西おたふく山・石切道 (お勧め度★★☆) 表六甲【1-43】

阪急御影駅(8:30)==落合橋(9:02)==水車小屋跡分岐(9:16)==打越山分岐(9:41)==五助堰堤(9:47)
==大平岩(10:10)==西おたふく山(11:38)==極楽茶屋跡(12:35)==石切道分岐(12:55)==石切道
==荒神山(14:20)==阪急御影駅(15:10) (約6.5時間 令和2年11月15日)
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 住吉道から西おたふく山に登る登山道で斜面の崩落が発生し、通行注意になっていると聞いた。そこで今日(令和2年11月15日)は、崩落個所確認のため西おたふく山に登ってみたい。コースは、阪急御影から住吉道に入り西おたふく山に登って、石切道で又御影に戻ってくる予定だ。六甲では紅葉も進んでいるだろう。
深田池公園  阪急電車の普通に乗り御影駅で下車する(8:30)。駅を北側に出て深田池公園に向かう。深田池公園では池の周囲に紅葉の木々が散見され、それが水面に映っていい感じの雰囲気になっていた。釣り人が周囲に何人も糸を垂れている。池にせり出した東屋も洒落た感じで、周辺の景色に溶け込んでいた。公園を半周して、消防署の前から蘇州園への道に入る。
深田池公園
車道を北へ  御影の洒落た住宅が立ち並ぶ細い路地を進んでいく。大きな自然石の石垣が並び、御影のブランド力が伝わってくる。やがて、細い道は白鶴美術館の前で住吉川沿いの広い車道に合流した。白鶴美術館は、白鶴酒造創業家の7代目当主が収集した品を展示するため、昭和6年設立されたらしい。その門構えに歴史の重さがにじみ出ている。
 白鶴美術館からは、車道を北に進む(写真左)。
車道を北へ
 くるくるバスの落合橋バス停を過ぎ(8:53)、西谷川にかかる落合橋までやってきた(9:02)。ここで落合橋を渡り、車道を横断するとマンションの前に「住吉道」、「石切道」を案内する道標がある。その道標に従って進むと、道の傍らに水災紀念の碑がたっている(写真右)。これは、昭和13年7月の阪神大水害の水位を示す碑で、台座には「当時出水高」として、線が刻まれている。阪神大水害は住吉川が氾濫し、流域に大きな被害を与えたらしい。 水災紀念の碑
水災紀念の碑
住吉台への分岐  その先、住吉川の右岸道の舗装路を登っていく。右手側に甲南斎場があり(9:06)、斎場の上流で小峯橋を渡る。小峯橋上流の堰堤(神楽岩砂防ダム)から流れ落ちる水音がにぎやかだ。つづらになった舗装路を登って、少し進んだ所で住吉台への道が分岐していた(写真左 9:16)。この分岐には「東谷水車小屋跡」の看板(東灘区役所)が立っている。水車小屋跡を見ていこうと思い立ち、看板に従い住吉川沿いに直進する。
住吉台への分岐
 すぐに廃屋の建つ場所で、登山道と水車小屋跡への道が分岐していた(写真右)。登山道は左に登っていくが、水車小屋跡へは古い橋を渡って左岸に進むようだ。その旨を示す小さな道標もある(写真下)。橋は住吉川に架かる「東谷橋」と表示してある。 水車小屋跡分岐
水車小屋跡分岐
水車小屋跡道標  東谷橋を渡って道は左折している。すぐに廃屋に突き当たった。この建物は、廃棄された犬小屋なども転がっていて、どう見ても水車小屋ではなさそうだ。細い道はつづらになって上に続いているので、それに従って登っていく。道は川からどんどん登っているが、そんなところに水車があったのか??と、疑問に感じながら先に進む。
水車小屋跡道標
 山道はよく歩かれた感じで問題なく登って行ったが、水車小屋跡らしきものは何ら確認できない。へんだな??、と思いはじめたところで広場状の場所に登りついた(写真右)。そこは「労山の森づくり」と書かれた広場だった。この広場には水車小屋跡らしき遺物は何もないが、この広場に住吉川に落ちる水を利用した水車が立っていたのであろうと勝手に判断し、水車小屋跡探査を終えることにした。(なお、山道はまだ上に続いていた。) 労山の森づくり
労山の森づくり
住吉台からの道に合流  水車小屋探査を中途半端に終え、東谷橋までもどってきた(9:24)。ここから、本来のハイキング道に戻り、五助堰堤の方に登っていく。この登りは、結構急な坂と階段が続き、薄っすらと汗ばんできた。少し休憩を挟んでいると、二人のハイカーに追い越されてしまった。その二人に引っ張ってもらうような感じで階段を登り切ったところが、住吉台の住宅地からやってきた山道との合流地点だった(写真左 9:31)。
住吉台からの道に合流
 合流地点から五助堰堤の方に進むと、10分弱で打越山方面の分岐点となる(写真右 9:41)。ここには森林浴ハイキングについての大きな看板がある。なお、ここは石切道への分岐でもある。この分岐では、西おたふく山登山道の斜面崩落注意と、一軒茶屋南のハイキング道の通行止めの注意表示(神戸市森林整備事務所)が掲げてあった。 打越山分岐
打越山分岐
五助堰堤  打越山分岐を過ぎると、植林中のエリアがあり、その先で大きな桜の木が見えてくると、五助堰堤となる(9:47)。五助堰堤は昭和32年の完成で、平成26年10月7日には登録有形文化財(第28−0593号)となった。大臣署名入りの「登録有形文化財登録証」が掲げてあり、誇らしげだ。五助堰堤は昭和42年の集中豪雨時に、12万立方メートルの土石流を受け止めて下流域の被災を防いだという。これからも防災に活躍してほしい。
五助堰堤
 五助堰堤は、左側から大きく高巻いて越える。越えたところで流れを渡る木道が登場する。ここは五助谷と住吉川の流れの合流地点で、幾筋もの水流があるので、木道に助けられる。また、この木道の近辺は、五助山への取付き地点でもあり、幾筋かの踏み跡が北に向かっている。
 木道を二つ渡って住吉川の左岸道に入り、沢沿いに進んでいく。
木道
木道
住吉道の石畳  すぐに杉林の中の暗い道になる。ここは、山道が石畳となっている。敷き詰められた石の畳から、住吉道が古来重要なルートであったことが偲ばれる。その先で、住吉川右岸への分岐点となる(10:02)。そこには、「危険箇所あり。左岸線をご利用ください。」との表示が神戸市によりなされている。よって、左岸をそのまま進むと、すぐに「黒五谷、打越峠」への道が右に分岐する。この辺りも石畳が残っている。その石畳の住吉川左岸道を更に進む。
住吉道の石畳
 黒五谷分岐から約7分で、通報プレート「ひ6−9」の付いた道標が登場する(10:10)。特に表示はないが、ここは住吉川の左岸道から右岸道に渡河するポイントとなっている。川岸の岩を慎重に下って住吉川の流れまで降りる。そこには大きな特徴的な岩があり、その岩に向かって二本の丸太橋が架けられている。この岩は通称「大平岩」と呼ばれている(写真右)。この大平岩から右岸道を遡行していく。 大平岩
大平岩
住吉川右岸道  住吉川の右岸道に入るとすぐに左手側に踏み跡が分岐する。そこは西滝ケ谷沿いに西おたふく山に登る点線のルートだが、歩行者が少ないようで薮の様相だ。今日は、このまま住吉川右岸道を進む。
 住吉川右岸道は古くからの道で、しっかりとした道がついている。爽やかな住吉川の流れにそって遡行していると、古くて朽ちかけた「住吉道」の道標が残っていた。その写真を撮っていると、一人のハイカーが当方を追い越して行かれた。右岸道の愛好者がいることが確認できた。
住吉川右岸道
 更に、歩きやすい右岸道を進んでいくと、通報プレート「ひ6−15」の付いた道標の所で道が分岐した(写真右 10:27)。右折が住吉川を渡って左岸道へ、左折は西おたふく山への登山道となる。そして、西おたふく山への登山道方面には注意表示が立てられていた。西おたふく山登山道では斜面の崩落があり、通行には注意するようにとの掲示で、打越山方面の分岐点に掲示されていたものと同様のものだった。改めて、慎重に進むことを意識しながら、西おたふく山に向かうことにした。 左岸道への渡河ポイント
左岸道への渡河ポイント
本庄橋方面分岐 崩落に注意
本庄橋方面分岐 崩落に注意
 西おたふく山に向かう登山道は住吉川からどんどん離れ、斜面を登っていく。やがて、前方に大きな看板とともに分岐が見えてきた(写真上 10:37)。看板は兵庫県六甲治山事務所の「多目的保安林総合整備事業」のもので、もう相当年季が入っている。この分岐は本庄橋・最高峰方面の分岐で、ここは西おたふく山方向に進む。ここから下草が刈られ整備された道をつづらに登っていくと「崩落注意」の表示が見えてきた(写真右上 10:45)。 前方が開ける
前方が開ける
崩落個所  「崩落注意」の表示の先で前方が開け青空が見えてきた(写真上)。青空に向かって進むと、そこが西おたふく山登山道の崩落個所だった(写真左 10:46)。登山道のすぐ横の斜面がごっそりと剥がれ落ちている。ここは、豪雨が続くと更に崩落が広がる感じだ。ロープが張られているので、それを片手でつかみ、足早に通り過ぎた。
崩落個所
 崩落箇所を過ぎると、山道の周囲に笹が目立ち始めた。笹の中に紅や黄色に染まり始めた広葉樹が散在している。緑色との対比がとてもきれいで癒される(写真右)。 笹道が始まる
笹道が始まる
芦屋方面の展望  更に、笹が両側からせまる坂道を延々と登っていくと、笹道の傾斜が緩み東側に展望が開けてきた(写真左 11:15)。芦屋のゴロゴロ岳辺りの山並みが見えているようだ。
芦屋方面の展望
ブナの森・西おたふく山 西おたふく山笹の道
ブナの森・西おたふく山 西おたふく山笹の道
 次に、一面の笹の中に「ブナの森・峠の小径」の表示が登場した(写真上 11:17)。「峠の小径」の表示は、一面の笹原の中に埋もれそうになって立っていた。笹の中にはしっかりとした山道があり、緩やかに登っている。その少し先で、東側に大きく展望が開けた。西宮から芦屋方面が望め、南に目をやると大阪湾から芦屋浜のあたりまで見えている。それを展望しながら休憩を入れていると、一人のハイカーに追い越された(写真右)。 東側に展望
東側に展望
 その先も、緑の笹の中で紅葉の始まった木々が散在し、その景色に気持ちが和む(写真右)。
 笹の中の道は何ヶ所か分岐があり、笹原の周遊路となっている。以前、周遊路は笹のジャングルで、とても踏み込める状態ではない時期もあったが、今は周遊路沿いの笹は刈り払われて、歩きやすい道になっている。西おたふく山の山頂一帯は、よく整備されている。
西おたふく山の紅葉
西おたふく山の紅葉
西おたふく山  笹の坂道を登っていくと、前方に六甲最高峰、左手側上部に西おたふく山のアンテナが望めるようになってきた(写真左)。この辺りまで来ると、西おたふく山の山頂も近い。ところで、西おたふく山に登ると、どこが山頂なのかいつも気になる。地理院地形図では876mのpeakあたりに「西おたふく山」の表示がある。一方、山と高原地図(2020年版)では867mがピークのようだ。微妙に標高の表示が違うなー・・と思いながら進んでいると、舗装路に飛び出した(写真下 11:38)。
西おたふく山
笹の中で道が分岐 舗装路に合流
笹の中で道が分岐 舗装路に合流
 舗装路への合流点は、六甲無線中継所のアンテナの近くで、その北側は「針葉樹の森」の周遊路の入口になっている。今日は少し「針葉樹の森」の小径を散策してみたい。
 森林整備事務所の森林リフレッシュ事業で笹が刈り払われて整備された「針葉樹の森」の散策路に入る(写真右)。散策路は大きく曲がって南向きの道になり下っている。次に、西向きに下って行く道になった。どんどん下っていて、登り返すのが大変だと思い、そこで引き返すことにした。
西おたふく山針葉樹の森
西おたふく山針葉樹の森
極楽茶屋跡  散策路を登り返していると、トレイルランの練習の方とすれ違った。歩行者が少なく整備された「針葉樹の森」の散策路は、絶好の練習路であろう。「針葉樹の森」散策路から舗装路に戻り(12:08)、その舗装路を北に進む。途中、縦走路が分岐するので、その縦走路を西に入る(12:15)。縦走路は小山をいくつもUP、DOWNするので、何ヶ所かは車道を歩き、極楽茶屋跡までやってきた(12:35)。ここの自販機で冷たい飲料を調達して、休憩を入れる。
極楽茶屋跡
 極楽茶屋跡からは六甲ガーデンテラスに向かう。極楽茶屋跡から10数分で六甲ガーデンテラスに到着したが(12:48)、ここは駐車場がいっぱいで、入場制限された車が渋滞していた。人も多く、大混雑の状態で、密を避けるべく大急ぎで通過した。青空に六甲枝垂れの展望台が映えているが、今日は回避した。 六甲ガーデンテラス
六甲ガーデンテラス
石切道分岐  全山縦走路を進み、石切道の下り口までやってきた(写真左 12:55)。ここには石造りの「石切道」道標がある。石切道は、その昔、六甲山で切り出された御影石を牛車などで運んで、御影の浜から各地に出荷したことに由来する命名で、荷車の通れるような広い道幅の箇所も残っている。
石切道分岐
 その石切道に入ると、最初少し登ったところで右手側の山間に少し展望がある。麓の景色や海が遠望できる。そこを過ぎるとつづらになって急坂を下っていく。その後、傾斜が緩み、笹の中の歩きやすい道になるが、また、すぐに急な下りとなって、ロープ場が登場した(13:13)。ここは湿った岩場の下りで、滑らないように注意して進む。その先で、左手側が切れ落ちたような道になる(写真右 13:22)。ここは少し落石がある。 石切道
石切道
石切道  落石の箇所を過ぎると左手下の五助谷で、堰堤が二つ見えてきた。五助谷第二堰堤だと思われる。その先で石切道は五助谷に沿って平坦な幅広の道になった。そこに通報プレート「ひ7−6」のある道標が立っていた(写真左 13:26)。道標を過ぎると石階段の下りで、ここで下る二人に追い越され、登る二人とすれ違った。石切道は森林整備事務所により森林リフレッシュ事業が施され、歩きやすい道になっているので、ハイカーも増えたようだ。
石切道道標
 次に、石切道はコンクリの舗装路となり、道幅が広がった。舗装は古いもので、劣化が激しい。その荒れた舗装路を下って行くと通報プレート「ひ7−4」の付された道標が立つところで路が分岐していた(13:41)。この分岐には乗用車が一台止まっている(写真右)。ここまで車で来て、石切道を登る人がいるようだ。なおこの分岐は五助滝方面の分岐だが、五助滝方面に少し進むと広場状の所で大きな土嚢が積まれて行き止まりになっていた。 五助滝分岐
五助滝分岐
石切道  石切道に戻り更に下って行く。石切道は、乗用車の止まっていた場所からは、通常の舗装路歩きとなる。石切道らしく、石が山積みになった場所を過ぎて更に下ると、西谷橋分岐の道標の立つところとなる(写真左 13:53)。ここで左に進むと、午前中に通過した大きな看板の立つ打越山分岐に至るが、今日はこのまま舗装路を進み、住吉霊園の方に下ることにする。
西谷橋方面に進む
 西谷橋分岐のところは堰堤工事の現場で、工事がなされる平日は通行注意が必要だ。
 舗装路は歩きやすいが、単調で面白みに欠ける。ただひたすらに下って行くと、周囲に霊園の墓石が見えてきた(14:07)。規則的に並ぶ墓石の中に墓参の方も散見される。霊園の中は、高圧電線の鉄塔が多い。鉄塔は、青空を背に凛と立っている。
石切道
住吉霊園内の車道
荒神山  そんな鉄塔の景色を眺めていて、この墓園内に三角点の設置があることを思い出した。それは荒神山三角点で、設置場所が他の三角点に比べ特異らしい。
 墓園内の各区画は猪が侵入しないようフェンスで仕切られているが、GPSで確認しながら三角点のある区画に進む。そこは真正面に鉄塔が立つ区画で登山地図にも荒神山の表記がある。区画のフェンスの門扉から内に入り階段を登って行った。
荒神山
 三角点は、上の写真のような感じで見上げた位置に設置されていた(14:20)。三角点の標石には近づけないので、少し離れたところから三角点を撮影した。四角柱の上部で少し飛び出した石が荒神山三角点だった。
 荒神山三角点の確認を終え、また、墓園内の舗装路を下り始めた。舗装路は蛇行しながら、結構急な勾配で高度を下げていく。
荒神山三角点
荒神山三角点
住吉川の左岸  やがてバス道に合流し赤塚橋(14:43)、落合橋(14:54)を通過し、白鶴美術館が近づくと住吉川の左岸から東灘区岡本の住宅街が間近に見えてきた(写真左 14:58)。美術館から、朝方通過した住宅地の中を縫うように進み、深田池公園まで戻りついた。公園では、傾きかけた陽光の中で、湖畔のベンチに腰掛けた方々の談笑が聞こえてきた。この公園は素晴らしいくつろぎの空間で、また訪れたいと思いながら阪急御影駅の改札に向かった(15:10)。
住吉川の左岸
● 石切道
 むかし、六甲山で切り出した花崗岩は牛車などで運び、御影の浜から各地に出荷したので「御影石」の名で世に広く知られるようになりました。「摂津名所図会」には、京都や大阪など近畿一円の石橋や鳥居、伽藍の礎石、燈篭などがこの「御影石」で作られたと記されており、六甲山の石材は古くから近畿一円の街づくりに利用されていました。石切道はその名残りです。(神戸市森林整備事務所の古い看板より)
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