旧摩耶道・老婆谷  (お勧め度★☆☆) 表六甲【1-29】

新神戸駅(神戸地下鉄)〜雷声寺〜旧摩耶道〜学校林道分岐〜旧摩耶道〜行者茶屋跡〜
 老婆谷〜天狗道〜行者尾根〜旧摩耶道〜上田道〜青谷道〜王子公園駅(阪急電鉄) (約4時間)

Route MAP
linelineline
説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 新神戸から摩耶山へ登る道に旧摩耶道がある。
 旧摩耶道はその名のとおり、古くから摩耶山登山道として利用されていたのであろうが、今は道の路肩がやや荒れていて、深い谷に吸い込まれそうな箇所があるので、あまりガイドブックにも紹介されていないようだ。
 しかし、神戸の街中から手近に歩けるアクセスの良さは捨てがたい。そこで、今日(平成24年2月18日)はその旧摩耶道から六甲山に入り、老婆谷を経て摩耶山天狗道を目指してみようと思う。
熊内(くもち)八幡神社の鳥居  新神戸の駅を10:15にスタートする。
 駅から線路沿いに東に進む。線路沿いといっても、この辺りの新幹線は道路よりだいぶ下を走っているので、左手下側に線路を見降ろしながら東に進むと言う方が正しい。
 すると、すぐに線路を渡る橋があるので、これで線路を北に越える。
 次にまた、線路沿いに東に進むと八幡宮と書かれた石の鳥居が目に入る(10:22 写真左)
熊内(くもち)八幡神社の鳥居
熊内八幡神社  これは熊内(くもち)八幡神社の鳥居である。
 この鳥居の下から階段に取り付き、熊内八幡神社を目指す。
 階段を登りきると熊内八幡神社の境内にでる(写真左)。
 熊内八幡神社は役の行者の頃が縁起で古い社であるが、境内には幼稚園が併設されているので可愛い感じがする神社でもある。
熊内八幡神社
 神社にお参りした後、境内の東側に出て、布引中にそって北に上る。
 学校の角を東に折れて、一筋目を北に入ると、前方に「こんぴら山雷声寺」の表示が目に入る。
 雷声寺は、航路の安全などを祈り、昭和10年に讃岐の金比羅大権現をお迎えして建立されたそうで、歴史的には新しいお寺である。
雷声寺の百度石
雷声寺の百度石
雷声寺の不動明王  金比羅大権現の幟がはためく雷声寺の石段をゆっくりと5分ほど登ると、右手側に百度石とともに「旧摩耶道を経て青谷2.4km・摩耶山3.2km」と記された標柱が登場する(10:39 写真上)。
 ここで右に曲がると不動明王が怖い顔で出迎えてくれる(写真左)。
 この明王の右側から旧摩耶道が始まる。
雷声寺の不動明王
旧摩耶道の急階段  旧摩耶道では、いきなり丸太材の急階段が続く(写真左)。急階段で高度がどんどん上がり、新神戸のビル群が見る見る下方になっていく。
 10:45 階段を登りきって尾根に乗った。さらに尾根道を5分ほど進むと小ピークに到着する。ここにも旧摩耶道の表示がある。ここからは前方に、芋川谷斜面崩落跡が見えている(写真左下)。六甲には震災の痛々しい山肌がいまだに残っている。
 小ピークを超えて更に進む。この辺りから路面が白く雪化粧を始めた(写真下)。雪には靴跡が二つ付いている。今日は二人の先人がこのルートを歩いたことが確認できる。この辺りは左側の路肩が傾き、谷底に吸い込まれそうになっている。スリップ注意である。
旧摩耶道の急階段
前方に芋川谷斜面崩落跡 雪化粧の旧摩耶道
前方に芋川谷斜面崩落跡 雪化粧の旧摩耶道
旧摩耶道と東山尾根との合流点  しばらく山腹に張り付くスリップ注意の道を進んだ後、旧摩耶道は斜面を登る葛道となって、高度を上げて行く。
 そして前方に案内看板が見えてくると、そこは東山尾根との合流点であった(11:09 写真左)。この合流地点には旧摩耶道の案内表示が立っており、これには「旧摩耶道(もとまやみち)」と記載されている。旧摩耶道は「きゅうまやみち」と読むものと思い込んでいたが、大間違いであった。
 東山尾根との合流点のすぐ前方には旧摩耶道と学校林道の分岐点が見えている。この分岐は右手側の旧摩耶道方面に進む(写真下)。
旧摩耶道と東山尾根との合流点
 学校林道との分岐を過ぎると、じばらくの間、旧摩耶道はゆるやかに下る道となる。
 その後は、また、うすい雪化粧の路面となった(写真下)。
 このあたりの旧摩耶道は右手側の路肩が荒れて、滑りそうな箇所がある。ちょうどそのような場所で一人のハイカーと擦違った。お互いに慎重に足元を確認しながら交差した。
旧摩耶道と学校林道との分岐
旧摩耶道と学校林道との分岐
薄く雪をかぶった旧摩耶道  11:18 上田道分岐。ここを下ると青谷道へ合流する。
 概ね水平となった旧摩耶道をさらに進むと、前方に鉄パイプで閉鎖した箇所が見えてきた(11:26 写真左下)。
 崩落箇所があったのか、はたまた堰堤工事でもあったのか、道が付け替えられたようだ。
 付け替えの迂回路は一度下り、小さい流れを渡って次に登る。どうやら堰堤を迂回しているようだ。反対側の閉鎖箇所は写真下のとおりである。鉄パイプの向こう側は深く落葉が積もり、付け替え工事は相当以前であったことが窺われる。
薄く雪をかぶった旧摩耶道
鉄パイプで閉鎖された旧摩耶道 反対側の閉鎖箇所
鉄パイプで閉鎖された旧摩耶道 反対側の閉鎖箇所
 次に、「→青谷道へ」の表示がある青谷道、岩屋尾根分岐点を通過すると(11:31)、やがて前方に建物が見えてきて、次にトタンで仕切られた細い道に入り込む(写真右)。
 トタンで仕切られた内側は畑作地であったようだが、今は利用されていない感じだ。トタンの囲いは猪除けだったのだろう。
 この細道を抜けると行者茶屋跡、行者堂に到着だ。
 今日目指す老婆谷は、ここのお堂の裏手を進むのである。
行者茶屋跡に到着
行者茶屋跡に到着
天狗道方面分岐  行者堂に手を合わせた後、その裏手に回る。
 そこから、流れに沿って進むと、道の分岐点で赤ペンキの矢印が登場した(写真左)。それは石に書かれた表示で、その石の上部には「天狗道」と派手な赤色で記載されている(写真左下)。
 これはやたら目立つ。まっすぐ進むと行場へ続くが、一般のハイカーが間違って行場に入り込まないように、目立つ表示をしているのだろう。
 この目立つ表示を無視して、更に流れに沿って奥に進むと、鳥居が並び(写真下)、その先に禊の滝がつくられていた。ここは見るからに神聖なエリアであり、修行心のない者が立ち入るべきでないことが瞬時に理解できる。よって、当方は直ちに退出した。
天狗道方面分岐
天狗道の表示 行場の赤鳥居
天狗道の表示 行場の赤鳥居
行者尾根と老婆谷の分岐  さて、行場から先程の目立つ表示の分岐点まで戻り、次に老婆谷を目指すことにする。
 老婆谷方面へは、赤ペンキの矢印に従って斜面の道に取り付くことになる(11:43)。
 葛になった道をどんどん登ると、行者尾根と老婆谷の分岐点である峠状の場所に至った(11:47 写真左)。ここを左折すると行者尾根であり、直進が老婆谷である。
 行者尾根は以前歩いたが、老婆谷は初めてである。ワクワクした気持ちで老婆谷に踏み込んだ。
行者尾根と老婆谷の分岐
 老婆谷では流れに沿ってしっかりとした道が続いている。
 すぐに前方に堰堤が見えてきた(写真右)。老婆谷第二コンクリート谷止と書かれた、昭和46年の堰堤である。
 その後、同じような堰堤が2つ続いているのを確認しながら、更に流れの右岸を登っていく。
老婆谷第二コンクリート谷止
老婆谷第二コンクリート谷止
老婆谷第4鋼製堰堤  次に、鋼製の堰堤が見えてきた。こちらは昭和47年築の第4鋼製堰堤である(写真左)。昭和46年から同47年にかけて、老婆谷では盛んに堰堤工事が実施されたようだ。
 この辺りで、地面が薄く雪化粧してきた。みると、真新しい靴跡が雪に残されている。この老婆谷を今日登った先人がいるようである。
 その足跡を確認しながら、当方も老婆谷を進んでいく。
 更に流れに沿って右岸を登っていくが、次第に勾配がきつくなる。
老婆谷第4鋼製堰堤
 次に、大小の石がころがった葛の登りとなる。ここは大雨となれば雨水の流れ下る水路のようでもある。石は安定がなく、浮石状のものもあり、注意して進みたい。
 石の上には落葉が積もり、その上に薄く雪も積もっている。先人の靴跡もまだ先に進んでいる。
 12:13 先方に大きな岩が見えてきた(写真右)。この辺りで、踏み跡が怪しくなる。
 よく確認すると、どうやら、この大岩のところでルートが左右に分岐しているようだ。どちら側にも黄色テープやひもの表示が残されている。右側は谷川沿いに踏み跡が続いている。雪に残る先人の靴跡は右に進んでいる。しかし、山肌に続くルートは左の方がしっかりとしている。こちらが本線と思われたので、当方は左に進んでみることにした。
分岐点の大岩
分岐点の大岩
老婆谷の薄い踏み跡  大岩の分岐を左に進むと、細いルートが斜面を登っていた。
 落ち葉が深く堆積したエリアだが、よく見ると落ち葉の上にははっきりとした踏み跡があることが分かる。その踏み跡は、方向的には西に向いて登っている感じだ(写真左)。
 そして、その道はすぐに尾根に乗ることになった。
老婆谷の薄い踏み跡
 尾根には松葉が積もり、その上に踏み跡が付いている(写真右)。
 しばらく尾根を登り、落葉が広葉樹のものに変わった辺りで、やや踏み跡が薄くなりルートが怪しくなった。
 しかし、ここでも忠実に尾根に沿って登っていくと、また、テープ表示としっかりとした踏み跡が戻ってきた。
 この辺りでは、踏み後がなくなるとルートを外れていると理解したらいいようだ。
老婆谷から尾根に乗る
老婆谷から尾根に乗る
雪の天狗道に合流  最後に、赤紐の表示に導かれながら、落葉が積もる急な斜面を、足を滑らしながら登りきると、天狗道に合流した(12:38)。
 老婆谷に入ってここまで50分を要したことになる。
 天狗道も雪景色で、多くの足跡が付いていた(写真左)。
 登りついたところは、東西南北の表示がある見晴台(写真下)のやや西であった。
雪の天狗道に合流
 見晴台で5分ほど休憩して下り道を考えた。老婆谷を登ったので、その西隣の行者尾根を下ることにした。
 見晴台からやや西に進み、行者尾根分岐から尾根を下り始める(12:44)。
 行者尾根は5年程前に登ったが、そのときの記憶をたどりながらどんどん下る。
 行者尾根では誰とも会うことなく、午前中通過した老婆谷との分岐点まで一気に下ってきた(13:20)。行者尾根の下りは35分を要したことになる。
 さてここからは、また、旧摩耶道を戻り、途中上田道を経て、青谷道に出ようと思う。
東西南北の表示がある見晴台
東西南北の表示がある見晴台
旧摩耶道から上田道への分岐  今朝登ってきた旧摩耶道をどんどん下り、上田道分岐には13:41に到着(写真左)。
 分岐から上田道を下り始める。
 上田道では、整備された階段道が続く。途中、赤い鳥居が目に入ったので、お参りしていくことにする(写真下)。
 鳥居の中には白い狐が祀られている。どうやらお稲荷さんのようだ。しかし、隣には七面大天女の石碑もたてられている。
旧摩耶道から上田道への分岐
 七面天女は法華経を守護する女神と聞くので、神仏習合でしょうか。
 きれいに清掃された様子から、地元のあつい信仰が伝わってくる。
七面大天女
七面大天女
上田道から青谷道に合流  更に上田道を下り青谷道には13:51に合流(写真左)。
 そこから、駅を目指して、てくてく歩き、14:30に阪急王子公園駅に到着した。
 今日は、未踏であった老婆谷と上田道を踏破でき、充実の一日であった。
上田道から青谷道に合流
 ●老婆谷は一般のハイキング道ではありません。踏み跡は続いていますが、ルートファインディングのできる者向けのコースといえます。老婆谷を歩かれる場合は、注意願います。
このページTOPへ

HOME 1表六甲 2北六甲 3西六甲 4東六甲 5鵯越周辺 6丹生山系 7関西の山
   
linelineline