こうもり谷西尾根・山陽自然歩道(三津田)(お勧め度★☆☆) 丹生山系【6-16】 |
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神戸電鉄粟生線の電車に乗り、のどかな風景を車窓から眺めながら栄駅までやってきた。駅の自販機で飲料水を調達して8時55分に駅を出発。 駅を出て線路沿いに東に進むとすぐに踏み切りがある。これを北に渡り、道なりに進んでいく。 坂道になって分岐が登場するがここは左に上っていく。 さらに道なりに坂道を登り続ける。どんどん坂道は急になる。道脇に赤色のきれいな花が咲いていたので、南に向って写真を写したが、これで坂道の急勾配がわかるだろうか(写真左)。 |
栄駅方向を振り返る |
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急勾配が終わると山に入り、コンクリートの道から土の道に変わる。 山中の道は車も通れるような幅広の林道である。 この道沿いにはツツジが咲き乱れている。両側に咲くツツジで一帯はピンクの回廊のようだ。これには心が和み、気分も爽快になる。 ツツジの回廊では、健康ウォークだろうか、地元のご婦人方と3人ほどすれ違った。 |
ツツジの回廊 |
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ツツジ回廊を過ぎると、神出山田自転車道に合流となる(9:19)。ここからはコンクリート道を東に進む。 自転車道に合流した地点の道脇には「北区」の表示が立っている。ここで神戸市西区から北区に入る。 神出山田自転車道でもウォーキングの方とすれ違う。 この辺りにお住まいの方は、ツツジ回廊や自転車道で健康のためのウォークが身近にできるのでうらやましい限りだ。 |
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神出山田自転車道 |
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神出山田自転車道をしばらく進むと右手側に北神戸サーキットが見えてくる。 いつもなら、激しいエンジン音が聞こえてくるのだが、今日はサーキットを疾走する車の姿がなく、静かである。サーキット場はまだ開店前かとも思えたが、施設が寂れた様相だ。 調べてみると、サーキットは平成24年の年末で閉鎖となったらしい。エンジン音がうるさいと感じたこともあったが、なくなってしまうと寂しい気がする。 |
さくら橋 |
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北神戸サーキットのところで神出山田自転車道は兵庫県道85号線を越える。ここには「さくら橋」という名の橋が掛けられている(写真上 9:29)。 さくら橋を渡った突き当たりから山に入る。こんなところに山道があるとは、気付かない感じだが、しっかりとした道がついている(写真右)。 この山道はちょうど県道85号線に沿って北に進む。すると、すぐに北区から三木市に入る。この辺りは市区の境界が交差するエリアだ。 山道は10分弱で、アスファルト道に飛び出す(9:40)。このアスファルト道は県道85号線から呑吐ダム(衝原湖)の堰堤に続く道である。 |
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県道85号線沿の道 |
アスファルト道を呑吐ダム方面に少し進むと農林水産省近畿農政局の建物(ダム管理事務所)が見えてくる。 その手前に神社がぽつんとある(写真右 9:43)。 地図では「三津田鍋の宮神社」と表示されている。この辺りには全く民家もないのに、何故、神社がここにあるのかと思う。 以前、ここに来たときには、神社の謂れが、表示してあった(今は、その表示はなくなっている。)。それには、要旨次の記載があった。 |
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三津田鍋の宮神社 |
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三津田鍋の宮神社(通称:呑吐の水神さん) 呑吐の水神さんは三津田地区の水の神様で毎年、田植え後の7月13日は水に恵まれ米が採れることを祈って、また、稲刈り後の10月13日には豊作を感謝して、祭りが行われている。呑吐の水神さんは、呑吐ダムに水没するまでは、呑吐の滝雌滝上部の松林に祭られていたが、昭和60年7月13日に現在位置に遷宮した。
ダムができたとき、その底に沈んだ集落があり、神社はその際ここに移築されたものだった。 神社周辺には散り始めた桜が並んでいた(写真左)。 ひっそりとして、見る者もないが、桜は季節を正直に反映し、枝の先まで手を抜かず花びら広げている。 桜吹雪を独り占めにしながら、しばらくたたずむ自分がいた。 |
呑吐の水神さん横の桜 |
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桜吹雪は見飽きないが、今日は花見だけが目的ではない。そろそろ、ここを出発する。 ダム管理事務所の脇の道を堰堤方向に進む。ここで突然、話し声が聞こえてきた。あたりに人影はないはずなのに何かなと、声の方に意識を集中させると、それは、「展望所」と表示された一角に設置されたスピーカーからの音声だった。 桜やら神社やら、うろうろ散策しながらダムに向う当方の姿を確認したダム職員の方が、親切に、ダムの案内の放送を流し始めてくれたのだろう。 その親切に応えて「展望所」によっていかねばと思い、スピーカーの方に歩を進め、展望所に立ち寄ることとした(9:50)。 |
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呑吐ダム展望所からの景色 |
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「展望所」は管理事務所の片隅に設置されたもので、ダムの堰堤を望むのにちょうどよい場所にある。ダム湖を眺めながら放送に耳を傾ける。すると、ちょうどダム君の自己紹介が始まった。ダム君の趣味は、水を貯めて役立てることだそうで、なかなか殊勲でいい心がけだ。次にダム君は建設費用の話をはじめた。「言いたくないけど」と前置きしながらも「200億円です。」と白状していた。ダムの建設費用として高額の部類に入るのかどうかは知らないが、紹介の声音からすると「どうや!」という雰囲気が伝わってきた。案内放送はダム君の自慢話も兼ねていた。 |
志染三津田方面の景色 |
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自己紹介は延々と続きそうなので、途中で失礼して展望台を後にし、ダム堰堤の方に下っていく(9:52)。
堰堤の上は道路になっていて車の通行も可能である。堰堤からの眺めは良く、北側に志染三津田の長閑な風景が広がる(写真上)。 堰堤中央まで進むと、そこにはダム排水口の操作場らしき場所がある。開閉扉に直結するのか、太いワイヤが下に延びている(写真右)。 恐る恐る下方を覗き込むと、ダムは結構な高さである。高所に足がすくむのを覚え、ここは早々に渡りきることにした。
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呑吐ダムの設備 |
堰堤を渡り切って左に進む。この辺りにも桜の大木が10本ほど並ぶ(写真右)。 花は盛りを過ぎていて舗装路に花びらが散乱している。満開の頃はさぞすごかっただろう。 路面を淡いピンクに染める花びらを見ながら、更に道なりに北に進む。 |
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呑吐ダム堰堤東詰め辺りの桜 |
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ダム堰堤から10分ほど進んで、T字路に立つ大きな案内表示が登場した(写真左 10:11)。 近畿自然歩道の案内表示で、ここが「近畿自然歩道山陽路ルート:つくはら湖をめぐるみち」の道中ということを示している。 また、ここには近畿自然歩道沿線の「千年家」や「満願寺」方面の案内表示に併せ、「広芝池・シビレ山3.8km」方面の表示もある。ここで、近畿自然歩道から外れて進路を右(東)にとり、車止めの鎖を跨いで広芝池方面の農道に進む。 |
近畿自然歩道の案内表示 |
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田んぼの間に続く舗装路を東に進む。 途中の分岐は左に進む。 やがて、溜池の堰堤が見えてきた(10:21)。そこが、広芝池で、池は水をいっぱいに湛えている(写真左)。 広芝池から舗装路が土の道に変わる。そして道幅も狭くなり、山道に突入となる。 |
広芝池 |
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この道は、古くは山陽自然歩道として整備もされていたようだが、今は歩く人も少ないと見えてやや荒れた感じだ。しかし、道はしっかりと残っている。 細く背の高い竹が茂っている箇所もあるが、歩行困難という感じではない。ただ、夏草が茂る頃は、避けたほうがよさそうだ。 10:29 広芝池に流れ込む小川を渡る。水音を立てて、勢いよく水が流れるが、石伝いに簡単に渡れる。 渡った所には古い道標があった(写真右)。山陽自然歩道のころの道標であり、丹生山・シビレ山方面、広芝池方面を案内している。 |
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山陽自然歩道のころの道標 |
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流れを渡って、少し進むと「山陽自然歩道」の古い表示も残されていた(写真左)。 次に、左岸に沿っての登りとなる。崖っぷちの登りで、道が荒れた所もあり、ここは滑落に注意を要する。 急な登りを進むにつれ、左下の爽やかな川音が次第に遠のいていく。 |
山陽自然歩道の表示 |
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左岸を離れ、山肌斜面の登りとなる(10:37)。ここから更に勾配がきつくなる。 倒木やシダ(ウラジロ)の茂る箇所もあるが、自然な感じでそれはそれで納得だ(写真右)。 元々は自然歩道なので自然な感じは当然か。 そもそも、自然歩道は身近に自然や歴史とふれあえるように設定された道と聞く。ここのコースも、もとは整備され楽しく歩けた道だったのだろう。 |
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旧山陽自然歩道 |
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途中、車の音が聞こえてきた。近くの神戸淡路鳴門道からのものだろう。 急坂を登りきった所で太陽と緑の道と合流した(写真左 10:44)。 ここにも古い山陽自然歩道の道標を再利用して太陽と緑の道の表示が取り付けてある。神戸市の119番通報プレート「き2−4−19」もある。 |
太陽と緑の道に合流 |
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太陽と緑の道は山陽自然歩道と異なり、しっかりとした道だ。太陽と緑の道を歩く人も少なくないということだ。 次に目指すコウモリ谷西尾根はここから東に進むが、近くの三角点に寄り道してみる。 この合流地点から太陽と緑の道を西南方向に1分程進むと西に展望が開ける場所がある。ここに対洞四等三角点が設置してある(写真左)。 対洞四等三角点から景色を眺めながら小休止する。 対洞三角点で5分ほど休憩した後、コウモリ谷西尾根を目指して三角点を出発する(10:51)。 |
対洞四等三角点 |
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対洞四等三角点から折り返し、先ほどの山陽自然歩道との合流点を再度通過(10:52)。ここから太陽と緑の道を丹生山方面に進む。 太陽と緑の道に入ると、雨水の流れでV字に掘られたような箇所もあったが、概ね快適な道が続く。この辺りはアップダウンがなく、平坦な道が続いている。ツツジも咲き誇りきれいである(写真左)。 |
ツツジがきれい(太陽と緑の道) |
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時に西方向に展望が開ける箇所がある。景色を楽しみながら進む(写真右 11:08)。 展望は広がりツツジも綺麗だが太陽と緑の道ではまだ誰にもお会いしていない。もっと歩かれていい道なのだが残念だ。 |
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西方向に展望が開ける |
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11:09 119番通報プレート「き2−4−17」のある山陽自然歩道・太陽と緑の道の道標が登場。ここで、関電の看視路が南北に横切っている。南はどんとダムに下り、北はシビレ山方面になる。道標にも黒マジックでその表示がある。 ここを通るたびに、この関電看視路を伝って呑吐ダムからシビレ山にまで至りたいと思っているが、呑吐ダムからの取り付きがよく分からないのでまだ実現していない。また探索してみようと思う。 この道標を過ぎると道は登りとなる。急な登りが続き、息が上り汗も滲み出てきた。 高度が上ると共に、後方(西方向)にどんどん展望が広がってくる。神出、押部谷方面が遠望できるが、平地に並んだ雄岡山 雌岡山の姿が特徴的だ。 |
関電看視路が太陽と緑の道を横切る |
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坂道を10分ほど登ると平坦路となる(11:20)。次にすぐ右(南)に分岐する道が登場する(写真左 11:21)。ここにも山陽自然歩道・太陽と緑の道の道標が立っている。119番通報プレートは「き2−4−16」 ここがコウモリ谷西尾根への分岐であり、道標にも「コウモリ谷西尾根」と黒マジックで記載がある。ここで、コウモリ谷西尾根に入る。 |
コウモリ谷西尾根分岐 |
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コウモリ谷西尾根に入ると、道がすぐY字に分岐する。このY字は左に進む。 尾根に続く踏み跡をたどってダム湖方向に進んでいく。 途中、猪が路面を掘り返し、ふわふわ状態になった箇所もあるが、踏み跡は明瞭である。 緩やかに登ってピーク状のところに三角点が設置してある。北山四等三角点である(写真右 11:29)。 |
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北山四等三角点 |
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北山三角点からコウモリ谷西尾根は下りとなる。この辺りの下りは、落葉が積もり、滑りやすいので要注意である。更に下るとツツジが咲く道となる。 この辺りから小シダが登場する。茂った小シダで足元のルートが確認しにくい箇所が数箇所あるが、この時期はまだ歩行に困難をきたす程ではない。 緑の中に点在するツツジのピンクを楽しみながらコウモリ谷西尾根を下っていく。 11:44 ウラジロのジャングルが登場した(写真左)。ここは少々難儀をするが、歩行不可ではない。シビレ山一帯はシダが多いがコウモリ谷西尾根も例外ではない。 |
ウラジロのジャングル |
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このウラジロのジャングルを越えると、樹間につくはら湖の水面が見えてきた(写真右)。 コウモリ谷西尾根も出口に近づいてきたようだ。 つくはら湖南側の車道を走る車の音も聞こえるようになってきた。
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つくはら湖が見えてきた |
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更に下って、湖面が眼下に近づくと更に急な勾配の下りとなる。 風化した岩場で滑りやすい場所もあり、慎重に下る。 一帯のツツジも綺麗で(写真左)、足場に目をやったり、ツツジを楽しんだりとこの辺りは何かと忙しいエリアだ。 更に下っていくと、いっそう勾配がきつくなり、おまけに落葉で滑りやすい感じで、足元に注意を集中させる。しかし、ダムの周遊路が見えてきた辺りで、ルートがあやふやとなってきた。 |
コウモリ谷西尾根からダム湖を望む |
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周遊路を散策する人の声が間近に聞こえるが、そこに降り付くルートが見つからない。 ここでしばし迷ったが、ここからはコウモリ谷に向かい、岩場を強引に下るのが正解のようだ。 落石防止ネットの太いワイヤーが張られた岩場を下る。岩には赤いペンキで表示があるので、このコースで間違いないだろう。 下り着いたところはコウモリ谷の入口で、入山注意の掲示があるところだった。 |
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コウモリ谷西尾根 |
さて、ここからは、橋の下をくぐり、湖面の脇から周遊路に出るのであるが、橋の下をくぐったところで唖然とした。 なんと、たっぷりと水を湛えたどんとダムが、湖面の水位をいつもより上昇させ、歩行ルートを水没させているではないか(写真右)。水没の程度は15cmほどのようだ。どうしよう!と、ここでしばし呆然となる。しかし、水面近くをよく見ると、石がいくつか並べてある。先人が、石で水難を逃れようとしたようだ。当方も早速その石を利用することにした。しかし、だめだ。石はぐらつき、下手をすると、湖に落ちかねない。しばし思案の後、靴を脱いで、はだしになり、そこを突破することにした。 |
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水没 |
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10数分を要して何とか水没地点を脱出した(12:22)。湖に落ちなくてよかったと安堵する。濡れた足を湖畔で拭いながら、帰りのルートを考えた。今日は、まだつくはら湖畔の桜が残っていそうなので、ダムの周遊路を辿ってみることにする。 コウモリ谷を出た所から、ダムの堰堤まで周遊路が続いているので、そこをてくてくしてみよう。 桜やツツジを楽しみながら周遊路を進んでいく。 やがて衝原大橋のところで、直進する周遊路に鎖が張られ進入が阻まれていた。落石の危険があるとのことだが、歩行が禁止されているようではないので、注意して進むことにする。 |
自転車道の桜 |
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周遊路沿いには桜が植えられた箇所が何箇所かあり、そこを散策する人や、ジョギングを楽しむ人もいた。 やがて、ダム堰堤に到着(13:04)。ここからは、午前中に歩いた道を逆に戻っていく。 呑吐の水神さん、県道85号線沿いの山道、さくら橋(13:19)、神出山田自転車道と進む。 神出山田自転車道からツツジ回廊の山道に入り、栄駅には13時50分に到着した。 今日は、桜の名残と咲き誇るツツジを堪能した花いっぱいの山歩きでした。 v(*'-^*) |
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衝原湖周遊路沿いの桜 |