烏原貯水池・ひよどり道 (お勧め度★★☆) 鵯越・鈴蘭台周辺【5-4】 |
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今日(平成24年5月19日)は土曜日、まずまずの天気である。しかし、花の金曜日の昨晩、少々飲みすぎてしまい、今朝は頭が重い。 そこで、今日はハードな山歩きはやめて、軽い散策程度にとどめることにした。それにぴったりなコースが、烏原貯水池の周遊路である。 神戸電鉄鵯越駅を9:52にスタートした。まずは駅の東側から、六甲全山縦走路に入る(写真左)。 |
神戸電鉄鵯越駅 |
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この道は、六甲全山縦走のときは勿論だが、菊水山登山のときにもお世話になる歩きなれたルートである。 歩き始めるとすぐに小さな公園(鵯越市民公園)を通過する。 もう少し進むと、道端に古い灯篭のような石積がある(写真左)。一見古そうに見えるが、石には何も文字の類は刻まれておらず、作成年代は不詳である。 |
路傍の古い燈篭 |
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この灯篭を越えて更に進むと舗装路に出る(写真右 10:00)。ここで縦走路は左に進むが、烏原貯水池へは右折である。 ゆるやかな坂道の舗装路を下ると、橋に突き当たる。石井川に架かる三日月橋である(10:04)。ここから烏原貯水池の周遊路が始まる。 周遊を右回りにするか、左回りにするか、それは自由だが、当方は左から回ってみることにした。 三日月橋を渡り、「烏原 水と森の回遊路」と表示された大きな看板のところから周遊路に入る(10:05)。 |
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舗装路に出たら右に進む |
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回遊路の大きな看板では、烏原貯水池の概要が説明してある。それによると、烏原貯水池は明治38年に完成した古いダムであることがわかる。 正式なダム名は「立ケ畑ダム」であり、ダムの高さは33mある。また、周遊路は一周2.7kmとされている。 ダムの概要を把握した後、早速回遊を始めることにする。 回遊路は湖畔に整備された歩きやすい道である(写真左)。右手側にある湖面がまぶしく陽光を反射している。 |
烏原貯水池・水と森の回遊路 |
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この周遊路は地元の方々の朝の散歩道としての利用も多いようで、顔見知りらしき方々が挨拶しながら多く行き交っている。 三日月橋をスタートして約850m歩くと水辺の休憩所に到着である(写真右 10:18)。 ここにはベンチが据えられており、湖面を眺めながらゆっくり休憩できる。 |
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水辺の休憩所 |
水辺の休憩所を過ぎると、周遊路は右折し、ダムの堰堤で対岸に渡ることになる(写真右)。 この堰堤の中央部には、ギリシャ風の石造りの建造物がある(写真下)。エンタシスの柱を持つ特徴的な様式が一際目を引く。 この建造物の中には、ダムの放水口の調整設備が収められているのだろうか。 |
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烏原貯水池堰堤の上部 |
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その石造りの構築物の正面には「養而不窮」の文字と共に、英語でエンジニア等の名前が掘り込まれている。 時代を経てきたことに併せ、石造りの重厚な様子から、風格さえ漂うように感じるのは当方だけだろうか。 ところで、養而不窮の文字は何を意味するのか気になるが、ダムの堰堤に彫られているところからすれば、恐らく水に関わる中国の故事かなにかだろう。 |
風格ある烏原貯水池堰堤施設 |
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さらにダムの堰堤を進み対岸に近づくと、護岸に丸い石が一列に並んでいることに気が付く(写真右)。 この丸い石は石臼らしいが、なぜ護岸に石臼が使用されているのかについては、説明板が立てられている。それによるとこうである。 「護岸中段には石うすが見えます。石うすは長さ90mにわたって160個が一列に並んでいます。明治期まで、このあたりでは線香にする木皮細末の原料粉を製造する水車が多く活躍し、石うすが日常的に使われていました。明治37年、烏原村の人々は水没によって離村するにあたり、その足跡を残し、また、神戸市の反映を願って、それまで使っていた石うすを記念に残したものです。」 |
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護岸に並ぶ石臼 |
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貯水池となったこの地にも、明治以前には人の営みがあったが、時代の流れに飲み込まれてしまったようだ。 なお、石臼の材質は花崗岩で、外径55cm、深さ20cmの大きさがあり、据え付けに当たっては水がたまらないように、最下部に小さな孔があけられたと説明にある。 ダム建設にあたり、細かいところまで気が配られていることに驚く。 |
亀の甲広場 |
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さて、ダム湖の堰堤を渡りきると、そこは亀の甲広場と呼ばれる小さな公園になる(10:30)。 石で作られた亀のモニュメントがあることから、亀の甲広場とよばれるようだが、その石造りの亀も中々見事な出来栄えである(写真上)。 また、亀の甲広場からは、ダム湖が一望できる(写真右)。ダム湖の背後には菊水山も見える。 水と山の織り成す景色はまずまずの眺めだ。 |
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亀の甲広場からの景色 |
亀の甲広場を出発して、更に周遊路を進んで行く。ここからは、舗装路と遊歩道が併走している。もちろん遊歩道の方を進みたい。 遊歩道は、先にある花の休憩所まで、貯水池のすぐ横をとおっている(写真右)。湖面に手が届くようなが距離なので「キケン すべりやすく危険につきさく内へ入らないように!!」の表示が随所にある。表示の通り、柵から中に入らないようにしよう。 遊歩道脇にボート乗り場があり、ボートが1艘止めてあるが、これは貯水池管理用のもので、遊覧用ではない。 |
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貯水池脇の周遊路 |
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狭い遊歩道で、行き交う人と挨拶をかわしながら進んで行くと、やがて花の休憩所に到着する(写真左 10:50)。ここはやや広めのスペースで、休憩する人も多い。 水に親しめるよう、湖面近くまで歩道が伸び、ベンチもある(写真下)。 トイレの設置もあり、市の係りの方だろうか、ちょうど清掃をされていた。お疲れ様です。 |
花の休憩所 |
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花の休憩所を過ぎると舗装路歩きとなる。たまに車も通るので注意しながら、次にある地蔵前広場を目指す。
地蔵前広場には10時58分に到着。ここの辻にはお地蔵様が祀られており、地元の方がきれいに清掃されている(写真下)。 三日月橋をスタートして、この地蔵前広場で概ね烏原貯水池を一周したことになる。 |
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水に親しめる花の休憩所 |
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この地蔵前広場からは、ひよどり展望公園に向って背山散策路が伸びている。 この散策路はひよどり道といい、烏原貯水池の南側に位置する里山の山道で、貯水池の周遊路だけでは物足りないハイカーには、この散策路もお勧めしたい。 |
地蔵前広場 |
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地蔵前広場を11時にスタートして、ひよどり道を目指すことにする。
広場から「←ひよどり展望公園(川に沿ってすすむ)」の表示がある階段を数段下る。すると、河原状の砂地の堆積したところとなる。流れはないが、大雨でも降れば川になるのだろう。そこには「背山散策路ひよどり道」の大きな看板(地図)もあるので、これから進むルートの確認もできる。 |
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ひよどり道の表示 |
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背山散策路に入ると、すぐにひよどり道の表示が現れる(写真上)。 ひよどり道は、里山の静かな山道で、水辺の周遊路から一歩入ると、森林気分が味わえるのがいい。 新緑の中を、ひよどり道は緩やかに登って行く。途中、滝山町方面に下る道が分岐する(写真左 11:15)。ひよどり道は左側に登っていく道である。 |
ひよどり道 |
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ひよどり道では、途中、御影石で作られた距離表示(写真右)が何箇所か設置されているので、今、自分がどのあたりを歩いているか判断しやすい。
しばらくして、尾根に登りついた。尾根道も、緩やかなアップダウンを繰り返して進んで行く。 何箇所か鉄塔監視路の分岐があるが、本線をはずさないように歩いて行く。 |
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ひよどり道の距離表示 |
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額にうっすら汗がにじんできたと感じ始めたところで小高いピークに到着した(11:22)。 ここは分岐点になっており、ひよどり展望公園方面と、背山散策コースの二手に道が分かれている(写真左)。 また、ここには鵯越三等三角点が設置されている。 三角点には白い表示柱もなく、路傍にぽつんと石柱があるのみで、見落としがちだ(写真下)。
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ひよどり道のピークに到着 |
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ここからは、ちょっと、ひよどり展望公園にもよってみたい。よって、表示に従って、ひよどり展望公園方面に進む。 ひよどり展望公園へは急な階段を下っていく。階段を2分ほど下ると東屋が登場した(写真下 11:27)。 この東屋からは、長田方面に展望が開ける(写真右下)。 高取山の裾野に広がる長田区の市街地が綺麗に望める。 |
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鵯越三等三角点 |
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ひよどり展望公園の東屋 |
ひよどり展望公園からの景色 |
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さらに進み、夢野大師福寿院への分岐を左手側に確認しながら、少し登り返すと展望台(ひよどり展望広場)に到着する(写真左 11:30)。 ひよどり展望広場はその名の通り広場状の場所であり、正面の一部に展望が広がる。 前方に広がる景色を説明するものとして、2008年に「市街地案内図」が新しく設置されているので、この公園は行政により管理がされているのだろう。 公園からの展望がパノラマ的であれば最高だが、前方には草木が茂り、見渡せる角度がせまくて窮屈なのは残念だ。 展望も確認できたので、ひよどり展望公園を後にして、次に夢野大師福寿院に立ち寄ってみたい。 |
ひよどり展望広場 |
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夢野大師福寿院へは先ほどの東屋のところまで戻り、そこから寺へ続く山道に入る。ほんの数分で夢野大師福寿院に到着する。 夢野大師福寿院は朱色に塗られた鐘楼が目立つ寺である(写真右)。お不動さんも仁王立ちで参拝者を迎えてくれる。 夢野大師福寿院では、阪神大震災で寺の周囲の石仏が倒壊し、被害甚大な感じだったが、それも修復が進んで、今は元の状態に戻りつつあるようだ。 夢野大師福寿院からは、右手側後方に見える赤鳥居を目指して石の階段を登っていくと、また背山散策路に合流する。ここから、烏原貯水池の亀の甲広場方面に、山道が続いている。 |
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夢野大師福寿院 |
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概ね平坦な尾根道をゆったりと進んで行くと、夢野大師福寿院から約17分で行守寺に至る(11:55)。ここで、背山散策路は烏原貯水池の周遊路に合流する。 貯水池の周遊路を一周すると概ね50分、背山散策路の散策は55分、合計2時間弱のお手軽ハイキングのコースであった。 さて、ここからの帰途は、スタート地点の鵯越駅に戻ってもいいし、貯水池から南に下って、地下鉄湊川公園駅を目指しても良い。今日は湊川公園駅を目指して下っていった。 貯水池から急勾配の舗装路を下っていく途中、東側に展望が広がる(写真左)。ここからの景色もなかなかのものである。湊川公園駅へは12:20の到着だった。 |
神戸市街地が見渡せる |
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