ハチノス谷東尾根 (お勧め度★★☆) 表六甲【1-17】 |
ハチノス谷は、日柳川の堰堤工事で谷とその尾根筋の上空を工事用の索道がクロスし、通行が危険であるため、長らく入山が禁止されていた。 長峰山の尾根筋には、平成18年2月22日から平成20年3月10日まで、ハチノス谷の通行を禁止することを示した六甲砂防事務所の看板も掲げられていた。 その工事期間も終わり、ハチノス谷への入山が可能となったことをWebページで知り、早速出かけてみた。 今回(平成20年6月1日)は、ハチノス谷東尾根を登ってみることにする。 |
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長峰霊園から摩耶山方面を望む |
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阪急六甲駅を8:50にスタート。バス道を西に進み護国神社の角を北に進む。勾配のきつさから灘百選にも選ばれている長峰坂を登りつめて、長峰堰堤に到着したころには既に額から汗が噴く出していた(9:20)。 ここから長峰霊園の敷地内に入り、車道沿いに登っていく。霊園からの景色は、中々素晴らしく、南には市街地と海が、北西方面には山寺尾根と摩耶山の雄姿を望むことができるのである(写真上)。ハチノス谷の入口は、この霊園を登りつめた、一番奥の駐車場の角にある(写真左)。 |
ハチノス谷東尾根入口 |
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コンクリートの階段を4段ほど登り、山道に入った(9:33)。山道の踏み後はしっかりとついている。通行の妨げとなりそうな道脇の木々や飛び出した枝は伐採されて、歩きやすい道である。 少し進んで、道が左右に分岐した。ハチノス東尾根はここを左に進む。(右に進むと、日柳川の堰堤に続くようだ。) 次に、尾根が通行止めとされていた原因の日柳川堰堤工事のための索道跡が登場した。ここからは、東西に木々が切り払われて、剥き出しとなった山肌が帯状に続いている(写真右)。 |
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日柳川堰堤工事のための索道跡(西側) |
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日柳川堰堤工事のための索道跡(東側) |
ハチノス谷東尾根道 |
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索道跡から西側を望めば山寺尾根が眼前に確認できる。反対の東側を望めば、伯母野山の向こうに鶴甲の住宅地が見えている(写真左上)。 索道跡を過ぎるとすぐに関電の高圧鉄塔が現れた(9:47)。なるほど、この尾根道は、関電の鉄塔監視路なのでよく整備されているようだ。このあたりの道も良く踏まれて歩きやすい。道脇には頭を赤く塗られた境界杭??も続いている(写真上)。 この辺から後ろを振り返ると、木々の間から町並みが見え始めていた(写真左)。 |
ハチノス谷東尾根からの景色 |
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更に進むと2本目の鉄塔が現れた(9:56)。この鉄塔を過ぎてすぐ足元で金属標のようなものを発見した。良く見ると「建設省六甲砂防工事事務所・方位標」と記されている。方位標とは「山中等にあって、他の三角点等との視通がない場合に、方位の基準を与えるために設置する標石」とされる。始めて見た。 さらに2〜3m進んだ所で、似たような金属標を又々発見した。こんどは「2級基準点」と表示されていた。これは、震災復興のため設置された金属標である。方位標も基準点も形状は全く同じである。 |
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鉄塔の間から摩耶観を望む |
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更に少し進んで3本目の鉄塔に到達した(10:06)。この鉄塔からは、ちょうど真西の同じ標高辺りに、摩耶ケーブルの虹の駅と廃墟となった摩耶観光ホテルの建物が見えていた(写真上)。 ところで話は変るが、6月ともなると新緑の枝葉にまとわりつく”ケムシ”達も大きく成長している。景色に見とれていて、ふと気が付くと、顔のすぐ前の葉っぱに、大きな毛むくじゃらのヤツが反り返ってこちらを威嚇していた(写真左)。思わず、後ずさりしてしまった・・・。トホホ! |
毛虫も大きく成長していた |
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3本目の鉄塔を過ぎ、少し下った後、今度は急斜面の直登道が現れた。この辺りからは急傾斜と平坦路が交互に現れ、次第に高度が上がっていった。 急斜面の箇所では、昔は丸太材で階段が造られていた形跡があるが、今は荒れ果てている。このずり落ちてしまいそうな急斜面には少々てこずってしまった。階段が再度、整備されることが望まれる。 この急斜面を登り切ると4本目の鉄塔が登場した(10:21)。 |
藪道となってきたハチノス谷東尾根 |
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4本目の鉄塔を過ぎると、すぐ、右手側に道が分岐して下っていった。そちらの下り道はよく整備されているようだが、これから更に上方に進む眼前の尾根道は急に藪っぽくなってきた(写真上)。新緑の繁った木々の枝が道に張り出し、歩き難い事この上ない。 関電の監視路は、先程右手側に下っていったルートと思われ、ここから先の尾根道は何ら管理がなされていないような感じである。しかし踏み跡は明瞭についており、ルートを踏み外す恐れはない。 |
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標柱が続くハチノス谷東尾根 |
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4本目の鉄塔以降の道は、今までの急斜面の直登道から、尾根筋の道に変った。そして、その尾根道には、ドーントリッジで見たような標石が続いていた(写真上)。境界を示す古い標柱のようだか、コンクリート製なのでで、ドーントリッジの標石のような歴史は感じられない。 なお、この尾根道も急勾配であることに変りはなく、斜度は45度位有るように感じられた。(やや、おおげさかもしれない???) |
笹が繁茂するハチノス谷東尾根 |
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次に急勾配の尾根道は笹の繁る道となり、更に歩きにくさが増してきた。笹の背丈は高く、あたかも笹のトンネルの中をくぐって進むという感じなのだ(写真上)。 その笹道を抜け出たところは道が左右に分岐しているような場所だった(10:50)。ただし西方向に続く道は、倒木が置かれ迷い込まないよう塞がれている。 更に少し進むと、道の左手側に大きなリポビタンDのような形状のものが登場した(10:59)。何かの観測機器なのだろうか???(写真右)。 |
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巨大な牛乳びん?? |
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リポビタンDの場所を過ぎて更に5分ほど進み、やっと長峰山の尾根筋に合流した(写真左 11:05)。ここには、まだ、日柳川の堰堤工事で入山禁止と書かれた看板が残されていた。 ハチノス東尾根の登り始めからこの合流地点まで、おおよそ90分程度の時間を要したことになる。 ハチノス谷東尾根は、急登が連続する中々タフな尾根筋であったが、それだけに、登りつめたときの感激も大きかった。 |
長峰山の尾根筋に合流 |
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ハチノス谷東尾根を登り詰め、長峰山の尾根筋に合流した地点の様子は写真右のような感じである。 その地点から少し長峰山頂上方面に進むと、また、入山禁止を示す看板が現れた。 そこはハチノス谷西尾根への下り口と思われるが、入口はロープが張られ、入りにくい感じとなっている。 堰堤工事は終わったはずなので、尾根筋は歩くことができると思われるので、また、近いうちに歩いてみたいと思う。 |
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尾根筋への合流地点 |
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ハチノス谷西尾根への下り口を過ぎるとすぐ長峰山の頂上となった。天狗塚と呼ばれるこの狭い山頂の岩場では2組4名のハイカーで賑わっていた。ハチノス谷の尾根筋で1人のハイカーにも会わなかったことと、全く対照的である。 長峰山の頂上でしばし休憩の後、杣谷峠を目指して出発した(11:20)。杣谷峠までは、まだまだアップダウンの尾根道が続く。 やがて、杣谷峠にあるトイレの大きな屋根が見えてきた。ここは、従前、トイレの強烈な臭いで有名であったが、今は改善され、近くのベンチで弁当を開く者もいるくらいである(写真左 11:48)。 |
杣谷峠 |
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杣谷峠からは縦走路を東に進み、市立自然の家を過ぎた所から、階段道の登りに取り付いた。その階段道の途中で、道が左右に分岐した。ここには右へ分岐するとサウスロードである旨を示す標柱も立てられている(写真右)。縦走路はこの分岐を左に進むのであるが、今日はここを右に進みサウスロードに入ってみた(12:05)。 サウスロードは良く整備された道である。六甲山上のプロムナードとでも呼びたくなるような快適な道なのだ(写真下)。 |
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サウスロードへの分岐点 |
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サウスロード |
サウスロードから車道に合流 |
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サウスロードは途中、勢い良く流れ落ちる沢の上に架かる板橋を渡る。そこでは、滝となって流れ落ちるせせらぎの水音が、ハイカーの耳に心地よく響いてくる。 そんな快適なサウスロードであるが、この道でもハイカーに合うことはなかった。山歩きの皆さんは、縦走路を進まれる方が多いのであろう。 やがてサウスロードは「吉本別荘、HOME」と表示のある場所で車道に合流し(写真上)、次にすぐ、丁字が辻に到着した(写真左)。 |
丁字が辻 |
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丁字が辻では、ミニパトのお巡りさんが、バイクを我が物顔で走らせるライダー達に停止命令を発し、注意の言葉をかけていた。そこで昼食休憩しながら、今日の下山路はアイスロードとすることに決定した。 アイスロードは、古くは前が辻道とも言われ、唐櫃村の野菜がシュラインロードを登りアイスロードを灘へ下るという商いの道であったといわれる。 その後、山上の池で作られた氷を運び降ろす道となり、アイスロードといわれるようになった。そのアイスロードの起点である前が辻(写真右)から、坂を下り始めた(13:17)。 |
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前が辻 |
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アイスロードは新緑の草木が繁茂し、やや歩きにくい感じとなっていた。大小の石ころが転がっている道でもあり、注意して下っていく。 途中、数箇所で沢をクロスする。このルートは谷沿いの道でもあり、道中で水の流れに接する箇所が多い。 やがて左手側に大きな堰堤が見えてきた。前が辻第二砂防ダムである(13:40 写真左)。勢い良く伸びる緑に堰堤も飲み込まれそうになっている。 |
前が辻第二砂防ダム |
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前が辻第二砂防ダムを過ぎ、真水谷第四砂防ダムまで下ってきた。先程、アイスロードは水に接する箇所が多いと記したが、この真水谷砂防ダムの堰堤付近もいつもじめじめとしており泥水が溜まっていることが多い。 今日も予想通り、泥水が待ち構えていた。泥の水溜りの中に飛び石状にある石ころの上を慎重に歩いていくはずが ・・アアア!!・・ア〜ア。濡れて、それも浮き石状になっていた石から足を滑らせ、ズボンのすそが悲惨な状態になってしまった。 |
一ケ谷道への入口 |
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マイッタなー!!と、落ち込んだ気持ちで坂を下っていると、前方に「ケーブル上駅」と手書きされた標識を見つけた(写真上)。 ここが、webページにあった一ケ谷道への入口に違いない、とすぐ思い当たった。 一ケ谷道は歩きたい道であるが、どこから入るのかよく分からなかった道なのである。大発見である。世の中、悪いことばかりじゃーないネー!!と感じた瞬間であった。また、時期を見て、一ケ谷道も歩いてみたい。 |
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表六甲ドライブウェイの下をくぐる |
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さらに下ると、前方にトンネルが見えてきた。その場所で、表六甲ドライブウェイの新道の下に、ハイキングルートが潜りこんでいるのである(写真上)。 トンネル内は傾斜が結構急である。おまけに照明がないので暗いことこの上ない(写真左)。ここは、十分注意して通過する必要がある。 |
トンネルの出口 |
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見事な滝 1 |
見事な滝 2 |
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トンネルを抜け、ロープウェイ登山口駅跡を左手に見て、次に小さな橋を渡った所でかすかな踏み跡が右に分岐しているのを発見した。ちょうど神戸市の119番通報プレート「な14−2」が立っているところである。草木を分けて踏み跡に入ると、そこにはベンチが据えられて、その先に砂防ダムから流れ落ちる見事な滝があるのを発見した(写真上)。ベンチがあることから以前は休憩所として整備されていたのであろうが今は荒れ果てている。滝は見事なので再整備が望まれる。 いい所を発見して自己満足の中、見送りの羊(写真左)に挨拶をし、今日の山歩きを終えたのであった。 |
羊のお見送り |
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