芦屋地獄谷・黒岩谷 (お勧め度 ★★☆) 東六甲【4-7】 |
芦屋地獄谷へは、いつものように阪急芦屋川の駅からスタートとなる。 阪急電車に揺られ、午前10時10分に芦屋川の駅に降り立つ。今日(平成19年4月21日)は天気もよく、多くのハイカーが駅北の広場で出発の準備をしている。 他のハイカーと前後して、当方も川沿いのアスファルト道を北に向かってスタートする。15分程進んで、住宅地から山域に入る(10:25)。更に山中のアスファルト道を10分程進んで高座の滝に到着した。ここで装備を整え、10時40分頃芦屋地獄谷を目指して滝の前をスタートする。 |
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芦屋地獄谷入口 | |
急な階段を数段登り、滝の上に出た。ここで右手側に続くロックガーデンへの山道と分かれ、堰堤の内側となっている地獄谷の入口に下る。すぐに「切らないで!サイレンが鳴ります。」との黄色の表示が目に入る(写真上)。このロープをくぐって進み、積み重なる岩場に足を踏み入れた。 すぐ左手側にゲートロックの岩場が登場!!今日は3名のクライマーが岩登りの練習をしていた。遠巻きに練習風景を見学させてもらう。絶壁へのアッタクは見てるだけでも恐怖がつのる。 岩登り風景をしばし見学の後、谷筋に戻った。ここからは大小の滝が連続する(写真左)。慎重に足場を選びながら、これらの滝を越えていく。結構スリルある遡行である。 |
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芦屋地獄谷 | |
滝のしぶきで湿った岩は滑りやすい。注意しながら大小の岩をよじ登っていく。ここは結構腕力も必要とする。途中、後方から軽いフットワークで谷を遡行してきたハイカーに追い越される。「勝手知ったる」コースなのかどんどん差を広げられる。すごいな〜と感心するも、当方は慎重に岩角の足場を選んで進むことに専念する。 いくつかの滝を越えて、「小便滝」と命名された滝に到着する(写真右)。案内板には「水の流れ無き時もある」旨説明されている。今日はかろうじてわずかな水量があり、チョロチョロとその名のとおりのような音を立てて流れ落ちでいる。 小便滝を過ぎると大きな堰堤に突き当たる。ここからは谷筋を離れ、右に巻くようにして山肌を登っていく。振り返ると後方に芦屋の町並みが見えて来た。 |
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小便滝 | |
この辺りは、ちょうど「Aケン」と呼ばれるA懸垂岩の下部であろう(写真左)。そのまま、Aケンの頂きまで登れそうにも見えるが、適当な足場がみあたらず、この方向からの頂上アッタクはあきらめる。 しかし、今日は何とかAケンの頂きに立ちたいと思う。そこで、少し右に回り込み、そこにあった岩の切れ込みから再度アッタクを試みる。ところが、ここも頂上までは進めそうにない。立ち往生である。 そこで一度谷底まで下り、登頂ルートを求めて岩の北西に回り込んだ。こちら側は適度な木々の繁茂と足場となりそうな岩場もある。これらを伝い慎重に岩をよじ登る。数分間、岩と格闘の末、何とかAケンのピークに立つことが出来た。 |
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A懸垂岩 | |
A懸垂岩頂上からの景色 | A懸からB懸跡方面を望む |
Aケンのピークからは360度のパノラマが広がる。 南東には城山の向こう側に市街地の広がりが見える。また、今遡行してきた谷筋も見えている(写真左上)。東側にはロックガーデンの中央稜が南北に連なる。そこからは岩場であげるハイカーの歓声がこちらにも聞こえてくる。 北側には剥き出しの荒々しい山肌が風吹岩の方まで続いている(写真上)。素晴らしい眺めである。登りに苦労しただけに充実感がこみ上げてくる。 今日はAケンのピークに登ってくるハイカーはない。絶景を独占しているうちにだいぶ時間が経過してしまった。20分近くの頂上ですごしたようだ。そろそろ、先に進むことにして、Aケンを下り始める。下りは登り以上に危なっかしい。慎重に下ることにする。 |
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振り返ってA懸を望む | |
Aケンから再び谷筋に降りてきた(11:47)。次にBケン方面を目指す。 この辺りは、風化の進んだ岩々がちょっと変った雰囲気作り出している。 ふと、振り返ってAケン岩を見てみた(写真上)。Aケン岩は登ってみるのもいいが、こうしてその姿を眺めてみるのもなかなかいい。岩肌に新緑が映えていい感じである。 やがてBケン跡と思われる辺りに到着した(写真右)。崩れた岩が散乱していて痛々しいが、新緑の緑とツツジのピンクが華やかさを添えているのが救いである。 |
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B懸跡辺り | |
Bケン跡の西方には万物相の奇観が広がっていた(11:20 写真左)。ここも、他では味わえないような特徴的な雰囲気がある。また、万物相から眺められる景色も中々のものがある。ただ、ハイカーの踏み跡が、山肌を帯状に侵食して続いているのはやや残念な気もするが・・・。 ここでは数名のハイカーがその変った雰囲気の中に身を置いて、至高の時間を過ごしておられた。 |
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万物相 | |
万物相から南側に広がる風景を確認しようと振り返ると、そこには「ピラーロック」と表示された岩が立っていた(写真右)。ピラーロック (pillar rock) とは柱岩を意味するので、元々は尖岩が鋭くそびえ立っていたのであろうが、先の地震で残念ながら崩壊した。しかし、現在残る尖峰でも、往時の雰囲気が十分感ぜられるような気がする。ピラーロックの後方には町並みと海が広がり、それらを一体として眺める景観は素晴らしいの一言である。 なお、この「ピラーロック」の表示は、従前、ここからやや西にある岩に誤って掲げられていたものが、ここに掲げ直されたとのことである。 |
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ピラーロック | |
風化、浸食の奇観を呈する万物相を過ぎると樹木帯の登りとなる。踏み跡がロックガーデン中央稜に向かい続いている。 12時24分中央稜に合流する。ここは左折して風吹岩を目指す。5分程度で風吹き岩に到着するも、ハイカーでごった返しており、そのままスルーして先に進む。 横池への分岐、打越峠方面への分岐などを過ぎ、岩が路上に露出して歩きにくくなった辺りで右(東)側へ分岐する道が登場する。ここを少し入っていくとそこには大きな三段重ねのようになった岩が鎮座している(写真左)。この岩に登ると概ね360度のパノラマが開けている。ここは知る人ぞ知る展望岩なのでである。ここからは、荒地山、なかみ山などの周りの山々への展望が独占できる。 |
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展望岩 | |
展望岩から本筋に戻り、次に雨ケ峠を目指す。道中はツツジが咲き始め、そのピンクの色がハイカーの気持ちを和ませてくれる(写真右)。 更に進んで、芦屋ゴルフ場の中に入る。このゴルフ場はイノシシ除けのために一面に柵を張り巡らせている。ゴルフ場の中の道はなぜか深く掘れ込んでいる。だらだらと続く登り道だが、約7分ほどでゴルフ場を通過した(13:05)。 ゴルフ場を抜けると等高線の幅が狭まり、坂道の勾配が急となった。汗がじわじわと噴出してくる。息もやや苦しくなってきた。ペースを落として息を整えながら進むことにする。 |
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つつじの咲く山道 | 階段を交えながらの急な山道を登りきってベンチのある場所に到着した。ここが雨ケ峠である(13:16 写真左)。 ここでは、多くのハイカーが休憩している。当方も東屋風の建物の下で腰を下ろすことにした。すると、東おたふく山の方から、がやがやと10数名の集団が下ってきた。先導の者はマイクを使用して何か話している。漏れ聞こえてくる話の内容から判断するに、どうやら自然ウォッチャーの集団のようだ。説明員が、マイクで新芽が吹き出した木々の説明を行っている。 |
雨ケ峠 | |
自然ウォッチャーの集団は雨ケ峠から本庄橋跡の方へ進んで行った。しばらくして、当方も集団を追うように峠をスタートした(13:21)。自然を観察しながら牛歩の歩みで進む集団にはすぐ追いついた。皆さんメモをとりながら、熱心に説明者の話を聞かれている。観察の邪魔をしないように、当方は集団の脇を静かに抜いていった。 やがて左手側から住吉道(住吉川左岸道)が合流する場所に至った(13:28)。ここからは、これから進む本庄橋跡方面を見下ろすことができる。芽を吹き始めた木々が住吉川の谷筋を明るく彩り染めている(写真右)。ホッと、心が和むような景色である。 |
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本庄橋跡辺りを望む | |
更に進むと、住吉川の右岸道から続く山道が合流してきた。その地点を越えるとすぐに本庄橋跡に至った。 そこでは、爽やかな水音を聞きながら弁当を広げている一人のハイカーがいた。本庄橋跡は、通行者が多く、じろじろ見られる可能性もあり、やや気兼ねしながらの昼食のようだ。 本庄橋跡を過ぎ、七曲り登り口に到着した。ここから六甲最高峰を目指して七曲りを登っていくハイカーが多い。当方は、混雑する七曲りを避け静かな黒岩谷から六甲最高峰を目指すことにした。 七曲り登り口から土樋割方向に進む。やがて左手側に大きな堰堤が確認できる。そこが黒岩谷への入口である。 |
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黒岩谷に入る | |
黒岩谷に入ると、水量は少ないが澄んだ流れが当方を迎えてくれた(写真上)。少し進むと、右手側にものすごい岩壁が現れた。岩登りの器具が打ち込まれているので、ここを登る者もいるのであろう。しかし、岩壁は反り返っているようにも見え、登るのは危険この上ないように感じるが・・・(写真右)。 澄んだ流れは、やがてダムに突き当たった。黒岩谷砂防ダムである(13:55)。ここは左に巻いて越えていく。すると、すぐ、又、ダムとなる。ダムの連続である。このダムも左から巻いて越えていくが、堰堤の端辺りでは、石垣が雨水に押し流されたのか、崩れ去っている。雨量が多いとその急流が山肌を容赦なく崩していくのであろう。この谷に多くのダムが設置されている理由が、この崩壊現場を見て分かったような気がした。 |
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黒岩谷にそびえる岩壁(キケン) | |
石ころだらけの黒岩谷 | 尾根道となった黒岩谷 |
その後も、ダムは古いもの、新しいものが入り交ざって連続している。新しいダムが作られた工事跡では、松の小さな苗が植林されていた。りっぱに成長するように祈りながらそこを越えていく。 やがておこもり谷との合流点に到達した(14:20)。おこもり谷にも新しい堰堤が見えている。黒岩谷はここから左に進んでいく。急な斜面を登ってまた堰堤が現れた。ここを越えると、ものすごい石ころだらけの谷筋となってきた(写真上)。 さらにいくつかの堰堤を越え、ロープの張られた急斜面を登り切ると、沢沿いの笹道となった(写真右上)。笹道は勾配がきつく、ここで相当エネルギーを消耗してしまった。 ひたすら登って縦走路に合流(14:50)。合流地点は、119ばん通報プレート「な1-1-14」が立てられている箇所である。 |
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六甲山最高峰 | |
縦走路を西に進み、六甲山最高峰に到達した(15:05)。最高峰にしてはめずらしく、ハイカーの姿が少ない(写真上)。 最高峰で5分ほど休憩の後、今日は西おたふく山から下山することにした。 西おたふく山の電波塔へと続くアスファルト道を進んでいて、ふと、右手側のこんもりとした小山状の場所で踏み跡が上部に向かって続いているのを発見した。「もしかして、前回把握できなかった西おたふく山の頂きか??」と思い、踏み跡をたどってみた。木立の中のピーク状の場所には、やはり「西おたふく山」と記載された登頂札が掛けられていた(15:25)。西おたふく山の様子はこちら。 |
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西おたふく山からの下り道 | |
西おたふく山からは、住吉川の右岸道高巻き道を目指して下っていく。西おたふく山からの下りは快適な道が続く(写真上)。やがて、東方に東おたふく山も見えてきた。芦屋奥池方面の住宅も見えている。この辺はなかなかのビューポイントである。 更に、だらだらと下った後、道は九十九になり、やがて六甲治山事務所の大きな看板のある場所に至った。ここでは本庄橋方面へ続く道が分岐している(16:17)。この分岐点から10分程下ると、道は住吉川右岸道に合流した。川沿いの住吉道は、爽やかな水音とマイナスイオンにつつまれた当方のお気に入りのルートでもある(写真右)。 この住吉川沿いを阪急御影まで下り、電車に揺られ帰途についた時間は既に5時をまわっていた。今日は約7時間の山歩きであった。 |
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住吉道 |
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