三津田道・シビレ山 (お勧め度★★☆) 丹生山系【6-13】 |
神戸市北区の発行のハイキングレクリエーションガイドに「大パノラマの旧道 衝原湖・三津田道コース」がある。 このコースは、最近入手した第11版のガイドに載っているが、古いガイドには掲載されていない。 三津田道コースは、呑吐ダムに架かる衝原大橋の北詰附近からシビレ山、丹生山を目指すコースである。沿線には三角点も複数個分布している。そこで、今日(平成22年10月23日)は、三角点の探索も兼ねてこの三津田道コースを歩いてみることにする。 |
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神出山田自転車道栄休憩所 |
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今日はガイドコースを忠実に辿るのではなく、三角点を訪ねながら三津田道コースを含む山道をぶらぶらと歩てみるつもりである。 スタートは神戸電鉄の栄駅とし、そこから神出山田自転車道を経て呑吐ダムに至り、山田池を探索して、三津田道からシビレ山、丹生山と巡り、藍那古道を通って神戸電鉄の藍那駅に戻ってくる予定である。 栄駅を8:55にスタートして、まず、神出山田自転車道栄休憩所を目指す。駅の北西にある栄休憩所には5分で到着(写真上 9:00)。 ここには、神戸まるごと田園ミュージアム構想と銘打たれた「神出山田自転車道」のコース説明版があった。 |
神出山田自転車道の階段 |
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自転車道のコース説明版に従い、呑吐ダムを目指して出発する。 自転車道コースは良く整備された舗装路で、歩きやすい。地元の方も健康のためのウォークに、よく利用しているようで、数名の方が前方を歩いている。 少し進むと、階段道となった。緩やかな傾斜の長い階段である。この階段は、自転車が押して登れるよう工夫されている(写真上)。 階段を登り切ったところで、地名表示が神戸市の西区から北区になった。平坦となった道をしばらく進むと、山間から物凄いエンジン音が聞こえてきた。北神戸サーキットである。 |
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北神戸サーキット |
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呑吐(どんと)ダム |
神出山田自転車道 |
サーキットではミニレーシングカーが疾走している。猛スピードは恐怖だが、風を切って爽快な感じだ。 北神戸サーキットを過ぎると、すぐに呑吐ダムに至る(写真上9:30)。ここから自転車道は湖畔の道となって、東に続いている(写真右上)。 この自転車道は呑吐ダムと県道85号線の間を縫うように続いている。 前方の衝原大橋が間近にせまってきた辺りで、県道85号線を横切った南側に「太陽と緑の道」の標識が現れた(写真右 9:48)。ここが衝原から、木津へ抜ける山道の入口である。 |
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シブレ山、山田池方面入口 |
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今日はこの太陽と緑の道に寄り道して、山田池の近くにある山田池四等三角点(標高222.18m)を探索してみようと思う。 車に気を付けて県道85号線を渡り、急坂を一気に登ると尾根道に出る。しっかりとした山道が尾根に続いている。その道をすこし進むと、後方に景色が開けた。後で目指そうと思っているシビレ山、丹生山系が綺麗に見えている(写真左)。 さらに山道を進んでいると、前方から男性が1人歩いてきたので、挨拶してすれ違った。この道で、人に会うのはめずらしい。 |
シビレ山方面を望む |
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少しづつ高度を上げながら山道は続いている。左下に山田池の堰堤らしきものが見えてきた辺りが、この近辺のピークのように思われた。そこで、山田池三角点の探索に取り掛かることにした。 一帯は、シダに深く覆われ、足を踏み込む余地さえない感じだ(写真右)。おまけに勾配も急で、踏み込むことに躊躇をおぼえたが、何とか登れそうなところから、シダの中に突入した。 しかし、数メートル進んで、行軍はあきらめた。シダに足を取られ、前に進めない。山田池三角点は、シダが冬枯れしてから再チャレンジとしたい。 |
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山田池四等三角点あたり |
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山田池の堰堤 |
山田池 |
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せっかくだから、次に山田池まで行って見ることにする。山田池三角点のピーク辺りを過ぎ、下りとなった山道は、山田池湖畔に降りついた。 山田池は山中に静かな湖面を横たえている(写真上)。この池は昭和8年に竣工されたダム湖で、もう80歳を迎える。 その昔、東播地方の水不足の解消を目的として着工された池だという。その堰堤は石積みで、半円形の取水施設と堰堤上に並ぶ石柱が西洋の古城のイメージを漂わせている。 山中の人工建造物も、長い歴史を刻んできたことを経て、今ではまわりの風景にすっかり溶け込んでいる感じがする。 |
三津田道入り口 |
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山田池と山田池三角点の探索を終え、また、呑吐ダム湖畔の自転車道まで戻ってきた(10:27)。山田池探索に45分ほど費やしてしまった。 次に自転車道を東に進むと、衝原大橋の東側で呑吐ダムを渡ることになる。渡りきって、こんどは湖岸を西に進む。湖岸の道は次第に岸から離れていく。そして、ガードレールが切れたところで、道標を発見した。それには「太陽と緑の道」と書いてあり、シビレ山の方向を案内していた(写真上)。その案内に従い、シビレ山への道に踏み込んだ(10:46)。 ここからが、神戸市発行のハイキングガイドにある三津田道コースとなる。 |
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対洞からの景色 |
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シビレ山への道(三津田道)は、薄暗い涸れた谷川沿いの道で始まった。しっかりとした道(踏み跡)があり、道に迷うことはない。 三津田道に入ってすぐ、下ってくる人とすれ違った。神戸市のハイキングガイドにあるコースなので、三津田道を歩くハイカーは多いようだ。 山道は涸れた谷川を何度もクロスしながら、徐々に高度を上げている。 やがて、谷川沿いの道は右側の斜面に取り付き、一気に坂を登ると、暗かった山道が日光を受ける明るい山道に一変した。その後、平坦な尾根道となって、対洞三角点のある広場に到着した。ここからは西に景色が開けている(写真上)。 |
対洞四等三角点 |
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対洞ではおじいさんが一人で休憩されていた。 対洞の三角点の写真を写しながら、その方に「景色がいいですね。」と話し掛けてみた。 すると、その方は前方に広がる景色を丁寧に説明してくれながら、自分は猪の猟師だと自己紹介された。そして「11月15日から猟が解禁となるので今日は下見に来ていること」、「もう70歳を超えたので、銃を持つのをやめたこと」、「猪は、その通り道に罠を仕掛けて捕獲すること」、「罠には自分の名前等を表示すること」、「最近の猟師はマナーが悪くなったこと」など、我々が知り得ない猟師の世界の興味深い話をしてくれた。 |
対洞三角点は休憩ポイント |
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そして、「少し進んだところに猪の通り道がある。」といって、そこまで案内していただいた。 猟についてや、猪の習性についてなど、その道を極めた者にしか知り得ないような、貴重な話を聞かせていただき、あっという間に30分が経過してしまった。 猟師さんは、長話をしてしまったと恐縮されながら、丹生山を目指す当方に、「まだ距離があるので、気を付けて」と声をかけていただき、山を下っていかれた。楽しいお話を有難うございました。 猟師さんは「昨年、ガンの手術をしたので体力が弱って・・」と言われていたが、その足取りに衰えは無いように思われた。 |
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三津田道 |
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猟師さんとお別れして11:30に再出発。三津田道を進んでいく。 しばらくは平坦な道が続く(写真上)。 一帯は眺めもよく、遠くに雄岡、雌岡山が望める(写真左)。神戸市のガイドブックにある「大パノラマの旧道・三津田道」とは、この辺りを指しているのだろう。ちょうど座って休憩するに適した場所では、一人のハイカーが弁当を広げていた。
景色を楽しみながら、快適な山道を進んでいると、前方からご夫婦のハイカーが、その後に男性一人のハイカーがやってきた。挨拶を交わしてすれ違う。展望にあるこのコースは、結構多くのハイカーに親しまれている。 |
三津田道から雄岡、雌岡山を望む |
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シダの繁る三津田道 |
シビレ山分岐の表示 |
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11:47 太陽と緑の道コースを示す表示が登場した(写真上)。これにはシビレ山方面への分岐の表示があった。 この位置から、ちょうど左手側の遠くにシビレ山方面が確認できるような気がするが、ここからシビレ山を目指すには深い谷を一つ越えなければならない感じだ。このまま太陽と緑の道を進んでもシビレ山に至るので、ここは直進する。
太陽と緑の道の表示を越えると道は登りとなった。それに連れて遠くに見える雄岡、雌岡山が次第に下方になっていく(写真左)。 |
遠くに雄岡山、雌岡山 |
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急な登り道を10分弱進んで道は平坦となった。 平坦道になってすぐに神戸市119番通報プレート「き−2−4−16」が現れ、そこから踏み跡が右(南方向)に分岐していた(11:57)。 これはこうもり谷の上流にある「北山四等三角点」へ至る道ではないかと閃き、その踏み跡に入っていくことにした。 すると、道がすぐに分岐した。右は「つくはら湖」とあり、やや下りの道になっている。ここは左に進む。 |
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静かに佇む北山三角点 |
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緩やかに登る尾根に続く踏み後を7〜8分進むと、三角点を示す白い杭が目に入ってきた。思ったとおり北山四等三角点を発見するに至った。 (写真上 左 12:05) 北山四等三角点は、落ち葉の積もる踏み跡がやや広くなった所に設置されていた。 そこから踏み跡はなおも南に続いているので、そのまま進めば、つくはら湖まで下りていけるのかもしれない。 |
北山四等三角点 |
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北山四等三角点から引き返してきて、また太陽と緑の道に合流した(12:12)。東に続くその道を進む。 5分ほど進んで道が左手側に90度曲がっている。こんどは北に向かって進むことになった。 北に進み始めてすぐに案内標識が登場した(写真右 12:22)。標識は、右に分岐すると「コウモリ谷・千年家」方面であることを示している。当方はシビレ山、丹生山を目指すので、そのまま太陽と緑の道を進む。 なお、この地点には「←シビレ山750m」の赤い表示もあった。 |
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コウモリ谷分岐 |
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道が北向きになると、右手側に谷を挟んで丹生山が見えてきた。 道は少々下り気味である。次にまた分岐点が現れた。 ここもこうもり谷への分岐のようでである(12:22)。 この分岐を過ぎると道は登りに変り、周辺にシダがあふれだした(写真左)。 シビレの山域の土地は水分を多く含んでいるので、この一帯にはシダが多く生育している・・・と言う話を聞いたことがある。しかし、その真偽は、承知していない。 |
シダの道 |
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シダのエリアを過ぎると、道は次第に急坂となってきた。 そして延々とロープが張ってある岩場の登りとなった(写真右)。 ロープは20〜30mは続いているだろうか。この登りは圧巻である。 ただ、右の写真からはその高度感、高低差が伝わってこないのが残念である。 自らの撮影スキルの低さを嘆かざるを得ない。 |
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ロープ設置の急登 |
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ロープの登りと7〜8分格闘して、やや平坦な所に至る。 ほっとしたが、又すぐ登りとなる。この坂も結構急であるがロープの設置はない。 「ここもロープが欲しいよね。」などと勝手な希望をつぶやきながら、さらに坂道と格闘を続けていると、最後に一段と勾配が急となり、再度ロープが登場する。これにすがるようにして体を引き上げ、何とか登りきる(12:38)。 |
シビレ山分岐 |
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ここまで登って後方を振り返ると、そこには、なかなかの景色が広がっていた。息を整えながら、しばしその風景に見入る。 さらに緩いアップダウンが続いて、シビレ山頂上への分岐点となった(写真上 12:42)。 このシビレ山頂上への分岐点には太陽と緑の道を示す標識がたっており、それには「←シビレ山 200m」と書いてある。残り200mの表示に勇気付けられ、一気にその山頂を目指すことにする。 |
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シビレ山 |
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坂道を登って行くとすぐに、「シビレ古代祭祀跡」に至る(12:45)。ここにはシビレ山まで100mの表示がある。 さらに進むとシビレの山頂に至った(12:47)。 山頂は木々に囲まれ眺望はない(写真左)。薄暗い感じのところで、昔祭祀を行ったとされる事が頷ける。 頂上で少し休憩していると、淡河から登ってきたと言う親子のハイカーと遭遇。「急な登りでしたね」で、意見が一致。 シビレ山には淡河から丹生山につながる古道を西に分岐すると、登ってこれるそうだ。 |
シビレ山山頂 |
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シビレ山で数分休憩して、次に朝日山を目指す。 太陽と緑の道に戻り、東に進むとすぐに物凄い勾配の坂に至る。ここにもロープが設置してあり、これに頼りながら体を引き上げる。 急坂を上りきって少し進むと道が左右に分岐する。ここを左に進んで、坂を少々登ると朝日山の頂上となる(13:00)。朝日山の山頂からは西南方向に景色が広がっている。 また、ここからは、先程登ったシビレ山の頂きも眼前に見えている(写真下)。 なお、朝日山の山頂には四等三角点(点名 シビレ山 )もある(写真右)。 |
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朝日山三角点 |
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朝日山の山頂では写真を数枚写して、すぐ出発した(13:05)。 太陽と緑の道に戻って、次に丹生山を目指す。 すぐに物凄い下り道に至る。ここは落ち葉が積もり、これですべって、何度か足をすくわれそうになった。ロープも張ってあるので、これに掴まりながら、くれぐれも慎重に下りたい。 この下りで、登りより下りの方が危険であることを再認識した。 朝日山から20分程で丹上山に到着した(13:28)。ここでは、その昔平清盛が月参りしたという丹上神社に向かう(写真下)。 |
朝日山からシビレ山を望む |
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丹上という地名は、神功皇后が朝鮮遠征の再にここで休み、兵士の服にここの土(丹土)で色をつけたことに由来するという。歴史を感じるエリアである。神社にお参りして、表参道から丹上山を下り始める(13:33)。 表参道をひたすら下り、14:15に丹上山田の里に下りてきた。そのまま田園風景の中を南に進み、14:25に藍那古道に入る。 40分弱で藍那古道を抜けて、神戸電鉄藍那駅には15:30に到着した。 今日は、三津田道で猟師さんから興味深い話を聞くことができ、印象に残る山歩きとなった。 |
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丹生神社 |