地獄谷東尾根・アイスロード(お勧め度★★☆) 北六甲【2-16】

今回は、ハイキング地図にもそのルートがあまり記載されていない、
地獄谷東尾根コースを歩いてみた。

ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 地獄谷の西尾根は何度も歩いたが、東尾根の方には足を踏み入れたことがなかった。連休で六甲山上は賑わっているが、裏六甲の地獄谷東尾根は静かな山歩きができると思い、今回(平成19年5月4日)は、この未踏のルートを目指すことにした。
 神鉄大池駅を11時にスタートし、南に進む。すぐヘアーサロンがあり、「地獄谷行→」の表示に従いここを右折。道なりに進み、大東建託のマンションが右手に現れたら、そこを右折する(11:10)。ここにも「地獄谷行→」の表示がある。すぐに突き当たる車道は南に進む。2〜3分進むと、右に下る道があるのでそれに従う。次に、右下に階段が続いている。階段を下って左折すると阪神高速のアーチ橋をくぐることになる。そこから山中に入る。
地獄谷入口
地獄谷入口
地獄谷東尾根の表示  山中に入ると、すぐに左に分岐する道が現れる(11:20 写真上)。地獄谷及び地獄谷西尾根へは本筋を直進となるが、地獄谷東尾根へはここを左折して枝道に入る。
 すると、すぐに道が左右に分岐する。右は地獄谷の沢沿いの道ではないかと思われる。したがって、東尾根へは左の登り道を進む。
 道沿いには地獄谷東尾根の表示板も付けられている(写真左)。
地獄谷東尾根の表示
 また、道が左右に分岐した。右の道が尾根への登りのようなので、右に行く(11:25)。
 いきなり、急な登りとなる。そこで道沿いの細い松の木をつかみ身体を引き上げようとした。木から手を離すとき愕然とした。松やにで、手がベトベトになってしまった。これにはまいった。なかなか、ヤニは取れないのである。道は急でも松の木には頼らないようにしようと心に誓った。(^_^;)
 5分ほど登って平坦な尾根となった(11:30)。右(西)下にダム湖が見えている(写真右)。その堰堤の少し上流では、砂防工事なのか重機が大きなうなり声をあげている。
地獄谷を望む
地獄谷を望む
地獄谷東尾根道  平坦となった尾根道から後方を振り返ると、阪神高速北神戸線とその向こうに大池の町並みが見えている(写真左)。
 次に、平坦な尾根は左折して下ることとなった。少し下って又すぐ登り返すという感じで続いている。
 また、この辺りでは急傾斜の斜面に、工事用のワイヤーロープが張られていた(写真下)。ロープは地獄谷の底から東尾根を越えてさらに東に伸びている。何の工事をしているのだろう。頭上注意の表示もあるので、ワイヤーに引っかからないように、ここは注意して進みたい。
地獄谷東尾根道
 ワイヤーの張ってあるあたりの尾根を登りながら、右(南側)下を見ると、大きな堰堤が見えている。その堰堤を挟んで対面の斜面は、この東尾根の枝尾根と思われるが、崖崩れで荒々しい山肌となっていた。
 尾根筋は、登りと下りを繰り返しながら、また、樹間の木陰と日の当たる痩せ尾根を繰り返しながら、次第に高度を上げていった。所々、風化で滑りやすくなった急傾斜の岩場もあるので、くれぐれも慎重に進みたい。
東尾根に伸びる工事ワイヤー
東尾根に伸びる工事ワイヤー
地獄谷東尾根の急登  尾根に入って約40分位で、道がYの字に分岐する場所となった(12:00)。
 踏み跡は左(東向きのルート)の方がしっかりと付いている。右(南向きのルート)は尾根を登る道で、テープが張られているが、踏み跡が薄い。よって踏み跡のしっかりした左に進んで行った。
 しかし、どうも様子がおかしい。東に向かってどんどん下っていくばかりか、次に方向が北に向かうことになった。これは、完全に違うと感じ、元のY字路に戻り、テープ表示のあった右の登り道に入っていった。こちらは、ひもやテープでの表示が続いている。
 結果としてこの右のルートが正解であった。(^_^;)
地獄谷東尾根の急登
 Y字路を右に進むと、道はどんどん急傾斜になってきた(写真上)。そこで、傍らの木々(松の木は除く。)に手をかけ、腕力で身体を引き上げることにする。それくらい急傾斜なのである。このルートを下る際には、この急傾斜は要注意である。
 5分ほど急傾斜を登って、岩場の道となった(写真右)。岩場だけに木々は少なく眺望もよい。振り返ると、阪神高速の橋げたや、大池の町並みが、だいぶ下の方に望める状態になっていた。
 更に、斜面を登り続け、やっと平坦な場所に到着した。そこには兵庫登山会作成の「693ピーク」という表示が掲げてあった(写真下 12:30)。
岩場の地獄谷東尾根道
岩場の地獄谷東尾根道
地獄谷東尾根の693ピーク 地獄谷東尾根693ピークからの景色
地獄谷東尾根の693ピーク 地獄谷東尾根693ピークからの景色
 693ピークは東側に展望が開けていた。そして、1人のハイカーがそこで展望を楽しんでおられた。急登の連続で少々息のあがりかけた当方は、思わずその方に「ここは急な尾根筋が続き、キツイですネー」と同意を求めるように声をかけた。すると、その方は、「そうですネ。西尾根の方が歩きやすいですね。」と返事を返してくれた。その方は、この尾根を下るとのこと。この尾根では、人に会うことは無いであろうと思っていたが、六甲山ではどんなルートでも愛好者がいるものだとつくずく感じた。なお、693ピークからの景色は写真右上のとおりである。 笹道となった地獄谷東尾根
笹道となった地獄谷東尾根
シュラインロードへ合流  5分ほど693ピークで休憩した後、そこをスタートする。すぐに右手側に眺望が開け、西尾根を望むことができた。また、その辺りでは、鶯が数羽鳴き合っていた。のどかな感じで、下界の喧騒をしばし忘れることが出来る癒しのスポットである。
 更に進み、笹の生い茂る暖傾斜(写真上)を、アップダウンを繰り返しながら登りきると、ベンチのある広場に出てきた。693ピークからここまで約30分である。
 広場の前方にある山荘の庭を通過させていただきシュラインロードに出てきた(写真左)。(なお、広場から右手に進めば、直接シュラインロードに出られる。)出てきたところには「地獄谷東尾根」と書かれた赤い道標があった。
シュラインロードへ合流
 シュラインロードを北に進み、前ケ辻からアイスロードを下山することにした(13:32)。山上の車道は連休の行楽客の車で数珠繋ぎである。横断に四苦八苦する。
 車道を渡ってコンクリートの階段を下る。突き当たりは左折である。この辺りは山荘の密集地であり、その中を右左に縫うように進む。随所に案内表示があるので、道に迷うことはない。
 コンクリートから土の山道になった辺りは、前ケ辻谷の頂上部であり、山肌の新緑がとても綺麗であった。
 アイスロード下りの前半は眺望がよい。前方に海や山並みを眺めながら下っていける(写真右)。
アイスロード
アイスロード
沢沿いのアイスロード  下り道には石段が作られている。この石段とともに石ころも散乱する急な坂をどんどん下っていく。谷が近づくと次第に眺望もなくなってきた。前ケ辻から30分程下って沢をクロスした。この沢沿い道も快適である(写真左)。更に10分ほど進んで、また、沢をクロスした。この辺りでは沢の水量も増え、水音が大きくなっている。前方にベンチのある広場状の場所が見えてきた。ここは、日当たりも良い。ベンチを見て、ふと、今日はまだ弁当を食べていないことを思い出した。ここのテーブルでおにぎりを頬張ることにする。
沢沿いのアイスロード
 ところで、アイスロードの名称は、明治から昭和初期の頃に、零下15度近くにもなる厳冬期の六甲山上で作られ、氷室で保存されていた氷を、春から夏にかけて深夜、大八車に積んで運んだことに由来しているとのこと。その大八車が行き来していた当時の休憩場所であった「水呑茶屋」の跡が、このベンチのある広場辺りではないかと思われる(注)
 振り返って前ケ辻谷を望みながら(写真右)、急な坂道を、それも深夜に、氷を積んで大八車を走らせるのは大変であったろうとしみじみ感じた次第である。
アイスロードから望む前ケ辻谷
アイスロードから望む前ケ辻谷
真水茶屋跡  ベンチのあった広場から3分ほど下って、アイスロードの説明板に始めて出会った(14:15)。
 説明板はだいぶ古いもので、汚れもひどく文字も読みにくかったが、それによると、この説明板のある場所が「真水茶屋」跡であるという(写真左)。
 ここの場所も、往時は大八車が多数止められ、しばし茶を呑みながら休憩した人々で賑わったのであろう。
 なお、運ばれた氷は、厚さ15センチ幅90センチのものを2枚を貼り合わせ、厚さ30センチとしたものであったと記載されている。この氷を大八車に何個積んだのか知らないが、結構重労働であったように思われる。
真水茶屋跡
 真水茶屋跡を過ぎると、大きな堰堤が見えてきた。真水谷第四砂防ダムである。ここは左から越えていく。砂防ダムを越えると、やたら自動車のエンジン音が聞こえるようになってきた。山中に車の騒音はふさわしくないなどと思いながら歩を進めていると、右下に表六甲ドライブウェイが見えてきた(写真右)。多くの車が行き交っている。騒音もひどい訳だ!!
 少し進んで分岐点が現れた。標識によれば、左は、六甲ケーブル上駅と記載してある。この道は、真水谷の東を山上駅まで登っているのだろうか。
 その分岐点を過ぎ、九十九の下りとなった後、車道に突き当たった。そこには薄暗いトンネルが掘られていた(13:27)。
見えてきた表六甲ドライブW
見えてきた表六甲ドライブW
六甲登山ロープウエイの登山口駅跡  表六甲DW下のトンネルをくぐって、更にDW沿いに少々進むと、左手側に何やら廃墟らしき構築物が見えてきた(13:29)。これは六甲登山ロープウエイの登山口駅跡である。緑が生い茂り、廃墟と化した駅跡は、不気味さをも漂わせている(写真左)。
 駅跡を過ぎるとすぐ表六甲DWの旧道に出てきた。少し進むと横断歩道があり、本来であればこの歩道を渡って旧道をケーブル下駅まで進むべきところ、誤って新道に入ってしまった。ひっきりなしに猛スピードで車が横をすり抜けていく。危険この上ない。アイスロードを目指す方はくれぐれも新道と旧道を間違わないように注意されたい。(^_^;)
 この後は、ケーブル下駅(13:43)から阪急六甲駅(15:07)まで味気ないアスファルトを歩いたのであった。
六甲登山ロープウエイの登山口駅跡
 (注)「水呑茶屋」跡の場所については、本文記載の「ベンチのある広場辺り」ではないとの指摘をゲストブックで柴田昭彦さんから戴きました。「水呑茶屋跡は真水茶屋跡から500mの地点辺り」が、正しい説明になるようですから、ここで訂正し注記いたします。
 詳しくは、ゲストブック、2013年9月18日の柴田昭彦さんの投稿を参照下さい。
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