芦屋ロックガーデン・東おたふく山・六甲最高峰
(お勧め度★★★) 東六甲【4-1】

今回(平成17年10月9日(日))は、芦屋ロックガーデンから風吹岩、雨ケ峠、東おたふく山、
 蛇谷北山を通り、更に六甲山の最高峰を越えて有馬温泉まで歩いてみました。
 秋晴れの空の下、六甲最高峰に立った爽快感は格別のものでした。

linelineline
説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。

 昨日の、一日中雨が降ったり止んだりした空模様も、今日は一変し秋晴れの朝となったので、朝からばたばたと準備をして山歩きに出かけることとした。
 リュックの準備をしながら、今日は芦屋ロックガーデンから六甲最高峰を目指すことに決めた。
 今日のコースは、六甲山ハイクの中でも人気のコースである。阪急電車芦屋川駅を北側に降り立つと、やはり、多くのハイカーが既に集まってそれぞれ出発の準備をしていた。
 集団の中では歩きにくいので一足お先に出発とした。
 今日は地元の秋祭りのようで、だんじりも繰り出している。当方はだんじりの進行とは逆に芦屋川を遡るように北に向かい出発した。芦屋ロックガーデンへは、芦屋の住宅街の中を川に沿って北に進む。随所に案内の標識があるが、辻では概ね登り道を進んでいけばいい。
芦屋川
芦屋川
芦屋の風景 滝の茶屋
芦屋の風景 滝の茶屋
 芦屋川の東側には芦屋らしい壮大なマンションも建っている。(写真上)
 スタートして約10分で住宅地から山の中に入る。山に入ってさらに10分ほど進むと最初の茶店(滝の茶屋、写真右上)に到着。ここを抜けるとすぐに高座の滝(写真右)に到着した。
 高座の滝は、高さ10メートルの夫婦滝であって、昔は修験者の道場として有名であったそうだ。滝に立っている説明板によれば、「滝の300メートル上流にある中ノ滝付近の斜面から、鎌倉時代初期のものとの推定される土師質灯明皿や瓦器を包み含んだ地層があることが報告されている。このような祭祀性の遺物の出土からここは霊場であったと思われる。」と記されている。ここは、昔から信仰の対象であったようだ。滝の傍らには護摩堂もある。
   
高座ノ滝
高座ノ滝
芦屋ロックガーデン  高座ノ滝の傍らに急な登り階段がある。ここを登るとすぐにロックガーデンとなった。ロックガーデンは、花崗岩が風雨の浸食によってつくりだされた特異な景観地である。また、ここは、大正の終わりころからロッククライミングの人たちによって登山練習が始められた近代登山の発祥地だそうである。

 急な岩場の連続であり、途中、鎖とロープを伝い登る箇所もある。しかし、足場はしっかりとしており、注意して登れば初心者でも特に問題ないようだ。
芦屋ロックガーデン
 岩場の登りは数分で終わり、後は尾根道を風吹岩を目指して登っていくことになる。
 こちらの尾根道からふと視線を西側の稜線に移すと、そこにはこちら側より鋭い岩尾根がそそり立っており、そこをクライマーがよじ登っていた。(写真下)

 あちらはこちらの稜線の左手側の地獄谷を越えた芦屋ロックガーデンのもう一つの稜線であり、ゲートロック、A懸垂岩からB懸垂岩そして風吹岩へと続くルートである。クライマーに人気の場所であったが、先の阪神大震災で崩れ落ちた。それでも、稜線の鋭さは写真のとおりであり、自分にはちょっと登れそうにない感じだ。鋭い岩のてっぺんに、1人のクライマーが登頂している(写真右下)。さぞ爽快だろうなと思いながら、当方も六甲最高峰を目指して前進!。
芦屋ロックガーデン
芦屋ロックガーデン
芦屋ロックガーデン 芦屋ロックガーデン
芦屋ロックガーデン 岩登りをするクライマー
 尾根道を、風吹岩に向かって登っていく。送電用の鉄塔が数箇所立っている。
 途中、南側に視界が開けた箇所がある。阪神間の町並みからその向こうに大阪湾が望める。ここが風吹岩か?・・・と思いながら更に進んでいくと、そこから5分程度で大きな数個の岩がでんと座った広場に到着。ここに、風吹岩の案内板が立っていた。ここは、名前のとおり風通しもよく、また、すこぶる眺めがいい。風吹岩は、二つの大岩の間を風が吹き抜けていたのでその名がついたようだが、先の阪神大震災で崩れたらしい。
 多くのハイカーがここで一休みしているので、当方も、しばしここで休憩とする。
 風吹岩は360度のパノラマであり北西をみると六甲の山々の連なりが見渡せる。(写真下)ここで、5分ほど休憩をとった後、去りがたい気持ちを抑えて出発とした。
風吹岩
風吹岩
風吹岩から北西の山を望む 風吹岩
風吹岩から北西の山を望む 風吹岩
 風吹岩をスタートしてすぐに打越山への分岐がある。さらに5分ほど進むと横池への入り口がある。また、荒地山への分岐、奥池への分岐と連続して枝道と出合うことになる。しかし、随所に写真右のような案内板が立っているので、これを確認しながら進めば道に迷うことはない。

 風吹岩からは概ね平坦な尾根道が続く。この尾根道を、風吹岩から進むこと約20分で芦屋カンツリークラブの入り口に到着した。
案内標識
案内標識
イノシシ  芦屋カンツリークラブの敷地はフェンスが張りめぐらされており、山道はそのフェンスについたドアを開けて中に入っていくような感じで続いている。
 山の中でわざわざ仕切りをしなくてもと思っていたとき、隣でごそごそと音がした。何事かと思って振り向くと、なんとそこにはイノシシ君が一頭何やらえさを探してうろついている。
 思わず、後ずさりしながらも写真を数枚写すことに成功した。(写真左)
 ゴルフ場にフェンスがあるのは、彼らの侵入を防ぐためだと判明した。
山中のイノシシ
 ゴルフ場の敷地内は登り道が続く。5分ほどでゴルフ場を抜けたが、更に登り道は続いている。ゴルフ場を抜けて15分くらいでちょっとした広場に到着。何名ものハイカーが休憩していたので、ここで当方も休憩。標識に、ここは雨ケ峠とある。
 ベンチでしばしの涼をとっていると、なんと、自分が今汗をかきながら歩いて登ってきたゴルフ場からの坂道を、おじさんがマウンテンバイクをこぎながら余裕の雰囲気で登ってきた。きくと、今日はこれから六甲最高峰を越えて紅葉谷を下り、こんどはととや道を登って再度最高峰の登頂をするとのこと。一日二度登りは爽快だとの言葉を残し、すぐにまたマウンテンバイクをこいで坂道を登っていった。峠で休憩していたハイカーが、「達人はやはりすごい。」と感心したのは言うまでもない。
雨ケ峠
雨ケ峠
東おたふくの山四等三角点  雨ケ峠から最高峰をめざすのに、七曲りから行くか、東おたふく山から蛇谷北山を抜けるか迷ったが、今日は東おたふく山の草原を通っていくことにした。
 雨ケ峠を出発してしばらく登っていくと、偶然に左手側の笹の繁みの中に東おたふく山四等三角点(点名 雨ケ峠 621.4メートル)を発見。
 特にここは山頂でもなく、普通に歩いていると見落としてしまいそうなところであり、どうしてこんなところに三角点があるんだろうなどと考えながら更に歩を進めていく。
東おたふく山四等三角点
 三角点を過ぎると風景が一変する。そこには東おたふく山の草原が広がっていた。六甲山系にこんな場所があったのかと思われるような広い稜線の高原状の場所である。(大?)草原の中を道が一本続いている。360度見通しもきき、感動の草原である。 東おたふく山
東おたふく山
東おたふく山から西方を望む 東おたふく山の草原
東おたふく山から西方を望む 東おたふく山の草原
 東おたふく山からは、六甲の山々の連なりを見渡すことができる。
 西側には六甲最高峰方面が(写真上)、また、東側には芦屋奥池方面が(写真右)、そして南には大阪湾から紀州方面までが望めそうである。
東おたふく山から芦屋奥池方面を望む
東おたふく山から芦屋奥池方面を望む
東おたふく山頂上  草原の一番北端あたりに東おたふく山の山頂(697メートル)があった。
 東おたふく山へ登るには、阪急電車の芦屋川駅から今日登ってきたロックガーデン、風吹き岩、雨ケ峠というルート以外にも、芦屋川駅からバスに乗り、芦屋川沿いに北に進み、東おたふく山登山口バス停から頂上を目指すコースもある。
 こちらのコースは50分ほどで頂上に立てるようで、このコースを利用して、お年寄りから小さなお子さんまで多くのハイカーが東おたふく山のロマンチックな草原を楽しんでいた。
 東おたふく山の草原ウォークを堪能した後、土樋割峠を目指して山を下ることとした。 
東おたふく山頂上
 土樋割峠への下り道は東おたふく山の標識のすぐ脇から延びている。約5分で土樋割峠に到着(写真右)。土樋割峠は住吉谷と蛇谷(芦屋側)の分水嶺にあたる。文政年間のたいへんな干ばつがあった時に、この峠に土樋を通して住吉川の水を水の涸れた芦屋川に引きこんだらしい。これに怒った住吉川沿いの住民が土樋を壊したのだとという。水利権の争いがそのまま地名になって残ったのだといわれる。
 ここから蛇谷北山を目指してまた登り道に取りかかった。
 東おたふく山までは六甲山の中でも人気のハイキングコースであり、多くのハイカーと一緒だった。しかし、六甲山最高峰を目指すハイカーはほとんど七曲りのコースをとるようで、蛇谷北山のコースは一人のハイカーもいない静かなルートとなった。
土樋割峠
土樋割峠
蛇谷北山山頂  蛇谷北山への登り道にかかったあたりで歩き始めて約2時間30分程度。そろそろ足に疲労物質の乳酸がたまってきたようで、この登りはゆっくりめのペースとなってしまった。
 先程も記したが、蛇谷北山へはあまりハイカーも入らないようで、登山道の幅は狭く、歩きにくい箇所が多い。
 また、頂上手前は土砂崩れがあったようで本来の山道は通行止めとなっており、迂回路が作られていた。この迂回路も結構急勾配の狭い山道で疲れた足にはややキツイ登りとなった。
 土樋割峠から約30分で蛇谷北山の山頂(840メートル)に到着(写真左)。蛇谷北山の山頂は笹に覆われあまり眺望は望めない。  
蛇谷北山山頂
 蛇谷北山は頂上もそうであったが、全体が笹に覆われた山といった感じである。
 登山道も笹に覆わた箇所が多く(写真右)、足元も見えないという場所が何箇所かあった。
 しかし、踏み跡はしっかりとついており、道を見失うことはない。
 眺望の望めない山頂であったがしばし休憩の後、石宝殿を目指して出発した。
 蛇谷北山山頂から約20分で石宝殿白山姫観音(写真下)に到着。土樋割峠から蛇谷北山を過ぎこの石宝殿まで、やはり一人のハイカーにも出会わず、静かな山歩きとなった。
蛇谷北山の熊笹道
蛇谷北山の熊笹道
石宝殿の白山姫観音 石宝殿
石宝殿の白山姫観音 石宝殿
 白山姫観音を左に回って進むと石宝殿(写真右上)がある。社の前は砂の庭となっており、そこは箒の掃き後がきれいにつけられていた(それは海の波を表しているのかも???)。
 この社の前方は視界が開けており、大阪湾が一望できる絶景である(写真右)。
 言い伝えによると、昔、日照りが続いたときに石宝殿(いしのほうでん)の祠に沢蟹やら蛙やらを投げつけて祠を汚すと、神様が怒って雨を降らせたらしい。雨乞いのための神様であり、水に関係していることから水商売の神様ともいわれている。今は綺麗にされているが、ここの神様は昔はとんでもないめに遭っていたようだ。
石宝殿から南方を望む
石宝殿から南方を望む
後鉢巻山頂上  石宝殿からの景色を楽しんだ後、六甲山最高峰を目指すことにした。
 石宝殿から東六甲ドライブウェイへの下り道はきれいに笹などが刈り込まれていたが、その端に「まむしの被害発生!要注意」の表示あり。急に、足元を注意しながらの前進となった。
 石宝殿からドライブウェイ沿いの縦走路に出て、それを西に進んでいくと、やがて北側に延びる分岐を発見。その道を登っていくとすぐに後鉢巻山の山頂(898メートル)に到着。石宝殿からここまでの所要時間は約15分である。
 後鉢巻山の頂上はドライブウェイのトンネルの上にあった。山頂の見通しはきかない。山頂には大きな鉄塔が立っている。その横に小さなケルンも積んであった。
 特に見るべきものもないのですぐにもとの縦走路に引き返して最高峰を目指すことに。
後鉢巻山頂上
 後鉢巻山からドライブウェイに沿うようにして西に10分程度進むと六甲山最高峰に到着する。ここまで一部ドライブウェイを歩かなければならない箇所があるので車には十分注意する必要がある。

 ここは、その名の通り、六甲山系の最高峰である(六甲山という山名はないので、六甲山最高峰と呼ぶらしい。)。六甲山の標高は931.25mで、最高峰の場所には大きな電波塔(写真右)と「六甲山最高峰」の標柱(写真下)と一等三角点がある。なお、六甲山は、阪神淡路大震災で12センチ高くなったそうである。
 また、ここには360度の大パノラマ展望が広がっており、六甲山最高峰に立っているという爽快感とあいまって「登ってきてよかった。」との充実感に十分したることができる。
六甲山最高峰(電波塔)
六甲山最高峰(電波塔)
六甲山最高峰 六甲山最高峰のケルン
六甲山最高峰 六甲山最高峰のケルン
 ところで、六甲山の山頂は実は2つあると言われている。どういうことかというと、戦時中から、六甲山最高峰周辺が軍用地として使用されていたたことから、一般の人は立ち入ることができず、やむを得ず、その場所から南にある小高い丘を六甲山最高峰としていたからである。このことは、六甲山最高峰の標柱(写真上)のやや南側に六甲最高峰を示す立派な石碑が建っていることから窺うことができる(写真右上)。当時、最高峰に石碑を立てることができなかったのである。
 なお、「六甲山最高峰」の標柱は、2001年、一等三角点標石の復活を機に建てられたということである。

 六甲山最高峰からの大パノラマの様子は、写真右(六甲山最高峰から望む後鉢巻山)と写真下(六甲山最高峰から南方を望む)で確認願いたい。
六甲山最高峰から望む後鉢巻山
六甲山最高峰から望む後鉢巻山
六甲山最高峰から南方を望む 一軒茶屋
六甲山最高峰から南方を望む 一軒茶屋
 六甲山最高峰の直下には老舗の一軒茶屋がある。(写真右上)
 ここは、芦屋や岡本などの表六甲から、ととや道などを通って裏六甲の有馬方面に山越えしていくハイカー達でにぎわっている。この茶屋の駐車場からも神戸・阪神間の町並みや大阪湾を一望することができる。
 茶屋の自販機で飲料水を調達した後、ととや道から有馬温泉に下っていくことにした。ととや道の入り口は、茶屋からドライブウェイをはさんで北側をやや東に行ったところにある。「とと」とは魚のこと。その昔、瀬戸内海でとれた新鮮な魚を有馬に運ぶため、この六甲山の山越え道が使われていたことから、魚屋の道・・・ととや道と呼ばれるようになった。一軒茶屋から有馬までのととや道は道幅が広く歩きやすい山道である。(写真右)
ととや道
ととや道
虫地獄 鳥地獄
虫地獄 鳥地獄
 一軒茶屋からととや道を通って有馬まで、約50分で下ってきた。
 ととや道を有馬温泉に下ってきた辺りに「虫地獄」や「鳥地獄」と記載された石碑の立っている怪しげな場所がある。この謂れについては、次のような言い伝えがある。「かつて、有馬温泉に人が決して立ち入らぬ所があった。それは町の南側の射場山と愛宕山の谷あいであり、通称“地獄谷”と呼ばれて恐れられていたところである。射場山の山の割れ目からは炭酸ガスが吹き出し、その影響で岩肌は白っぽくなり、洞穴にはプクプクと奇妙な湯が湧いていた。その穴に鳥や虫が入ると、中毒を発し、バタバタと死んでいったことから有馬の人々はそれを「虫地獄」「鳥地獄」と称するようになった。」
 虫地獄、鳥地獄からボンネットバスの走る有馬の温泉街(写真右)を抜けて、神戸電鉄有馬温泉駅から帰途についた。今日は、表六甲から最高峰を越えて裏六甲までの充実の山歩きとなった。
有馬温泉
有馬温泉
このページTOPへ

HOME 1表六甲 2北六甲 3西六甲 4東六甲 5鵯越周辺 6丹生山系 7関西の山

 
linelineline