トゥエンティクロス・ヌケ谷 (お勧め度★★☆) 表六甲【1-3】 |
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Twenty Crossing(二十渡渉) 猛暑の夏場、4ケ月ほど山から遠ざかっていた。日中の日差しも緩んできたので、久方ぶりに山を目指すことにした。比較的アップダウンが少ないトゥエンティクロス(二十渡渉)を今日のルートとする。二十渡渉から更にヌケ谷を詰めて、連続するクロッシングを登り詰めてみたい。 新神戸駅から北に登る(9:25)。「神戸の森案内図」の大きな地図を横目に坂を登ればすぐに砂子橋。この橋を渡ると道が上下に分かれている。ここは下の道を進むとすぐに「布引の滝(雌滝)」に到着する(写真左 9:31)。9月は雨が多かったせいで、滝の水量は圧巻だ。 |
布引の滝(雌滝) |
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布引の滝(雌滝)から、階段を登り返して上流へ少し進む。やがて布引の滝(雄滝)に到着である(写真左 9:37)。雄滝も物凄い水音だ。 布引の滝は、那智の滝、華厳の滝と並んで我が国の三大神滝といわれているそうで、昔から、貴族・歌人らがよく訪れ、歌などを数多く詠んだときく。滝の周辺にはその関係で多くの句碑が立てられている。 また、雄滝にある説明板では「布引の滝は、古くから神秘的な伝説があり、物語や詩歌に多く引用された名瀑として知られる。」とある。 このように布引の滝は由緒ある滝であるが、現代では、奥平野浄水場からの遠隔操作で布引ダムのバルブを調節し、滝の景観を保っているらしい。 |
布引の滝(雄滝) |
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なお、布引の滝は、雄滝、夫婦滝、鼓滝、雌滝の4つの滝の総称らしいが、散策路から望めるのは雄滝と雌滝だけのようだ。 雄滝から布引貯水池に向かう道に合流し、すこし坂道を登るとすぐに右手側に展望台がある(写真右 9:44)。 ここは見晴らし展望台と呼ばれる絶景ポイントで、多くのハイカーが休憩している。 今日はシルバーウイークの連休で、家族連れをはじめ、さまざまな年代層のハイカーが集まっている。 この展望台からは神戸の町並みが手にとるように臨まれる。 |
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見晴らし展望台 |
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見晴らし展望台から少し進むと左手側に「猿のかずら橋」が登場する(写真左 9:48)。ここは城山方面の分岐となる。このかずら橋は、もと「猿の架け橋」と言われていたもので、これにツルを活用して橋をデコレーションしている。 六甲山の瀬戸内海国立公園編入50周年記念に「祖谷のかずら橋」に似せて装飾されたようだ。六甲山にちなんだ2006年5月3日に完成お披露目式が行われた。 少し、鉄骨部分が露出してきており、そろそろ補修を要する時期となっているのかもしれない。 |
猿のかずら橋 |
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五本松かくれ滝 |
布引貯水池 |
更に進んで行くと、右手側の岩壁から水が滝のように流れ落ちる箇所となる(写真上 9:53)。ここは五本松かくれ滝で、布引貯水池のダムの放水路としてつくられたものである。布引ダムがオーバーフローした時のみ流れることから、かくれ滝のネーミングとなっっている。 五本松かくれ滝からもう一登りすると布引貯水池に至る(写真右上 9:56)。このダムの石積みの景観は重厚感があり、いつも圧倒される。 今日のダムは満水の状態で洪水吐(こうずいばき)から湖水が溢れ出ている。 布引貯水池を過ぎると、世継山を右手側に見ながら階段を登って行く。 |
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増水時冠水の注記 |
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10:16 市ケ原に到着。今日の市ケ原は多くの子供たちの声で賑やかだ。 10:26 天狗道分岐 ここには摩耶山まで2.6kmの表示がある。 10:30 地蔵谷分岐 10:31 地蔵谷分岐を直進すると、すぐ、「沢渡り箇所があります」増水時冠水のおそれあり!! の表示が登場する(写真上)。この表示に従うなら、ここが沢渡りの始点ということとなり、トゥエンティクロスもここが起点になるものと思われる。 よって、この先の沢渡りからナンバーを振りつつ、トゥエンティクロスの数を探査して進みたいと思う。ナンバーは@、A、B・・のように○数字を付していく。 |
トゥエンティクロス@ |
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トゥエンティクロス@(写真上 10:31) 「沢渡り箇所があります」の表示のすぐ先に第一番目のクロスがある。ここはしっかりとした板橋が架けられている。 10:34 黒岩尾根分岐 ここでは、ご婦人方のグループが談笑されていた。 黒岩尾根分岐を過ぎるとすぐに堰堤越えとなる。堰堤を越えると、再度、河原歩きである。 10:39 右手側に不気味なトンネルが口をあけている(写真右)。高雄山堰堤建設時の排水用のトンネルだったらしいが、立入禁止の表示が一層不気味さを高めている。 近づきたくない感じだ(^ ^;)。 |
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立入禁止のトンネル |
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トゥエンティクロスA(写真左 10:41) トゥエンティクロスAは、まさに沢渡りと言うに相応しいもので、大小の石を伝って流れを越えることになる。 今日は水量が多めで、飛び石も水没気味だ。よって、ハイカーも慎重な足運びを要求されることとなる。スリルある沢渡りで、少し渋滞が発生している。 トゥエンティクロスAでは、周辺にも大小の石や岩が集積し、なんとも雰囲気が良い。 |
トゥエンティクロスA |
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トゥエンティクロスAを渡ると、すぐ上流に大きな堰堤がある。これは高雄山砂防ダムで昭和44年完成の高さ19mのダムである。
高雄山堰堤を左から巻くように階段道を登る。 上りきったところは休憩場所となっていた(写真右 10:47)。また、ここは分水嶺越林道の分岐点でもあり、洞川湖(分水嶺越林道)1.8km、森林植物園まで1.5kmの表示もある。 その先は工事現場で、苧川谷(おがわだに)山腹(その3)の補修で、平成30年2月28日まで工事が続くらしい。阪神大震災に関連する工事が未だに続いている。災害の甚大さをいまさらながら思い知る。 |
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分水嶺越林道分岐点 |
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トウェンティクロスB(写真左 10:54) 工事現場から少し進んでトウェンティクロスBに到達した。ここは一面が砂州となっており、度重なる大雨がもたらした景観のようだ。 トウェンティクロスBは凝った造りの板橋で、ゲートの設置まである。そのゲートには「かっぱ橋」の名が記されていた。有名な河童橋をイメージしたもののようだが、どうなんだろう。 |
トゥエンティクロスBかっぱ橋 |
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一面の砂州には白くなった枯れ木が林立し、ちょっとした雰囲気を醸し出している。このあたりは、中々、快適なエリアといえる。 小石交じりの砂地を、ザッ ザッ という足音と共に進んで行くと、前方にトゥエンティクロスCが見えてきた。
トゥエンティクロスC(写真右 10:58) トゥエンティクロスCは板橋である。ルート維持の関係者の方であろうか、ちょうど橋の補修作業をされていた。「お疲れ様です。」と声掛けして、トゥエンティクロスCを越えていった。 |
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トゥエンティクロスC |
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トゥエンティクロスCは、太い針金で板を固定する補修の最中であったが、水の流れに曝されているトゥエンティクロスはその維持管理も大変だろうと思われる。関係者の方の努力には頭が下がる思いだ。 少々進んで、トゥエンティクロスDに至る(写真左 11:00)。 トゥエンティクロスDは、飛び石渡しで、トウェンティクロスらしい景観だ。 ここで、ご夫婦のハイカーの方を追い越す。 |
トゥエンティクロスD |
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このトウェンティクロスDを渡ったところからも分水嶺越林道方面に分岐道がある。
トウェンティクロスDから5分ほど進んだところで左手側に古い門が登場した(写真右 11:05)。 古い門には表札が取り外された跡がある。周辺に構造物らしきものは確認できないが、ここには何があったのだろう。怪しいエリアである。 |
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謎の門扉跡 |
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トウェンティクロスE(写真左 11:05) 古い門のすぐ先にトウェンティクロスEが登場した。トウェンティクロスEは板橋で、小岩のごろつく流れをまたいでいる。
板橋を渡り切ったところで、くちなわ(ヘビの異名)が足元を横切った。想定外の動体の突然の登場に二、三歩、後ずさりしてしまった。 余談だが、くちなわとは朽ちた縄からきている言葉であって、口が付いた縄の意味ではないと聞いたことがある。口が付いた縄の方が自分としてはしっくりくるが・・。 |
トゥエンティクロスE |
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トウェンティクロスのハイキングルートは、比較的整備が行き届いている。 豪雨で増水した流れがルートを破壊して、絶えず補修が必要となるコースと思われるが、よく手入れされている(写真右)。 トウェンティクロスは六甲の中でも人気のコースで、行政もしっかりとサポートしているのだろう。 |
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トゥエンティクロスは整備良し |
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トゥエンティクロスEから、左岸沿いに進んでいくと、左手前方に二段構えの堰堤が近づいてきた。 それは、二十渉堰堤で、後方の堰堤は高度感がある。(写真左 11:10)。 二十渉堰堤は右から大きく巻いて越える。 二十渉堰堤(本堤)は、しばらく補強工事が続いていたが、26年3月に完成したらしい。 高さ18.6mの大きな二十渉堰堤は、コンクリート剥き出しではなく堰堤表面に石が張られている。景観にも配意した造りとなっていた。 |
二十渉堰堤 |
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二十渉堰堤を超え、さらにトゥエンティクロスを進んでいく。 11:23 水流の脇に大木が倒れていた。大木の根は露出しているが、かろうじて生命を繋いでいるようにも見える。 増水時に根元の土が流出し、倒木となったのであろう。こんな大木も流されてしまうとは、濁流は恐ろしいものだ。 この光景からも、トゥエンティクロスのルート維持の大変さがわかるような気がした。 |
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トウェンティクロスF植物園東門 |
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トウェンティクロスF(写真上 11:31) 倒木を過ぎて左岸を少し進むとトウェンティクロスFが登場した。トウェンティクロスFは、森林植物園東門へと至る飛び石渡しである。この飛び石は渡らないで、徳川道方面に進む。なお、トウェンティクロスFの周辺はベンチの設置もあり、昼食休憩のグループが散見された。
トウェンティクロスG(写真左 11:33) さらに徳川道方面に進むとトウェンティクロスGが現れた。トウェンティクロスGは立派な板橋である。 |
トウェンティクロスG |
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トウェンティクロスGを過ぎたところで、また、「沢渡り箇所があります」増水時冠水のおそれあり!! の表示が登場した(11:35)。これは、今朝がた地蔵谷分岐あたりで見かけた表示と同じだ。 ということは、ここでルートとしてのトウェンティクロスは終了することになるのだろう。 しかし、沢渡りは、この先のヌケ谷に続いている。今日はそのヌケ谷を遡行して、トウェンティクロスの続きを確認してみたい。ここからは、隠れトゥエンティクロスの遡行ということになる。 |
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ヌケ谷への分岐 |
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「沢渡り箇所があります」の表示の個所は徳川道とヌケ谷道の分岐点でもある。119番通報プレートの設置された表示柱も立っている(写真上)。 ヌケ谷へは表示柱の「山田道」と書かれた方向に進む。
ヌケ谷に入るとすぐトウェンティクロスHが登場した(写真左 11:37)。ここは小さな流れであるが、不釣り合いに大きな飛び石が設置してある。 |
トウェンティクロスH |
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トウェンティクロスHのすぐ上流には堰堤が見えている。この堰堤は石楠花堰堤で階段道で左から巻いて登っていく(11:40)。 ここでヌケ谷を下ってきた二人組とすれ違う。 ヌケ谷はあまり人がいないイメージだったが、そうでもないようだ。少々感激。 石楠花堰堤を超えて河原に降りた辺りはやや道が荒れている。ここは、気を付けて遡行したい。 |
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トウェンティクロスI |
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沢歩きの様相のヌケ谷を進むとトウェンティクロスIが登場する(写真上 11:45) ここは、小さな流れで、飛び石というイメージではない。 その先にすぐトウェンティクロスJが登場となる(写真左 11:46) トウェンティクロスJも小さなクロスで、ジャンプ一発で飛び越えられそうだ。 |
トウェンティクロスJ |
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トウェンティクロスK |
トウェンティクロスL |
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この辺りは流れの脇に細い道がつけられている。次々に登場するクロスに合わせて、細い道が、左岸、右岸と移動していく。楽しい沢歩きが満喫できるエリアだ。 トウェンティクロスK、L、Mと、立て続けに登場するクロスをヒョイヒョイと越えていく。 トウェンティクロスKでは流れの中に枯れ枝が立っていた。
トウェンティクロスK(写真左上 11:47)。 トウェンティクロスL(写真上 11:49)。 トウェンティクロスM(写真左 11:51)。 |
トウェンティクロスM |
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トウェンティクロスMを渡っていた時に後方からガサガサと音が聞こえてきた。イノシシの登場かとかとやや身構えて振り向くと、一人のハイカーが当方の後方からヌケ谷を遡行してきていた。 その方は、早いペースで当方を追い越していかれた。 意外とヌケ谷を歩く人は多いのではないかという思いが確信に変わってきた。 トウェンティクロスNでは、水量も少なくなり、もうどこでも好きに渡れる感じだ(写真左 11:52)。 |
トウェンティクロスN |
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トウェンティクロスNを過ぎたところで、今度は前方から二人組が下ってこられた。挨拶ですれ違う。今日はヌケ谷を歩く者が本当に多い。 次にトウェンティクロスO(写真右 11:52)、トウェンティクロスP(写真下 11:53)と登場し、その先に階段が見えてきた。階段の登場でこのコースのクロッシングが終了する。本日のクロスは全部で17であった。今後、豪雨で水の流れが変わり、クロスの数が変わる可能性はあるが、トウェンティには至らないCrossingであった。 さて、トウェンティクロスPの先には延々と続く階段の登りが待っている。約15分程階段を上り続ける。これは結構厳しい。このコースでは、最後の階段に備えて脚に余力を残しておきたい。 |
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トウェンティクロスO |
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トウェンティクロスP |
西六甲ドライブウェイと合流 |
階段を登りきったところで西六甲DW合流する(写真右上 12:08)。ここからドライブウェイ沿いの山道を西に進むと森林植物園の正門前に至る(12:22)。久しぶりに森林植物園に入ってみる。 350円の弓削牧場のソフトクリームを食し、一時間ほど園内を散策した。長谷池では水面いっぱいに蓮の葉が繁茂している。 また、森林展示館では六甲山のキノコ展が開催されていた。ひからびたキノコが多く展示されていたが、毒キノコからはそのやばそうな雰囲気は十二分に伝わってきた。(^。^;)。 公園からは神戸電鉄北鈴蘭台駅まで送迎バスが出ている。1:50の送迎バスに乗り込んで、本日の山歩きを終えたのであった。 |
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森林植物園長谷池 |