逢ケ山・水無谷 (お勧め度★☆☆) 北六甲【2-29】

唐櫃台駅(神戸電鉄)〜東山橋〜逢ケ山〜逢ケ山反射板〜仏谷峠〜深戸谷源頭部〜水無峠
〜水無谷〜水無滝〜水無川第三堰堤〜水無川堰堤〜深戸谷分岐〜有馬口川駅(神戸電鉄) (約4時間)

Route MAP
linelineline
説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 有馬の南西に逢ケ山というピークがある。ハイキングの本などでは殆ど紹介されることはないが、古い地図(六甲・摩耶・再度山路図)では、山頂に向かい多くのルートが記されている。昔は生活に密着して良く登られていた山なのだろう。今日(平成25年4月13日)は、その逢ケ山に、これまた歩かれることの少ない水無谷・水無滝をからめて、静かな裏六甲のコースを歩いてみたい。
唐櫃台駅を出発  平成25年4月13日早朝、ケータイの緊急地震速報で飛び起きた。同時にものすごい横揺れが襲ってきた。
 平成7年のことが頭をよぎり、いそいでテレビをつけると、05:33頃兵庫県淡路島付近でM6.3・最大震度6弱の地震が発生したとのニュースが繰り返されている。
 余震に注意との報道もあり、しばらく待機したが、体感するような余震はない。
 窓を開けると、雲ひとつない晴天だ。今日は、結果として早起きになったので、山の様子を探りに出かけてみることにした。
 コースは逢ケ山、水無谷、水無滝を目指すことにする。これらは、裏六甲のマイナーなエリアで、ハイカーは少なく、静かな山の散策が可能なこと請け合いだ。
唐櫃台駅を出発
布土の森(神功皇后の祠)  逢ケ山への登り口は、逢山峡の東山橋の近くにある。
 東山橋へは有馬口駅から地道を伝うのが分かりやすいが、唐櫃台駅からの方が距離的に近い感じだ。
 そこで、唐櫃台駅を出発駅とすることにした。
 唐櫃台駅で下車し、駅南側の公園で軽く手足の屈伸運動をして出発の準備をする(10:20)。近くにローソンがあるので、ここで飲料水を調達する。
 唐櫃台駅から唐櫃小学校の方向に進むと、「市民の森」の表示が目に入る(10:23)。ここは布土の森と呼ばれ、神功皇后を祀るといわれる石の祠がある(写真左)。
布土の森(神功皇后の祠)
 この地域には、神功皇后が三韓から持ち帰った雌雄の金の鶏が唐櫃に入れて埋められたという伝説が残り、それが唐櫃の地名の起こりだと説明されている。
 「ふーん。そうなのか!」と歴史の重みに納得するも、石の祠の中の木箱の扉が壊れ、倒れていたのは至極残念だった。(^_^;)
 布土の森からは市営唐櫃住宅の中を進み、阪神高速北神戸線の高架の下までやってきた(10:48)。
 ここからは、前方にこれから目指す逢ケ山の雄姿が見えている(写真右)。
 前方に見える逢ケ山はなだらかな感じだが、地図の等高線の密度で分かるとおり、逢ケ山の登りは急勾配である。ここで気持ちを引き締める。
逢ケ山を望む
逢ケ山を望む
東山橋  アスファルト道を逢ケ山方向に進んで行くと、次第に下り道となって東山橋で逢山峡の山道に合流する(写真左)。
 橋の袂には生コン車が止まり、何かの工事中であった。
東山橋
 東山橋を渡って右折し、10m程進んだあたりで左手側を良く見ると、踏み跡が斜面を登っているのが確認できる(写真右 10:55)。後方に黄色い小屋が建っている所なので、それを目印にしても良い。
 入口は薄い踏み跡だが、すぐにはっきりとした道となる。
 逢ケ山は杉が植林され、山道にも杉の枯葉が堆積している。
 少し登ると丸太階段が登場する。まっすぐ延びる階段で、山林の管理のためなのかよく整備されている。
逢ケ山登り口
逢ケ山登り口
 階段が終わると、つづらに登る道にかわる(写真右)。このつづら道は傾斜がきついので、無理をせず、呼吸を整えながらゆったりと登りたい。
 薄暗い杉林の中に、つづらの急登な道が延々と続き、これを息も絶え絶えになりながら登って行く。
 「これでもか!!」と、いう位に止め処なく続くつづら道に辟易した頃にやっと、つづらの道が直登道に変わった(11:23)。
 この直登道も急勾配で、更に息が上がってきた。この辺りから杉の落葉に桧の落葉が混じるようになった。桧は高いところに植えられるというので、高度がだいぶ上がったものと思われる。
逢ケ山のつづら道
逢ケ山のつづら道
左手は植林、右手は自然林  次に、あたり一帯に日の光が差し込んできて、右手側が自然林の林となった(11:28)。
 この辺りは右手に自然林、左手に杉と桧の植林地帯となっている。自然と人工の境界にそって進むのは、何か変な感じだ。しかし、勾配はまだキツイままだ。
 やがて、足元にミヤコザサが生えてくると、勾配が少し緩み(11:33)、次にやっと平坦な道となった(11:35)。
 何とか尾根に乗ることができた訳だ。
  この辺りも、右手側は自然林、左手側は杉などの植林地帯である(写真左)。
左手は植林、右手は自然林
 ところで、逢ケ山の杉林は、枝打ち、間伐がなされ、よく手入れされている。斜面は急だが、麓の村から近いので山の作業もし易いのだろう。
 尾根に乗り、平坦な道となってから10分ほど進んだところで、左手側に尾根道が分岐した。杉の枯葉が深く積もり、道が分かりにくいが、確かに踏み跡が伸びている。これは、風呂谷に下る道で6年前に歩いたことがある。
 風呂谷の分岐を過ぎると約3分で逢ケ山の山頂に到着した(写真右 11:48)。
逢ヶ山の山頂
逢ヶ山の山頂
三等三角点 唐櫃  逢ケ山の山頂は薄暗い所との印象があったが、現在は山頂部の木は伐採され、この一角だけ日光が差し込んで陽だまりとなっている。
 なんだか嬉しくなって、思わず弁当をここで広げてしまった。しかし、逢ケ山の山頂からは何の景色も望むことはできない。“ぽつん”とある唐櫃三等三角点を見るだけだ(写真左)。
 そういえば、従前は山頂に「逢ケ山」と書かれた登頂札が何枚か掛けられていたが、それらは、今は一切存在しない。いや、よく見ると、三角点の周りの保護石に薄い赤ペンキで「逢ケ山」の表記があった。逢ケ山を示す表示はこれだけだった。
三等三角点 唐櫃
逢ケ山反射板への分岐  10分ほどで昼食を終え、逢ケ山のピークを出発することにした(12:00)。
 ここからは、仏谷峠に下っていくことにする。
 仏谷峠を目指し少し東に進むと、左手側に薄い踏み跡が分岐していた(12:03 写真左)。ここには小さな「神戸市上唐櫃林産農業協同組合」の標石金具と、下唐櫃林産農協の赤い境界柱が設置されているので、目印になる。
逢ケ山反射板への分岐
 この踏み跡をたどっていくと、すぐに大きな反射板が見えてきた。何の反射板か知らないが、比較的新しい施設だ。
 ここからは北側に中々素晴らしい景色が広がっている。
 北西にキスラシ山方面が、北東に高丸山方面の景色がきれいに展望できる。
 ここで昼食にすればよかったと悔やみながらも、展望なしのイメージの逢ケ山で、この景色にめぐり合えたのはHappyなのだと思い直す。
 しばらく、景色に見入っていたが、そろそろ逢ケ山を下山し、次に水無谷から水無滝を目指すことにする。
逢ケ山反射板
逢ケ山反射板
逢ケ山反射板からの景色(北西方面) 逢ケ山反射板からの景色(北東方面)
逢ケ山反射板からの景色(北西方面) 逢ケ山反射板からの景色(北東方面)
仏谷峠  逢ケ山からは南向きに仏谷峠を目指して下っていく。
 こちら側は自然林で雰囲気はいいが、下りの勾配は急である。松葉が積もり滑りやすい箇所もあったので慎重に下りたい。
 下り道で笹が足元に見えてきたら、すぐに仏谷峠に到着となる(写真左 12:28)。
 ここは四角に丸太材が組まれ、これを休憩用の椅子として利用できるようになっている。その周りは笹が茂る一角で、古い「仏谷」の表示も残されていた。
仏谷峠
 この仏谷峠からは、高尾山方面、仏谷方面、水無峠方面に道が伸びている。
 当方は水無谷を目指すので、深戸谷を経て水無峠方面に下っていく(12:32)。
 水無峠方面への下り道は、笹に覆われ少々わかりにくいが、よく確認すると踏み跡が見えてくる(写真右)。
仏谷峠から深戸谷方面に下る
仏谷峠から深戸谷方面に下る
深戸谷の堰堤  杉の枯葉が積もる急な道を注意して下っていくと、5分で堰堤のある谷筋に降り着く(写真左 12:37)。
 ここは、深戸谷(フカンド谷)の源頭部であり、仏谷峠方面を示す古い案内表示が二つ残っていた。
 ということは、ここが深戸谷を登ってきた者にとって仏谷峠方面と水無峠方面の分岐となるので、そのための案内表示であったのだろう。
 今はやや荒れた感じだが、従前は深戸谷もそこそこ歩かれていたということだ。
深戸谷の堰堤
 深戸谷の源頭部からは水無峠を目指して登って行く。
 水無峠への道は歩く者が少ないのか、だいぶ荒れている。踏み跡が薄く、倒木で通りにくいところもあるが、古い黄色の残置テープがあり、これに従えば道を間違えることはないだろう。
 古い小さな堰堤が何箇所か登場した後、急な斜面を登りきると水無峠へ登りついた(写真右 12:44)。
 水無峠は、今年の2月に鬼ケ島に登った際に通過した。その際は、水無峠から高尾山に登っていったが、今日はここから水無谷下っていく。
水無峠
水無峠
水無谷・水無滝の古い表示  水無谷への下り道は、小石の散らばる道で、その上に杉の枯葉が堆積し、足元がすこぶる見難い。急な箇所もあるので、くれぐれも慎重に下りたい。
 12分ほどで、水無峠から水無谷に下ってきた(12:58)。
 水無谷は最近は人があまり入らないのか、やや荒れた感じがする。
 ここから少し上流にある水無滝を確認しようと、谷の遡行を始めたがすぐ倒木などで進路が遮られた。そこで、左岸に上り、少し上流に進んで、ふたたび谷に下りると、こんどは難なく水無滝の滝壺までやってくることが出来た。
水無谷・水無滝の古い表示
 写真右が水無滝を写したもの。
 暗くて分かりにくいが写真中央の突き当りが水無滝である。

 水無滝は大きな湾曲した一枚岩から二筋ほど水が流れ落ちている。
 水無しという名前だけあって、滝から流れ落ちる水は量が少なく、ぱらぱらといった感じで落ちている。しかし、滝の大きな岩壁は一面にコケやらシダやらが生えてどす黒く湿り、何やら重厚な雰囲気を漂わせていた。
 さて、水無滝も確認できたので、ここからは、水無谷を下っていくことにする(13:10)。
水無滝
水無滝
水無谷(下流を望む) 荒れた感じの水無谷
水無谷(下流を望む) 荒れた感じの水無谷
水無川第三砂防ダムが登場  水無谷とはいうものの、今日の谷は結構な水量がある。流れに落ちないように、大小の岩を伝いながら水無川を下っていく。
 やがて前方に堰堤が登場した(写真左 13:26)。水無川第三砂防ダムである。この砂防ダムは、堰堤の左側に作られた階段を登って越える。
 堰堤に登り着くと今度は下りである。下りはプラ階段が作られているが、これは年月の経過で相当劣化している。急傾斜の階段でもあり、ここは慎重に下りたい。
 階段を下りきると鉄パイプで手摺が作られた岩壁沿いの道となる。ここは片側が堰堤側の谷底なので、手摺を頼りに、十分注意して進む。
 水無川第三砂防ダムを越えると次に水無川第三副砂防ダムが登場する。この堰堤も左側から越えて行く。
水無川第三砂防ダムが登場
 さらに、大小の石が散らばる水無川を下っていく。
 最近は水無川に踏み込むハイカーは少ないのか、道は結構荒れた感じがする。従って、特に決まったルートはないようだが、そこは野生の感で右岸、左岸、沢歩きと、最適なコースを選択しながら、楽しく沢を下っていく。
 時折、黄色い残置テープも登場するので、それも参考としながらルートの選択を行う。
 また大きな堰堤が目の前に登場した(13:44 写真右)。これは、高さ21.8mの水無川堰堤である。
水無川堰堤が登場
水無川堰堤が登場
水無川副堰堤の水はヒスイ色  水無川堰堤は右側から階段を登って超える。
 すぐ下流には副堰堤らしきものも設置されている。
 この堰堤は平成22年3月に補強工事が実施されているので、副堰堤はその際、設置されたのかもしれない。
 水無川堰堤と副堰堤の間は、水が貯水してあり、この水がヒスイ色に輝き、神秘的な美しさであった(写真左)。
水無川副堰堤の水はヒスイ色
 水無川堰堤を越え、急な滑りやすい道を慎重に下ると広場状の所に出て、ここからは歩きやすい林道になる。
 よって水無谷の大小の岩が乱舞するワイルドな感じの遡行は、水無川堰堤のところまでということなる。
 水無川堰堤のすぐ下流はちょっとした広場になっていて、そこには山桜の木があった。
 満開の時期は過ぎていたが、まだ十分に桜の美観を残していた(写真右)。
 なお、水無川堰堤のすぐ下流には、「松茸山につき、入山を禁ず」との表示された分岐がある。
 これは、灰形山への登山ルートの入口で、深戸谷分岐にある兵庫登山会の案内地図に載っているコースのようだ。機会があれば、松茸のシーズン以外で一度登ってみたい。
水無川堰堤を振り返る
水無川堰堤を振り返る
振り返ると灰形山・鬼が島が  その後は、ひたすら水無川沿いの林道を進んで行く。
 左手側に鬼ケ島への登り口分岐、深戸谷への分岐を確認しながら阪神高速の高架の手前までやってきた。ここで地元の方らしきご夫婦連れとすれ違う。健康のため、連れもってのウォーキングのようだ。挨拶を交わしながら後方を振り返ると、有馬近辺の山々が遠景に確認できた。中央の山が灰形山で、その手前右側が鬼ケ島の裾野であろう(写真左)。
 今日も山々を巡って、日ごろのストレスを発散し、五感を解き放つことができた。山に感謝である。
 有馬口駅には14:25の到着で、今日は約4時間の山歩きであった。
振り返ると灰形山・鬼が島が
このページTOPへ

HOME 1表六甲 2北六甲 3西六甲 4東六甲 5鵯越周辺 6丹生山系 7関西の山
 
linelineline