イヤガ谷東尾根・菊水尾根・菊水山 (お勧め度★★☆) 鵯越・鈴蘭台周辺【5-27】 |
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神戸電鉄鈴蘭台駅で下車する。駅ビル3階の改札から1階に下りて、神鉄バス君影団地線のバス停に向かう。神鉄バスは坂道を登っていき、やがて鈴蘭台第五団地の「陸橋下」バス停に到着した。ここでバスを降り、身支度を整えて山歩きをスタートする(10:53)。正月で朝寝坊となり遅い出発となったが、今日のコースは下りから入るので、気持ち的には余裕がある。バス停から東に進み、広い交差点で右折して南に進む。ここは鈴蘭台第五団地の東南の端に近い。 |
鈴蘭台第5団地 |
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旧鈴蘭台教職員住宅のところで道なりに右に曲がる。鈴蘭台教職員住宅は、数年前、県有地の入札に出されていたが、いまも解体されず残っている。多くの人々の生活があったであろう建物が廃墟の様相になりつつある現実に時の移ろいを感じる。教職員住宅を過ぎると第五団地の「57棟」の建物が近づいてくる。その手前でピカチュウのお出迎えがある。ここがイヤガ谷東尾根の取付きとなる(10:58)。 |
イヤガ谷東尾根の取付き |
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イヤガ谷東尾根の取付きを入るとすぐに分岐がある(写真右 11:00)。イヤガ谷東尾根は右に進むが、左の道を入ったところに三角点があるので立ち寄っていく。分岐から少し登ったところに「鈴蘭台」四等三角点(写真下)。三角点は、登山道に”ぽつん”と設置されている。 三角点から分岐に戻り、イヤガ谷東尾根を進む。 |
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イヤガ谷東尾根分岐 |
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イヤガ谷東尾根に入ると、すぐに「災害に強い森づくり 〜県民緑税の活用〜」の看板が目に入る(写真下)。それによれば、イヤガ谷東尾根(伊屋ヶ谷東尾根)は、豊かな緑を次世代に引き継いでいくために、防災林の整備がされている。伐採木で土留工事を行い、表面土砂の流出を防いでいる。全体的に歩きやすい明るいハイキング道になっているのは、「災害に強い森づくり」のおかげということだった。 |
「鈴蘭台」四等三角点 |
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また、イヤガ谷東尾根には「災害に強い森づくり」の看板に併せて、古いハイキング道案内の「イヤガ谷東尾根案内図」の看板も残っている(写真右下)。この看板によれば、イヤガ谷東尾根はイヤガ谷川と烏原川に挟まれて南北に伸びていて、尾根に何本もの森林管理道が描かれている。ベンチも多数設置されていたような地図になっている。 |
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「災害に強い森づくり」 |
イヤガ谷東尾根の周囲にはイヤガ谷川のせせらぎが流れ、君影ロックガーデンや名号岩など見どころも多いので、従前は、それらを巡る山道が縦横に整備されていたのであろう。しかし、石井ダムの工事があって、現在では多くの山道が廃道になってしまった。イヤガ谷東尾根の稜線の尾根道が「災害に強い森づくり」で歩きやすい道として整備されているなら、その周囲の道も整備してもらえないかと、山歩きの愛好家としては熱望する次第だが・・・。 |
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古い「イヤガ谷東尾根案内図」 |
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名号岩分岐 |
イヤガ谷東尾根 |
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更に、歩きやすいイヤガ谷東尾根を進んでいくと、名号岩分岐地点となった(写真左上 11:18)。ここを左折すると、名号岩の方に行ける。名号岩分岐にも「災害に強い森づくり」の看板がある。 更に、イヤガ谷東尾根を右手側の正面から差し込む日光に向かって進むと、尾根道も尾根尻に近づき、前方が開けてきた(写真左 11:30)。 |
前方が開ける |
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尾根尻に近づくと、前方に大きな鉄塔が見えてきて、周囲の木々が低く切り払われていた。高圧電線管理の為だろうが、おかげで前方に向かって展望がある。神戸の街並みとポートアイランド辺りの海が見えている。その展望場所には道標が立ち、119番通報プレート「き56−12」の設置がある。その道標が案内する「鵯越駅」方向に向かい、尾根道の下りが始まる。 |
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イヤガ谷東尾根の下り |
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下りになると明るい森の中の道になる。急な階段を下り、一気に高度を下げていく。この辺りの山道もしっかりとした道で、よく歩かれている感じだ(写真上)。つづら道や階段でどんどん下り、下り切ったところで高圧鉄塔が見えてきた(写真左 11:42)。この鉄塔の左側にはもう一つ鉄塔が並んでいる(写真左下)。 |
高圧鉄塔が見えてきた |
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鉄塔から望む菊水山 |
鉄塔の下を進む |
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その左側の鉄塔の方に立ち寄ってみると、そこは菊水山方面に展望が広がっていた(写真左上)。菊水山の山頂のアンテナが二本くっきりと見えている。 次にまたすぐ鉄塔が登場した(写真上)。この鉄塔はその下をくぐって下る。イヤガ谷東尾根は多数の鉄塔が立っていて、その巡視路でもあるので、しっかりとした道が維持されている。その先も明るいイヤガ谷東尾根道を進む(写真左)。 |
明るい尾根道 |
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すると、突如、尾根道がとぎれ、「まわり道」の看板が登場した(写真右 11:49)。看板の先で尾根道が消失している。ここは、堰堤工事の関係で尾根道が削り取られ、資材置き場のようになっていた。今日は正月なので工事は休みで、現場は静まり返っている。看板の指示に従い、金属製の階段で回り道して、この現場を過ぎていった。 |
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「まわり道」の看板 |
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また、工事現場にあった道標では、この工事現場から鵯越駅への分岐道の案内がされていたので、神鉄の駅に向かう場合は、案内に従い、ここで南西に向かえばいいのだろう。 なお、現場に設置の工事関係の掲示によると、工事は「菊水山第四堰堤工事」で、工期は令和3年3月31日(時間帯8:00〜17:00)までとされていた。平日に、イヤガ谷東尾根を歩かれる方は注意願います。 |
工事現場 |
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さて、工事現場を「まわり道」で通過した当方は、引き続きイヤガ谷東尾根を進んでいく。 工事現場から、少し進むと道標が登場した。「鵯越駅は右折(1.3km)」と案内されている(写真右 11:54)。その案内の方向を見ると、踏み跡が笹で覆いつくされていた。古くは、この分岐が、鵯越駅に向かう正規の道であったものが、先程の工事現場から駅に向かう道を利用する者が増えて、こちらは薮道に戻ってしまったようだった。 |
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鵯越駅分岐 |
鵯越駅分岐を過ぎ、更に落葉の積もった道を進むと少し登りとなって小ピークに至る(11:59)。ここには鉄塔があり(写真右)、その下を通過して下って行くと、また、鉄塔が登場した(12:03)。この鉄塔も下をくぐって、さらに一気の下り道に入る。 |
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傾斜が緩んだ岩屋尾根 |
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一気の下り道は落葉の積もった道で、やたらとすべる。下りで滑らないように細心の注意で進む。その急坂を下り切ったところで、六甲縦走路に合流となる(写真左 12:00)。縦走路は、神戸電鉄鵯越駅からやって来て菊水山に向かう道で、合流地点には「鵯越駅0.6km」、「菊水山2.3km」の道標がある。 |
縦走路に合流 |
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道標に従い、ここから菊水山方向に進む。縦走路は、すぐに神戸市水道局烏原ポンプ場の脇を通過して、その先で烏原川沿いの道になり、次に中央水環境センター鈴蘭台処理場を越えて、神戸電鉄の線路沿いの道になる。 |
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烏原ポンプ場 |
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神戸電鉄の線路は高架で、六甲縦走路より高いところを走っているが、見上げたところがちょうど旧菊水山駅跡だった。菊水山駅は、鉄道ファンにはおなじみの山中の秘境駅で、周囲には一切人家はない。夜は、周囲が真っ暗で異様な感じだったであろう。しかし、平成17年に惜しまれながら休止になった。この旧菊水山駅跡のすぐ先で、縦走路から石井ダムに向かう道が左に分岐している(写真下 12:30)。ここで、左折して石井ダムへの道に入る。 |
旧菊水山駅跡 |
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神戸電鉄の線路の下をくぐって、石井ダムに進んでいく。すぐに大きな石井ダムの堰堤が見えてくる。遠くのダムの堰堤の天端を見やると、二人の人影が小さく見えていた。ダムの周遊路を散策している方だろう。ダムに近づき堰堤左側の階段で、ダムの上部に登っていく(12:35)。 |
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石井ダム分岐 |
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石井ダム |
石井ダムと菊水山 |
ダム堰堤に設置された階段を10分弱かけて登り切った(写真右上 12:45)。石井ダムの天端は広く、ベンチや花壇の設置もある。南東に向かって展望もあり、散策がてら訪れる人も多い。今日も、3人の方が堰堤を散歩していた。次に、ダム管理所の脇から周遊路を名号岩の方に向かって歩いていく。すぐにダム湖に架かる名号橋(みょうごうばし)に至る。ここで左手側の大きな岩を見上げると「南無阿弥陀佛」の名号が見える(写真下)。 |
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石井ダムのダム湖 |
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この「南無阿弥陀佛」が彫られた大岩を名号岩という。近くにあった「神戸登山会」の説明板によると、名号岩の謂れは次の通り。 「妙号岩 高さ55m」 約150年前、小部の極楽寺和尚が旅人の安全祈願の為、大岩壁に、一字が1.3m角で南無阿弥陀佛の字を掘る。
なお、岩名の表記には「名号岩」と「妙号岩」の二種がありますが、この頁では石井ダム設置の案内地図の表記「名号岩」によりました。 |
名号岩 |
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「名号岩」は旅人の安全のために掘られたもののようだが、最近のコロナ禍に対する安全にもご利益がありそうなので、その早期終息を祈り、名号岩に手を合わせた。これで、本年の初詣も兼ねたことにする。 名号岩での祈願を終え、次に、菊水尾根に向かう。名号橋の次の橋「烏原大橋」を渡ったところで右手側に電柱がある(写真右)。その電柱の脇から踏み跡が山に向かっている。この踏み跡が菊水尾根への取付きとなる。 |
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菊水尾根取付き |
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菊水尾根の取付きから踏み跡に入っていく(13:04)。踏み跡は山の斜面の歩きやすそうな箇所を選ぶように続いている(写真左)。ダム湖の湖面に沿って踏み跡を進んでいくと、前方に人口の工作物が見えてきた。それは、何かの看板のようだが、なにも文字は書かれていない(写真左下)。何の目的かわからない不思議な看板をこえて、さらに踏み跡を進むと、やがて、菊水ルンゼの取付きとなる。その菊水ルンゼの谷を越えて更に踏み跡を辿ると急斜面に突き当たる(13:15)。 |
斜面を進む |
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謎の工作物 |
烏原大橋を望む |
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急斜面は垂直に近い斜度だが、足場を確認しながら木につかまって登っていったところが菊水尾根の尾根尻だ。急な尾根道を三点確保で登っていくと、後方に視界が開けてくる。先ほど祈願した名号岩と「烏原大橋」が見えている(写真上)。これは、なかなかの展望だ。 |
菊水尾根(ロープ場) |
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菊水尾根は、最初、急な尾根道で慎重に登る。しかし、尾根は足場も踏み跡もしっかりとしており、歩きやすいイメージだ。左手に、菊水ルンゼの切れ込みや、後方に名号岩や天狗岩のピークを眺めながらの登攀で、楽しく登れるという感覚だ。 やがて、神戸市マークの入ったコンクリ柱のある小ピークに登りついた(写真右 13:29)。ここで、少し休憩を入れる。 |
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神戸市標柱の小ピーク |
小ピークから、更に、急な尾根道を登っていく。三点確保を確認しながら慎重に登っていくと、尾根からの展望がさらに開けてきた。右手側の下方に石井ダムの堰堤と湖面がはっきりと望めるようになった(写真右)。ダムの堰堤の向こう側には、神戸の市街地と神戸港辺りの海面が見えていた。癒しの展望に気持ちが和む。 |
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石井ダムを望む |
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更に、急な岩尾根を登って高度を上げると、北側に鈴蘭台あたりの街並みも窺えるようになってきた。西を見やれば、鵯越辺りの山の連なりが枯れ木の背景になっている(写真左)。見飽きない景色だが、寒風が身に染みるので、ゆっくりはできない。 |
西方への展望 |
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冬空の雲の流れは速い。いつしか、寒空には黒い雲が一面を覆い始めた。今にも冷たい雨が落ちてきそうな雰囲気に、少し焦りながら菊水尾根を登っていく。菊水山の山頂が近づき、そこにいるハイカーの声も聞こえるようになってきた。最後に急登をロープで登って、少し進んだところで菊水山頂に飛び出した(写真下 13:58)。 |
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菊水尾根 |
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菊水山の山頂では、何組もの登山者が休憩していた。小さい子供さんを連れたママさんのグループも登ってきて、はしゃぐ子供たちでにぎやかな山頂になっている。空は少し曇っていたが、雨は大丈夫そうで、皆、菊水山からの展望を楽しんでいた。 |
菊水山頂 |
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菊水山山頂には、六甲全山縦走路マップ(神戸市森林整備事務所 平成28年3月)の設置がある。須磨浦公園から宝塚までの縦走路全体図が掲示され、主要な通過点の名称が記されている。全体の標高図もあり、それを見ると、縦走路の全体の中で、きつい登りは、この菊水山と、摩耶山、高取山であることがわかる。高取山辺りはまだ体力に余裕があるが、菊水山まで来ると、脚部が厳しくなってくる。10数年前に挑んだ全縦のことを思い出しながら縦走路マップをしばらく眺めてしまった。 |
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菊水山の電波塔 |
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三角点と全縦マップ |
菊水山の古い展望所 |
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さて、菊水山からの下山は、菊水山周遊路で神鉄鈴蘭台に下りたい。菊水山山頂を2時5分に出発。菊水山周遊路に入る。すぐに、古そうな展望所が見えてくる(写真上)。この展望所の周囲は木々が茂り、ほぼ展望の利かない場所となっていた。北向きで日も当たらず、凍り付いた個所もある。この展望所は通過してさらに下って行くと、菊水山周遊路の下り階段に少し雪が残っていた(写真左)。 |
雪の残る菊水山周遊路 |
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雪で滑らないよう注意して下る。雪は山頂直下だけで、少し下ると見えなくなった。さらに歩きやすい、周遊路を一気に下り、約35分で菊水山登山口まで下ってきた(写真右 14:39)。菊水山登山口から神鉄の線路に沿って進み、鈴蘭台駅まで帰ってきて本日の山歩きを終えた(14:47)。 今日は今年の歩き初めで、名号岩で簡易初詣も終えて、満足の山歩きでした。 (((((^_^;) |
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菊水山登山口 |