御旅山・仁寿山・小富士山 (お勧め度★★☆) 関西の山【7-35】

山陽妻鹿駅(9:32)==松原八幡宮御旅所(9:56)==御旅山(10:27)==仁寿山(11:55)==小富士山(12:40)==鐘掛岩(12:59)
==麻生八幡社(13:14)==山陽白浜の宮駅(15:50) (約6時間 令和元年5月2日)  
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 播磨平野に連なる御旅山・仁寿山・小富士山は、登るにつれて市街地や播磨灘の景色が広がり、低山なれど雄大な展望を楽しむことができる。これらの山々の登山路はよく整備され、地域の方々の日々の登山の対象でもあるようだ。今日(令和元年5月2日)は、この播磨の三山、御旅山・仁寿山・小富士山を縦走してみた。
歴史と伝統の町妻鹿  御旅山・仁寿山・小富士山は、それぞれ「おたびやま」、「じんじゅさん」、「こふじやま」と読む。三山の縦走は、山陽電車の妻鹿駅から始めることとしたい。
 山陽電車にゆられ、妻鹿駅のホームに降り立つ(9:32)。改札を出たところに周辺地図「歴史と伝統の町妻鹿」があり、これで御旅山登山口までのルートを確認する(写真左)。駅を出ると、目の前には市川がゆったりと流れている(9:34)
歴史と伝統の町妻鹿
御旅山登山口  その市川沿いの道を少し下流に進み、次に左に曲がって線路に並行する道を進む。
 住宅街の舗装路を進んでいくとY路地の分岐がある(9:43)。このY路地の分岐を左に進むと妻鹿宮ノ下公園があり、その公園の前を通過して突き当たりで右折すると御旅山登山道が始まる(写真左 9:45)。
御旅山登山口
 すぐに、登山道は舗装路と山道に分岐するが、ここで山道に入る。すると、山道はその先で広い車道と合流する。その車道をつづらに登っていくと松原八幡宮御旅所前の駐車場を経て、松原八幡宮御旅所に到着となる(9:56)。 松原八幡宮御旅所
松原八幡宮御旅所
松原八幡宮からの展望  松原八幡宮御旅所は南に景色良しである。毎日登山で参拝の地元の方だろうか、4名が参道脇で話し込んでいた。
 なお、松原八幡神社は灘のけんか祭りで著名で、県の指定重要無形民俗文化財でもあり、勇壮な祭りを一度は訪れたいと思いながらも、その思いはかなっていない。
松原八幡宮からの展望
 松原八幡宮からは、向かって左右どちら側にも道があるが、今日は右側の道に進んでみた。高圧電線の下をよく歩かれた道が続いている。
 少し進んだ所で左手側に鉄塔(姫一火力線12番鉄塔)があり、それに向かい階段道が付けられている。その階段を登ると、そこにはテーブルとベンチがあり、南方面の展望が広がっていた(写真右 10:02)。
12番鉄塔の展望ベンチ
12番鉄塔の展望ベンチ
12番鉄塔から望む御旅山  12番鉄塔はフェンスに取り囲まれていて、そのフェンス沿いに北に進むとはるか前方に、あずまやのある御旅山の山頂が見えている(写真左)。御旅山までは、まだ距離がありそうだ。
 その先、ゆるやかな登り下りが続く。花を咲かすツツジに群れているのか、熊蜂がこの辺り、ブンブン飛んでいる。
12番鉄塔から望む御旅山
 次に、左手側に鉄塔(姫一火力線13番鉄塔)が登場した(10:13)。13番鉄塔の立つ場所からは、西側に展望が開ける。
 13番鉄塔を過ぎて少し進むと岩場の道になる。大きな岩に乗れば、西側へ展望良しとなっていた(10:16)。ここまでくると、御旅山の山頂がだいぶ近づいて見える。
姫一火力線13番鉄塔
姫一火力線13番鉄塔
 その先で、御旅山への直登道と左に大きくトラバースする道が分岐していたが、ここはトラバース道の方に進む。トラバース道の方が景色良しに思えたからだ。
 少し進むと、高木の生えていない御旅山の南側斜面のトラバース道から、麓の妻鹿の街並みがきれいに見えるようになった(写真右)。
御旅山トラバース道
御旅山トラバース道
御旅山登山路からの景色  更に景色を楽しみながら進む。麓の妻鹿の街並みの中を流れる市川が印象的だ。河口が近い市川がゆったり、ゆっくり流れている。
 景色に見入っていると、後方からの二人の登山者に追い越されてしまった。二人は地元の方のようで、挨拶を交わす。二人によると、今日は少し霞がかかっているとのことで、至極残念そうだった。
御旅山登山路からの景色
 トラバースの後、山頂に向かう道を直登すると、東屋の立つ御旅山山頂(139.6m)に到着した(10:27)。
 ここは360度の展望である。山頂に植えられたツツジも満開で赤い花をつけている。
御旅山山頂
御旅山山頂
御旅山からの景色 御旅山四阿
御旅山からの景色 御旅山四阿
御旅山山頂の淡墨桜  御旅山山頂からは、淡路島や家島諸島、小豆島まで展望できるらしいが、あいにく今日は霞がかかり、クリアーではない。しかし、開放感は最高で、素晴らしい景色に、山頂をぐるぐると何度も回りながら、周囲の展望を楽しんだ。
御旅山山頂の淡墨桜
  なお、御旅山山頂には2016年に植樹された「淡墨桜」の幼木がある。淡墨桜は岐阜県本巣市にある一本桜で、樹齢1500年以上といわれ、国の天然記念物とされる。その苗が御旅山山頂に植樹されたらしい。御旅山を思い、その1000年後をも見据えた植樹なのであろう。花が咲くころに是非とも再訪してみたい。その淡墨桜の前に、三角点がぽつんと立っていた。これは、四等三角点、点名:妻鹿で、標高は139.61m。 四等三角点 点名:妻鹿
四等三角点 点名:妻鹿
御旅山からの絶景  御旅山の山頂から北側には、次に向かう仁寿山から小富士山の連なりも見えている。そろそろ御旅山を後にし、次の仁寿山に向かうこととする(10:33)。
 もう一度、御旅山から南側の展望を見て、御旅山から北に向かう登山路に入る。山道は、すぐに急な下りとなる。岩混じりの急な下りで、少し濡れた岩が滑りやすくなっている。こちら側の山道は特に展望もないので、足元注意で一気に麓まで下って行く。
御旅山からの絶景
 御旅山山頂から10分で、麓の民家の前まで降りてきた(10:43)。 ここには、「方蓮山国有林」の看板がある。方蓮山は御旅山の別称か?
  また、御旅山の北側登山口には「御旅山ハイキングコース案内図」の大きな看板もある。
御旅山北側の登山口
御旅山北側の登山口
 御旅山の北側登山口から北原地区の地道を進む。前方に目指す仁寿山が見えている。その仁寿山に向かって田んぼの水路沿いにある畦道をショートカットで利用させていただく(写真右 10:52)。 仁寿山を目指す
仁寿山を目指す
住吉神社  民家の間を抜け車道北原八家線に出たが、次に2号線姫路バイパスを越えなければならない。地図によると、住吉神社若しくは大歳神社からバイパスの側道に出て、歩道橋で姫路バイパスを越えるようだ。
 北原の住宅地で少々道迷いをしながら、住吉神社、大歳神社と巡って、何とか大歳神社からバイパスの側道に出ることができた。側道から歩道橋で姫路バイパスを越えた(写真下 11:21)。
住吉神社
大歳神社 姫路バイパスを越える
大歳神社 姫路バイパスを越える
 姫路バイパスの歩道橋を渡って少し右に進んだ所が仁寿山への取付きとなっていた。特に表示はないが踏み跡はしっかりしており、よく歩かれた道である。
 最初は竹藪の中の暗い落葉の道であり、次にプラ階段となって高圧鉄塔に至る(11:25)。この鉄塔を過ぎると、雑木の中の道となるが、すぐに明るい山道に変わる。周囲は背の低い樹木だけで、直射日光が降り注ぐ。上方を見やると仁寿山の電波塔が見えるが、まだ遠い(写真右)。
仁寿山への登山路
仁寿山への登山路
御旅山を振り返る  岩場の登りが続くものの、フリクションが効いて登りやすい。その岩場で、後方を振り返ると、南側に展望が広がっていた。先ほど越えてきた御旅山とその隣に甲山が並んでいる。姫路バイパスを車が行き交い、市川の流れが雄大に見える。
 見飽きない景色に、少し休憩を入れていると、仁寿山の山頂から一人のハイカーが下ってきた。
御旅山を振り返る
 仁寿山から下ってきたハイカーの方とあいさつを交わし、しばし、山談義となった。その方は、百名山を制覇したので、いまは近場で播磨の低山歩きをしているのだそうだ。百名山はルートに道標が多いが、近場の低山は道標がなく、意外と苦労すると話しておられた。
 何やかやと十数分も立ち話をしたが、そろそろ、お互い、出発することとした。
姫路バイパス
姫路バイパス
仁寿山に到着  再び登り始めると、坂道はすぐに終わりって尾根に乗り、その尾根を少し進むと反射板が立っていた(11:49)。そこが仁寿山の手前のピーク(11:52)で、アンテナも立っている。手前のピークを越えて少し進んだ所が仁寿山の山頂(174.8m)だった(写真左 11:55)。
 仁寿山の山頂はアンテナの林立で山の風情はないが、三角点(二等三角点<点名:仁寿山>)があるので探索にかかる。鉄塔の周囲をウロウロしていると、二人のご婦人ハイカーの方が登ってこられた。その方々も三角点を探索していたようだ。
仁寿山に到着
 ご婦人方と一緒に確認を進めたところ、NHKの電波塔群(NHK姫路テレビ・FM中継放送所)を囲む柵の端に、三角点標示杭の残滓を見つけた。しかし肝心の三角点の所在はハッキリしない。いろいろ確認して、柵の内側にある草むらの所に三角点があるのだろう・・ということになった。雑草が伸びて仁寿山三角点は確認できなかったが、三角点はコンクリで固められて、地表に現れているのは天辺だけらしい。 仁寿山の標示
仁寿山の標示
二等三角点 点名:仁寿山 壊れた三角点標示杭
二等三角点 点名:仁寿山 壊れた三角点標示杭
仁寿山を下る  三角点の探索を終え、次に小富士山を目指すことにする。ちょうど東側に小富士山が見えている。小富士山に向かいコンクリートの階段で仁寿山を下り始める(写真左 12:07)。すぐに、右手側に電波塔が登場し、そこから山道の下りになる。ザレた下り道で滑らないように注意する。
仁寿山を下る
 岩場などもあり、慎重に下っていると舗装路に飛び出した(写真右 12:16)。この舗装路は車で仁寿山に登るための管理道のようだ。
 舗装路のガードレールの切れ目から再び山道に入って一気に下って行く。車道から3分ほど下ったところで山道が十字にクロスした(12:19)。ここは直進で、その十字路から小富士山に向かって登りとなる。
仁寿山への車道
仁寿山への車道
小富士山への登り道  すぐに直登道とトラバース道の分岐があり、ここは左のトラバース道に進む。歩き易い道を進んでいると、前方に高圧鉄塔が見えてきた(写真左)。この辺りで左手側を見返すと、先ほど登った仁寿山が見えていた(12:21)。
小富士山への登り道
 更に進むと、左手側に展望が広がってきた。西側の展望で、姫路の市街地が見えている。少し霞んでいるが、目を凝らして見ると、姫路城が小さく見えていた。 姫路市街地を望む
姫路市街地を望む
小富士山も鉄塔が連なる  更に、よく歩かれた快適な道を登っていくと、また前方に高圧鉄塔が見えてきた(写真左 12:25)。その鉄塔のところでトラバース道は切り返しになり(12:28)、そこから小富士山に向かい一気の登りとなった。
 鉄塔から登ること12分で小富士山山頂に到着した(12:40 写真下)。ここは広場状の岩場で、南東に展望が開ける。眼下は白浜町の家並みで、遠くには家島諸島も見えるらしい。岩場では、3名の親子連れがその展望を楽しんでいた。
小富士山も鉄塔が連なる
小富士山(麻生山) 小富士山山頂
小富士山(麻生山) 小富士山山頂
華厳寺前の広場  小富士山の山頂には、私製の小さな札「麻生山(小富士山)173m」が松の木にかかっていた。
 麻生山は小富士山の別称で、伝承では、大昔、弓の弦に使う麻が一夜にして生えたことからその名になったとか・・・・。
華厳寺前の広場
 小富士山の山頂から北に進むと華厳寺前に出る(写真上)。華厳寺の前(南)は広場になっており、その両側には石仏がずらりと並んでいる。西国三十三ケ所観音石仏のようだが、いずれも古いもので、華厳寺の歴史を感じることができる。
 なお、華厳寺は無住の天台宗の寺で、麻生(あさお)山華厳寺が正式名称らしい。
華厳寺
華厳寺
不動明王の水場  小富士山の山頂を散策し、そろそろ下山することとした(12:47)。山頂東側に道が下っているのでそれに従う。岩場の下りで、つづらになっている。濡れた岩場は滑るので、注意して下っていると、不動明王が祀られた小さな水溜りがあった(写真左 12:56)。ここは小富士山の山上で使用する水場であったらしい。
不動明王の水場
 不動明王の水場から更に下って行くと、右手側に大きな岩が仁王立ちで、その岩には鎖が垂らされていた。この大岩は「鐘掛岩」といい、修験道の行場となっている。大峰、山上ケ岳の行場に因む命名らしい。鎖を登ってみようと思ったが、神聖な場所つき、辞退することにした。 鐘掛岩に至る
鐘掛岩に至る
鐘掛岩 小富士山を下る
鐘掛岩 小富士山を下る
 鐘掛岩を過ぎると、やがて麓の家並みが間近に見えるようになり、その先、民家の脇で住宅に出てきた(13:10)。小富士山山頂から麓まで20分の距離であった。すぐに、右手側に麻生八幡社(アサオハチマンシャ)がある。ここは地元の子供たちの遊び場となっている。
 なお、麻生八幡社は創建時期は不詳であるものの、その昔、神功皇后が戦勝祈願したことを神社創建とするらしい。
東池から望む小富士山
東池から望む小富士山
小富士山を振返る  麻生八幡社の横に東池があり、その水面に小富士山が映り込んできれいであった(写真上 13:14)。ここからは、ひたすら住宅地の中を歩き、山陽電車の白浜の宮駅を目指す。途中で振り返ると、仁寿山と小富士山の連なりが当方を見送ってくれていた(写真左)。山を歩けたことに感謝しながら、ほぼ一本道の舗装路を進み、白浜の宮駅には13時50分に到着した。
 播磨の三山、御旅山・仁寿山・小富士山の縦走で、展望を楽しんだ一日となった。
小富士山を振返る
●麻生山(別名播磨−小富士)
 麻生山は、古来修験道の山として知られ、山頂には聖武天皇勅願と伝えられる華厳寺がある。当社は明治の神仏分離令が出るまでは、この華厳寺別当の明星院が奉斎していた。麻生山については、神功皇后関係の伝説が多数残っていて、皇后が朝鮮出兵の際、この山に立ち寄られ、戦勝を祈願して弓で地を叩くと、たちまち麻が生えたので、これで弦を作ったという類の話が古記録に出ている。 兵庫県神社庁のホームページ(麻生八幡社)より
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