仏谷南尾根・仏谷 (お勧め度★☆☆) 北六甲【2-32】 |
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山間を走る神戸電鉄に揺られて神鉄唐櫃台駅までやってきた。駅のホームからは日帰り温泉「からとの湯」が見えている(写真左)。ここは、温泉好きには便利な駅となっている。 神鉄唐櫃台駅を出て住宅地を東に進み始める(9:46)。 緩やかな舗装路を登っていくとロータリーに突き当たる。さらに進んで、唐櫃小学校の敷地に沿って進路を南に変える。すぐ、ヌノド(布土)の森が右手側に見えてくる(9:55)。 布土の森は薄暗い森だが、ここには神功皇后の黄金造りの鶏の伝説と共に、唐櫃の地名の起こりについて説明する看板が立つ。 |
神鉄唐櫃台駅 |
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布土の森から市営唐櫃住宅を右手に見ながら、唐櫃台南公園の方に進む。 こんどは左手側から唐櫃台南公園が迎えてくれる(写真左 9:58)。
唐櫃台南公園には四等三角点(点名:唐櫃台(からとだい))の設置があるので、その探索を始める。 四等三角点は、公園に入って左奥に進んだところのフェンス前に設置されていた。冬枯れで、草が刈り取られていたので三角点が確認できたが、草が繁茂すると三角点は覆い隠されてしまう様相だ。四等三角点:点名唐櫃台は金属標のコンクリート柱だった。 |
唐櫃台南公園 |
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ところで、国土地理院の基準点成果等閲覧サービスで公表されている情報では、三角点には「冠字選点番号」が付されている。唐櫃台三角点の冠字選点番号は「K淡10」である。 これは、その三角点を選点した測量官に与えられた漢字1文字を冠字としているらしい。ただし、基準点を外注作業により新設する場合は、当該測量作業を受注した測量会社に付与された冠字(K+漢字1文字)が示される。 ということは、Kを冠する点名唐櫃台は外注業者が設置されたものということになる。 ちょっとしたトリヴィアでした。
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四等三角点:唐櫃台 |
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唐櫃台南公園からは、唐櫃第二住宅の方に進み、その住宅の北側の道を通って阪神高速の高架を目指す。 阪神高速と六甲有料道路の高架が交わる下をくぐり抜け、舗装路を登って行くと前方に逢ケ山が見えてくる(10:11)。 関係車両以外通行止めの六甲森林線に入り、お椀を伏せたような形の逢ケ山を目指して舗装路を下って行くと、やがて東山橋に至る(写真左 10:14)。
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東山橋 |
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東山橋を渡って右に進む。ここからは、左右に山が迫る逢山峡となる(写真右)。 逢山峡の林道は、奥山川右岸沿いに続いている。歩きやすいこの道は、地元の方の散歩道のようで、6人ほどの方と次々にすれ違った。 ところで、この週末はシベリヤ寒気団が襲来しており、今日は晴天だがすこぶる寒い。おまけに強風が吹き荒れていて、逢山峡からは恐ろしい唸り声のような風音が聞こえてくる。 木々が大きく揺れ、枯れ木は倒壊しそうな勢いだ。 |
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逢山峡 |
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今日は長居は無用の感じがする・・・などと、考えながら林道を進んでいく。
逢山峡ポンプ場、不動明王を過ぎ猪鼻小橋までやってきた(写真左 10:40)。 この橋の下には、滝が勢いよく滑り落ちている。橋の上からではもう一つよく見えないので、何とか滝の方に下れないかと探索すると、橋の少し手前に下れそうな場所があった。
急傾斜だが、岩や枝につかまりながら下ってみた。 滝は猪鼻小橋の下から岩肌を斜めに伝い、スプラッシュしていた(写真下)。 |
猪鼻小橋 |
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滝の名は知らないが、豪快な流れにしばし見入ってしまった。
滝の音もすごいが、強風の音も益々大きくなった。今日は暴風なので、長居は無用のはずだった。 急いで、滝から元の道に戻り、逢山峡を南に進む。 ここでも、散歩する地元のご婦人とすれ違った(写真下)。 |
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猪鼻小橋下の滝 |
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逢山峡の林道 |
仏谷への分岐 |
猪鼻小橋を過ぎるとすぐに道が分岐する(写真右上 10:55)。 分岐点に特に表示はないが、ここが仏谷への分岐である(左が仏谷、右は逢山峡及びシュラインロード方面に続く。)。 仏谷への分岐を入ると広場に出る(10:58)。その広場の先から左に進むと逢山峡の流れを幅広のコンクリ橋で渡る。 渡ったところで右に曲がると、道の両側から笹が迫ってくる(写真右 11:00)。仏谷へと続くこの道は、元は広い林道であったようだが、今は、笹の中に道が呑み込まれつつある。 |
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笹が覆う仏谷への道 |
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しかし、その笹道もすぐに終わり、次に幅の広い道になる(11:03)。 その道は大きく左にカーブするが、その曲がる途中で右側に仏谷南尾根の分岐がある。
右手側から山肌が被さるようになっている所で、一か所、その斜面を登る踏み跡がある。
斜面に積もる落葉に踏み跡がつけられているので、注意してみるとすぐ確認できる(写真左)。 |
仏谷南尾根への取付き |
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ずり落ちる土を踏み越えて、仏谷南尾根の取付きに入ると、細い木立の雑木林となる。 その中に薄い踏み跡が続く。細い木に赤のテープ表示もある。 踏み跡は茶園谷の流れの方に進み、堰堤に突き当たった。この堰堤は仙人谷堰堤(昭和42年完成)で、10.5mの高さがある。仙人谷堰堤のところから仏谷南尾根に登って行く。 国土交通省と彫られた小さなコンクリート柱があるところが、ちょうど登り口の目印となっている(写真右)。 |
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仏谷南尾根の登り口 |
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落葉を堆積させた急斜面を登ると、すぐ尾根に乗った。尾根には踏み跡が続いている(写真左)。踏跡を拾いながら忠実に尾根上を進んでいく。 すると、前方に赤色の小さな杭が見えてきた(写真左下 11:21)。赤杭には上唐櫃林産農協と書かれている。赤杭の隣には「有の」と書かれた小さなコンクリ柱もある。農協の杭があるという事は、この山域は身近な里山として、組合員により大事に手入れされ続けているのだろう。 この赤杭のところで道が左右に分岐していた。左は尾根を登って行く道で、右はその尾根道を回避して右にそれる道だ。仏谷南尾根は左の尾根道に進む。 |
仏谷南尾根 |
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上唐櫃林産農協の赤杭 |
611mのピーク |
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ここまで緩やかなアップダウンの尾根道だったが、赤杭からは急な登りとなった。その急傾斜を登りきると一段上の尾根道になる。そこからは、大小の岩が尾根に散らばるルートとなった(11:30)。 更に、忠実に尾根の踏み跡をただって進むと また、上唐櫃林産農協の赤杭が見えてきた(写真上)。こんどの赤杭の場所は地形図に表示のある611mのピークで、そこから空を見上げると、雲がすごいスピードで流れていた。風の音も物凄い。今日は青空が見えているが、寒くて強烈な風が吹き付けてくる。 |
分岐となった仏谷南尾根 |
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さらに、アップダウンをしながら、大小の岩が散らばる尾根道を楽しく進む。上唐櫃林産農協の赤杭もポツン、ポツンと登場し、進路を示してくれる。 次に、岩が重なるところで、黄色2本、赤1本のテープが細い木に巻かれた場所まで登ってきた(写真上 11:42)。ここで、明確な踏み跡がその岩を避けるように、右手側に回避して伸びている。
特に何も考えず、その道に進んだが、どうも尾根から外れていくような気がして、また、先ほどのテープ表示の場所まで戻ってきた。 次に、テープに向かって岩をよじ登ってみた。すると、そこに、仏谷南尾根道が続いていた。ここの岩場は分岐になっているが、迷いやすいかもしれない。それで、先人がテープ表示をしてくれていたのだろう。 |
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仏谷南尾根の割れ石 |
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テープ表示に感謝して、先を急ぐ。急傾斜を登ると、また、一段高い尾根に乗った。ここにも上唐櫃林産農協の赤杭が続いている。ここまで、何か所か分岐があったが、全部高い方に登る道を選択してきた。仏谷南尾根は脇道にそれないで、尾根筋を忠実にたどる道という事になる。 尾根に続く赤や黄色の残置テープを確認しながら進んでいくと、二つに割れた特徴的な石が登場した(写真上 11:50)。仏谷南尾根に取付いてから、この割れ石までちょうど50分経過していた。 割れ石の所は小ピークで、そこから少し下るとリッジ状の尾根になる(写真左)。 |
仏谷南尾根のナイフリッジ |
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次に、激登りの斜面となる。細い木につかまりながら、なんとか体を引き上げる。 急傾斜を登り詰めたところはT字路のようになっていて、タコの足が逆に伸びたような特徴的な木が生えた場所だった(写真右 11:59)。 そこからは、左折して進む。赤杭に従い少し登って行くと、仏谷峠から高尾山に登るルートと合流した(12:07)。
仏谷南尾根に取付いてから、この合流地点まで一時間を要した。 仏谷南尾根は急傾斜な部分はあるものの、なかなか楽しく歩けるルートだった。 |
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逆タコ足の特徴的な木 |
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さて、合流地点からは高尾山を目指そうかとも思ったが、強風が収まりそうもないので、下山路を急ぐことにした。 ここから仏谷峠まで下って、そこから仏谷の谷道をたどり、午前中歩いた逢山峡を経て神鉄唐櫃台駅まで戻ることとする。 古い「仏谷峠」方向を示す案内表示に従い急な道を下って行く(写真左)。 この道は仏谷、深戸谷から高尾山へ登る主要な道であり、しっかりと踏み固められている。杉林の中の急な下りで、すべらないよう慎重に下って行く。 |
高尾山への道に合流 |
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下り始めて15分弱で仏谷峠に下りついた(写真右 12:22)。 仏谷峠は笹が繁茂する所で、丸太材が四角に組まれている。 仏谷峠は、逢ケ山からの道、仏谷からの道、水無峠からの道、深戸谷からの道が合流する要衝の地であるが、強風の吹き荒ぶ今日は、そこに全く人影はないのであった。 |
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仏谷峠 |
仏谷峠からは、仏谷を下って行くことにする。 南西に向かい笹の中を踏み跡が下っている。その下り口には、かまぼこ板に「仏谷」と書かれた表示がぶら下がっているので、ここが仏谷の源頭部であることがわかる(写真右)。 仏谷に入ると、大雨で削られて荒れた光景が目に飛び込む。枯れ枝や、小石がごろつき、自然が剥き出しの感じである。 |
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仏谷の表示 |
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仏谷は倒木が行く手をさえぎる箇所も多く、決して歩きやすい感じではない(写真左)。 大雨や台風で荒れた道が、復旧工事もされずそのまま放置の状態だ。仏谷は歩く者も少ないので、復旧工事も後回しなのだろう。 谷筋の右岸、左岸には、しっかりと踏み固められた道が残っている個所もあるので、元はちゃんとした山道が付けられていたはずだ。
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荒れて倒木の目立つ仏谷 |
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倒木を回避し、ガレた道の石を伝いながら仏谷を下って行くと、前方に大きな堰堤が見えてきた(12:46)。 これは昭和56年築の仏谷第二砂防ダムで、左岸を大きく巻いて越える。 仏谷第二砂防ダムの堰堤越えの場所からは、北側に逢ケ山の山塊が見えていた(写真右)。 |
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仏谷第二砂防ダムから望む逢ケ山 |
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仏谷第二砂防ダムを過ぎてさらに10分ほど荒れた道を下って行くと、仏谷道は幅広の林道に様変わりした(写真左)。 古くは十分車も通れたであろうと思われる道幅である。 ということは、仏谷道のこの辺りは、先ほど越えた仏谷第二砂防ダムの工事のために使われた道だったのかもしれない。 |
幅広の仏谷の道 |
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やがて谷筋に水が流れるようになり、その流れを右側に見ながら下って行くと、午前中に通過した仏谷南尾根の取付地点まで下ってきた(13:02)。時間は、ちょうど2時間経過していた。ここからは、午前中やってきた道をそのまま帰って行く。 逢山峡では強風が吹きまくり、その影響で立ち枯れの大きな松の木が倒壊し、電柱にもたれかかかるようになって揺れていた。 今日の風は相当な勢いだ。足早に逢山峡を抜けて、神鉄唐櫃台駅を目指して帰途を急ぐ。その当方の背中を、後方から逢ケ山が見送ってくれたのであった(写真右)。 |
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逢ケ山がお見送り |