蜂の巣谷東尾根・巡視路尾根 (お勧め度★★☆) 表六甲【1-47】

阪急六甲駅(8:39)==護国神社(8:58)==日柳川堰堤(9:51)==蜂の巣谷東尾根==牛乳瓶(11:12)
==長峰尾根(11:17)==長峰山(11:23)==巡視路尾根分岐(11:33)==巡視路尾根==日柳川(12:17)
==日柳川堰堤(12:30)==阪急六甲駅(13:01) (約4.5時間 令和3年2月21日) 
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 長峰山天狗塚の東西の稜線に南側から登る尾根道の一つに蜂の巣谷東尾根がある。地形図ではその蜂の巣谷東尾根のもう一つ東にも破線が引かれている。一般に巡視路尾根と呼ばれているようで、これらの尾根を四本の送電線が横切っている。今日(令和3年2月21日)は、この二つの尾根道を辿ってみたい。
護国神社  地形図を眺めていると、長峰霊園の東側の日柳川沿いに蜂の巣谷東尾根に続く破線のルートが描かれている。蜂の巣谷東尾へは長峰霊園の北の端から取付くのが一般的だが、日柳川からも登っていけるようだ。山と高原地図にはそのルート表示はないので、既に廃道となっているのかもしれないが、今日は日柳川沿いから蜂の巣谷東尾根に続く破線のルートの探査から始めたい。阪急電車の六甲駅で下車(8:39)。ここから、まず護国神社を目指す。
護国神社
日柳川沿いに登る  篠原本町の住宅街の中を西に進み、六甲川を越えて駅から20分で護国神社に到着した(8:58)。りっぱな狛犬に邪気を払ってもらい、鳥居をくぐって拝殿に進む。ここで本日の山歩きの無事を祈願する。護国神社の北東の角から、日柳川の方に向かう。写真左の赤色自販機の所から日柳川沿いの細い車道を北に入る(9:04)。
日柳川沿いに登る
 車一台がやっと通れるくらいの細い道だが、宅急便の軽トラが慣れた感じで登って行った。細い車道沿いには民家が並んでいたが、次第に民家が途切れ始め、寂しい感じの道になった(写真右)。この辺りでスマホを取り出し、地形図で現在地を確認する。破線のルートの取付きは、もう少し登って行ったところのようだ。 細い車道を登る
細い車道を登る
工事の足場  少し登って、道脇で民家が二軒並んでいる場所に至った。細い車道をもう少し登ったところでは、赤いコーンが置かれて、工事の足場が組まれている(写真左)。地形図では、どうもこの二軒の民家の間が、破線のルートの取付きのようだ。心の中で「失礼します。」と住人の方にあいさつし、民家の間から山中に突入した。
工事の足場
 突入したものの、すぐに、登山路らしきものは残っていないことに気が付いた。谷筋になっているが歩かれた形跡は全くない。いきなり厳しい展開が予想された。しかし、少し進んだ所で、赤色の残置テープを発見した(写真右)。これにより、破線のルートに近づいているのではないかと思い直し、とりあえず尾根の方に登ってみることにした。 赤色の残置テープ発見
赤色の残置テープ発見
尾根の踏み跡  歩きやすそうな箇所を選んで、強引に左手側の尾根に登ってみた。そこには、踏み跡のようなものがあり、ルートに乗ったものと思い込んでその尾根を登って行った。しかし、その尾根は突然に斜面となって、長峰霊園に突き当たった。GPSを見ると方向が間違っていた。破線のルートはもっと北の方になっている。思い直して、赤色の残置テープの場所まで戻り、次に右手側の尾根の方に登って行った。
尾根の踏み跡
 道なき斜面に格闘し、棘のあるつる草に悩まされながら、数分程登ったところで踏み跡を発見するに至った。ほっとして、その踏み跡に従って少し進んだが、どうやら踏み跡は下り道になっている。方向を間違って出口に向かっていると思われたが、どこに出るのか確認しておこうと思いなおし、そのまま踏み跡を下って行った。 民家近くに出てきた
民家近くに出てきた
 踏み跡はやがて堰堤の所に出て(写真右上)、その堰堤の近くには民家の屋根が見えていた。地形図からするとこの堰堤は日柳川堰堤のようで、新しい堰堤と古い堰堤に挟まれた場所に出てきていた。近くには「石流危険渓流」の黄色いビックリマーク看板があるので、これが目印になる(写真右 9:51)。さて、出口が日柳川堰堤と確認できたので、再度、踏み跡に戻って蜂の巣谷東尾を目指すことにする。 土石流注意
土石流注意
雑木の中の斜面を進む  日柳川堰堤から踏み跡に戻る。踏み跡は、雑木の中の斜面にへばりつくように続いている(写真左)。シダの茂る場所や、枯葉の堆積した場所などを越えて進む。道標などは一切ないが、踏み跡はしっかりとしていて迷うことはない。
雑木の中の斜面を進む
 その先で、倒木が道を塞ぎ、進路が無くなった(10:03)。大雨で倒れた倒木かと思ったが、よく見ると工事用のワイヤーが上空に見えている。工事の索道のために周囲の樹木が切り倒され、それが山道を塞いでいるのだった。倒木の周りを見ると、先人の方々によって迂回の踏み跡が付けられていた。それに従って、倒木エリアを通過した。 索道が横切る
索道が横切る
歩行者通路  倒木を過ぎると、何やら烏の鳴き声が「かぁー、かぁー」と聞こえてきて、併せて人の声も聞こえてきた。その先で、斜面の中を進んでいた踏み跡から長峰霊園が近くに見える場所に飛び出した。聞こえていたのは、墓参の方々の声とお供えを狙う烏の声だった。ここで、長峰霊園から登ってきた本来の蜂の巣谷東尾根道と、日柳川堰堤からの踏み跡が合流した(10:06)。
歩行者通路
 合流地点から本来の蜂の巣谷東尾根道を登っていく(10:07)。すぐに、先程見えていた索道が横切る場所となり「歩行者注意」の黄色い看板が登場した(写真上)。今日は工事は休みのようで、安全な環境で索道の箇所を通り過ぎた。
 索道を越え、蜂の巣谷東尾根を登っていく。蜂の巣谷東尾根は、よく歩かれた道だが急登がきつい。つづらの急登で何度も休憩を挟みながら、なんとか第一番目の鉄塔に到着した(写真右 10:16)。
第一鉄塔
第一鉄塔
右に分岐が登場  第一鉄塔からは西に展望がある。まやビューラインの「虹の駅」辺りが少し高い位置に見えている。
 第一鉄塔を過ぎて少し登ると、蜂の巣谷東尾根道から右手側に山道が分岐して下っていた(写真左)。「火の用心」の表示は見当たらなかったので、巡視路ではないようだが・・・?。どこに続く山道なのか気になったが、ここはそのまま通過とする。
右に分岐が登場
 右手側への山道の分岐点を過ぎて、さらに蜂の巣谷東尾根道を登っていく。第一鉄塔から、10分弱登ったところで、蜂の巣谷東尾根道第二番目の鉄塔が登場した(写真右 10:26)。この山域は、高圧電線が北から順に「南灘線」、「六甲線」、「神戸港線」、「神戸東線」の四本が並行しているので、蜂の巣谷東尾根にも複数の鉄塔が立つ。なお、この第二鉄塔からの展望はない。 第二鉄塔
第二鉄塔
方位標  更に急登の蜂の巣谷東尾根を進む。あまりの急登に、頻繁に休憩を入れるとともに、足元ばかりを見ながらの尾根登りとなる。そんな状況の中で、足元に小さな標識を発見した(写真左 10:31)。見入ると、「2G−1方位標(建設省六甲砂防工事事務所)」と彫られている。方位標は、他の三角点などとの視通が得られない場合に方位基準を与えるものとして設置されるものらしい。
方位標
 方位標のすぐ先で、こんどは「2級基準点 2G−1(建設省六甲砂防工事事務所)」も発見した(10:32)。方位標、基準点と、今日は発見が続く。その2級基準点のすぐ先で蜂の巣谷東尾根第三番目の鉄塔に到達した(写真右 10:34)。
 蜂の巣谷東尾根第三番目の鉄塔周辺は木の枝が払われていて(写真下)、左右に展望がある(写真右下)。
第三鉄塔
第三鉄塔
開けた蜂の巣谷東尾根 第三鉄塔の展望
開けた蜂の巣谷東尾根 第三鉄塔の展望
 第三鉄塔からはすぐ先に第四番目の鉄塔も見えている。その第四番目の鉄塔を目指して蜂の巣谷東尾根を登っていく。第三鉄塔から少し下って、第四鉄塔への登りとなる。この登りが半端ない。斜面のような急登で、木々をつかんで体を引き上げるような感じだ。この急登が、蜂の巣谷東尾根最大の難所のように思えたが、なんとか第四番目の鉄塔に到着した(写真右 10:46)。 第四鉄塔
第四鉄塔
 第四番目の鉄塔から西側の摩耶山を望むと、ちょうど摩耶山の標高がここと同じ位に思えた。第四鉄塔からは、アップダウンを繰り返しながら尾根道を進んでいく。そして、第四鉄塔から10分ほど進んだ所で蜂の巣谷東尾根最後の急登道が始まった。先程、第四鉄塔への登りが蜂の巣谷東尾根最大の難所と表現したが、何の何の、こちらの登りの方が更にキツかった。松葉の枯葉が積もった急登をフラフラになりながら登り続けて、特徴のある大石まで登りついた(写真右 11:09)。 親子石
親子石
親子石  ここは大小の石が並んでいるので、これを「親子石」と勝手に名付けることにした。「親子石」の先で尾根道の周囲に笹が見えてきた。次に、蜂の巣谷東尾根で著名な装置「牛乳瓶」が登場した(11:12)。「牛乳瓶」には RAIN GUGE の表示があるので雨量計のようだが、なぜ、こんなところに設置されているのだろう??。
牛乳瓶
 この「牛乳瓶」からもう一登りで、前方に空の青が見えてきて長峰山の尾根に登りついた(写真右 11:17)。そこは、道標「←長峰山(天狗塚)・阪急六甲駅→」が立っている場所だ(写真下)。
 蜂の巣谷東尾根は四本の鉄塔を辿りながら急登が連続するタフな尾根道で、特に展望に優れるという個所はないので、ひたすらの急登を楽しむ尾根という印象になる。それだけに、急登を登り切った達成感が充分に味わえる。
親子石
長峰尾根が見えてきた
長峰尾根に合流 長峰山
長峰尾根に合流 長峰山
 さて、この先、長峰山(天狗塚)まで足を延ばしてみたい。
 蜂の巣谷東尾根を登りきったところから5分弱で、長峰山(天狗塚)に到着した(11:23)。天狗塚の大きな岩塊に今日は先客はなく、大展望を独り占めだった。
天狗塚
天狗塚
天狗塚三角点  長峰山(天狗塚)でしばらくの間、西側の摩耶山や東側の街並みの展望を眺めていたが、一人の男性ハイカーが天狗塚に登ってこられたのを機に、当方は下山を始めることにした。下山路は蜂の巣谷東尾根のもう一つ東側の尾根としたい。この尾根は、蜂の巣谷東尾根と同様に、鉄塔が何本も並んでいるので、以後、「巡視路尾根」ルートと呼称する。
天狗塚三角点
 長峰山(天狗塚)から尾根道を東に下って行く。先ほど登ってきた蜂の巣谷東尾根の分岐を11時29分に通過。その先4分で古いコンクリの標柱と「関電巡視路」と書かれた道標の立つ場所に至った(写真右 11:33)。なお、道標には通報プレート「な48−5」の添付もある。ここの道標の立つ場所から明確な山道が南に下っている。道標に記載のあるとおり、ここが「巡視路尾根」ルートの分岐点となる。 「巡視路尾根」ルート分岐
「巡視路尾根」ルート分岐
 「関電巡視路」の道標から「巡視路尾根」ルートを下り始めた。ここは、通常の山道であるかのようなハッキリとした道が尾根についている(写真下)。深く落葉の堆積があり、それがしっかりと踏まれてルートになっている。 「関電巡視路」の道標
「関電巡視路」の道標
巡視路尾根を下り始める  「巡視路尾根」ルートを少し下って、この尾根道には「建」と彫られたコンクリ柱が続いていることに気が付いた(写真左下)。この柱には「N240」と番号が付され、尾根を下るにつれてこの番号が大きくなっていった。なお、「建」のコンクリ柱の裏面には「境界」の文字があり、これが境界柱であることがわかる。
巡視路尾根を下り始める
建 コンクリ柱 赤テープで右折
建 コンクリ柱 赤テープで右折
 その「建」コンクリ柱を確認しながら尾根を下っていると、突如、尾根道が断崖で行き止まりになった(11:45)。あれっ!と思い、周囲を見渡すと右手側に二本の赤テープの表示があり(写真右上)、尾根道はここで右折となっていた。大きな岩の断崖を回避すべく、ここで右に回って巻道になっていた。 岩の目立つ尾根になる
岩の目立つ尾根になる
巡視路尾根第一鉄塔  その先、尾根に大小の岩が目立つようになる(写真上 11:49)。岩を伝うように楽しく下っていると、前方に鉄塔が見えてきた。これが関電巡視路尾根を下り始めて第一番目の鉄塔となる(写真右 11:54)。この第一鉄塔からは、東側の下の方に麓の建物が見え始めていた。
巡視路尾根第一鉄塔
 巡視路尾根第一鉄塔から下って行くと、すぐ先に、第二番目の鉄塔が見えてきた(写真右 11:58)。この第二鉄塔からは少し展望がある。なお、この第二鉄塔の周囲は笹が密集し、道が分かり難くなっている。薮の様相だが、笹の中の踏み跡をたどると、すぐに藪を抜けることが出来る。 巡視路尾根第二鉄塔
巡視路尾根第二鉄塔
巡視路尾根ルート  巡視路尾根第二鉄塔の笹の薮道を抜け、更に巡視路尾根ルートを下って行く(写真左)。「建」と彫られたコンクリ柱が、ずっと続いている。その先、第二鉄塔から10分弱、尾根道を下ったところで巡視路尾根第三鉄塔が見えてきた(写真下 12:07)。
巡視路尾根ルート
 巡視路尾根第三鉄塔には、「神戸東線二六」の銘板がつけてある。蜂の巣谷東尾根でも確認したが、このあたりは「南灘線」、「六甲線」、「神戸港線」、「神戸東線」の四本の高圧送電線が通っている。第三鉄塔が「神戸東線」なので、先程通過した第二鉄塔が「神戸港線」の鉄塔となる。 巡視路尾根第三鉄塔
巡視路尾根第三鉄塔
 巡視路尾根第三鉄塔から、更に下ること数分で巡視路尾根第四番目の鉄塔が見えてきた(写真右 12:11)。この第四鉄塔の周囲は樹木が切り払われて展望がある。ここで、少し休憩を入れて景色を楽しむ。 巡視路尾根第四鉄塔
巡視路尾根第四鉄塔
第四鉄塔の急傾斜  第四鉄塔で休憩の後、尾根道を下り始めた。ここまで、巡視路尾根は急な下りの連続だったが、ここで一層傾斜が急になった。第四鉄塔の下の道も急な斜面で、足元に注意して下る。第四鉄塔を過ぎると、更に急な下りが待っていた。ここには、ロープが張られている(写真左下 12:14)。足場を確認しながら、ロープを握って下って行く。その先にもロープが続き(12:16)、緊張の下りが継続する(写真下)。
第四鉄塔の急傾斜
ロープ場登場 ロープの急下りが続く
ロープ場登場 ロープの急下りが続く
 ロープ場も終盤になると、下方から水の流れる音が聞こえてきた。そして、すぐに小さな流れに下りついた。ここは日柳川の上流域と思われる。そこで山道が分岐していた。日柳川の上流に向かって左岸によく歩かれた道が続いている(写真右)。少し遡行してみたが、ずっと道は続くので探査は次の機会としたい。 日柳川上流域
日柳川上流域
日柳川を渡る  先程の合流地点に戻り、日柳川を下って行く(12:22)。すぐに流れを渡り、右岸の下りとなる。やがて山道は、日柳川から右にそれていく。途中、コンクリの舗装路の箇所もあったが、次に青色のフェンス沿いの山道に入る(写真下 12:28)。もう、この辺りは民家も近いようだが、まだ雑木の中に山道が続く。
日柳川を渡る
 フェンスを過ぎると山道は日柳川堰堤の脇に出てきた(12:30 写真下)。そこは、広場のようになった場所で、一角に黄色いタンクのような設置物があった。堰堤の方に近づいていくと、それは比較的新しそうな堰堤で「日柳川堰堤」の銘板が埋め込まれていた。ここは、新旧の日柳川堰堤が並んで作られている。急傾斜地で、石流危険渓流となっているのだろう。 フェンス沿いに下る
フェンス沿いに下る
日柳川堰堤に出てきた 午前中に出てきたとこ
日柳川堰堤に出てきた 午前中に出てきたとこ
 日柳川堰堤からは舗装路の下りとなるが、傾斜がきつくロープが張られている。やがて、午前中、まちがって下ってきたポイントが見えてきた(写真右上)。ここは、取付きがロープで遮られているが、踏み跡を辿れば蜂の巣谷東尾根に合流できることが確認できた。その先、急な道を更に下って行くと、民家が見えてくる(写真右)。ここがシル谷地区のこの道沿いで最も奥まったところになる。 民家が見えてきた
民家が見えてきた
帰り道  その先、更に下って行くと、見覚えのある工事の足場が見えてきた(12:37)。午前中、地形図の破線を頼りに、この工事足場の近くから山に入ったが、破線の取付きは現存しないことが確認できた。ここは、地形図の破線ルートを過信してはいけないことを認識させてくれた場所となった。更に、日柳川沿いに舗装路を下り、朝、スタートした阪急六甲駅に戻って本日の山歩きを終了した(13:01)。
帰り道
● 蜂の巣谷東尾根は長峰霊園から取付けば迷うことなく歩けるルートです。下りで利用した関電巡視路もしっかりとした山道で迷うことは無いようでした。ただ、登りで利用する場合、どこから取付くのかが要注意です。
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