羽束山・甚五郎山・宰相ケ岳 (お勧め度★★☆) 関西の山【7-7】

北摂の山で、その特徴ある形から何かしら興味を引かれる羽束山にアッタクしてみた。
併せて、隣り合わせの甚五郎山・宰相ケ岳にも足を延ばしてみた。

Route MAP
linelineline
説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 今年のGWは晴天続きである。そこで、今回(平成22年5月2日)は六甲、丹生山系から少し足を延ばして、北摂の羽束山を目指してみた。
 北摂の山は尖った形の山が多いが、その中でも羽束山の山容は一際目を引く。その羽束山と隣接する宰相ケ岳(さん志ょう山)、甚五郎山(これらを合わせて羽束三山というらしい。)にも同時にアッタクしてみたい。
 ガイドブック(神鉄ハイキング:神鉄観光発行)に、三田駅から羽束山をピストンするコースが紹介されているので、それに従うことにする。
三田駅からスタート
三田駅からスタート
遠くに羽束山が見える  三田駅を10時にスタートする。
 駅前から東に出て、神鉄とJRの線路を越える。さらに東に進むと「欣勝寺」の表示が現れた(10:15)。「くわばら、くわばら」雷難除けのお寺と書いてある。その昔、この寺の井戸に雷の子が落ち、それを助けたことから、この桑原地区には雷が落ちないことになったという。「そうなのか」と感心しながら、更に東に進む。
 その道が左に大きく曲がり、北に進むことになった(10:25)。すると「光明寺」の青い看板が現れ、同時にはるか遠方に、特徴的な形の山が見えてきた(写真左)。羽束山が顔を見せ始めたのだ。
遠くに羽束山が見える
 道に間違いはないと確信の上、どんどん進む。
 辺りは田園地帯である。日本の元風景を思わせるその景色は、歩いていても心地よい。
 しかし、その道は次第に細くなり、山域に入る辺りで、「果たしてこの道で香下の方に越えられるのか」不安になってきた。ちょうど民家の方が農作業をされていたので、道をお尋ねした。すると「細いが舗装路が続いているので、道なりに進めばいい。」とおしえてくれた。「坂道がきついよ。」との助言も頂いた。御礼を言って、安心して更に歩を進める。
田園地帯(山田辺り)を進む
田園地帯(山田辺り)を進む
山田ダム堰堤  山域に入るとすぐに堰堤が登場した。山田ダムの堰堤である(写真左)。
 地形図で見ると、このダムは山田川をせき止めて、有馬富士カントリーのあたりまで細長く続いている。山道は、この堰堤の場所からやや右に向かい、坂道を登っていくことになる。
 更に地形図を見ると、このあたりには「桑原」三等三角点の存在が示されている。坂道を登りつつ、その所在を確認したが、似たような地形が続き、三角点の発見には至らなかった。
山田ダム堰堤
 山田ダムの堰堤から13分ほど坂を登り続け、道が平坦になるとともに、前方にパッと視界が広がった。
 そこは周囲を山に囲まれた盆地状の場所で、田んぼと溜池が広がっている(写真右 10:55)。
 ぽつんと民家が2軒だけ存在するのが印象的な山里だった。
 その場所からは、はるか前方に、羽束山の先端が見えていた。道は間違っていないようだ。
山中に二軒屋が
山中に二軒屋が
羽束山がせまってきた  二軒屋を過ぎると、道はまた山の中に入っていった。細い道だが舗装路が続く。
 15分ほど進むと目の前が開けた。前方間近に、羽束山・甚五郎山・宰相ケ岳が見えている。やっと羽束三山の麓にたどり着いた(写真左 11:10)。
 更に進んで、県道68号線までやってきた。
 この道は車が列をなし、ものすごい渋滞である。GWの行楽であろうか。車に切れ目がなく、なかなか車道を渡ることができなかった。
羽束山がせまってきた
 車の切れ目をぬって、なんとか車道を渡った。ちょうど渡ったところには「羽束山登山口」の案内表示が立っていた(11:22 写真右)。
 ところで、この案内によると「羽束山」の読み方は「はつか」とされている。今日持ってきたガイドブック(神鉄ハイキング)も「はつか」としている。しかし、山と渓谷社の「兵庫県の山」では「はづか」と濁った表記になっている。いずれの読み方が正解なのか??。発音的には「はつか」の方が、歯切れがいいが・・。
羽束山への道標
羽束山への道標
香下寺  県道を渡り、さらに道は香下寺(こうげじ)に向かって北に伸びている。先ほどの道標によると、800m先が香下寺(羽束山登山口)である。
 段々になった田んぼの脇を緩やかに登る舗装路を進んでいくと、突き当りが香下寺であった(写真左 11:28)。
 寺の南側にある広い駐車場には車が4台止まっていた。香下寺の境内に人影は見えないので、羽束山をめざすハイカーが止めたものであろう。
 なお、香下寺は摂津国三十三観音霊場の第十一番霊場でもあるので、霊場周り兼羽束山登山の方もいるかもしれない。
香下寺
 香下寺横の羽束山登山口には大きな案内表示がある(写真右)。
 一目でそこが登山口とわかるので初めての者にはありがたい。
 またそこには登山者のための竹製の杖も多数備え付けてある。この杖の数の多さは、羽束山の急な登りを暗示しているのだろう。
 その杖を1本お借りして、当方の羽束山アタックが始まった(11:31)。
羽束山登山口
羽束山登山口
 登山口に入るとすぐ左手側に八王子神社がある。そこは羽束山の「初日の出登山」の受付場所であるらしい。ここから丁石のある石段の参道が始まる。
 つづらに続く石段の登りは結構急である。
 香下寺の駐車場まで車で来て、いきなり羽束山登山道に入る場合は、この参道は心臓破りとなるかもしれない。登山口まで車で来た方には、十分なウォーミングアップをお薦めする。
 石段を登り始めてすぐ、犬を連れた2人連れの方を追い越し、下ってきた1人とすれ違った。羽束山は多くのハイカーを集めている。
六丁峠
六丁峠
甚五郎山頂上  登り始めて15分で六丁峠に到着した(11:46)。
 ここにはお地蔵さんと南無阿弥陀仏と書かれた石塔がある(写真上)。
 また、六丁峠は羽束山と甚五郎山への分岐点でもある。
 今日はまず甚五郎山を目指すので六丁峠を右に進む。(六丁峠と書かれた表示板に甚五郎山の方向を示す落書きがあるので参考となる。)
 六丁峠から林の中に続く踏み跡をたどると、5分で甚五郎山頂上に到着した(11:52 写真左)。
甚五郎山頂上
 甚五郎山の山頂は岩が2つあるだけで、これといった特徴はない(写真上)。木立の中で眺望も利かない。
 ところで、ネットでこの山の名前について調べてみると、「その昔、甚五郎という人が住んでいて、ここで雨乞いをしたので甚五郎山とよばれるようになった。」との説明がある。
 展望が利かない現状では雨乞いの効果は無さそうだが、その昔は雨乞いに適した山だったのだろう。時の移り変わりを感じる。
甚五郎山の山名表示
甚五郎山の山名表示
羽束山への上り道  さて、甚五郎山からまた六丁峠に戻り、次は羽束山の山頂を目指す。
 甚五郎山を11:55にスタート。六丁峠に5分で戻り着く。
 六丁峠から緩やかな登りとなる(写真左)。
 途中、道が崩落して、板で丁寧に路面を補修した箇所もあった。羽束神社の参道でもあるこの道は、地元の方によって、よく手入れがされているのである。
羽束山への上り道
 ところでガイドブックによると、六丁峠を過ぎた辺りで千刈貯水池方面が望めるスポットがあると説明されていた。しかし、そのポイントは見過ごしてしまった。
 さて、六丁峠から始まったゆるやかな道はすぐ終了となり、次には、石段の急な登り道が待ち構えていた。
 その急な石段を登っていると、「山頂まであと 450m」の表示が登場した(写真右)。この案内は三田市観光協会によって整備されたものだ。
 同種の表示が「あと 200m」、「あと 100m」と続いた後、羽束山頂上に到着した(12:15)。
羽束山頂上まで450m
羽束山頂上まで450m
羽束神社  羽束山頂上には神社がある。羽束神社である(写真左)。
 その神社の前では2人のハイカーが休憩されていた。

 ところで、羽束山は山頂に羽束神社を擁することからも分かるが、地元の方にとって信仰の山である。
 良く整備された登山道(参道)や、その傍らに立つ古い“丁石”とか“お堂”は、地元の方が大切に守ってきたものである。これらを傷めないよう、一般のハイカーは注意して歩きたい。
羽束神社
 神社の境内からは眺望は利かないが、やや南に進むと、露岩の展望台がある。
 ここには景色の説明絵図が立っており、その前で家族連れが記念撮影をしていた。
 この展望台からの景色は絶品で、左側から右側へ向かい、六甲の連らなり、丹生山系の山々、三田の丘陵が綺麗に望める(写真下・右下)。
 有馬富士も、右手側の下方に見えている。
羽束山頂上の様子
羽束山頂上の様子
羽束山の展望台からの景色 有馬富士方面を望む
羽束山の展望台からの景色 有馬富士方面を望む
木器方面を示す案内  展望台で景色を眺めていると、次から次へとハイカーがやってくる。そろそろお次の方に絶景をお譲りすることにして、当方は次の目的地「宰相ケ岳」を目指すことにした。
 羽束山山頂を12時40分にスタートする。
 神社の裏手に回ると、そこには観音堂が建っていた。その観音堂の前の広場の西から道が下っている。
 その下り口には小さなプレートがあり「木器バス停」と書かれている(写真左)。そのプレートの柱にはマジックで宰相ケ岳の方向も示されていた。その表示に従い羽束山を下り始める。
木器方面を示す案内
 羽束山の下り始めは暗い杉の植林の中だが、すぐに明るい雑木の道になる。
 こちらの道は先程登った参道の石段道と異なり、自然な山道だ。道に落葉が積もり、やや滑りやすいので要注意である。岩場でロープが張られたところもあり、スリルが有って楽しく下れる。
 10分程下って峠状の場所に降り着いた(12:50)。ここでは明瞭な道が十字にクロスしている。右は木器バス停方面に下る道、左は香下寺に下る道である。宰相ケ岳へは直進する。宰相ケ岳方面を示す案内表示もある(写真右)。
峠にある宰相ケ岳を示す案内
峠にある宰相ケ岳を示す案内
 峠から急な道を4分ほど登ると、尾根筋に登りついた。そこから道は平坦となるが、またすぐ急な登りが待っている。
 その登りと格闘して、なんとか宰相ケ岳山頂に登り着いた(写真右 13:04)。峠からは15分ほどを要していた。
 宰相ケ岳山頂への道は、藪道ではないかと思っていたが、そうではなくて、しっかりとした踏み跡がついていた。テープ表示もあるので迷うことはない。
 なお、宰相ケ岳山頂には、三等三角点が設置されている。点名は香下村(かしたむら)で標高は500.46mだ(写真右下)。
宰相ケ岳山頂
宰相ケ岳山頂
宰相ケ岳の山名表示 三等三角点 香下村(かしたむら)
宰相ケ岳の山名表示 三等三角点:香下村(かしたむら)
 宰相ケ岳の頂上(三角点がある場所)からは展望はないが、少し南へ移動すると、絶景が広がる。
 先ほどの羽束山と同様に、南方から西方にかけて三田の街並などが望める(写真下)。
 また、東側には腰を掛けるのにちょうど良い石があり、そこからは羽束山と甚五郎山が眼前に確認できる(写真右)。羽束山はまるでお椀を伏せたような形をしている。
宰相ケ岳から羽束山を望む
宰相ケ岳から羽束山を望む
宰相ケ岳からの景色 宰相ケ岳から西方を望む
宰相ケ岳からの景色 宰相ケ岳から西方を望む
羽束山の後方は木器集落  羽束山の展望台と異なり、こちらは当方以外にハイカーは誰もいない。そこで、この景色を独占しながら昼食をいただく事にした。
 ここから羽束山を見ていると、山全体は広葉樹の自然林に覆われているようだが、山頂の北西側の一部分だけが杉の植林域となっている(写真左)。一箇所だけ山の色が異なり、変な感じだ。
 弁当を食べ終わった頃、一人のハイカーが登って来られた。そこで、ここでの絶景はその方にお譲りすることにして、当方は宰相ケ岳を下山することにした(13:16)。
羽束山の後方は木器集落
 宰相ケ岳の下山ルートは、峠まで先ほどの道を戻り、そこから谷筋を香下寺まで下るコースが一般的なようだ。しかし、宰相ケ岳の山頂から南に向かい尾根筋を下る明瞭な踏み跡も存在する。そこで、今日はその尾根筋を下るルートを選択してみた。
 宰相ケ岳の三角形の尖った山容から理解できるが、この山の下りはすこぶる急である。
 ロープが張られ、それにすがらないと滑落してしまいそうな急勾配の場所が5箇所ほどあった(写真右)。この道は、くれぐれも慎重に下る必要がある。
宰相ケ岳の急な下り
宰相ケ岳の急な下り
甚五郎山を望む  宰相ケ岳の急勾配の道を10分少々下って池のほとりまで降りてきた。そこから道は緩やかな下りとなり、谷筋の道となった。
 さらに進み、宰相ケ岳の山頂から20分少々で麓まで下ってきた。そこはちょうど香下寺の西側の道で、池のほとりであった。
 その場所から、東側を向くと真正面に羽束山と、甚五郎山(写真左)が確認できた。
 香下寺まで戻り、お借りしていた竹製の杖をお返しして、また、三田まで歩いて帰ることにした(13:50)。香下からのバス便は少ないのでやむを得ない。
甚五郎山を望む
 帰りは香下のバス停から有馬富士カントリークラブへ向かう道に入り、ゴルフ場の西側を通過して、志手原浄化センターで左折し、三田ゴルフ倶楽部の東側を進む道を歩くことにする。香下から三輪神社に至る道である。
 有馬富士カントリークラブまでは順調に進んだが、そのゴルフ場を越えて、三田ゴルフ倶楽部の手前辺りで道に迷ってしまった。西に進むべきところを南に直進してしまったようだ。
羽束山と甚五郎山
羽束山と甚五郎山
三輪神社  また、農作業中の方に道を教えていただきながら、なんとか三輪神社まで戻ってきたときには時計が15時15分になっていた。
 香下寺から三輪神社まで1時間半弱も要したことになる。
 今日はのどかな田園の風景と、北摂の名峰を楽しむことができた。
 道には迷ったものの、いい感じの一日であった。
 くわばら、くわばら。
三輪神社
このページTOPへ

HOME 1表六甲 2北六甲 3西六甲 4東六甲 5鵯越周辺 6丹生山系 7関西の山
 
linelineline