黒岩西尾根・布引ハーブ園東尾根  (お勧め度★☆☆) 表六甲【1-25】

黒岩尾根の枝尾根の一つ、黒岩西尾根と
布引ハーブ園の東側の尾根(布引ハーブ園東尾根)を探索した記録です。

Route MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 平成23年は寝正月で始めてしまった。すっかり運動不足の状態にある。これはいけないと、今年初めての山歩きに繰り出すことにした。
 どこに行こうかと考えたが、従前から気になっていた黒岩尾根の枝尾根を今日(平成23年1月9日)は探索してみることにした。
 併せて、新神戸から摩耶山を目指すときに、全山縦走路に比してショートカットとなる布引ハーブ園の東側の尾根道(以下「布引ハーブ園東尾根」と表記する。)を歩いてみようと思う。
砂子橋からスタート
砂子橋からスタート
みはらし展望台からの景色  布引ハーブ園東尾根道は新神戸駅の北側にある大きなハイキングマップにもそのルートが示されているので、これで確認できる。
 新神戸駅には10時30分に到着した。駅裏のハイキングマップを確認すると、布引ハーブ園東尾根は「みはらし展望台」から北に延びているようだ。さっそく、展望台を目指して出発する。
 すぐに砂子(いさご)橋を渡る(写真上)。ここではいつも杖が売られているが、今日は店が出ていない。今年の初売りはまだのようだ。
 砂子橋は布引水路橋といい、布引の滝で汲み上げた水を浄水場に送るために明治33年に作られた(国指定重要文化財)。
みはらし展望台からの景色
 多くのハイカーに混じり布引の滝を巡った後、みはらし展望台まで登ってきた。
 ここから眺める町並みの展望はいつも素晴らしい(写真上)。そのみはらし展望台を奥まで進むとトイレがあり、その先に展望台の北を走る車道に上る階段がある。
 その階段を登って車道に出ると「市ケ原・摩耶山」と記載された標識と、急勾配の鉄の階段が目に入る(写真右)。
 この階段から布引ハーブ園東尾根が始まる。
みはらし展望台の北の鉄階段を登る
みはらし展望台の北の鉄階段を登る
布引ハーブ園東尾根  鉄の階段を登るとすぐ板の橋を渡り、次に尾根へと登る斜面に取り付くことになる。
 急勾配をつづらの道が登っている。その先はさらに勾配が急になる。丸太で階段が作られているが、だいぶ荒れていて、歩き難いことこの上ない。
 この荒れた尾根道は登りはまだ良いが、下りの場合は相当注意が必要と思われる。
 そういえば、登り口の案内標識にも「急傾斜あり。注意!」の表示があった。その警告どおりの急勾配であるが、この尾根道は布引ハーブ園のある世継山まで一気に上るのであるから急傾斜は当然なわけだ。
布引ハーブ園東尾根
布引ハーブ園東尾根の通報プレート  布引ハーブ園東尾根の急傾斜に息も絶え絶えになりながらも何とか歩を進めていく。途中、平坦な尾根の部分もあり(写真左上)、そこではほっと一休みである。
 急勾配と荒れて滑りやすい路面に悪戦苦闘しながらも、何とかピーク状のところにたどり着いた。
 そこには神戸市の通報プレートのある案内表示が立てられていた(写真左)。ということは、一応、この布引ハーブ園東尾根道は、神戸市の管理の対象とされたルートのようだ。
布引ハーブ園東尾根の通報プレート
 また、標識の立っているピーク状の場所には、休憩用のベンチとテーブルも造られていた。しかし、それらは相当古いもので、今では到底使用に耐えられない状態に成り果てている(写真右)。
 整備がされなくなって以降、相当月日が流れたようだ。
 このピーク状の場所は、布引ハーブ園の風の丘駅の近くであり、その駅とはちょうど標高が同じ程度に位置している。
布引ハーブ園東尾根の休憩所
布引ハーブ園東尾根の休憩所
布引ダムの鳥居からも登れる  ところで布引ハーブ園の風の丘駅へは、布引ダムの堰堤のところからも登れることをご存知だろうか。
 布引ダム湖畔に「ご利益がございますのでお参りしてください」と書かれた鳥居が立っている(写真左 何のご利益があるのかは不明)。
 鳥居の脇には「↑布引ハーブ園」の表示もある。
 この鳥居をくぐって、階段を登っていくと小さなお社があり、このお社から、さらに上に向かって道が続いている。
布引ダムの鳥居からも登れる
 小さなお社から上に伸びる道は、急傾斜のつづら道であるが、よく手入れされていて歩きやすい(写真右)。
 布引ダムの湖面を見下ろしながら、坂道を登っていくと、すぐにアスファルトの車道に出る。この道を左手側に進むと市ケ原に至るが、右に進めば1分で布引ハーブ園の門に出る。この門を入るとすぐ風の丘駅であり、さらに道なりに進むと、鉄製の小さな門が右手側に見えてくる(写真下)。この門を入って、少し坂道を登ると、すぐに布引ハーブ園東尾根に合流する。
布引ハーブ園への急登
布引ハーブ園への急登
ハーブ園から東尾根への入口 工事中の布引ハーブ園
ハーブ園から東尾根への入口 工事中の布引ハーブ園
 更に、布引ハーブ園東尾根を登っていく。
 先程の荒れ果てたベンチのあった休憩所からも、さらに急登の道が北に続いている。
 風の丘駅から頂上の布引ハーブ園駅まで、ロープウェー一駅分の高度さを一気に登っているのであるから、その急勾配の程度がおわかりいただけるだろう。
 なお、布引ハーブ園は園内改修工事のため平成22年11月29日から平成23年3月31日まで休園中である(写真右上)。立入禁止となっているので、ご留意願いたい。
 なお、開園していたころの展望レストハウスの様子は写真右のような感じ!!
布引ハーブ園(展望レストハウス工事前)
布引ハーブ園(工事前)
震災被害を残す苧川谷斜面  布引ハーブ園東尾根は布引ハーブ園を過ぎてもまだ北に伸びている。
 しばらく進むと右手側に震災被害の爪痕をくっきりと残す苧川谷斜面が見えてきた(写真左)。まだまだ復旧工事が続いているようだ。
 更に進んで布引ハーブ園東尾根道は稲妻坂に合流した(11:52)。
 新神戸から稲妻坂を目指す場合、市ケ原を経由するコースを採ると布引ダム湖畔を大きく迂回することになるが、布引ハーブ園東尾根道は直線コースで、だいぶショートカットで稲妻坂まで到達できる算段だ。
震災被害を残す苧川谷斜面
急登の稲妻坂  次に、稲妻坂を摩耶山方面に登っていく。
 布引ハーブ園東尾根では全く人に出会わなかったが、稲妻坂に入ると多くのハイカーが摩耶山を目指していた。
 急な稲妻坂をものともせず、どんどん登っていく人も多い(写真左)。
 あれよ、あれよと言う間に、数人に追い抜かれてしまった。
急登の稲妻坂
 稲妻坂を更に登ると、辺りに白い物が目立ち始めた。昨夜にでも降ったのであろう雪がまだ残っている(写真右)。多くのハイカーに踏まれて固まった雪は滑り易く、あまりハッピーではない。不安になって、上から下ってこられた方に、雪はずっと続いているのかとお尋ねしたところ、そうでもないとのお返事。気を強くして、また、登り始める。
 12:09、学校林道の分岐に到着した。ここはいつも休憩者が多いポイントだ。今日も20人程の若者のパーティーが一服していた。
 少し離れたところでは、一人のおじさんが、縮こまった感じで昼食の弁当を広げていた。大人数の横では、ゆったりと昼食はできないようだ。
雪の残る稲妻坂
雪の残る稲妻坂
地蔵谷出会い  12:28、行者尾根分岐。ここでも複数名のパーティーが休憩していた。
 12:40、アドベンチャールートへの分岐に到着。ここで左折してアドベンチャールートへ入る。
 この分岐でも5名のパーティーが休憩をとっていた。
 摩耶山を目指していると思われるその方々には、あと少しで摩耶山頂上に至るというこのポイントで左折して、摩耶山に背を向けた当方を、不思議そうな感じで見つめていた。しかし、当方はこれから黒岩尾根を目指さなければならないので、ここもショートカットなのだ。
地蔵谷出会い
 アドベンチャールートへ入ると道がどんどん下っている。約5分下って地蔵谷への分岐点に到着(写真上 12:40)。この辺りにも多くの雪が残っている。
 そこを過ぎると、岩場の道を少々平行移動した後、鎖の張られた急坂の下りを二箇所経て、谷底までおりてきた(12:47)。
 この谷底にはベンチが二つ設置してあり、休憩ポイントなっている(写真右)。
 ここは夏場は木々の葉が繁り、薄暗い場所だが、冬場は光が差して意外と明るい。
アドベンチャールートの休憩所
アドベンチャールートの休憩所
アドベンチャールート謎の鎖場  ベンチが二つ設置してある所を過ぎると、アドベンチャールートは登りとなる。そしてすぐ一つ目の鎖場が登場する。しかし、この坂は特に鎖に頼るまでもない。
 次に5分ほど登って右手側に鎖場の登りが分岐している箇所に至った。しかし、この鎖場はあまり人が登った形跡がない(写真左)。この鎖を登った所はどうなっているのか気になったので、登ってみた。
 するとそこは、錆びて朽ちかけた案内板と方位盤が設置された高台となっていた(写真左下)。そして、その高台には三本足の風向計も設置されていた。
アドベンチャールート謎の鎖場
アドベンチャールート謎の砦 計測を続ける風向計
アドベンチャールート謎の砦 計測を続ける風向計
黒岩尾根に合流  この高台は、アドベンチャールートに設けられた砦風の場所であり、このルートの目玉施設としてその昔に造られたのかもしれない。しかし、今は忘れ去られて、誰一人その存在さえも知らない場所に成り果てているようだ。
 だれも観測をしてはくれないのに、風向計だけは風向きを絶えず知らせてくれていた。
 風向きを示す矢印は、錆びない金属でできているのか、光沢を残し真新しいものと錯覚するが、木々が茂って自然に帰りつつあるこの砦を、一人で守っているかのようであった。
黒岩尾根に合流
 アドベンチャールートにはもう一箇所鎖場があり、そこを登って更に少々進むと、黒岩尾根へ合流する(写真上 13:07)。
 この合流地点も、夏場は葉が茂り薄暗いが、冬枯れの今日は日が差し込み明るい感じだ。
 ここから、黒岩尾根を下っていく。下りといっても黒岩尾根の下りは一筋縄ではない。きついアップダウンを繰り返しながらの下りである。
 途中、雪の残った場所もあり、慎重に進む(写真右)。
雪の黒岩尾根
雪の黒岩尾根
 アドベンチャールートが黒岩尾根へ合流した場所から20分程進んだところで、6人のパーティーが休憩されていた。黒岩尾根で今日始めて人と合った。そこから2分進んで写真右の案内看板のある場所に至った(13:28)。ここには119番通報プレート「ち50−1」の設置もある。
 ここが今日、目指そうとしている黒岩尾根の枝尾根への分岐点と想定される。それは、ここに設置してある案内地図に、マジックでそれらしいルートが書き込まれているからである。それに明確な踏み跡がここから分岐してしていることも、その想定を真実足らしめている。
黒岩西尾根への分岐
黒岩西尾根への分岐
すぐにベンチが登場 黒岩西尾根(ベンチからへの景色)
すぐにベンチが登場 黒岩西尾根(ベンチからへの景色)
左側の尾根に少し進む  分岐点から踏み跡に従い、黒岩尾根の枝尾根に足を踏み入れた。
 すぐにベンチが2つ設置された休憩ポイントが登場した(写真左上)。ここからは前方に視界が開け、鈴蘭台方面の町並みが遠方に確認できる(写真上)。
 さて、ここで突然思案タイムと相成った。踏み跡が分岐しているのである。
 踏み跡のうち1本はベンチからまっすぐに西方に向かい尾根を下っている。もう一本はベンチから右に向かい斜面を下っている。
左側の尾根に少し進む
 そこでまず、ベンチからまっすぐ西方に向かい尾根を下っているルートを探索してみることにした。
 踏み跡は尾根をどんどん下っている(写真上)。
 直感的に、この踏み跡を辿ると何とか麓まで下れそうな気がした。しかし、あまりテープ等の表示が見当たらない。
 そこで、またベンチの設置のあった場所まで登り返し、今度はベンチから北に向かって下っているルートの方に踏み込んでみた。こちらの方が、先程のルートより明らかに踏み跡が明確である(写真右)。よって、今日はこちらのルートを下ってみることに決定した。
右側の黒岩西尾根に入る
右側の黒岩西尾根に入る
急な下りの黒岩西尾根  さて、これから下る黒岩尾根の枝尾根は、黒岩尾根の西側に張り出したものであるから、これを「黒岩西尾根」と呼称する。

 黒岩西尾根は踏み跡明瞭であるが、すこぶる急勾配である。樹林の中では木々の枝に掴まりながら、また岩場の下りでは、慎重に足場を確認しながら、下っていく。ここは十分注意したい。
 その勾配の急さ加減は、「登りではこの尾根道を使いたくないな。」と思える感じ、と表現すればいいだろうか。
急な下りの黒岩西尾根
 黒岩西尾根を下っていると、途中右手側(北側)に景色が広がっている箇所があった(写真右)。遠くに、山々の連なりが見える。それは、石楠花山辺りの山々であろう。
 また、黒岩西尾根の左手側(南側)にも、枝尾根が平行して下っている。そちらの尾根の方が、この黒岩西尾根より大きな尾根筋のような気がする。
 おそらく、先程のベンチが二つあった所をまっすぐに下るルートが、その尾根を伝っているのだと思われる。
黒岩西尾根から石楠花山方面を望む
黒岩西尾根から石楠花山方面を望む
快適な黒岩西尾根道 黒岩西尾根に踏み跡が続く
快適な黒岩西尾根道 黒岩西尾根に踏み跡が続く
最後の下り(黒岩西尾根)  黒岩西尾根を下り始めて25分程度のところで、道が分岐していた(14:03)。右のルートは、尾根筋から谷に下っている。踏み跡も薄い感じだ。本線は、尾根筋をそのまま進んでいるようだ。
 ここは、尾根をそのまま進むのが正解と思い、まっすぐ進む。
 しばらくは、平坦な道を快適に進み(写真左上)、さらに馬の背のような尾根筋(写真上)を過ぎると、また道は下りとなって(写真左)、やがてトエンティクロスに降りついた(写真下 14:20)。
最後の下り(黒岩西尾根)
 下りてきたところは、「土砂流出防備保安林」と書かれた白い大き目の看板と、同じく「土砂流出防備保安林」と書かれた黄色に赤淵の小さな看板が並び立っているところであった(写真下)。
 そのポイントには、テープ等の表示は特にないが、まばらに笹が生えている中に、薄い踏み跡がついているので(写真右)、注意すれば把握可能な感じである。
 しかし、今まで何度もこの黒岩西尾根の登り口を探索して周辺をさまよったが、この登り口には全く気がつかなかった。迂闊としか言いようがない。
トエンティクロスに合流
トエンティクロスに合流
保安林の表示が目印  ここからは、トエンティクロスを下り、市ケ原、布引ダムを経て新神戸まで帰ろうと思う。

 トエンティクロスを歩くのは久しぶりだ。爽やかな水の流れを聞きながら小道を進むと、すぐに二十渉堰堤に至った(写真下 14:30)。
 二十渉堰堤は昭和26年3月の完成であり、高さ20m、長さ76mという大きなダムである。
 堰堤の中ほどに開けられた二つの穴のうち、向かって左側の穴から、豪快に水が吐き出されていた。
保安林の表示が目印
 更に、トエンティクロス(二十回交差)を下っていく。
 何度か、流れの中に置かれた大きな石(飛石渡し)を渡り、気持ちよく渓流沿いの道を歩いていると、分水嶺越の分岐辺りで工事現場に遭遇した。
 苧川谷斜面の復旧工事に関連するのものかもしれない。
二十渉堰堤
二十渉堰堤
飛び石渡しをレールが横切る  更に下っていると、川沿いに工事用のレールが登場した。地質調査のものと書いてある。
 このレールは、飛石渡しを遮りながら、延々と続いている(写真左、下)。
 今日は調査も休みのようだが、このレールの上を資材をつんだトロッコが行き交う中を、ハイキングするのはやや危険な感じである。
 工事が行われているときに、ここを歩かれる方は十分注意が必要だ。
飛び石渡しをレールが横切る
 その後、「どこまで続くの!このレール?!」と思いながら、新神戸の駅を目指して下って行ったつもりであったが、レールがどの辺まで続いていたか、記憶にない。
 物忘れが激しいのか、注意力散漫か??。両方かもしれない。^^
 新神戸の駅には15時50分に到着。
 次回は、黒岩尾根の西側のもう一つの枝尾根を探索しようと考えながら、地下鉄に乗り込む当方だった。
布引谷にレールが続く
布引谷にレールが続く
 ・この頁で使用した黒岩西尾根及び布引ハーブ園東尾根の呼称は、TokiwaさんのHP「Tokiwaの山歩記」で使われているものを参考にさせていただきました。ありがとうございました。
 ・アドベンチャールートの風向計と方位盤のある謎の砦は、「こだまの丘」という呼称らしいことを、Tokiwaさんからご教授いただきました。
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