鍋蓋地獄谷・鍋蓋地獄谷北尾根 (お勧め度★☆☆) 鵯越・鈴蘭台周辺【5-22】 |
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神戸電鉄の鈴蘭台駅で下車する。鈴蘭台の駅舎は、2018年9月に駅前再開発と共に改装され、現在はきれいな駅ビル(ベルスト鈴蘭台)となっている。 駅前は、まだ古い建物の解体工事中で、フェンスが張られている。その脇を通過して、駅から東に向かう道を進む(9:26)。 この道はバスも通る道で、神戸親和女子大を経由して有馬街道までつながっている。 |
神戸電鉄鈴蘭台駅 |
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歩道を進んでいくと、カラオケ屋のところから坂が急になる。 神戸親和女子大を過ぎると(9:38)、その先で峠となって坂道は下りとなる。くねくねと蛇行する舗装路を下って行くと鈴蘭台東口の交差点で有馬街道に合流した(9:48)。この交差点は一般に水源地とよばれ、ここのバス停名も「水源地」である。ここから車の多い有馬街道を水呑の交差点まで南下する。ここは歩道がないので車両に注意して進む。 |
神戸親和女子大 |
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やがて、水呑の交差点に到着した(9:53)。この交差点にはバス停「水呑」もあるので、ここまでバスを利用するのもありだ。 バス停「水呑」からも有馬街道に沿って小部トンネルの方に進む。 |
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バス停「水呑」 |
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トンネル手前で、トンネルに向かって右側に細い舗装路が南に続いているので、その道に入る(9:55)。この道は、天王ダムに続く道だ。天王谷川をはさんで対面にある天王ダムスポーツガーデンの野球場やテニス場から歓声が聞こえてきてにぎやかだ。 しばらく進むと、小さな橋を渡る(10:01)。この橋を渡ったところから左に入るのが鍋蓋地獄谷ルートだが、今日はまず天王ダムを見学していきたい。 |
小部トンネル |
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更に舗装路を進むと、ダムの建物(天王ダム管理所)が見えてきて天王ダムに到着した(10:06)。
ダムの天端が歩行可能なので行ったり来たりして見学する。 ダムには少量の水が溜まっているが、住宅地に近いのでゴミも多く溜まっている。 |
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天王ダム |
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天王ダム天端 |
堰堤高33.8m |
天王ダムのことを調べてみると、このダムは治水専用の「穴あきダム」で、普段は水をためないものらしい。下流の神戸市街地を洪水から防御するのがダムの目的であるから、溜まっている水が少ないのは当然であった。 ダム堰堤は、堤高33.8mで、なかなか高度感がある。 なお、ダムの一角には「未来への手紙」の碑がある。そこには、ダム建設に関する多くの資料が詰め込まれたタイムカプセルが埋められていると説明されていた。夢のある企画が未来に生きることを願いたい。 |
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天王ダム 未来への手紙 |
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天王ダムの見学を終え、そこを出発した(10:13)。ダムを出発してすぐに、山の斜面を登っている踏み跡を発見した(写真左 10:14)。しっかりした踏み跡で、どこに通じているのか観察してみることにした。
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踏み跡を発見 |
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急な道を登っていくと、すぐに広場状の所で行き止まりとなり、そこには猪の捕獲用罠が設置してあった(10:18)。 更にここから先に道があるのかどうかよくわからなかったが、探索はここまでとし、元の舗装路に戻って、次に、鍋蓋地獄谷を目指す(10:21)。
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猪の捕獲用罠 |
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東に入る |
通行止めの表示で右折 |
先ほど通過した橋まで戻り、そこから東に分岐する道に入る(写真上 10:22)。 すぐに左手側に民家がある。その前を通過すると、柵があって通行止めの表示(写真右上 10:24)。その表示の前で右折すると、小さな流れに沿って落葉の踏み跡が続いている(写真右)。傍らに「土石流危険渓流」の表示(国土交通省)がある。 |
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幅広の踏み跡 |
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右手側を流れる沢に沿って、幅広の踏み跡を進んでいくと、関電の鉄塔巡視路用の「火の用心」が登場する(写真左 10:26)。ここで左折して踏み跡に沿って斜面を上がる。 小さな尾根に乗ると、その尾根にもしっかりとした踏み跡があある。これは、関電の鉄塔巡視路のようだ。 |
鉄塔巡視路の「火の用心」 |
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尾根を越えて前方の谷に下る(10:31)。谷に下ったところは、石がゴロつく沢筋で、ここで鍋蓋地獄谷に至る。残置のビニールテープなどがあり、ここから鍋蓋地獄谷の遡行を開始する。 |
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鍋蓋地獄谷に入渓 |
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忠実に沢に沿って上流方向に進んでいく。周囲の左手側に古い石垣があり(10:34)、ここは従前、人の手が入っていたような感じだ。
赤や黄色の残置テープが沢沿いに続いている。沢には、古いパイプも残っており、従前、取水用に利用されていたようだ。 |
鍋蓋地獄谷の石垣残滓 |
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右俣、左俣に分岐 |
トラテープの右俣に進む |
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その先で沢が左右に分岐する(写真左上)。ここはトラテープの表示があり、右俣に進む(写真上 10:37)。 鍋蓋地獄谷は冬季で水量が少ないが、ごろつく岩や湿った大きな一枚岩が連続し、足元に注意を払い進んでいく。相変わらず、古いパイプが続き、残置テープも随所で確認できる。 |
鍋蓋地獄谷を遡行 |
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その先で、前方に大きな堰堤が見えてきた。堰堤左右に段差の大きなコンクリート階段がつくってある。堰堤を越えるため、どちら側の階段を登るか思案したが、ここは向かって右側の段差を登ることとし、それに取付いて登り始めた(10:45)。 |
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前方に大きな堰堤 |
二段ほど登ると、その上の段差は高すぎて登りにくい。傾斜も急で、滑落は危険である。よって、よって段差の脇の岩場に取付き、細い木につかまりながら体を引き上げた。ここは、しっかりと足場に注意して、乗り越える必要がある。 堰堤上部に立つと、国土交通省の看板があり、「●地獄谷砂防ダム」との表示がある(●の部分は文字が消えているが、「新」のように見える。)。このダムは、高さ14mで昭和55年築造のダムである。 |
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地獄谷砂防ダム |
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堰堤上部からは、段差のある階段を使って上流側に下る(10:53)。こちらは、飛び降りるだけなので、簡単に下れる。堰堤内に降り立ち、更に、鍋蓋地獄谷を遡行していく。相変わらず、岩がゴロゴロした沢筋が続く。薮を避けながら進んでいく。 |
鍋蓋地獄谷 |
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ダムから10分ほど進んで沢が分岐した。ここは、左俣に進む。右俣は藪に覆われ遡行困難な様相だ。 すぐに大きな湿った岩が行く手を遮る。滑らないように注意して乗り越える。 次に、小さな滝が登場した。水流はないが、水の跡が黒く変色し不気味な黒光りとなっている(写真右 11:08)。ここは、ツタか木の根かわからないが、しっかりしたものにすがって滝の左側から登って行った。 |
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小さな黒滝 |
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地獄大滝 |
地獄大滝の上部 |
小さな黒滝の上部で、こんどは大きな黒滝が登場した。これが、鍋蓋地獄谷の地獄大滝であろう(写真上 11:11)。地獄大滝は冬季で水流はないが、流れの跡が黒く変色している。この滝は、左から大きく高巻く。 地獄大滝を登ると暗かった沢の様相が明るくなる(写真右 11:15)。谷筋が開けてきて源頭部が近いものと思い込む。 |
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更に鍋蓋地獄谷を遡行 |
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地獄大滝を過ぎると鍋蓋地獄谷は落葉の堆積が多くなって、転がる石ころの数も少なくなる。水流もなく、谷筋の幅も狭まってくる。地獄大滝から8分程遡行した箇所で、また、谷筋が二股に分岐した(写真左 11:23)。ここは大きな倒木があり、赤青黄色のビニールひもの表示もあって、分岐点であることはすぐに判読できた。 |
鍋蓋地獄谷が分岐 |
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源頭部も近いと思い込んでいた当方は、特に深く考えもせず、二股の真ん中の尾根をそのまま、真っすぐに登って行った。(後で調べたところ、ここで、左俣に入るのが正解だったようだ。) 尾根は、踏み跡はないものの、最初は写真右のように歩きやすかった。しかし、登るにつれ、藪がひどくなり、おまけに急傾斜が重なってとんでもない状況になってきた。 |
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地獄谷から尾根を直登 |
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引き返そうかとも考えたが、そのまま歩きやすそうなところを拾いながら進んでみることとした。 急傾斜に苦労しながら、強引に藪をかき分けて登ること20分で六甲縦走路に飛び出した(写真左 11:42)。そこは、鍋蓋山から東に少し下ったところで、鍋蓋北尾根との分岐の少し手前であった(119番通報「ち1ー9−5」の近く)。鍋蓋北尾根に出てくるはずであったので、方向が違っていた。二股の分岐から東方向に進むところ、南に進んでしまったのだった。
反省(^。^;) |
尾根道に飛び出した |
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縦走路は多くの人が行き交っている。せっかくなので、鍋蓋山の山頂まで進んでみることにした。 この辺りの縦走路は、周囲の繁茂した樹木が伐採整備され、展望が開けている。 その先すぐに、鍋蓋山に到着した(11:54)。鍋蓋山からは、三宮の市街からポーアイの島々が遠望できる。鍋蓋山でも多くの方が休憩していた。展望が優れすばらしい。鍋蓋山は、従前、樹木が茂り展望が今一つだったが、今は展望の山になっている。 |
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鍋蓋山 |
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鍋蓋山で少し休憩を入れた後、そこを出発した(11:57)。この先は、鍋蓋地獄谷の北側の尾根筋を探索してみたい。鍋蓋地獄谷の北側の尾根筋には高圧線が巡らされ、その鉄塔巡視路らしきルートが地形図にも破線で示されている。そのルートは、鍋蓋地獄谷の北側に位置するので、以後、勝手に「鍋蓋地獄谷北尾根」と呼称して、探索してみることとする。 |
鍋蓋山の展望 |
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六甲縦走路 |
鍋蓋北尾根 |
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鍋蓋山から多くの人が行き交う六甲縦走路を進み(写真左上)、鍋蓋北尾根の分岐までやって来た(12:01)。ここで左折して、鍋蓋北尾根に入る。 鍋蓋北尾根は周囲の雑木が伐採され、展望のある快適な尾根道になっている(写真上)。その鍋蓋北尾根を下って行くと、左手側に明確な踏み跡が分岐しているのが目に入った(写真左 12:08)。傍らの細い樹木に赤のビニールテープが巻かれ、何やら文字が書かれている。 |
鍋蓋地獄谷北尾根分岐 |
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文字を注視してみると、どうやら「↑有馬街道」、「↑水源地」と書いてあるようだ。水源地は今朝方通ってきた有馬街道の交差点の名称である。ここが、鍋蓋地獄谷北尾根(仮称)の取付きと確信し、その分岐に入っていった。 杉がまばらに植えられた林の中を明確な山道が続いている。その先は雑木の中の尾根道となって、歩きやすい道が続く(写真右)。 |
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鍋蓋地獄谷北尾根 |
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鍋蓋地獄谷北尾根は落葉の積もる歩きやすい道であるが、道中、足元に古い石柱が続いているのに気が付いた(写真左)。石の頭には文字が掘られている。この尾根は、何かの境界になっていることを示しているのだろうか。 |
鍋蓋地獄谷北尾根の石柱 |
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一つ目の鉄塔が登場 |
鍋蓋地獄谷北尾根道が分岐 |
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その先で、道脇に高圧鉄塔が登場した(写真左上 12:26)。その鉄塔を過ぎると、すぐに道が分岐した(写真上 12:27)。明確な道が左右に分岐している。GPSで現在地を確認したところでは、右に進むと鍋蓋北谷から「水源地」に至るようだ。左に進むと、そのまま有馬街道の水呑のバス停に出る。ここは左のルートを選択した。なお、左のルートには、「火の用心」の表示がああり、その道が関電巡視路であることを示していた。 |
二つ目の鉄塔 |
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さらにしっかりとした尾根道を進んでいくと、鍋蓋地獄谷北尾根道で二つ目の鉄塔が見えてきた(写真上 12:39)。この鉄塔は、小さな鉄塔である。 この小さな鉄塔を過ぎると、鍋蓋地獄谷北尾根道は尾根尻となって、一気の下りとなる。 |
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ロープの急下り |
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下方に有馬街道を行き交う車の音が聞こえてくると、鍋蓋地獄谷北尾根はロープ場となって、滑りやすい山土の傾斜をずり落ちるように下ることになる(写真上)。ロープにすがるようにして下ったところは、ちょうど有馬街道水呑交差点の横断歩道の所だった(写真左 12:46)。ここからは、兵庫県道52号を西に進み、途中で住宅地に入って神戸電鉄鈴蘭台駅を目指した。水呑交差点から所要時間20分で鈴蘭台駅に戻りつき、本日の山歩きを終えたのであった(13:07)。 |
有馬街道に出た |
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