キレットルート・社家郷山 (お勧め度★★☆) 東六甲【4-32】 |
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社家郷山へのアプローチは、さくらやまなみバスで「かぶとやま荘」バス停まで行くのが便利である。 今回も、JR神戸線さくら夙川駅で下車し、駅東側の線路下にある「JRさくら夙川」バス停に急ぐ。8時14分発のバスが3分遅れでやって来たので乗り込む。バスは満席であったが、北山緑化植物園の入口で多くの乗客が下車していった。 当方はそのまま乗車し、やがて「かぶとやま荘」バス停に到着した(写真左 8:44)。ここで、当方を含め2名が下車する。 |
かぶとやま荘バス停 |
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「かぶとやま荘」バス停のベンチで身支度を整え、今日の山歩きをスタートする(8:54)。 かぶとやま荘から、すぐ北にハイキング道があるようなので、少し建物の周囲をうろついたが、よくわからない。そこで、しかたなく社家郷山キャンプ場から山道に取付くこととして、キャンプ場の方に進む。 バス停からバス道を少し戻ると、右手側にゲートのある急な石の階段が登場する(写真左 8:56)。ここは、社家郷山のハイキング道(四季の道)への階段だが、「四季の道への橋に破損がある」との張り紙があり、ロープで閉鎖されている。 |
四季の道への階段(閉鎖) |
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よって、そのまま車道を進んで、すぐ先の分岐を右に登っていく。数分でキャンプ場の管理棟に至る。ここで、管理人の方に道の確認をする。四季の道へ入るには、管理棟の前を東に進むことをご教示いただく。「頻繁にやってくる台風で、道が痛んでいる箇所があるから気を付けて!」との声掛けをいただく。挨拶を返して、四季の道の方に進む(9:00)。 林の中の山道を進むと、右手側に壊れかけた木製の橋が登場した(写真右)。この橋はロープで通行止めとしてある。先ほどの、閉鎖された急な石階段を登ると、この橋に至るようだ。 |
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破損した板橋 |
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その先に、「社家郷山の野鳥たち」の大きな看板が立っていた。この大きな看板の所で道が分岐している(9:02)。右は、樫ヶ峰への直登道(樫ヶ峰ルート)のようなので、ここは左に登る。樫ヶ峰ルートは今日の下り道に予定している。 雑木林の中に丸太材で土止めした階段道が続いている。結構、急勾配の道で、ゆっくり登る。 登り切ったところで古い道標が登場した(9:10)。「←展望台 あずま屋約290m(西教委)」の表示。この道標の所で尾根に乗る。 |
あずま屋約290mの表示 |
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尾根に乗って、少し進んだところで分岐点となる。ここにも道標があり、左に登るのは「林間ルート」、右に下るのは「キレットルート」と記してある(写真右 9:12)。 また「これよりハイキング道です。体調、装備は万全ですか?」との表示がある。ここからキャンプ場散策路の「四季の道」を外れ、本来の山道になるものと思われる。 |
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道標「←林間 キレットルート→」 |
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「キレットルート」の方向に従い、右に下って行くと、やがて沢音が聞こえてくる。
下りついたところが長谷で、小さな沢になっている(9:15)。 ここには「長谷 沢カニが生息しています。大切に観察しましょう。」の看板と道標「←キレット展望台 長谷峠→」が立っている。この道標に従い、沢を渡って「キレット展望台」の方向に登っていく。 急な尾根を登っていくと、黄色の「キレットルート」の道標が登場(9:20)。先々週、歩いたキジ谷では赤色の道標が導いてくれたが、「キレットルート」は黄色の道標のようだ。 |
「キレットルート」の道標 |
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その先、急傾斜でロープが登場(9:22)。そのロープの次には、鎖が登場する(9:25)。鎖の次は両側にロープが登場し、急傾斜の坂が続く。 この急傾斜の坂道ではロープと鎖に大いに助けられた。 ロープや鎖を伝うごとに、高度がどんどん上がっていくのがわかる。 |
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キレットルートの鎖 |
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ロープの急勾配を登り切ったところで小ピーク(9:33)。小ピークから少し下り、次に登り返したところに金網岩がある(写真左 9:35)。大きな岩全体に金網がかぶせてある。崩落の危険があるのだろう。 この金網岩から、キレットルートの急だった勾配が、少し緩んだような気がした。 |
金網岩 |
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その金網岩から5分程ほど登ったところで道標が登場した。キレット出合の道標で、ここから右にキレット展望台へ向かう分岐がある。 キレットルートの一番の見どころ、キレット展望台に足を延ばし、景色を楽しむこととする。 道標に従い、右への分岐に踏み込んだ。落葉がふわふわに積もり、あまり歩かれていない感が漂う踏み跡を進んでいく。 |
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キレット出合 |
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2分ほど進むと、次第に視界が開けてきて(写真左)、その先がキレット展望台であった(写真左下 9:45)。評判通り、キレット展望台からの眺望は素晴らしい。 甲山から西側に向かって見応えのある景色が広がっている。東側には樫ヶ峰も間近に迫っている。なお、キレット展望台には公共2級基準点(No.00201 兵庫県)が設置してあった。 キレット展望台では5分程休憩し、そこを後にした。 |
キレット展望台近くからの景色 |
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キレット展望台 |
樫ヶ峰を望む |
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キレットルートに戻り、更に登っていく(9:52)。 すぐ先で、道脇に大きな木が倒れていた(9:56)。キレットルートでも、台風の爪痕が随所に残っている。その倒木から少し登ったところで、東三ツ辻出会に合流した(10:01)。 今日は天気が良いので、東三ツ辻出会から社家郷山展望ルートを東に進み、馬の背展望台でも景色を楽しむこととする。 |
東三ツ辻出会 |
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東三ツ辻出会から緩やかに下る家郷山展望ルートを、東に約7分進むと馬の背展望台に至る。 馬の背展望台には標柱が立つが、それには「馬の背岩展望台」と記されている。馬の背展望台と馬の背岩展望台のいずれの呼称が正しいのか知らないが、景色は正に絶景といえる!! |
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馬の背岩展望台の標柱 |
馬の背展望台は東西南北に展望がすぐれる。北側には譲葉山、南側には甲山や北山貯水池が、西側には大平山の電波塔が、そして東側には宝塚方面の山々が遠望できる。 |
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北側 譲葉山方面 |
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西側 大平山方面 |
東側 宝塚方面 |
また、東側のすぐ近くには樫ヶ峰のピークが迫っている。見飽きない景色だが、5分程、馬の背展望台で休憩し、先に進むことにする。 この先は、家郷山展望ルートから北側の焼石ヶ原に下るルートを探索してみたい。焼石ヶ原に下るルートは何本かあるが、今日はそのうち、東三ツ辻辺りから下る尾根(以降、この尾根を便宜的に「東三ツ辻北尾根」と呼称する。)を下り、焼石ヶ原から樫ヶ峰に直登する尾根道(以降、この尾根を便宜的に「樫ヶ峰北尾根」と呼称する。)を登り返すことにする。 |
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樫ヶ峰を望む |
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馬の背展望台から、また東三ツ辻出会にもどる(10:17)。東三ツ辻出会から更に2分弱進んだ所で、東三ツ辻北尾根の分岐となる(10:19)。 この分岐は、木に赤のペンキが目立つので、すぐわかる。マークは「3尾根」、「※印」や「三十九」などと記されている。 |
東三ツ辻北尾根の分岐 |
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分岐に入ると、灌木の中で急な下りとなる。ザレた急坂なので、十分注意したい。
灌木の中を4分程下ると、野趣あふれる痩せ尾根に出る(写真右)。ここは風化が進んだ尾根道で、砂で滑らないよう注意を要する。
痩せ尾根に出ると展望も開ける。「馬の背岩展望台」で見た北側の景色が、さらに迫ってくる(写真下)。この尾根からも圧巻の展望である。 |
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東三ツ辻北尾根 |
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東三ツ辻北尾根からの展望 |
ナイフリッジ |
周囲を見渡すと、ナイフリッジのようになった尾根も見えている(写真右上)。そこは、崩落の危険があるので、歩行はできないような感じである。 東三ツ辻北尾根は、その先、急な箇所でロープが数か所登場して、やがて焼石ヶ原の石が重なる谷筋に下りついた(写真右 10:36)。 この焼石ヶ原で、一人のハイカーとすれ違った。その方は、これから社家郷山展望ルートに登って行かれるようだ。
この山域では、ほとんど人に会うことはないので、少し驚いた。 |
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焼石ヶ原 |
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この焼石ヶ原から樫ヶ峰北尾根を伝い樫ヶ峰まで登りたいが、樫ヶ峰北尾根の登り口がよくわからない。その登り口を求めて、石が重なる谷筋を東に下って行く。 足場を確認しながら少し下ると、水の流れが登場した。伏流であったものが、表面に現れてきたようだ。ここは枯沢だと思っていたが、結構な水量である。 東三ツ辻北尾根が下りついたところから6分程、沢を下ったところで北に登っていけそうな踏み跡を発見した(写真左 10:43)。入口に何らの表示もないが、しっかりとした道がついている。 |
樫ヶ峰北尾根の取付き |
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ここが樫ヶ峰北尾根の取付きと直感し、踏み込んでいく。踏み跡はどんどん東に進み、少し下り気味で続いている。エデンの園の方に出てしまうのではないかと不安を覚えながらも、そのまま進んでいった。 踏み跡は、雑木の密集した中を蛇行するように続いているが、やがて松の木に「樫ヶ峰〜社家郷山」の手製の小さな道標を見つけた(10:47 )。この道標で、樫ヶ峰北尾根に向かう道と確信する。 |
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樫ヶ峰北尾根を示す表示 |
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次に猛烈にシダが茂る場所を抜ける。その先の雑木の中で登りが始まった(11:01)。
傾斜地になると、斜面に古い石積みが次々と登場する。土砂の流出を防ぐため、先人が積み上げた石垣なのだろう。 その石積みを縫うようにして踏み跡を登っていくとやがて尾根に乗った(11:05)。
その先で、小ピークとなり、少し下って、また登りとなる(11:09)。 |
樫ヶ峰北尾根の石積み |
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更に登っていくと、傾斜が急になると共にロープが登場し、3か所目のロープで社家郷山展望ルートの尾根に登りついた(11:21)。
登りついたところには特に表示はないが、しっかりとした踏み跡が分岐しているし、ロープも見えているので、見落とすことはないだろう。 樫ヶ峰北尾根は、焼石ヶ原から深い雑木の中を樫ヶ峰に直登する道で、しっかりとした道だった。 |
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樫ヶ峰北尾根のロープ場 |
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さて、社家郷山展望ルートに出て、そこから少し東に進んだ所が樫ヶ峰のピークである。
樫ヶ峰のピークは、木立の中で展望はない。 少し休憩をしていると、一人の方が登ってこられた。聞くと、キレットコースを登ってきたのだという。奇遇にも、当方と同じくキレットコースを登られていた。
この山域では、めったに人と会わないと、先ほど記したが、今日は奇遇にも二人にお会いした。 |
樫ヶ峰の山頂 |
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さて、樫ヶ峰のピークからは、キャンプ場に下って行くこととする(11:31)。樫ヶ峰のピークに立つ道標で「社家郷山キャンプ場」と示された方向に下って行く。この道は、一般に樫ヶ峰ルートと呼ばれる山道で、キャンプ場と樫ヶ峰をダイレクトに結んでいる。 下り始めるとすぐ眼前に展望が広がる(写真右 11:32)。甲山、ゴルフ場のグリーンがきれいである。その向こうに住宅街、更にその向こうに大阪湾の湾曲したラインが遠望できる。 |
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樫ヶ峰ルートからの展望 |
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併せて、樫ヶ峰ルートは、陽が射す明るい尾根道で、歩いていて心地がよい。
部分的にはガレた急な岩場や、ザレて滑りやすい箇所もあるが、全体的に歩きやすい道だ。 |
樫ヶ峰ルート |
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樫ヶ峰ルートを下って行くと、また前方に、展望が開けた。今度は、深谷貯水池と阪神競馬場が一直線に並んで見えている。その向こう側に密集している建物が、まるでジオラマのようだ。 |
深谷貯水池と阪神競馬場 |
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樫ヶ峰からキャンプ場に下るこの道には、「樫ヶ峰ルート」と書かれた青い札が続き、ルートの案内をしてくれる。 やがて、道脇に「樫ヶ峰→」の古い道標が登場(11:44)。その道標の少し先で、関電の高圧鉄塔が見えてきた(11:48)。この鉄塔の周りは、ススキや夏草が繁茂し、少し藪状態になっていた。 |
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樫ヶ峰ルートの青い札 |
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樫ヶ峰ルートの道標 |
樫ヶ峰ルートの鉄塔 |
鉄塔の先は、関電のプラ階段が急な勾配を下っている。延々と続くプラ階段を下って行くと、やがて下方から沢音が聞こえてきて、ネコヤナギの池に到着した(11:59)。ネコヤナギの池の辺りは地下水脈があり、雨で冠水するので樹木が茂りにくいと説明してある。「万葉の草原」の名称を付し、野草の観察地として整備がされているようだ。万葉の時代の秋の七草「河原ナデシコ」も生えているらしい。 万葉の草原を過ぎると、山道はかぶとやま荘の駐車場に出てきた(12:04)。 |
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ネコヤナギの池 |
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樫ヶ峰ルートはしっかりとした山道で、キャンプ場から社家郷山展望ルートに登る道では最もポピュラーな道だろう。 さて、かぶとやま荘からは、さくらやまなみバスを利用して、さくら夙川駅まで戻ってきて、本日の山歩きを終了した。 なお、参考に、キャンプ場の四季の道にあった看板の地図で、キジ谷、長谷、キレット谷の位置関係を示しておきたい。 |
キレット谷の位置関係 |
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