古寺山(表参道・裏参道) (お勧め度★☆☆) 北六甲【2-33】

神鉄唐櫃台駅(9:15)==表参道取付(9:42)==観音一般道合流(10:12)==上唐櫃道合流(10:26)==古寺山山頂(10:30)==
本堂跡(10:44)==石塔(10:51)==小滝(11:04)==昔の裏参道分岐(12:11)==六甲有料道路(12:42)==神鉄六甲駅(13:11)
(約4時間 平成29年12月17日)  
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 裏六甲にある古寺山の名は、清盛ゆかりの多聞寺がその山上にあったことに由来する。多聞寺は古い創建で、その昔は麓の集落から寺にお参りする参道が、いくつもあったようだ。多聞寺は麓に移り、古寺山は自然の山野に戻ってしまったが、今日(平成29年12月17日)はその古寺山に、表参道で登り裏参道を下って、古い参詣道を辿ってみたい。
神戸電鉄唐櫃台駅  神戸電鉄の各停に揺られ、唐櫃台駅のホームに降り立った(写真左 9:15)。
 今日は真冬の寒さで、寒風のホームに降りた乗客は数名だった。
 山間の唐櫃台駅の改札を出て、地道を南に進むと、「市民の森」の表示が目に入る(9:20)。ここは布土の森と呼ばれ、神功皇后を祀るといわれる石の祠がある。布土の森の存在で、唐櫃が古くからの集落であることがわかる。
 祠は樹木の茂る森の中で、フェンスで囲まれ、守られていた。
神戸電鉄唐櫃台駅
阪神高速北神戸線の高架下  更に、住宅地の中を進み、逢山峡方面を目指す。
 やがて阪神高速北神戸線の高架下をくぐって舗装路を登る(写真左 9:34)。
 登ったところが分岐で、左手側前方に逢ケ山が見える。分岐を逢ケ山に向かって下って行けば、すぐ東山橋に至るが、今日は分岐でヘアピンに切り返し、更に舗装路を登る。そして、再度、阪神高速北神戸線の高架下をくぐってこんどは左折する。
阪神高速北神戸線の高架下
 左折すると、阪神高速から六甲有料道路に続く車道に並んで舗装路が西に延びている。その舗装路を少し進むと、南側の山すそに踏み跡が確認できる(写真右 9:42)。木に赤テープが巻いてある以外は何の表示もないが、此処が表参道の取付きとなる。
 表参道の取付きにしては、さみしい限りの様子だが、道路開発が進み、昔とすっかり様相が変わってしまったのだろう。
 なお、この取付きのところには、防犯カメラが設置され、舗装路の監視をしている。「不法投棄禁止」の看板もある。これらで、ここが人気(ひとけ)の少ない場所だとわかる。
古寺山表参道取付き
古寺山表参道取付き
有刺鉄線のフェンス  取付きから山に入ると、落葉の堆積した登り道となる。そして、その落葉道は有刺鉄線のフェンス沿いの道になる。しっかりとした道だが急勾配なので、慎重に上っていく。
 少し登ると、有刺鉄線のフェンスに扉が設けられていた。南京錠で閉鎖してあるが、何の扉だろう?。
 更にフェンス沿いに登っていくと、石垣が積まれた広場状の場所に至る(9:51)。何かの用途で人工的に作られたもののようである。
有刺鉄線のフェンス
 石垣の広場を通過して、歩きやすい落葉の山道を登っていくとプラ階段が登場した。そのプラ階段の先で、左に分岐する道が登場する(写真右 9:53)。
 表参道の登り口は二つあり、今日は東側の登り口から登ったが、ここで西側の登り口からの道が合流となる。
 合流地点には、白のビニールテープに「表参道」の表示がある。
 合流地点から南に進路を変えた表参道を更に登っていく。
表参道分岐
表参道分岐
後方に逢ケ山  すると、すぐに高圧電線の鉄塔が登場した(9:55)。先ほどのプラ階段は、この鉄塔巡視のためのものだったようだ。
 高圧鉄塔の下を通過して、表参道を更に登る。
 この辺りの参道は歩きやすい落葉の道である。
 快適に進みながら、ふと、後方を見やると、逢ケ山の左肩が見えていた(写真左)。
後方に逢ケ山
 更に、落葉の積もった歩きやすい表参道を登っていく(写真右)。
 登って尾根道になり、緩やかな道になったと思うと、また登るという感じで表参道が続く。
 ビニールテープの表示がたまに登場するが、表参道は明瞭な道で、迷うことはない。
古寺山表参道
古寺山表参道
観音一般道と合流  表参道を落葉を踏みしめ登っていくと、にぎやかな道標が設置された分岐となった(写真左 10:12)。ここで、観音一般道と合流する。観音道は良く歩かれた道で、神鉄六甲方面に下っていける。
 観音道が合流すると、表参道は丸太材で土留めされた階段道となる。階段が連続して高度を上げていくが、息も上がるのでゆっくりと進む。
観音一般道と合流
 次に、自然の石を並べた階段道となり、つづら状になってどんどん高度が上がる(写真右)。
 高度が上がるに従い、斜面の北側の道となって、周囲が薄暗い感じとなる。
 その薄暗いエリアを抜けると、陽の光が差し込むようになる。
 次にまた、丸太材の階段道となり、それを緩やかに登っていく。
石階段の登り道
石階段の登り道
 次に、右手側から道が合流してくる(写真右 10:26)。ここで、合流してきた道は上唐櫃道で、またの名が「脇参道」とされている。
 分岐に立つ細い木に黄色いテープが巻かれ、「上唐櫃道」と案内されている。
 その先の表参道は、痩せ尾根状の道だが、しっかりとした道で歩行に困難はない(写真下)。
 その痩せ尾根道のすぐ先が古寺山の山頂だった(写真右下 10:30)。
上唐櫃道(脇参道)と合流
上唐櫃道(脇参道)と合流
痩せ尾根道 古寺山の山頂
痩せ尾根道 古寺山の山頂
古寺山の表示  古寺山の山頂には大きな岩が数個散らばり(写真上)、その中心の岩には「修行岩」の表示がある。修行岩の前のやや小ぶりの岩には「清盛の涼み岩」の表示がある。
 平清盛が福原に遷都をした際、古寺山が 鬼門の方角にあったので、この山に守護のための寺(多聞寺)を設けたと言われる。
 清盛はその守護寺に何度か参詣したのであろう。「清盛の涼み岩」「修行岩」の名はそのころをしのんでの命名だろう。
古寺山の表示
 古寺山の山頂からの展望はない。しかし、山頂から西へ少し踏み跡をたどると、山頂と同様に大きな岩が数個散らばる展望場所がある。
 せっかくなので、その展望の岩場に進んでみる。
 すぐに展望の岩場に至る(写真右)。
清盛の展望岩?
清盛の展望岩?
 展望の岩場からは、いつものように絶景が広がっていた。唐櫃から西へ大池方面だろうか、麓の景色が見事である。
 山頂にある岩の命名にあやかって、ここの巨岩は「清盛の展望岩」とでも呼べばどうだろうかと勝手に思うのだった。
 さて、景色は抜群だが、ここは寒風が吹きつける。そろそろ、古寺山の頂を後にしたい。
清盛の展望岩からの景色
清盛の展望岩からの景色
護摩壇跡  古寺山の頂をスタートし、南のシュラインロード方面に下っていく(10:40)。
 すぐに、道脇の細木に掲げられた「護摩壇跡」の表示が目に入る(写真左)。古寺山の山頂のすぐ下に護摩壇が設けられていたようだ。
 護摩は、本来は密教の修法であり、この山にあった多聞寺が真言宗の寺であったので、護摩を焚いて息災などを祈願したのであろう。
護摩壇跡   
 「護摩壇跡」を過ぎて少し下ると、こんどは本堂跡の表示が目に入る。道の脇に平地が残るが、木が何本も茂り、遺跡のようなものは目につかない(写真右 10:44)。
 多聞寺は、源義経が一の谷を攻める時、その道案内を断ったことを理由に焼き払われたとされるので、寺が無くなってから、もうはるかな時間が流れている。
本堂跡
本堂跡
小屋谷コース表示  本堂跡を過ぎ、さらにシュラインロード方面に下っていくと、こんどは「石塔→」の表示が目に入った(10:47)。ここで道が右に分岐して下っている。
 落葉が深く積もり、ほとんど歩かれていない道であることは一目でわかったが、表示に従い石塔を目指す。
 落葉の道を下っていくと 大きな石の脇を過ぎて「小屋谷コース」の表示が目に入る(写真左 10:49)。このまま谷を下る小屋谷コースが裏参道であるが、ここで石塔への道が右に分岐しているので、寄って行くこととする。
小屋谷コース表示
石塔  分岐を右に入り、石塔を目指す。
 すぐに、小さな石塔が4つ並んで立つ遺跡に至った(10:51)。多聞寺関連の石塔だろうが、本堂から少々離れて谷を下った寂しいところに石塔が残っていた。
 石塔に手を合わせて、次は、先ほどの分岐まで戻り、小屋谷コース(裏参道)を下ってみることにする。
石塔
 裏参道は落ち葉が深く積もったふわふわの道だ。しっかりとした道だが、最近は全く歩かれていない感じだ。
 最初は歩きやすい落葉道も、次第に急な下りとなる。急な下りでは、落葉は滑るので慎重に進む。
 しばらくすると、倒木が道を塞いだ。今年は、台風が六甲の山道に多大な被害をもたらした。この倒木もその惨害だろう。歩行不可能ではないので、倒木を回避して下っていく。
 裏参道には黄色や緑の残置テープもある。
裏参道を下る
裏参道を下る
裏参道を下る  少し下って、水音が聞こえてきたぞと思ったところで「小滝」の小さな表示が目に入った(11:04)。
 左側を見ると、その名の通り、小さな滝が流れ落ちていた(写真左)。
 裏参道として参拝者が詣でていた頃は、この小滝にも人が訪れたであろう。しかし、今は誰一人として、訪れることのないような、さみしい滝の様子だった。
小滝
 さて、裏街道は小滝からそのまま谷筋を下るのだろうと、深く考えもせず谷を下り始めた(11:08)。
 谷道は、岩がごろつき歩きにくい。踏み跡も、有るような、無いような、怪しい感じだ。しかし、岩場の踏み跡は分かり難いものだと勝手に解釈し、どんどん谷を下っていった。
 境界柱のようなコンクリ柱もあり、谷道の存在を信じて進んでいく。
谷にはコンクリ柱が
谷にはコンクリ柱が
堰堤で行き止まり  しかし谷筋は荒れが益々ひどくなり、前方に激しいい倒木が登場して、行く手を阻まれることとなった。
 ここは斜面を登り、巻いて下ったが、ますます道らしきところがなくなってきた。そして、とうとう前方に大きな堰堤が登場し(写真左)、これ以上は下れない状況におちいった(11:23)。
堰堤で行き止まり
 堰堤を何とか越えられないかと斜面を登ってみたが、堰堤の先はますます藪が激しく、ここで谷筋には道がないことを悟り、引き返すこととした(11:34)。
 堰堤から13分で小滝までもどってきた(11:47)。ここで地面に落ちた道標に気が付いた。
 道標には「裏参道南尾根コース」とある(写真右)。
裏参道南尾根コースの表示
裏参道南尾根コースの表示
裏参道南尾根コースは廃道  「裏参道南尾根コース」と表示された道標が指し示す方向の谷筋を再度よく見ると、この小滝の所で谷筋から左側の斜面に取付いて、道が続いているのが確認できた(写真左)。
 谷は先ほどの堰堤があるので、裏参道はここから左側の斜面を大きく巻いていたようだ。
 その道を少し進んでみたが、斜面の崩落が激しく、もはや歩けない状況になっていた。この崩落で、裏参道南尾根コースは廃道となり、人が入った形跡がなかったということと理解した。
裏参道南尾根コースは廃道
古寺山裏参道の表示  裏参道南尾根コースを下るのをあきらめ、また、元のシュラインロード方面に進む道に戻ることとする。
 急な坂を登り返し、「石塔」と表示のあった分岐まで戻ってきた(12:07)。ここから、シュラインロード方面に進む。
 笹の茂る道を少し進むと道脇に「古寺山裏参道」の表示が登場した(写真左 12:11)。ここで、古寺山裏参道が右に分岐していた。
 古寺山の裏参道は、先ほどの谷道(裏参道南尾根コース・小屋谷コース)と、この古寺山裏参道(昔の裏参道と呼ぶ)の二本があるようだ。
古寺山裏参道の表示
 昔の裏参道の分岐を右に入り、二本目の古寺山裏参道を下っていく。
 古寺山裏参道は、先ほど下って小滝で行き止まりとなった「小屋谷コース」の南側の尾根を巻いている道である。
 こちらの古寺山裏参道は、最初、笹の覆う道から急な尾根の下り道となる。次に、痩せ尾根のアップダウン道に変わった。
 痩せ尾根だが雑木に囲まれ危険はない。
 道中「昔の裏参道」の表示が何ヶ所か掲げてあった。
古寺山裏参道の痩せ尾根
古寺山裏参道の痩せ尾根
昔の裏参道・南峰  次に、急な下りが登場し、ここにはトラロープが張ってあった。落葉ですべるので、ロープにつかまってゆっくりと下る。
 その下った先で、道が分岐していた。分岐点には、「昔の裏参道・南峰」、「裏参道」などの道標が複数枚、掲げてある(12:27)。ここで分岐している道が、先ほど崩落でで行き止まりとなっていた「裏参道南尾根コース」で、小滝へとつながっていたものと思われた。
昔の裏参道・南峰
 更に裏参道を下っていく。
 次第に下方から車の走行音が聞こえるようになってきた。麓を走る六甲有料道路が近づいたということだ。
古寺山裏参道
古寺山裏参道
六甲有料道路に下りつく  やがて昔の裏参道は尾根尻を一気に下って、車の行きかう六甲有料道路脇に出てきた(写真左 12:42)。
 出てきたところは、六甲有料道路の唐櫃南ICの少し上部だった。
 赤テープと「裏参道」の小さな表示があり、丸太材の階段も見えているので、ここが裏参道の入口であることはすぐわかる。
六甲有料道路に下りつく
 古寺山裏参道は、痩せ尾根のアップダウンが激しい道で楽しく歩けたが、急勾配は滑りやすいので十分注意したい。
 また、古寺山昔の裏参道はしっかりと踏み跡が残り、トラロープで走行補助もしてあることから、少なからず訪ねるハイカーはいるようだ。
 さて、ここからは車に注意して六甲有料道路の脇を唐櫃南IC方向に下っていく。車道の歩行はおそらく禁止だろうからガードレールの外側を歩くことにする。
六甲有料道路唐櫃南ICの手前
六甲有料道路唐櫃南ICの手前
神鉄六甲駅  六甲有料道路唐櫃南ICの側道を下り、本線の下をくぐって唐櫃西交差点方向に進む。
 唐櫃西交差点からは、有野町唐櫃の集落の中を、神鉄六甲駅まで続く一本道の地道を下っていく。神鉄の駅では大池駅の方が近いかもしれないが、神鉄六甲駅までの一本道の方がわかり易い。
 裏参道を六甲有料道路脇に出たところから約30分歩いて、神鉄六甲駅に到着した(写真左 13:11)。
 古寺山の表と裏の参道は、静かに歩ける古道であったが、六甲有料道路唐櫃南ICの辺りの歩行は注意を十二分に払いたい。
神鉄六甲駅
●本日歩いた古寺山の表と裏の参道コースでは、最後の六甲有料道路唐櫃南ICの辺りの歩行には十分注意が必要です。
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