虚空蔵山・八王子山 (お勧め度★★☆) 関西の山【7-24】

JR藍本駅(9:32)==虚空蔵山登山口(9:58)==虚空蔵堂(10:21)==役行者の祠(10:34)==
陶の郷方面分岐(10:49)==丹波岩(11:02)==虚空蔵山(11:08)==高圧鉄塔(11:49)==八王子山(12:20)
==八王子池(13:02)==JR草野駅(13:30)  (約4時間 平成29年10月8日)  
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 虚空蔵山は、 篠山市と三田市の境をなす山で、山頂からの眺望で人気である。近畿自然歩道に指定された藍本駅から虚空蔵山までは整備が良く歩きやすい。山頂からは立杭陶の郷に下るのが一般的だが、やや距離が物足りない。そこで今日(平成29年10月8日)は、虚空蔵山から北へ続く尾根をたどり、八王子山の三角点まで縦走してみたい。八王子山からは激下りで一気に草野駅を目指す。
JR藍本駅  JR福知山線に揺られ、藍本駅で下車する。
 本日、目指す虚空蔵山は、山頂からの眺望で人気の山である。休日の今日は、ハイカーも多いはずと思っていたが、藍本駅に降り立ったのは二人だけ。意外な気持ちで駅をスタートする(9:32)。
 駅前には「三田市散策マップ 藍・相野コース」の大きな看板があり、付近の地図が載っている。虚空蔵山への道を確認し、駅から南に地道を進む。
JR藍本駅
酒滴神社  すぐ、右手側に酒滴神社の幟が見えてきた(9:35)。
 この神社の由来は、その昔、疫病が蔓延した時、スサノオノミコトと名乗る童子が、神のお告げによって山中に滴り落ちる霊水(酒)を飲むことを勧め、人々を病から救って信仰を集めたことが始まりとされる。
 石造りの鳥居は県下最古の在銘鳥居で県指定の重要文化財となっている。ここは、歴史ある神社である。
酒滴神社
 酒滴神社を過ぎ、藍本郵便局前バス停のところで右折し(9:39)、田んぼの中の道を西に進む。
 この分岐には「虚空蔵山登山道」の表示があり、わかり易い(写真右)。
  稲穂が実り、もう半分ほどの田んぼは稲刈りが終わっている。田んぼの畔には電気柵がめぐらされ、獣の侵入を防いでいる。
藍本郵便局前バス停で右折
藍本郵便局前バス停で右折
舞鶴若狭自動車道  やがて、右手側にため池が見えてくると道は右折し、舞鶴若狭自動車道に沿って北に進む(9:50)。
 すぐに道は自動車道の下を西にくぐる(写真左 9:56)。ここにも「虚空蔵山登山道」の表示がある。
舞鶴若狭自動車道
 トンネルをくぐり、少し自動車道沿いに南下すると「虚空蔵山登山口」となる(写真右 9:58)。
 ここには大きな「近畿自然歩道(丹波焼の郷を訪ねるみち)」の看板があり、現在地から、虚空蔵堂、虚空蔵山、立杭陶の郷、和田寺、デカンショ街道を経て、今田本荘バス停までの道が示されている。
 また、虚空蔵堂の謂れの説明もあり、概要を確認して、山道に入っていく。
虚空蔵山登山口
虚空蔵山登山口
沢沿いに石畳道を進む  登山口から少し舗装された山道を登り、次に舗装が途切れると右手側に小さな沢の流れが登場する。
 いい感じの山道になってきた、と気分良く登ってしまい、確認すべき「石舟」を通過してしまった。石舟は参拝者が手を清めたところで、当方も手をすすぐはずだった。残念だが諦めて、そのまま登っていくこととする。
 山道は次第に石が多くなり、自然の石を敷き詰めた石畳のような道になる(写真左)。ここは参道らしい雰囲気が残っている。
沢沿いに石畳道を進む
 次に流れを渡って左岸歩きとなる。登りがきつくなると共に、石畳の道に水が流れ、歩きにくい箇所も登場する(10:09)。
 ここで、4人のグループを追い越す。
 さらにつづら登りとなった急な山道は、どんどん高度を上げていく。今日は、10月だがやや気温が高く、この登りで汗が噴き出してきた。
 息を整えるようにゆっくりと登っていると、道脇に「虚空蔵堂まであと250m」の道標(写真右 10:14)。あと250mの表示に、少し足の疲労も回復した気分になる。
虚空蔵堂まであと250m
虚空蔵堂まであと250m
虚空蔵堂裏参道分岐  雨水の流れが岩を削ってできた溝状の道を登っていく。先人の足跡が岩肌に刻まれているので、そこに足を運ぶが、今日は岩が少し濡れていて滑りやすく、慎重に登る。
 やがて二本の灯篭が登場した(10:19)。コケの生えた石材は長年の風雨を経てきた様相で、時代を感じる。
 灯篭の先には、「虚空蔵堂すぐ(近畿自然歩道)」の道標が立てられていた(写真左 10:20)。虚空蔵山山頂まで0.7km、虚空蔵堂裏参道の表示もある。
 虚空蔵堂へは、藍本駅の北側より登る裏参道もあるらしいが、その裏参道がここで合流したのだろう。
虚空蔵堂裏参道分岐
 虚空蔵堂裏参道合流地点の道標の先に石段が登場し、それを登りきったところが虚空蔵堂だった(10:21)。
 ここには「虚空蔵寺(堂)」の謂れが説明してある。要旨は以下の通り。 聖徳太子が鏑射寺(現:神戸市北区道場町)を建てられた後、夢のお告げにより、西北の岩辻山の山腹にもう一宇建立され、そこへ虚空蔵菩薩尊像を安置されたことに始まる。創建当時は七堂伽藍があったとされるが、明智光秀の軍により焼亡したり、廃仏毀釈により衰微し、虚空蔵堂を残すのみとなった。 境内に残る鯱瓦は、慶長八年の復興の時に用いられたもので、国宝彦根城のものと同形という。
 隆盛と衰微の虚空蔵寺は歴史の波に洗われ続けた寺だった。
虚空蔵堂
虚空蔵堂
 「虚空蔵寺(堂)」の謂れの説明で、虚空蔵山は古くは岩辻山と呼ばれていたことがわかる。山道を歩いていても、虚空蔵山は大きな岩山のような感じが随所でするが、そのことから古来「岩辻山」の名で呼ばれたのだろう。
 なお、虚空蔵堂にある「清水東条湖立杭県立自然公園(虚空蔵山周辺案内図)」では、うばが谷の水の伝説が説明されている。姥捨て山の言い伝えで、うばが谷の清水を別れの水杯としたのだという。
 その昔の農村の厳しい暮らしは、いずこも同じで楢山節考を思い出した。地図では、虚空蔵山の東側がうばが谷の水とされる。
清水東条湖立杭県立自然公園案内図
清水東条湖立杭県立自然公園案内図
役行者(えんのぎょうじゃ)の祠  虚空蔵堂に手を合わせ、山頂まであと800mの表示に後押ししてもらい、ここを出発した(10:26)。
 お堂の右側から、また、また、ジグザグの急な登りが始まる。キツイ登りで息が上がる。
 ゆっくり坂道を登って、平坦なところに登りつくと路傍に祠があった(10:34)。役行者(えんのぎょうじゃ)の祠で、器に水と賽銭が供えられていた(写真左)。軽く手を合わせ、先を急ぐ。
役行者(えんのぎょうじゃ)の祠
陶の郷方面分岐  更に少し登ると「近畿自然歩道」の道標があり、ここで尾根に乗る。更に、登りが続くが、この辺りでは木々の間から光が差し込み始め、明るい道となる。だいぶ高度が上がったということだ。
 後方を振り返ると、樹木越しに下界の景色が見え隠れし始めた。いい感じになってきたと、思ったところで分岐点となる(10:49)。
 ここから、西側に向かい、陶の郷への道が下っている。道標では、陶の郷まで0.8km、虚空蔵山山頂まで0.3kmとある。
陶の郷方面分岐
 もう少し登ると、古い道標に「陶の郷自然遊歩道 山頂まであと200m」とある。ここから山頂の尾根となる。
 山頂が近づいたが、同時に前方ににぎやかな声も聞こえてきた。どうやら、少し前に大人数のパーティーが進んでいる模様だ。
陶の郷自然遊歩道
陶の郷自然遊歩道
 丹波岩といわれる岩場の少し手前で、立ち止まる。先行の方々が、丹波岩で順番に写真撮影をする声が聞こえてくる。
 邪魔をしてはいけないので、撮影が終わるのを待って、登っていく。
 すぐに大きな岩が山道に立ちふさがるところとなる。それが丹波岩であった(写真右 11:02)。
丹波岩に至る
丹波岩に至る
丹波岩 丹波岩からの展望
丹波岩 丹波岩からの展望
 丹波岩は虚空蔵山の山頂直下にある展望ポイントである。その岩からは、南側が180度の展望で、すこぶる景色良しだ。しばし、ここで休憩を入れる。

 丹波岩の先が、虚空蔵山の山頂だった(11:08)。
 虚空蔵山山頂は、狭い岩場にベンチとテーブルがあり、南側には案内板が設置されている。しかし、山頂は大人数のパーティーが昼食の休憩中で、立錐の余地もない状態となっていた。
虚空蔵山に到着
虚空蔵山に到着
虚空蔵山山頂  虚空蔵山の山頂では、かろうじて山頂表示と案内板を撮影し、先に進むことにした(11:10)。
 ここからは虚空蔵山から北に続く尾根をたどり、八王子山に向けて縦走してみたい。
 虚空蔵山の山頂は人であふれ、先に進む縦走路の位置もよくわからなかったので、食事中の方に尋ねると、詳しい方が丁寧に教えてくれた。ありがとうございました。
 
虚空蔵山山頂
 山頂の大岩を右下から巻くように北に進むと、はっきりとした山道が尾根に続いていた。
 山友会の「クサノ駅」方面を示す道標もあり、八王子山への縦走路は、よく歩かれた感じの道だ。
クサノ駅方面
クサノ駅方面
展望の岩場を発見  少し進むと、東側に小ぶりの展望岩があった(写真左 11:14)。
 景色もよさそうで、急に空腹を覚えたこともあり、当方もそこで昼食休憩とした。
展望の岩場を発見
 食事中に、縦走路を一人のハイカーが進んで行かれた。同好の者がいるもんだと思っていると、また一人やってきた。八王子山を目指し縦走する者も少なくないようだ。
 小ぶりの展望岩から東側への展望は、海見山あたりが見えているのだろうか。知識不足で同定はできないが、海見山なら三等三角点のあるピークだ。
岩場からの展望
岩場からの展望
八王子山縦走路の杭柱  10分ほどで食事休憩を終え、八王子山に向けて出発する(11:25)。
 快適な尾根歩きで気分良く進んでいく。尾根道には古い石柱もあり(写真左)、この縦走路が昔からの道であることがわかる。
 次に、急な下りとなる。岩場の下りで、ここは滑らないよう慎重に下る。
八王子山縦走路の杭柱
 その後も、アップダウンがあるものの、楽しく尾根道を進んでいると、左側から山道が合流してきた(11:34)。立杭方向に下る道だろう。標柱が立てられているが、下り道の案内表示はない。
 なお、虚空蔵山の山頂からここまでは0.15kmとの表示がある。
 火の用心の赤い表示もあるので、この道は関電(丹南線)の巡視路にもなっている。
立杭方向に下る道が分岐
立杭方向に下る道が分岐
虚空蔵山一帯には板状節理が  更に、雑木林の中の縦走路を気持ちよく進む。
 この辺りは、非常に特徴的な板状節理の岩石が随所で確認できる。この虚空蔵山一帯は、板状節理によって形どられている。
 なお、板状節理とは、岩石中に発達する平らな板のような規則正しい割れ目をいう。
虚空蔵山一帯には板状節理が
オロ峠方面の古い道標  山友会「←クサノ駅」の道標と、「オロ峠」と書かれた古い朽ちた道標が登場した(写真左 11:43)。
 虚空蔵山からここまで歩いてきた稜線は、三田と篠山の境界線上であったが、ここから篠山市側に向かい、急な下りとなる。
オロ峠方面の古い道標
 急な下り道は、落ち葉が積もり、滑りやすいので要注意だ。
 慎重に下っていると、プラ階段となった(写真右)。
 これは助かる、ありがたい、と感謝しながら下っていると、ちょうどコル状のところで大きな鉄塔に突き当たった(11:49)。山道は、その鉄塔の下をくぐって続いている。
急なプラ階段
急なプラ階段
八王子山・オロ峠(日本ピラーOB会)  コルの鉄塔からは登り返しとなる。2分ほど登ると道が分岐した(11:51)。左側に登る分岐には「←八王子山・オロ峠(日本ピラーOB会)」の道標がある。
 右側の方には道標はないが、踏み跡はこちらの方が明瞭だ。しかし、ここは八王子山を目指して左側の道を登る。
 左側へ登っていく道は、踏み跡は薄いものの、赤や黄色の残地テープがあるのでそれに従う。
八王子山・オロ峠(日本ピラーOB会)
 麓の集落からちょうど12時を告げるメロディーが聞こえてきたところでピークにに登り着いた(12:00)。
 展望のない小ピークで、すぐに下りとなる。このピークは標高550mほどで周囲で一番標高が高そうだ。
 落ち葉で滑る道を登り下りして、次の小ピークに立つ(写真右 12:05)。このピークも展望はない。標高は530mほどだ。
 他の方のHPでは、この二こぶのピークを八王子山とするものもあるが、ここには特に山名表示はない。
 このピークからは激下りとなる。十分に注意して下る。
標高530m程のピーク・八王子山か?
標高530m程のピーク・八王子山か?
三等三角点(点名:草野)  10分ほど慎重に下って、次に尾根歩きとなる(12:14)。雑木の心地良い尾根歩きで、左手側には麓の集落が見え隠れしている。
 先ほどの日本ピラーOB会の看板から、UP、Downはあるものの、快適な道が続く。
 その尾根道を進んでいると路上に三角点が登場した(12:20)。
 三等三角点(基準点名:草野)である。三角点のピークは495.89mだが、展望はない。ここが八王子山か、それとも先ほどの二こぶのピークなのか、よくわからないが、一応三角点に敬意を表しこのピークを八王子山としておく。
三等三角点(点名:草野)
 三角点のピークからは、道が分岐して下っている。左側は「←ピーク417・オロ峠(日本ピラーOB会)」の表示があり(写真下)、踏み跡がしっかりとついている。多くの者はこちらに進むのであろう。
 もう一方の右側の道は少し踏み跡が薄いが、地図で確認すると、草野駅への直行道のようである。
 今日は、家人から早く帰るように言われていたこともあり、この直行道を下山路に選択した。
 地形図の等高線が密となっているので、勾配のきつさが想定されたが、踏み跡を信じることにする。
八王子山
八王子山
ピーク417・オロ峠方面の表示  麓から聞こえた電車の走行音に後押しされ、草野駅直行道を下り始める(12:24)。
 5分程下ると狭いが展望のある岩場に出て、そこで昼食中のハイカーにお会いした(12:30)。その方、曰く「ここまで、昼食を食べそびれてしまったので、やむを得ずここで弁当を広げています。」とのこと。
  挨拶を交わして、岩場の上ですれ違う。ところが、そこから先が苦難の道となっていた。
ピーク417・オロ峠方面の表示
 岩場の下は、急傾斜の下りで、すこぶる危険な雰囲気だ。斜度は45度くらいだろうか(写真右)。写真では急傾斜が十分に伝わらないが、実際に下ると、とんでもなく急な感じだ。
 補助ロープなどはなく、自然のままで、先人がズリ、ズリと滑って下ったような踏み跡が残る。
 細い木や、岩にすがるようにしながら、一歩ずつ慎重に足場を決めて、下っていく。残地テープもあるので方向を確認しながら、滑り落ちるような感じで何とか下まで降り着いた。
恐怖の激下り
恐怖の激下り
草野駅を示す道標  その先は、傾斜は緩むが更に下り道は続く。
 やがて、関電の「火の用心(丹南線)」が登場した。その先には、「JR草野駅」方面を示す私製の道標が小木に結び付けられていた(12:43 写真左)。草野駅に向かう道であることが確認でき、安心して下っていく。
 次に、高圧鉄塔が道脇に立っていた。高圧鉄塔の下では一人のハイカーが昼食中だった(12:44)。
 その方も、今の急傾斜を下ってこられたのだろう。あいさつして、すれ違う。
草野駅を示す道標
 その先もまだまだ下りが続くが、先ほどのような危険な急斜面はもうない。ただ、一面にシダが覆い、足元が見にくい下り道となっている(写真右)。
 岩稜で滑りやすいうえに、シダで見にくいという悪条件なので、ここは慎重に下りたい。
シダの斜面を下る
シダの斜面を下る
八王子池  さらに15分程下って溜池(八王子池)に降りてきた(13:02)。
 ここで、水嵩の減った八王子池の水面を見ながら休憩を入れていると、先ほど鉄塔のところで昼食をされていた方が下ってきて、追い越していかれた。
八王子池
 八王子池を右側から巻いて下ると、鉄網の橋を渡って杉林の中の林道となる。
 林道を進むと、やがて集落に出てきた(13:20)。ここで濡れたTシャツを着かえて、のどかな風景の中を草野駅に向かう。
 すぐに草野駅に到着したが(13:30)、5分ほど前に電車は行ったとこだった。次の大阪方面行は30分ほど先だ。やむなく、人のいない駅のホームから東側前方に見える海見山(三田市と篠山市の市境)の連なりをのんびりと眺めながら、虚空蔵山縦走ハイクを終えたのだった。
JR草野駅
JR草野駅
 ●本日歩いた草野三等三角点から草野駅に下る道は、激しい下り箇所があり、一般向けのルートではありません。ピーク417(大谷山)から山上山、鎖場を経て草野駅に至るコースの方が楽しめるかもしれないと感じ、次の機会はそちらのコースも歩いてみたいと思いました。
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