に進めば森北町から阪神深江駅に下ることができるが、当方は、ととや道には進まず、金鳥山から阪急岡本駅を目指した。 風吹岩から保久良神社を通って阪急岡本駅に下ってくるまでの所要時間は概ね次のとおりであった。風吹岩から金鳥山までは15分、金鳥山から保久良神社までは20分、神社から阪急岡本駅までは25分。岡本駅に着いたのが15時25分で、今日は約4時間の山歩きであった。
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ととや道との分岐 |
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