丸山湿原・鉄塔巡視路 (お勧め度★★☆) 関西の山【7-21】

JR道場駅(9:46)==東山橋(9:53)==亀治三角点(10:19)==飛瀬三角点(11:20)==川下川ダム(12:01)
==丸山三角点(12:48)==丸山湿原(12:51)==第一湿原西分岐==第一湿原南分岐==鉄塔巡視路(尾根道)
==東山橋(14:36)==JR道場駅(14:00)  (約4時間 平成29年2月4日) 
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 千苅水源地湖畔の大岩岳の東の麓に丸山湿原がある。丸山湿原は大規模な湿原群で、特有の希少な動植物が魅力だ。その丸山湿原へはJR道場駅から歩き易い道が幾通りも伸びている。今日(平成29年2月4日)は、その丸山湿原への山道を巡り、併せて沿線の亀治三角点、飛瀬三角点及び丸山三角点を探索し、千苅水源地東岸エリアを散策してみたい。
武庫川左岸道から望む不動岩  JR福知山線にゆられ、道場駅までやってきた。この駅は福知山線内では唯一の神戸市内にある駅だが、山間の無人駅である。改札を出ると、駅前の小さな広場に山支度中の集団がある。大岩岳を目指すのだろうか。その方々の間を抜け、広場前の兵庫県道327号に出て左に進む(9:33)。
 すぐにある踏切を渡り、武庫川左岸道を進む。
 前方に不動岩を擁する山塊が見えている(写真左)。
 不動岩は駅からのアプローチが良いことから多くのクライマーを集めてきた。岩を登った後に見下ろす武庫川の流れは絶景らしい。
 不動岩の麓を武庫川沿いにさらに進むと、右手側に千苅浄水場が見えてくる。
武庫川左岸道から望む不動岩
千苅浄水場後方に不動岩  千苅浄水場を過ぎたところで右に曲がると、すぐに波豆川に架かる東山橋に至る(9:53)。
 東山橋から先ほど通過した不動岩の方を見返すと、クライマーが喜びそうな岩壁が遠望できた(写真左)。
 東山橋を渡ると、道はT字に分岐する。ここは右に進む。すぐに波豆川沿いの山道になり、次に、その支流沿いの道となる。山道の右手側には小さな流れが見えている。次に剥き出しとなった岩肌の上を進む道となる。この辺りは岩肌が湿って滑りやすいので要注意である。
千苅浄水場後方に不動岩
 東山橋から15分弱進んだところで、細い木に複数の白いビニールが巻かれている場所に至った(写真右 10:07)。
 地形図を確認すると、この辺りの右手側のピークに亀治四等三角点が設置されているようだ。白いビニール表示は、亀治三角点の取付の目印かもしれないと思い、歩き易そうな所から山肌に取付いた。
 特に踏み跡らしきものはないが、亀治三角点を目指し、落葉の斜面を登って行く。
千苅浄水場後方に不動岩
四等三角点:唐櫃台
亀治三角点を発見  最初は緩やかな斜面で、踏み跡はないものの登りやすい。しかし、その緩やかだった傾斜は次第に急勾配となり、おまけに藪の様相となる。適当な木につかまりながら、なんとか体を引き上げる。
 やっと尾根に乗ったが、そこにも踏み跡はない。シダの繁みの中をピークに向かい強引に進む。
 GPSで方向を確認しながら、藪をかき分けて進むと、一帯の中でピークとなった場所で亀治三角点を発見した(10:19)。
亀治三角点を発見
 三角点のピークは雑木に囲まれ全く展望なしだ。
 三角点の存在を示す白い標柱は根元から折れ、なくなっていた。
 亀治三角点の近くには古い缶コーヒーの空き缶があったので、こんな薮の中だが好事家が訪れているようだ。
 亀治三角点を確認したので、元の道に戻ることにする。下りも、藪の中で難儀をしながら、慎重に進む。三角点から10分弱で山道まで戻ってきた(10:34)。
四等三角点:亀治
四等三角点:亀治
快適な山道を進む  山道を川下川ダムの方向に進む。次は、四等三角点 飛瀬を目指す。
  少し進むと、山道は歩き易い快適な道となった(写真左)。
 更に進むと、樹木越しの右手前方に、新名神高速道路の工事現場が見えてきた(10:49)。JR福知山線の電車の音も聞こえてくる。この辺りは新名神と福知山線が交差するあたりで、工事の行われている平日は、工事音と電車の走行音でにぎやかなことだろう。
快適な山道を進む
 更に進むと道が分岐した(10:52)。左への分岐は、白いプラスチックの板に「入山禁止」表示がある。季節になると松茸山になるのだろう。
 分岐は、どちらに進んでも丸山湿原へ向かうと思われるが、三角点飛瀬の探索があるので、ここは右に進む。
 分岐を過ぎると緩やかな下りとなって、下りついたところで小さな流れを渡った(写真右 10:56)。
 次に、緩やかな登りとなって、また、流れを渡ることになった(10:59)。
流れを度々渡る
流れを度々渡る
丸山湿原Bコース分岐  11:01 また、分岐点となった。
 左分岐は、木に巻かれたビニールテープに「丸山湿原Bコース」の表示がある。右分岐は、特に表示はない。
 四等三角点 飛瀬の探索のため、この分岐も右に進む。
 すると、また、流れを渡ることとなった(11:05)。
 この辺りでは、幾度となく小さな流れを渡ることになるが、今回の流れは少々幅広だ。水量が多いときは、渡るのに難儀を伴うかもしれない。
丸山湿原Bコース分岐
 流れを渡ると、山道は細竹の茂る中を進み、次に、右側に湿地帯が登場した。
 地形図を確認すると、現在地の南側のピークに四等三角点 飛瀬が設置されてるようだ。特に、目印になる表示も踏み跡もないが、ピークを目指して湿地帯に踏みこんだ(11:08)。
 先程の、亀治三角点の時と同様、こちらも三角点を目指す踏み跡らしきものは一切ない。歩き易そうな斜面を慎重に選び、藪の中を登って行く。
飛瀬三角点を発見
飛瀬三角点を発見
 勾配がきつくなり、そこを突破して尾根に乗ったが、やはり踏み跡らしきものは何もない。
 GPSを頼りに、三角点の方向に進んでいく。
 一帯のピーク上のところで、何とか四等三角点 飛瀬を発見した(11:20)。
 ここも雑木が藪のようになったところで、三角点からの展望はない。近くに古い缶コーヒーの缶が捨てられていたので、好事家がたまに訪れるのだろう。
 4分ほど四等三角点飛瀬に滞在して、元の道に戻ることにした(11:24)。
四等三角点:飛瀬
四等三角点:飛瀬
雑木林の中に続く山道  登ってきたとおりに戻ろうとしたが、藪の中でまったくどこを通ってきたのかわからない。やむを得ず、歩き易そうに思える足場を探りながら、雑木の中を、木々につかまりながら、ずり落ちるような感じで下って行った。
 元の道に出ることはできたが、そこは登り始めたところとは大きくずれた場所だった(11:41)。藪の中では、方向感覚もくるうものだ。
 さて、四等三角点 飛瀬も確認できたので、次は、丸山湿原に向かいたい。
 再び、雑木林の中に続く山道を進んでいく。この道はよく歩かれた感じで、東山橋から丸山湿原に向かう多くのハイカーが利用するのだろう。
雑木林の中に続く山道
 葉を落とした雑木の間から青空が射しこんできて、歩いていても心地よい。 道脇の小さな流れから水音も聞こえ、自然を五感で満喫だ。
 少し進んで道脇に小さな鉄塔(電柱)が立っていた(11:52)。碍子(がいし)がついているので電柱なのだろうが、なんと電線がない。なんとも違和感が漂う鉄塔だ。
 以前は、どこかに電気を送っていたのだろうが、今はその役割を終えたのだろうか。
電線のない電柱
電線のない電柱
左手側に景色が開ける  更に進んで、左手側に景色が開けてきた。高圧鉄塔の立つ北西側の尾根筋が見えている(写真左 11:58)。
 気持ちよく歩けるエリアだ。前方を見ると川下川ダムの水面も見えるようになってきた。ここで、道が分岐する(写真下 12:00)。
 分岐点には、今歩いてきた道が「東山橋」への道であることを示す古い私製の道標が残っていた。
 右折はダムの方に下って行くように思えるので、この分岐は左に進む。
左手側に景色が開ける
 すぐに、川下川ダムの水面が間近に見えるようになる。
 尾根道から見下ろす川下川ダムの景色はすばらしい。この絶景は俗世の塵芥を洗い流してくれる。
 自然と一体になったようにも思え、下界での雑念や憂さを吹っ飛ばしてくれる。山に感謝し、歩けることに感謝する。
 ちょうどお昼を回ったので、川下川ダムを見下ろしながら、弁当タイムとする。
川下川ダム手前で道が分岐
川下川ダム手前で道が分岐
川下川ダム方向に景色が開ける 川下川ダム
川下川ダム方向に景色が開ける 川下川ダム
眼下に川下川ダム  川下川ダムの景色は初めてだったので、湖面を見下ろしながらおいしく昼食をいただく。
 川下川ダムは宝塚市の上水道用ダムということで、ダム湖周辺はフェンスが設置してあるらしい。天端も立ち入り禁止で、水源保護が徹底されている。
 ダム水源には近づけないのなら、ここから周囲の遠景も含めてゆったり見下ろすのが一番だろう。
 約15分間、昼食休憩して出発とした(12:20)。川下川ダムの湖面を右手下に見ながら(写真左 12:25)、尾根道を快適に進む。
眼下に川下川ダム
 5分ほど進むと、湖面を見下ろしていた道は、湖面から離れ北西に進路を変えた。と同時に、右手側に杉林が見えてきた。ここまで、自然林の雑木の中を、楽しく進んできただけに、薄暗い杉林は少々興ざめだ。早々に杉林を抜けように、足早に進んでいると、更に足を早める事象に遭遇した。
 杉の木に目立つ感じで「カエンダケ 猛毒に注意 サワルナ」の注意書きが張り付けてあった(写真右 12:31)。毒々しい、赤色の文字で目立つ表示だ。
 こんな身近にもカエンダケがあったのかと、思わず周囲を確認した。しかし、今はキノコの季節ではないことを思い出し、少し平常心を取り戻した。しかし、なぜか足早に過ぎ去ったのでした。(^。^;)
カエンダケに注意
カエンダケに注意
快適な山道が続く  杉林は5分ほどで抜け、次は、また快適な雑木の道となった(写真左)。

 緩やかな登り道を進んでいくと、左から山道が合流してきた(12:41)。 午前中に歩いた道から左に分岐していった道が、ここで合流してきたのだろう。
 この辺りは、広い開放的な尾根に道が続いている。ちょうど高圧鉄塔から延びる電線に沿って、その下を進んでいく感じだ。
 すると、すぐに道が左に分岐した。大岩岳に向かうには、この分岐を左に進むが、当方は丸山湿原を目指すので、ここは直進だ。
快適な山道が続く
 次に、真砂土が剥き出しの山道の真ん中にコンクリ柱がニョキッと立っている所で(12:48)、ふと左手側を見ると、ちょうど目線の先に三角点の標柱が立っていた。
 これは、四等三角点 丸 山で、なかなか見通しの良好な尾根に設置されていた(写真下)。
 四等三角点 丸 山は、ハイキング道よりは一段高いところに設置されているので、注意していないと見落とすかもしれない。
開放的な尾根道
開放的な尾根道
四等三角点丸山を発見 丸山 四等三角点
四等三角点丸山を発見 丸山 四等三角点
丸山湿原エリアに入る  四等三角点 丸 山からハイキング道を少し進むと、「ここは、丸山湿原群の天然記念物エリアです。」の表示が登場した(写真左 12:51)。
 丸太で仕切ゲートもつくられていて、ここから丸山湿原エリアとなる。
 丸山湿原は、兵庫県最大規模の湿原群で、天然記念物にも指定されている。
 湿原特有の希少な動植物が生息・生育しており、それらが保護されているので、湿原内では注意を要する。
丸山湿原エリアに入る
 丸山湿原群に入り、少し進むと、前方に涸れた湿原の植物と展望デッキのようなものが見えてきた(写真右 12:55)。
 更に緩やかな坂道を登って行くと分岐となり、「第一湿原西分岐」の表示がされていた(12:57 写真下)。関電の「火の用心」と共に六甲山でおなじみの神戸市119番通報プレートの設置もあった。ここは神戸市か・・?宝塚市ではないの・・?
 丸山湿原周回路 西回り、東回りコースの表示もあったが、先ほど見えていた展望デッキの方に進んでみることにした。
丸山湿原
丸山湿原
丸山湿原第一湿原西分岐  デッキに行くと、そこには先客がおられ、コーヒーをたててくつろいでおられた。 挨拶を交わし、しばし雑談する。
 デッキには「丸山湿原の植物群落」の説明があったが、お互いに植物のことはよく分からないですね・・!などと意見が一致したところで、コーヒータイムの邪魔をしないように、デッキを後にした。
 先程の分岐に戻り、こんどは西回りコースに進んでいった(12:59)。
 すぐに高圧鉄塔の下を通過する(13:04)。ここで一人のハイカーとすれちがった。
丸山湿原第一湿原西分岐
 鉄塔を過ぎると下りとなる。
 プラ階段で下っていくと、分岐点となった(写真右 13:08)。ここは第一湿原南分岐で、川下川ダム方面、丸山湿原周回路東回りコースとの分岐となっている。
 総合案内の看板もあり、丸山湿原は宝塚北部地域里山林等整備事業として保全が行われていることが説明されている。
 この分岐からは、丸山湿原周回路東回りコースに進んでいく。
 ゆるやかな坂道が湿原の脇に続いており、道脇にはベンチの設置もある。
丸山湿原第一湿原南分岐
丸山湿原第一湿原南分岐
丸山湿原周回路東回りコース  丸山湿原周回路東回りコースを進んでいくと(写真左)、やがて、視点場の案内があり、展望のデッキが登場した(写真下 15:03)。
 視点場には、「天然記念物丸山湿原」の表記と共に、目の前の湿原が丸山湿原で一番面積が大きな第一湿原であることが説明されていた。
  面積の広い湿原ではあるが、今の植物たちは冬枯れで、一面が枯草で覆われているだけだった。
 東回りコースでは夫婦連れのハイカーとすれ違った。冬場でも、この湿原に足を運ぶ者は、少なからずあるようだ。
丸山湿原周回路東回りコース
 丸山湿原のエリアは、以前、玉瀬・境野・大原野3ケ村の共有林の谷湿地で、薪炭やマツタケ山として利用されていたらしいが、サギソウ、トキソウなどの植生から、動植物愛好家には注目された場所だったらしい。
 その後、天然記念物指定され、保全が進められた。その丸山湿原は、湿原面積が兵庫県下で最大で、生物、植物の出現種数も県下最大の生物多様性に富んだ湧水湿原らしいが、やはりその魅力が発揮されるのは、緑の輝く季節だろう。
 一面の枯草をながめながら、新緑のころにまた訪れようと思うのだった。
丸山湿原 視点場
丸山湿原 視点場
湿原の小径  次に、第一湿原北分岐から、「湿原の小径」と名付けられたルートに進んでいく(写真左 13:18)。
 湿原の小径では、丸太材で湿原保護のためのルートがつくられていた。湿原の乾燥防止のため、いろいろと工夫や作業がされている。
 やがて右手側にお椀を伏せたような丸山が見えてきた。その脇を過ぎて進むと、丸山湿原のエリアを出て、丸山南分岐の道標が立つ分岐にやってきた(13:27)。
 この分岐からは、境野バス停方向の道、大岩岳方向の道(西コース)が分岐している。ここからは、大岩岳方向の西コースを辿り、丸山からほぼ一直線に東山橋まで伸びる尾根道を帰って行くこととしたい。
湿原の小径
 大岩岳方向の西コースは左手側に小さな流れを見ながら、湿った感じの道を登って行く。
 登りきったところで道が分岐する。ここは「東山橋」方向を示す私製の古い二枚の道標に従い、左に進む(写真右 13:35)。なお、分岐を右折は大岩岳への道である。
 分岐を左に進むと、すぐにまた、分岐となる。ここにも私製の古い道標があり、左は「川下川ダム(1時間)」、右は「東山橋」と案内している(13:36)。ここは「東山橋」方面に下って行く。
 やがて道は尾根道となり、雑木林の快適な道を進んでいく。
東山橋方面分岐
東山橋方面分岐
北摂の山々を遠望  快適な尾根道を進んでいくと、また、分岐となった(13:53)。左は丸山湿原、右が道場駅の表示がある。東山橋方向の表示もあるので、ここは右に進む。
 裸地が登場したり、景色がが開けたりと、楽しく尾根道を下って行く。
 次に高圧鉄塔が近づいてきた(14:06)。鉄塔には「姫二火力線一七八」の番号がついている。姫ニ火力線は姫路市にある姫路第二火力発電所で発電した電力を、猪名川町まで送電しているものらしい。
 はるか姫路からここまで、延々と鉄塔が繋がっていると思うと、なにか感慨深い。そういえば、この尾根は鉄塔が連なっているので、鉄塔巡視路として、よく踏まれた道となっているのだろう。
北摂の山々を遠望
 景色を楽しみながら、ぶらぶらと進んでいるとご夫婦のハイカーに追い越された(14:11)。開放的なこの尾根道は、大岩岳からの下山路として、利用する者も多い。
 やがて、右下に千苅ダムの駐車場が見えてきた(14:15)。この辺りは裸地になっていて、北側に北摂の尖がった山々が遠望できる(写真上)。
 次に、道脇に古い「村有林」の石柱か登場し(14:27)、そこから一気につづらの下りとなって(写真右)、麓に出るとそのすぐ先が東山橋だった(14:36)。
 東山橋から午前中辿った武庫川沿いの道を引き返し、JR道場駅まで返ってきた(14:50)。 今日は4時間少々の山歩きだった。
つづらになった下り道
つづらになった下り道
 ●今日歩いた山域は、よく踏まれたルートが行き交い、色々なルートが探索できて楽しめる。多い枝道には、たまに私製の標識があるので、しっかり地形図を読みながら歩くと面白いだろう。
 ●亀治三角点、飛瀬三角点のピークは藪山で踏み跡はなく、通常の山歩きには適しません。
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