三草山・屏風岩 (お勧め度★★☆) 関西の山【7-13】

山下駅(能勢電鉄)〜バス〜平野口バス停〜長谷川〜慈眼寺〜長谷の棚田
〜ゼフィルスの森〜三草山〜才の神峠〜屏風岩〜屏風岩バス停〜バス〜日生中央駅(能勢電鉄) (約3.5時間)

Route MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 三草山は能勢電沿線の里山で、山頂からの素晴らしい眺望に大満足。三草山の北の麓には長谷の棚田が広がり、のんびり、ゆったりした気持ちに浸ることができる。また、三草山山麓にはゼフィルスの森が整備され、自然一杯の里山歩きが堪能できる。コース最後の屏風岩は摂津名所図会にも紹介される北摂第一の名勝です。
平野口バス停付近  連休が始まり、初日の今日(平成25年4月27日)は晴天の様子。そこで、いつものホームグランド(六甲界隈)を飛び出して、少しだけ足を伸ばしてみることにした。
 市販のハイキング本「もっと!阪急ハイキング(2009/3/20第一版)」に載っている三草山・屏風岩コースを歩いてみることにする。また、三草山への道中にあるゼフィルスの森、コース最後の屏風岩も見所である。
 能勢電鉄の電車に揺られ、山下駅で下車する。一時間に一本のバスを待つこと30分。やっと来たバスに乗り込むと、バスは一庫ダムの脇を過ぎ、能勢街道の国道176号を北上していく。目指すは三草山への起点、平野口バス停である。
 所要時間17分で平野口バス停に到着(9:17)。バスの乗客はハイキングの様相の者が多かったが、平野口バス停で下車したのは当方一人きりだった。
平野口バス停付近
のどかな田園地帯を進む  バス停から、国道を少し戻り、橋を渡ると信号の交差点となる。ここで鋭角に折れて右折する。
 のどかな田舎の道を、時折やってくる車に注意しながらゆったりと進んでいく(写真左)。
 やがて府道603号線に合流するが、やはりのどかな感じは変わらない。
 何処も人出で一杯の連休だが、三草山を目指す道に人の気配はない。
 車道歩きが30分ほど続いたが、ゆったりとした雰囲気で退屈することはなかった。
のどかな田園地帯を進む
 やがて、長谷川に架かる橋の所で「おおさか環状自然歩道」の看板が登場した(写真右 9:44)。
 これには、三草山(3.1km)・ゼフィルスの森(2.4km)は、左折と表示されている。その案内に従い、橋を渡り左折して車道を進む。
 ガイド本では、このポイントの一つ南側のT字路で左折して細い道に入るとされていたが、T字路には特に案内表示がなく、見落としてしまった。
おおさか環状自然歩道の表示
おおさか環状自然歩道の表示
慈眼寺(じげんじ)の宝篋印塔  長谷川沿いに西に進み慈眼寺を目指す。
 府道から左折して3番目の橋を渡り、南進する。すぐに慈眼寺の境内に至る(10:00)。
 ここには、放光山慈眼寺(じげんじ)の宝篋印塔が能勢町指定有形文化財であることが案内された表示があった。 これは一見の価値ありと思い、慈眼寺にお参りしていくことにした。
 境内の片隅、一隅観音堂の横にその宝篋印塔はあった(2815)。
 推古天皇時代に建立され、幾多の兵乱に会いながらも現存するというその印塔からは、時を経てきた重みが感じられた。
慈眼寺(じげんじ)の宝篋印塔
 さて、慈眼寺からは、次の目的地、三草山を目指すことにする。
  寺の西側から南に向かい地道が登っている。
 その道の先を望むと、のどかな里山の様子を確認することができる。それが、これから目指す三草山である(写真右 10:07)。
 三草山は濃い緑と若草色の二色刷りとなっていることから、麓周辺が杉の植林地帯で山頂付近は自然林となっているものと思われる。
麓から三草山を望む
麓から三草山を望む
 山に向かい坂道を登っていくと、道脇に広がる田園風景が目に入る。
 この辺りから西側、三草山の北の麓の一帯は、美しい棚田が広がっており、これは、長谷(ながたに)の棚田と呼ばれている。
 長谷の棚田は「日本の棚田百選」にも選ばれている。慈眼寺から三草山に向かう道を登って行く道中で、この棚田が確認できる(写真右)。
長谷の棚田
長谷の棚田
棚田が続く  田んぼの畦からは、刈り取られたばかりの草のにおいがながれてくる。蛙の鳴き声も賑やかだ。
 ここで、坂道沿いの田んぼには猪避けの電線ケーブルが延々と張り巡らされているのに気がついた。
 ケーブルが完全に田んぼを囲い込んでいる。この辺りは猪が相当多く出没するのだろう。
棚田が続く
 さらに坂道を登っていくと、Y字路状に道が分岐したが、ここは左手側に下る(写真右 10:17)。
 すると、田んぼは左手側にのみ連なるようになる。右手側は藪山だが、なぜかそちら側にも電線ケーブルが張り巡らされている。
 田んぼではない側に電線ケーブルは必要ないのではと思ったが、山から道に猪が出てこないように、完全防御ということか??
 (^_^;)
 次に、道が右手側に分岐するが、ここは直進する。三草山方面を示す簡単な表示があるので、それで進路の確認が可能だ。
Y字路の分岐は左へ
Y字路の分岐は左へ
ゼフィルスの森・三草山方面の表示  慈眼寺から、ゆっくりと棚田の風景を楽しみながら坂道を登ること15分ほどで、フェンスに囲まれた溜池が左手側に登場する。この溜池のところで棚田は終わる(10:25)。
 ここで道が分岐して進路に迷うが、ちゃんと三草山方面を示す案内表示がある(写真左)。
 この分岐は直進しないで、右手側に鋭角に折り返すのが正解である。
  なお、ここには三草山の云われと、ゼフィルスの森の説明もあるので、確認しておきたい。
ゼフィルスの森・三草山方面の表示
 さて、ここからは三草山へ向う本格的な山道となる。
 まず最初は、杉林の中で、石ころが散乱する薄暗い道の登りである(写真右)。
 山の色で麓から確認できたように、三草山の裾野はやはり杉の植林地帯だった。
山道は石ころ道で始まる
山道は石ころ道で始まる
ゼフィルスの森入口  その石ころ道を登りきると、目の前にゲートが登場する(写真左 10:37)。
 どうやら、ここからがゼフィルスの森のようで、「大阪府緑地環境保全地域・野生動植物保護地区」及び「自転車・バイク通行禁止」の表示がある。
 野生動植物保護地区ということは、哺乳類、鳥類、昆虫類等のすべての動物種の捕獲、採取等が禁止されているということなので、ゼフィルスの森では注意が必要だ。
 また、ここには三草山、ゼフィルスの森の周辺地図も設置されている。これで、現在の自分の位置が確認できる。
 
ゼフィルスの森入口
ゼフィルスの森  ゼフィルスの森は、(財)大阪みどりのトラスト協会が地上権を設定して、雑木林を保全している森らしい(写真左)。
 その目的は、ゼフィルスという愛称でよばれるミドリシジミ類の蝶の保護で、この三草山は大阪でのゼフィルス生息の最後の砦のようだ。
 ゼフィルスにとって住みやすい環境を作ろうとする運動を、ゼフィルスの森で行っている訳である。
ゼフィルスの森
 ゼフィルスの森に入ると、道が分岐している。三草山へは右側の道を登って行く。
 森の中では登山道からはずれて山に入ってはいけないことになっている。そこで、随所で山道の両側を丸太材で仕切って、ハイカーが道からそれないように促している(写真右)。
ゼフィルスの森では自然を守る
ゼフィルスの森では自然を守る
三草山に到着  登山道はゼフィルスの森の北の淵を、緩やかに登っている。
 明るい森の中を進んでいくと、次に丸太の階段道が登場する。この辺りから、ゼフィルスの森を抜けて三草山への最後の登りとなる。
 階段道を登りきると、三草山の山頂である(10:57)。
 三草山の山頂は広場状になっている。
三草山に到着
 三草山は、古くは、「美奴売山(みぬめやま)」と呼ばれ、古書には「秀麗なる神体山」、「峰高く白衣をまとうが如き美山」など、山容の美しさや眺望をたたえる記述があるとされる。
 この三草山のいわれは、推古朝のころ、白髪の老翁が三草を手に現れたが、たちまち三草は「観音・不動・毘沙門」に化身したので、堂舎を建て、勧請したとの伝承による。
 寺跡は今でも頂上の近くに見ることができるようで、この山は信仰の山だったことが分かる。
三草山頂上は広場状
三草山頂上は広場状
三草山頂上からの展望(南)  三草山山頂からの展望は素晴らしい。
 東の妙見山から西の有馬富士、大船山まで展望が広がる。
 しかし、今日は春霞がかかり、遠望がもう一つなのが残念だった(2865、2873)。
三草山頂上からの展望(南)
 その景色を楽しんでいると、男性ハイカーが一人登ってこられた。
 その方は、三草山山頂の景色はもちろん素晴らしいが、この時期はハルリンドウ(春竜胆)がきれいだと教えてくれた。
 ご教示にしたがって地面をよく見ると、小さな青紫色の花が足元に咲いていた(写真右下)。
 花は長さ2cmほどのロート状で、朝、日光を受けると開花し、夕方には閉じるのだそうだ。
 可愛らしい花にも感動した三草山だった。
 なお、三草山山頂広場の真ん中には三草山 三等三角点の設置がある。登頂者が多い山の三角点なので、その角は欠けて、損傷が進んでいたのが残念だった。
三草山頂上からの展望(南東)
三草山頂上からの展望(南東)
三草山三角点 三草山山頂のハルリンドウ
三草山三角点 三草山山頂のハルリンドウ
才の神峠に到着  三草山を堪能したので、そろそろ下山することにする(11:11)。
 下りは「才の神(サイノカミ)峠」を目指す。
 落葉の積もるよく踏まれた道を下っていくと、すぐに丸太階段の道に変わる。
 左手側が杉の植林地帯となり、「味気ない道だなー!」などと考えながら下っていくとコンクリート道に下り着いた(写真左 11:26)。
 そこが、才の神峠だった。
才の神峠に到着
才の神の古い道標  才の神峠には古い道標とお地蔵様(写真左)、そしてサイノカミ峠の道標を解説した看板が立っていた。
  その看板によると、才の神峠は古来、交通の要衝で、源平一の谷の合戦における「三草の勢揃い」や、戦国時代の「三草山清山寺合戦」が繰り広げられた所らしい。
 道標も寛文年間の造立という古いもので、江戸時代前期の記年銘があるものは全国でも希少ということだ。
 才の神峠からは道が数方向にのび、その昔、人馬の往来がはげしい峠であったことが想像された。
 その数本の道の中から「屏風岩」と表示のある道に歩を進める。
才の神の古い道標
 ここからは、延々とコンクリートの道を下っていくことになる。
 昔は人馬の往来が激しかったとはいえ、今は山中の寂しい道で、車に出会うことはないだろうと考えながら下っていると、一人の若者が自転車で登ってきた。三草山の山域でお会いした今日二人目の人物だった。
 才の神峠を出発して20分で人家のあるところまで出てきた(11:48 写真右)。
 ここからも、ほとんど車に会うこともなく、アスファルト道を進んでいく。
人里(槻並)まで出てきた
人里(槻並)まで出てきた
屏風岩が見える  左手側に、薬師堂(12:15)、素盞嗚神社(12:28)などを確認しながら、才の神峠から70分で屏風岩バス停に到着した(12:40)。
 舗装路を70分歩くのは、少々うんざりだったが、屏風岩バス停の近くにある北摂第一の名勝といわれる屏風岩は素晴らしいものだった(写真左、写真下)。
 屏風を立てる姿に似ているところから「屏風岩」と呼ばれているのは周知の通りだが、高さ30mの岩壁が100m近くも続くここの屏風は圧巻である。
 しかし、北摂第一の名勝にもかかわらず、あまり観光用には開発されていない感じで、連休初日の今日も見物人は当方以外誰一人いなかった。これは残念な気がした。
屏風岩が見える
 さて、名勝見学の後は、屏風岩バス停から日生中央駅まで阪急バスを利用するのだが、バスの本数が極端に少ないので注意したい。
 屏風岩バス停で30分以上バスを待つことになり、大いに手持ち無沙汰だったが、三草山、ゼフィルスの森、才の神峠、屏風岩と、自然、歴史、名勝に関する見所が満載であった今日を思い出して、その収穫の多さにニンマリする当方なのだった。v(*'-^*)
屏風岩(北摂第一の名勝)
屏風岩(北摂第一の名勝)
 ●スタートの能勢電鉄山下駅前バス停及びゴールの屏風岩バス停のいずれもバスの本数が少ないので、事前に確認したうえで出発して下さい。
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