キジ谷ルート・社家郷山 (お勧め度★☆☆) 東六甲【4-31】

JRさくら夙川駅(9:31)==バス==かぶとやま荘(10:00)==社家郷山キャンプ場==キジ谷ルート(10:35)==
社家郷大滝(11:06)==外れ峰(11:51)==小笠峰出会(12:00)==西三ッ辻(12:05)==東三ッ辻(12:23)
==馬の背展望台(12:30)==樫ヶ峰(12:41)==宝塚西高校前バス停(13:36)==バス==阪急逆瀬川駅
(約3時間 平成30年9月24日)  
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 六甲山域の東の端に社家郷山(しゃけごうやま)という山域がある。展望の良い馬の背尾根があるが、あまりガイド本などには紹介がない。山と高原地図ではこの山域に社家郷大滝の表示があるものの、そこへのルートは記載がない。しかし、ネットでは社家郷大滝へ向かう「キジ谷」というルートが記録されている。今日(平成30年9月24日)はそのキジ谷ルートを遡行して社家郷大滝を目指し、併せて社家郷山、樫ヶ峰の山域を巡ってみたい。
かぶとやま荘バス停  JR神戸線さくら夙川駅で下車し、駅前のコンビニで飲料等を調達する。駅の東側の線路の下にある「JRさくら夙川」バス停で、路線バスをしばらく待つ。時間通り9時31分発「山口営業所」行きのさくらやまなみバスがやってきたので、乗り込む。
 席はほぼ満席であったが、なんとか空席を見つけて着座する。約30分で「かぶとやま荘」バス停に到着(10:00)。ここで、当方を含め3名だけが下車した(料金は220円ICOCA利用可)。他の多くの乗客は、この先の有馬温泉まで行くのかも??。
かぶとやま荘バス停
車道を右に登る  「かぶとやま荘」バス停のベンチで身支度を整え、今日の山歩きをスタートする。
 バス停からバス道を少し戻り、社家郷山キャンプ場の方に進む。すぐに車道が分岐するので、右に登る(写真左 10:03)。次に、立派な門がそびえるキャンプ場への階段があるが、ここは閉鎖されていたので、そのまま車道を進む。その先が、社家郷山キャンプ場の駐車場となっていた。
車道を右に登る
 駐車場の中を進み、トイレの先が「Cサイト」キャンプ場である。
 社家郷山キャンプ場は、西宮市立のキャンプ場で、豊かな自然の中でハイキングやキャンプを楽しむことができると紹介されている(※注1)。しかし、今日は利用者が少ないようで、ややさみしい感じがした。
 そのCサイトキャンプ場の下側を東に進んでいくと、広い林道のような道になる。
社家郷山キャンプ場
社家郷山キャンプ場
キジ谷ルート取付き  キジ谷ルートへの取付きが分かるかどうか不安があったが、その広い道をそのまま進んでみた。
 少し進んだ所で広い道が大きく右に曲がる箇所があった。そこで足元を確認すると踏み跡が直進している(10:11)。特に、キジ谷を示す表示はないが、直感的にその踏み跡に従うこととした。
キジ谷ルート取付き
 その踏み跡に入るとすぐに樹脂製の疑似丸太の階段道となる。雑木林の中に疑似丸太の階段道が続いている。キジ谷ルートへの道だと確信し、気分よく階段道を登っていると、蜘蛛の巣が顔にまとわりついた。雑木林は少し薄暗く、蜘蛛の巣に気がつかなかった。
 周囲を見渡すと、雑木林は最近、人の手が入っていないようで樹木が繁茂している。丸太の階段道も歩く人がほとんどない感じで、荒れた雰囲気が漂っている。倒木も放置され、歩きにくい箇所もある。この先、大丈夫なのかとやや不安になる。
神戸電鉄鵯越駅
疑似丸太の階段を進む
小さな沢を越える  その先の深い落葉のエリアで、ルートをローストしかかった。あれれ!!と思い、周囲を確認すると、少し先に疑似丸太の階段が続いていた。
 ゆるやかに登っていた階段道が下りになり(10:18)、次に山腹に張り付く道のUP・DOWNとなって、やがて沢に下りついた(写真左 10:26)。アメンボが飛び跳ねるその小さな沢を渡り、更に丸太の階段が続いている。この辺りも蜘蛛の巣が多く、ストックで払いながら進んでいく。
 左手側からは、車のエンジン音が近くに聞こえるので、この山道は車道に並行して、東に進んでいるようだ。
小さな沢を越える
 沢を渡って少し進むと丸太の階段がなくなるが、踏み跡が続いているので、それを丹念に確認しながら進む。
 蜘蛛の巣が更に多くなり、荒れた感じも増してきた雑木林の中で、先行き不安がつのるが、黄色の残置テープや紐の表示がたまに登場するのでそれに導かれて進んでいく。すると、細い木に「キジ谷ルート」の赤い道標を見つけ、がぜん安心して進む(10:27)。
キジ谷ルートの赤い標識
キジ谷ルートの赤い標識
キジ谷に到着  その先で、ザレた下りを小石に注意しながら降りていくと、やや大きな沢となっていた(10:35)。「キジ谷ルート」の赤い道標があり、ここがキジ谷とおしえてくれていた。
 キジ谷は小石が多く堆積しており、今日は水量も多い。
 少し休憩を入れた後、キジ谷の遡行を始める。
キジ谷に到着
 流れに沿ってキジ谷を登っていくが、荒れた感じが漂っている。その様子から、最近はこの谷に人が入っていないことが容易に判断された。慎重に進むことにする。
 遡行を初めてすぐのところで、強烈な倒木に行く手を遮られた(写真右 10:40)。葉にまだ緑色を残した大きな倒木が流れを塞いでいた。枝が茂り、葉も残っているので、前に進めそうもない。どう進もうかと、数分間、試行錯誤を重ね、枝が少なそうなところを、もぐりこむようにして強行突破することとした。
倒木が行く手を塞ぐキジ谷
倒木が行く手を塞ぐキジ谷
高度のある石積み堰堤  5分程、倒木と格闘し、なんとかそこを越えた。
 倒木の先に、更に倒木が続いていたらどうしようと不安であったが、その先は、石積みの巨大な堰堤となっていた(写真左 10:50)。 堰堤のそばには古い道標がたっているので、名のある堰堤であったようだが、もう、道標の文字は読める状態にない。解読はあきらめ、堰堤を越えて進むことにする。
 どこを登るのかと、周囲を確認すると、右側(左岸)に高巻道が付いていた。
高度のある石積み堰堤
 堰堤を越えたところで流れをクロスして右岸を進む。ここにも「キジ谷ルート」の赤い表示。キジ谷ルートにはこの赤い表示が続いているようだ。
 赤い表示のすぐ近くには、古い道標もたっていた(写真右 10:59)。木製の立派な道標であるが、時の経過で劣化が著しい。文字も読みにくくなっている。
 この道標の様子からして、キジ谷ルートは、従前はハイキング道として整備されていたのであろうが、今は、整備がされず廃道並みに荒れてしまっている。
キジ谷の古い木製道標
キジ谷の古い木製道標
社家郷大滝  その先は、時々沢の中を歩きながらも、概ね右岸を進んでいく。この辺りのキジ谷は角ばった大小の石が積み重なり、荒々しい感じだ(7167)。
 沢沿いの踏み跡では「キジ谷ルート」の赤い表示が適度な間隔で登場する。「赤い表示には、古いものと新しいものがあるなー。」などと思いながら遡行していると、水音を立てる滝に突き当たった(11:06)。その滝の手前には古い道標が立っていた。
社家郷大滝
 その道標には「社家郷大滝」の表示と共に、「つめたい石清水で顔を洗って一息!!(西教委)」と記されていた。
 「西教委」の道標があるということは、このキジ谷ルートは、従前は、青少年の健全な育成のためにキャンプ場とともに、行政によってしっかりと整備されていたということだろう。
 キジ谷ルートは、野趣あふれるコースであり、整備がされれば楽しい沢道になるのであろうが、荒れ果てた現状が残念だ。
社家郷大滝の道標
社家郷大滝の道標
 社家郷大滝は直登は無理なので、滝の右側(左岸)を登る。急な斜面で、鎖が張られているので、それに助けられながら慎重に登る(写真右)。 社家郷大滝は鎖で越える
社家郷大滝は鎖で越える
「キジ谷ルート」の赤い表示  社家郷大滝の上流でも、右岸、左岸とルートが沢を交差している。
 「キジ谷ルート」の赤い表示も次々に登場する(写真左)。
「キジ谷ルート」の赤い表示    
 登るにつれて、キジ谷の沢幅が次第にせまくなり、傾斜も急になってくる。 そしてその先で、石を積み上げた堰堤に進路をさえぎられた(写真右 11:19)。堰堤は四角の石をうまく積み上げて作られている。
 この石積み堰堤は、左側(右岸)に短いトラロープが垂らされているので、それを利用してよじ登る。
キジ谷の石積堰堤
キジ谷の石積堰堤
小さな石堰堤  更にその先で、小さな石堰堤が登場した(写真左 11:31)。
 この石堰堤のところから、キジ谷ルートは一層斜度を増し、水量が減ってきた。急傾斜な石ころの斜面を登るかのような感じなので、落石させないように慎重に体を引き上げていく。
小さな石堰堤
 その先、そろそろ源頭部かなと思われるところで、鎖が登場した。鎖と併せてロープも張られている。
 その鎖とロープを頼りに急傾斜を登っていく。
 キジ谷源頭部の最後の登りはさらに急勾配で、積まれていた石が流失しており、足場が無くなっていた。ここは、ロープにすがるようにして、体を引き上げた。
源頭部の鎖場
源頭部の鎖場
キジ谷源頭部に立つ道標  源頭部を登り切ったところにも、古い道標が残っていた(写真左 11:39)。道標には「キジ谷ルート」の文字がかろうじて確認できた。
 この古い道標の手前で右に折れ、その後は雑木の中に続く踏み跡を確認しながら、緩やかに登っていく。
キジ谷源頭部に立つ道標
 キジ谷ルートの源頭部から7分ほど登って、古い道標が登場した(11:47)。ここは、「外れ峰出会い」と呼ばれる分岐で、ここから外れ峰へ下っていける。
 せっかくなので、外れ峰へ足を延ばしてみる。
外れ峰出会い
外れ峰出会い
外れ峰  外れ峰への道は人が歩かなくなって久しいようで、薮になりつつある。少し下って、次に登り返したところが外れ峰だった(11:51)。
 外れ峰には、「外れ峰(休憩台)標高488.6m」と記された古い標柱が一本立っている。
外れ峰
 外れ峰(休憩台)というからには、従前は展望も良かったのであろうが、今は、周囲に樹木が茂り、全く展望はなくなっていた。
 外れ峰から先に進むと展望があるのかと、少し足を延ばしかけたが、踏み跡は全くなく、外れ峰で行き止まりのようであった。よって、すぐに、外れ峰から引き返す。
外れ峰休憩台
外れ峰休憩台
小笠峰出会  外れ峰から「外れ峰出会い」まで戻り、その先で社家郷山展望ルートに合流した(12:00)。この合流地点は、小笠峰出会と呼ばれている地点だ。
 ここには古い木製の道標と共に、鉄製の錆びた「境界標識 西宮市」の表示も立っていた。
小笠峰出会
 ここから、展望ルートを東に進む。すぐに古い道標の立つ三差路となる(12:05)。
 そこは「西三ッ辻出会(489m)」であり、古い石柱も立つ(※注1)。
 西三ッ辻出会から南に下る道は「アズマ家」の表示があり、かぶとやま荘の方に下れるようだが、当方は社家郷山展望ルートをさらに東に進む。
西三ッ辻
西三ッ辻
社家郷山展望ルート  社家郷山展望ルートは、古くからの尾根道で、しっかりとした踏み跡を快適に進んでいく(7201)。
 緩やかな登り下りを繰り返す社家郷山展望ルートを東に進むが、周囲に余り展望はない。また、最近はこの社家郷山展望ルートを歩く人が少ないのか、少し荒れた感じが漂う。
社家郷山展望ルート
焼石ケ原への下りが分岐 社家郷山展望ルート
焼石ケ原への下りが分岐 東三ッ辻
馬の背展望台  西三ッ辻から10分程進んだ所で、緩やかな傾斜だった展望ルートが、急な下りになった(12:14)。急な山道は滑りやすいので補助の鎖が張られている。ここは注意して下りたい。
 その先、5分ほど進んだ所で、北側に踏み跡が下っていた(写真左上 12:19)。脇に立つ樹木に赤ペンキでマークがあり、わかり易い分岐だ。北への下りは、焼石ケ原への道だろう。
 北に下る分岐から3分ほど進んだ所で今度は南に下る道が分岐していた(写真上 12:23)。そこは、東三ッ辻で、南に下る道はキレットルートである。キレットルートは、また、次回に歩いてみたい。
馬の背展望台
馬の背展望台 標柱  東三ッ辻から東に進んでいくと、北側に大平山から譲葉山の連なりが間近に望める。そこも台風の被害だろうか、崩落の筋が何ヶ所か見えている。
 やがて、展望が開けて馬の背展望台に到着した(写真左上 12:30)。
 ここは、南北に雄大な展望がある。南側に甲山や北山貯水池、観音山が見えている。北側には譲葉山の連なり、眼下は西宮ゴルフ場から西宮の街並みがきれいである。北東側は大平山から六甲最高峰への連なりが確認できる。雄大な展望に、しばし見入る。
馬の背展望台 標柱
 馬の背展望台で小休止の後、次の樫ヶ峰を目指す。
 前方、間近に樫ヶ峰のピークが見えているので、その方向に進む(写真右)。
 少し進んだ所で、南側に踏み跡があった。そちらを見やると金属標が見えていた。何だろうとのぞき込むと、「骨幹三角点(西宮市公共基準点)NO8 西宮市土木局」と表示されていた(12:36)。
 骨幹三角点とは聞きなれないが、西宮市の測量において重要なポイントということなんだろう!?。
樫ヶ峰が近づく
樫ヶ峰が近づく
樫ヶ峰山頂  三角点を過ぎ、その先がロープの設置された下りで、登り返したところが樫ヶ峰の山頂だった(12:41)。樫ヶ峰頂上は立木に囲まれて展望はないが、「社家郷山、境界」と彫られた古い石碑がある(写真下)。
樫ヶ峰山頂
 なお、この山域の「社家郷」とは、麓の広田、越水、中村、西宮郷の村々をさすようで、その持ち山が社家郷山とされる。そして、この一帯の山域を社家郷山と称するらしい。 「社家郷山・境界」の石標
「社家郷山・境界」の石標
樫ヶ峰  その社家郷山の山域の東端のピークが樫ヶ峰で、樫ヶ峰頂上では朽ちた道標に「樫ヶ峰山頂 標高461.1m 甲山より152m高い」との表示があった。なお、樫ヶ峰の標高は、地形図及び山と高原地図では457mとなっているので、朽ちた道標の標高は少し「かさ増し」のようだ。
 樫ヶ峰頂上で、しばし休憩した後、下山を始める(12:47)。
樫ヶ峰山頂の道標
 樫ヶ峰山頂からはキャンプ場の方に下るルートもあるが、今日はゆずり葉台に下るべく東に進む。
 すぐに、ザレ地の下りとなるが、ここもすこぶる景色良しだ。麓のゴルフ場やら甲山やらの展望がすばらしい。
 先ほど樫ヶ峰頂上で休憩をとったばかりだが、此処の景色に見入ってしまい、またまた休憩として、昼食を頬張ることとした(12:53)。
西宮カントリーを見下ろす
西宮カントリーを見下ろす
甲山方面を望む  10分程昼食休憩の後、下山を始める(13:03)。しっかりとした山道を下って行く。やがて、T字の分岐となる(写真左下 13:10)。右はゴルフ場へ続くのでここは左折する。
 ここからも、しっかりした山道だが、ガレた箇所もあるので注意して下る。その先で前方に高圧鉄塔が見えてきた(13:17)
 高圧鉄塔を過ぎると、関電のプラ階段の下りとなる。ひたすら、プラ階段を下り続け、下りついた先のところで、ガードレールの切れ目(カーブミラーの所)から車道に出た(写真下 13:27)。
甲山方面を望む
ゴルフ場方面とのT字分岐 ゆずり葉台に下りつく
ゴルフ場方面とのT字分岐 ゆずり葉台に下りつく
 その先、ゆずり葉緑地の中を経て、宝塚西高校前バス停に到着した(13:36)。すぐにやってきた阪急逆瀬川行きのバスに乗り込み今日の山歩きを終えたのであった。
 本日歩いた社家郷山、樫ヶ峰の山域には古い道標が多く設置されていた。このことから、従前は教育キャンプ場を中心としてハイキングルートがよく整備されていたのであろうが、今は整備がなされず、荒れた感じになりつつあった。展望の尾根を持つ楽しい山域なので、今後の再整備を望みたい。
ゆずり葉緑地
ゆずり葉緑地
※注1 1938年(昭和13年)、西宮市は子供たちの「個」を育てるため、社家郷山の一部に林間学園を建設した。1950年頃には市民対象の厚生施設「郷山寮」となったが、1964年に閉館された。しかし、1986年には郷山寮の北西に社家郷山教育キャンプ場が開設され、2004年から西宮市立甲山自然環境センター付属施設となっている。
※注2 小笠峰から樫ヶ峰の山域一帯を社家郷山と称するらしいが、六甲山系登山詳細図東編(吉備人出版)2017年、ミウラ折登山地図「六甲摩耶」2000年、「まるごと六甲山」国立公園六甲山地区整備促進協議会 2009年10月、の各地図では、西三ツ辻出会(489m)のピークを社家郷山と記している。
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