黒岩尾根・山寺尾根 (お勧め度★★☆) 表六甲【1-8】 |
前日の雨も上がり、まずまずの天気となった日曜日。さっそく心身のリフレッシュと脂肪の燃焼を兼ねて、六甲山ハイキングに出かけることにした。脂肪燃焼にはある程度ハードな運動も必要とされる。そこで、厳しい登りが連続することから、今まで自分の中で意識的に避けてきた黒岩尾根に今日はチャレンジし、摩耶山を目指すことにした。
黒岩尾根へのアプローチはJR新神戸駅から布引谷を北上する。新幹線のガード下にある市ケ原と布引の滝方向を示す矢印の前を12時40分にスタートした。 |
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布引展望所からの景色 |
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布引の滝(雌滝) |
布引の滝(雄滝) |
歩き始めてすぐに砂子橋、この橋を渡ると道が上下に分かれている。ここは下の道を進むとすぐに「布引雌滝」に到着する(写真上)。さらに階段を登り返して上流へ少し進むと、「布引雄滝」に到着である(写真右上)。前日の雨で水量が増加した滝は耳を劈くばかりの音を立てている。おまけに、水しぶきが霧のように舞って一面に漂っている。濡れ鼠になりそうなので、ここはすぐ退散する。 |
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頭上近くにゴンドラ |
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階段を登り、茶店の横を通過して坂道を登ると布引ダムへ続く道に合流し、その先で右手側に展望台がある。この展望台からは神戸の町並みが手にとるように臨まれる。ここは、なかなかのビューポイントである(冒頭の写真)。 頭上近くに布引ハーブ園のゴンドラを見ながら、更に、布引ダムに向かって進むと、こんどは左手側にかずらが巻かれた吊り橋が見えてくる(写真左 13:00)。この橋を「猿のかずら橋」と呼ぶ。 |
猿のかずら橋 |
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このかずら橋は、もと「猿の架け橋」と言われていたものであるが、六甲山を愛する市民などの集まりである「六甲楽学会」のメンバーが、六甲山で繁茂するツル植物を取り除き、樹木の健全な成長を図り、さらにこれらのツルを活用する試みで「かずら」で橋をデコレーションしたものらしい。「六甲山」にちなんだ2006年5月3日に完成お披露目式が行われたと、傍らの説明板に書いてあった。 |
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猿のかずら橋の説明板 |
猿のかずら橋を過ぎて更に山道を登っていくと、やがて布引ダムの堰堤が見えてくる。この辺りから後ろを振り返ると、谷あいの山の切れ目に布引ハーブ園のゴンドラが浮かんでいるのが見える(写真右)。 |
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谷あいに浮かぶゴンドラ |
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布引貯水池と夢風船 |
布引貯水池1 |
更に進んで布引貯水池(布引ダム)に到着した(13:10)。今日は、ダムの水が満杯の状態で、ものすごい勢いで水が吐き出されている。この勢いで水を送り出されると、下流の布引の滝も凄い音を立てて張り切らざるを得ない。 ダム湖の水面は、周囲の山々の新緑を反射させて綺麗に輝いていた。(写真上、右上、右) |
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布引貯水池2 |
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ダムを過ぎ、更に進むと紅葉茶屋、あけぼの茶屋、桜茶屋の3軒の茶屋があり、そして市ケ原の川原に到着となる(13:30)。この辺りはいつも休憩するハイカーでごった返している。当方は、それらの人々の間を縫うようにして先に進む。 茶屋を過ぎて、道がまた登りにかかる辺りで右手側を望むと、そこには世継山が望める(写真左)。この世継山南斜面には平成3年に開園した布引ハーブ園がある。左の写真では山の上部にそのハーブ園の屋根が見えている。 |
世継山 |
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更に進むと、こんどは左手側に高雄山の雄姿が現れる(写真右)。市が原から、この高雄山への登り道は、南ドントリッジといわれる急な山道である。 まわりの山々を眺めながら進んでいると、やがて稲妻坂へ続く縦走路が右に分岐していった(13:40)。次に地蔵谷へ続く道が同じく右に分岐していった(13:45)。するとここで問題勃発である。いつもであれば飛び石伝いに軽く越えられる沢が、昨日の雨で増水し、飛び石の頭が水面すれすれになっている。油断すると靴はずぶぬれとなりそうである。 |
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布引谷から望む高雄山 |
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如何にしたものかと思案していると、前方から3人のおばちゃんハイカーがやってきて、増水した沢を物ともせず、ざぶざぶと渡り終えた。「スゲー!大胆〜!!」と呆気にとられたが、考えてみると、トエンティークロスを下ってきたであろう、おばちゃんたちの靴には、もうこれ以上入らないと思われるくらい水が入っていたようだ。 何とか沢を渡り終えると、すぐに黒岩尾根への分岐となった。ここには付近のハイキング地図が記載された案内板と黒岩尾根方面を示す標識が立っている(写真左)。 |
黒岩尾根への分岐 |
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黒岩尾根 |
黒岩尾根の急な登り階段 |
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黒岩尾根は、いきなり急な階段の登りで始まった(13:46)。予想通りの急登である。この急斜面は想定内だ!などと考えながら15分程度登って、平坦な尾根に出てきた。ここの平坦尾根ではトエンティークロスの谷底とワイヤーを張って、何やら工事が行われている。2分ほど平坦な道が続いた後、又登りとなった。10数分登り続けて平坦路に出た。やれやれ!と感じる間もなく、20歩程度進んだだけで平坦路は終わり、又々登りとなった。何とか気合を入れ直して急な登りに挑む。 |
黒岩尾根から見た摩耶山 |
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急登の連続に喘ぎながら進んでいると前方に梯子のようなものが見えてきた。へー!梯子の登りもあるのかと思って近づいていくと、それは梯子などではなく、極端な急階段が遠目には梯子のように見えているだけであった。 梯子状の急階段を何とか登り終えると平坦路となった。この辺りからは右手側に摩耶山を望むことができた。尾根道は、ここまでうっそうとした木々に囲まれ、景色を望むことはできなかった。よって、摩耶山が望めるこの場所は、ちょっとしたビューポイントと感じる(14:30)。 |
尾根道に神戸市堺 |
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次に又5分ほど登った後、平坦路となった。この平坦尾根には旧神戸市堺標石があった。(写真右 14:35) ところで、黒岩尾根は、ほとんどハイカーはいないだろうと思っていたが、今日はここまでで尾根を下ってくる4組のハイカーにお会いした。黒岩尾根は、意外と人気のコースなのだろうか。急登の坂道を登っているときにお会いしたハイカーの方には思わず「登り道はまだまだ続きますか?」と不覚にも救いを求めるような目で尋ねてしまった。答えは、「(お気の毒ですが、)まだまだ続きまよ。」であったことは言うまでもない。 |
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神戸市堺 |
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旧神戸市堺標石を越えると道は下りとなった。摩耶山はまだまだ先であるので下り続けるはずはなく、当然下りの次は登りが待っていた。しかし先程までの急な登りに比べると、この辺りの平坦路をはさんだアップダウン路はかわいいものである。 このアップダウンの道を進んでいると、突然、日の当たる明るい尾根に出てきた。ここで登ってきた尾根道を確認すべく後方を振り返ると、そこには絶景が広がっていた(写真下 14:50)。眼下の山々が、まるで緑の雲海のように広がっている。ここで、しばし景色に見とれながら、休憩タイムとした。 |
平坦な尾根道 |
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黒岩尾根から望む絶景 |
緑の雲海のように広がる山々 |
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5分ほど休憩した後、摩耶山を目指して出発した(14:55)。 この辺りの平坦となった尾根道には、ベンチも据えられている。このベンチで、ここまでの急な登りで疲れた足を休めながらハイキングを楽しむのも、一つの選択肢である。しかし、当方は時間がないのでベンチを利用することなく先を急ぐことにする。もう午後3時を回ってしまっている(15:05)。 |
黒岩尾根の道標 |
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やがて、道は下りとなり、湿地帯のようになった場所に出た。ここまで、かなり山を登ってきた気がするが、ここでは沢の中を水が音をたてて勢いよく流れている。「こんな山の上に川があるのか。」などと感心しながら進んで行くと、山道は広場状の場所を過ぎ、やがて、また登り道となった(15:15)。 |
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湿地帯の林 |
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やがて道は木々に覆われ薄暗い鞍部にでてきた。ここでは、右手側にアドベンチャールートが分岐している。標識に、「アドベンチャールートを経て地蔵谷」と表示されているのですぐわかる(写真左)。なお、アドベンチャールートは、地蔵谷を経て縦走路である天狗道まで繋がっている。 黒岩尾根も、このアドベンチャールート出合いまでたどり着けば4分の3は制覇した計算だ。気持ち的にもやや余裕が出る。 |
アドベンチャールート出合い |
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アドベンチャールート分岐を過ぎると、道は又登りとなった(15:20)。5分ほど登って平坦路に出ると、そこから左手側に桜谷方面に続く道が分岐していった。摩耶山へはここを右にとる。すぐに学校の運動場のような鉄棒のある広場に出た。なんだここは?と思って確認すると、そこは神戸市が作ったトリムコースであった。 |
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掬星台(摩耶山) |
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山上に、トリムコースという健康運動施設が設置されているのであった。利用者はどの程度存在するのか。いやいや、利用者を考える前に、こんなところにトリムコースがあること自体をどの程度の者が知っているのか?偶然やってきたハイカーを想定しているのか?・・ などと、どうでもいいようなことを考えながら進んでいると、いつの間にやら道は縦走路に合流し、掬星台に到着していた(写真上 15:35)。ここは、星が手に掬えるようにながめられる場所ということで、掬星台と命名された。夜景のスポットである。 |
掬星台からの景色 |
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掬星台に到着した時間は、午後3時半をまわっていたが、まだたくさんの人が山上からの景色を楽しんでいた。掬星台から神戸市外を望むと、写真上のような感じである。(*^o^*) 当方もここで小休止とし、疲れた足を休めることにする。 なお、掬星台からは、「まやロープウェー」と「まやケーブル」を使って簡単に麓まで降りることもできる。 |
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山寺尾根への下り口 |
15分ほど休んで、今日は山寺尾根から麓に下っていくことにした。山寺尾根への降り口には標識が立っているので分かりやすい(写真右上)。 山寺尾根を下り始めた(15:50)。尾根道の最初は、掬星台の展望台テラスの下に急にもぐりこむかのような感じの階段で始まる。おまけに、この階段は非常に急勾配である。足を踏み外すと、ずっと下まで滑落することになるので、ここはくれぐれも慎重に足を運びたい。 |
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山寺尾根から長峰山を望む |
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急階段の次は、木々の根っこと大小の石が絡み合った急勾配の斜面となる。そして、この辺りは、周りが深い樹林に囲まれており、すこぶる暗い。日が落ちてしまった山道を下っているかのような錯覚さえ覚える。 5分から10分程度、急坂を落ちるかのように下ったのち勾配がやや緩やかになった。この辺りからは、左手(東側)に長峰山を望むことができる。山名の通り、長く伸びた峰の稜線が海に向かって延びている(写真上)。 |
山寺尾根 |
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急な下りを抜けると、尾根道自体の周囲も明るくなる(写真上)。明るくなった尾根道からは、前方(南側)に、海や町並みが眺められる。写真右は、尾根道のすぐ横にあった大岩によじ登り、六甲アイランドから大阪湾を望んだものである(16:20)。 しかし、山寺尾根の下りはなかなか厳しい。荒れた山土の急斜面は滑りやすいのでくれぐれも注意を要する。所々に、岩石や木の根っこが顔を出しているので、これを足場として利用しながら、また、細い立ち木に掴まりながら下っていく。ここでは、歩幅は小刻みが鉄則である。大またでの下りは、足を滑らせると、即、故障に繋がるのであるから・・。 |
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山寺尾根からの景色 |
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なんとか無事に麓まで下ってきた。杣谷砂防ダムの広場にたどり着いたのは16時40分頃であった(写真左)。ここでは、まだ複数の家族連れグループが、飯盒炊飯をしながら元気な声を上げていた。ここのダムの広場は、休日のテント場として有名である。 さらにここから阪急六甲駅を目指して坂を下って行く。味気ないアスファルト道をとぼとぼ歩き、駅へ到着した時刻は17時15分となっていた。 今日は、ハードな登りの黒岩尾根と、ハードな下りの山寺尾根を征服して、超ベリーハードながらも充実の1日となった。(*^o^*) |
杣谷堰堤の山寺尾根分岐 |
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