ナダレ尾山・大蔵山・屏風川(お勧め度★☆☆) 丹生山系【6-22】

神戸電鉄大池駅(8:57)==天下辻(9:19)==ナダレ尾山(9:43)==赤土広場(10:52)==大蔵山南峠(11:01)
==大蔵山(11:20)==ビクニ池(11:35)==大日如来(12:07)==屏風谷出会(12:36)==二段滝(12:54)
==屏風川中俣谷==黒甲越分岐(13:17)==天下辻(13:36)==神戸電鉄大池駅(14:00)
 (2022年1月29日 約5時間) 
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 六甲山系に比べて丹生山系はハイカーが少なく、静かな自然とふれあえる。今日(令和4年1月29日)はその丹生山系で、ナダレ尾山から大蔵山をめざしてみた。帰路は屏風川沿いに屏風谷を散策する。丹生山系は久しぶりに歩いたが、近年の自然災害で崖崩れなどが発生していたものの、古い道標も残っていて楽しい探索となった。
鎌ケ谷川の橋を渡る 「太陽と緑の道」道標
鎌ケ谷川の橋を渡る 「太陽と緑の道」道標
 神戸電鉄有馬線で大池駅で下車する(8:57)。ここは六甲の大池地獄谷や石楠花谷ルートの起点駅で、今日も10人ほどのグループが地獄谷方面に向かっていた。当方は六甲とは反対方向の丹生山系に向かう。
 大池駅から北に下って有馬街道を渡り、大池聖天に向かって舗装路を登っていく。大池聖天を過ぎ、地道を道なりに進むと鎌ケ谷川にかかる小さな橋に「太陽と緑の道」の表示が確認できる(9:06)。ここで橋を渡り、さらに道なりに進むと民家脇に「太陽と緑の道」の古い道標がある(9:08)。ここから山道に入る。

   
天下辻 水たまり道
天下辻 水たまり道
 つづらになった山道を10分程登ると天下辻に到着する(9:19)。天下辻は山道の十字路で、数種の道標が立っている。「三菱雪稜クラブ」の詳しい周辺案内地図があり、これで本日のルートを再確認する。ここからは「三菱雪稜クラブ」の地図で「東方道」と記された道の方に進む。天下辻で右折して「東方道」に向かい北に進む。すぐに、山道の中に水たまりが出現する。この一帯の山道はモトクロスバイクも走っていて、その轍跡に水が溜まった個所が数多く存在する。注意して進む。

  
ナダレ尾山への分岐  天下辻から約7分で「モトクロスバイクにちゅうい」と書かれた道標で道が分岐する(9:27)。ここは左に進む。その先、約10分で「←ナダレ尾山」と表示がある分岐となる(写真左 9:38)。この道標で左折してナダレ尾山の方に進む。そこから落ち葉の積もった山道登っていく。途中、倒木が何か所かあるが、歩行に問題はない。
ナダレ尾山への分岐
ナダレ尾山  落ち葉の山道を登ること5分で、ナダレ尾山に到着した(9:43)。ナダレ尾山の山頂は、三角点がポツンとあるだけで、展望もなく、そのまま通り過ぎてしまうような感じの場所だった。
ナダレ尾山
 地形図では、ナダレ尾山の山頂から、北に向かって破線の道が表示されている。一般に「ナダレ尾北尾根」と呼ばれるルートで、尾根を伝って屏風川の切り通しに下って行ける。5年ほど前に歩いた道で、急傾斜の箇所もあって楽しく歩いた記憶があるが、今回は「ナダレ尾北尾根」は回避して、登ってきた道を戻ることにする。
 
ナダレ尾山三角点
ナダレ尾山三角点
 ナダレ尾山から「東方道」の方に下っていく。途中分岐があり、そこは左に下った。ナダレ尾山の山頂を出発して約6分で、ものすごいモトクロスバイクの轍跡がついた道に合流した(写真右 9:53)。ここから左に進むが、溝の中の歩行は困難で、溝の上部の足場を慎重に選びながら通り過ぎた。 ナ激しい轍跡
激しい轍跡
左側が切れ落ちる キスラシ山方面分岐
左側が切れ落ちる キスラシ山方面分岐
 その先で山道が分岐した(10:00)。右折すると鎌ヶ谷川左俣から大池に下る道になるので、ここは左折する。次に山道は山腹の斜面にへばりつくような道になる。左側が切れ落ちた道で慎重に進む(写真左上)。斜面崩落の場所があって崩れた山土の上にバイクの轍跡がついているが、ここは片側がストンと無くなっている。バイクでの通行は危険な気がした。崩落個所を通り過ぎると、鎌ヶ谷川右俣ルート分岐があり(10:08)、次にキスラシ山への分岐点となった(写真右上 10:14)。道標があり、キスラシ山まではわかりやすい道とメモ書きがある。

  
「災害に強い森づくり」看板 轍跡の水たまりの道
「災害に強い森づくり」看板 轍跡の水たまりの道
 その先は幅の広い山道になり、すぐに道が分岐した(10:20)。分岐には「災害に強い森づくり(里山防災林整備)」の大きな看板が立つ。ここで左折して林道を進む。アップダウンを繰り返す林道を進んでいると、前方からバイクの爆音が聞こえてきた。道脇に退避してバイクを待っていると、1台のバイクが見えてきた。ハイカーである当方を確認するとバイクの方は止まって、歩行者を優先して進ませてくれた。礼儀正しい、ライダーの方だった。

  
広い裸地 八多方面への道に合流
広い裸地 八多方面への道に合流
 その先も、林道はガレた道、轍跡の水たまりの道、アップダウンと繰り返し、やがて草木が1本も生えておらず、岩や土がむきだしになっている裸地(赤土広場)に飛び出した(10:52)。この裸地には車輪の跡が縦横についていて、ここがバイク等の集積地であることがわかる。粘土質の山土に難儀しながら裸地を突き進むと八多方面への山道に合流した(10:58)。ここは道標が立ち「太陽と緑の道 黒甲越←→深谷」の表示がある。

  
大蔵山南峠  「太陽と緑の道 黒甲越←→深谷」の道標を右折し、深谷方面に少し進むと峠状の場所に至る(11:01)。ここが大蔵山南峠で、峠から薄い踏み跡が西に分岐している。その分岐には小さな道標がぶら下がり、「→大蔵山」の表示がある。その小さな道標で、ここが大蔵山へのとりつきであることがわかる。さっそく、とりつきから大蔵山に向かう。
大蔵山南峠
シダの藪道  大蔵山への山道は、踏み跡はあるものの藪になった個所が何か所もある。おまけに、シダ(ウラジロ)の群生が多く、足元が見えない箇所が幾度も登場する。藪とシダを掻き分けて上り下りの道を進んでいく。大蔵山南峠から20分弱、踏み跡を進んで大蔵山のピークに到着した(写真下11:20)。
シダの藪道
大蔵山山頂 大蔵山
大蔵山山頂 大蔵山
 大蔵山山頂は少し開けたところで、三角点の標石がポツンとある。展望はなく、ピークハンターか三角点マニアしかやってこない場所で、白のビニールテープに「大蔵山」と書かれた古い表示が寂しい感じを増幅していた。

  
 大蔵山の山頂で写真を数枚撮影して、そこをすぐに出発した。登ってきた道を下り、途中、枯れ松の倒木のある場所で、ビクニ池方面に下る道が分岐していたので、そちらに下っていった(11:27)。 ビクニ池分岐
ビクニ池分岐
 大蔵山からビクニ池方面に下る道は落ち葉の積もった谷道で、古い残置テープが続いている。雨の時には水の流れ道になるような谷道を下っていくと、やがて石ころ道になってチョロチョロと水流が見えはじめた。そして、前方に広い林道が見えてきて、ちょうどビクニ池の上部で林道に合流となった(11:34)。林道に出てきたところは何らの表示もなく、そこが大蔵山へのとりつきであることはわからないような場所だった。 ビクニ池への下り道
ビクニ池への下り道
 林道を少し下ってビクニ池に向かう。冬季のビクニ池は水量が少なく、池の底が水面から透けて見えていた。ビクニ池堰堤には池の謂れが書かれた古い説明看板「ビクニ池(手箱の池)」が立てられている(11:35)。
 山中の静かなビクニ池の堰堤で5分ほど休憩をとって、そこを出発とした(11:40)。
ビクニ池(手箱の池)
ビクニ池(手箱の池)
太陽と緑の道 広場谷下降点分岐
太陽と緑の道 広場谷下降点分岐
 ビクニ池から大蔵山南峠に向かって林道を登り返していく。このあたりの林道は傾斜が急で、おまけに石が転がるガレ道となっていて歩くのに難儀をする。ビクニ池から10分ほどで大蔵山南峠に登りついた(11:51)。ここからは屏風谷出会いの方に進んでいく。この道は八多、深谷から黒甲越を抜ける旧道で、太陽と緑の道にも選ばれている。やがて、「広場谷下降点」の表示がある分岐点となる。

  
広場谷  「広場谷下降点」分岐から少し広場谷の方に下ってみたが、そこは倒木などで荒れ果て、通行不可の様相だった。
広場谷
大日如来 屏風川支流
大日如来 屏風川支流
 広場谷から元の道に戻り、屏風谷出会の方に進む。すぐに、倒木がある傍らで大日如来に到着した(12:07)。ここは、大きな倒木が如来様の石像をかするかのように倒れている。間一髪で難を逃れた大日如来様だった。如来様には「深谷村与兵衛」の彫りがあり、古くから祀られてきたものであることがわかる。如来に手を合わせて、そこを過ぎた。その先、山腹に張り付く落ち葉道を進み、屏風川の支流で崩落個所に遭遇した(写真上右 12:21)。

  
太陽と緑の道の古い道標  屏風川の支流の崩落個所は、高い石垣が組まれて流れを渡っていたところだが、倒木と落石で歩きにくい場所になっていた。ここは注意して屏風川支流を渡る。次に山腹に張り付く細い道になる。太陽と緑の道の古い道標が残っているが(写真左)、そこは屏風川に向かって斜面が切れ落ちているので、ここも足元注意で慎重に進む。
太陽と緑の道の古い道標
屏風谷出会 屏風谷出会の石垣
屏風谷出会 屏風谷出会の石垣
 次に右手側に分岐が登場した(12:28)。残置テープが多数ある分岐で、屏風川左俣谷への下り道と思われた。そこから少し先で、太陽と緑の道の古い道標が立つ場所となって、そこで屏風川左俣を渡る(12:36)。この辺りが屏風谷出会と呼ばれる場所だろう。屏風谷出会で少し進路がわかりにくいが、道は大きな石垣を越えて続いていた。石垣の脇にロープがあるので、それに助けられて石垣を越える。

  
切り通し 崖崩れ通行止め
切り通し 崖崩れ通行止め
 屏風谷出会の石垣を登ると切り通しの場所を通過する(12:39)。ここは両側に脆い石壁が迫り、落石注意の表示がある。なお、この切り通しの場所は、ナダレ尾山北尾根の分岐でもあり、「←ナダレ尾山」の表示がある。切り通しを過ぎ、山道を少し進んだところでロープが行く手をふさいでいた(12:44)。「がけ崩れ、迂回路あり」の札がかかっている。う回路は、ここで中俣谷に下っていくようだ。

  
屏風川中俣に下る  表示に従い、中俣谷に下っていく。う回路にはロープが張られているが、落ち葉の積もる斜面の下りで、注意を要する。
屏風川中俣に下る
 慎重に下って、屏風川の流れに突き当たった。屏風谷は静寂の中に水音だけが聞こえ、岩肌を流れる水流が白いしぶきをあげている。う回路は、その屏風谷の濡れた岩肌にへばりついて、ヘツりながら進む道だった。今日は冬空の下、ドボンすると寒さに震えることになる。何としてもドボンは回避したい。その思いで慎重に足場を選んで岩壁を進んだ。 屏風川中俣谷
屏風川中俣谷
二段滝 崩落キケン「沢をへつり」
二段滝 崩落キケン「沢をへつり」
 その先、二段滝のところで進路を見定めながら立ち往生をしていると、前方からご夫婦のハイカーがやってきた(12:55)。屏風谷で人に合うとは思っていなかったので、お互いに少しびっくりした感じで通り過ぎた。二段滝を過ぎたところで、う回路は元の山道に戻っていった(13:02)。戻りついたところにも、通行止めのロープがあり、こちらには「沢をへつり」と記載があった。このう回路は、厳しい沢へつりのルートなのでくれぐれも注意。

  
カエンタケ危険  う回路を過ぎて、ほっとした気持ちで山道を進んでいると、道脇に「カエンタケ危険」の表示があった。致死量3グラム・・・と、ドキドキの注記も書いてある。思わず、あとづさりしたが、カエンタケの発生時期は夏から秋なので、真冬の今は安心だった。なお、カエンタケは、土から手の指が出ているように生えているらしい。
カエンタケ危険
黒甲越分岐  やがて山道は、黒甲越への分岐点となった(13:17)。ここは、従前、多くの道標が立って、道案内をしてくれていたが、今は、兵庫登山会のものと太陽と緑の道の古い道標だけになっていた。ここから、天下辻の方に戻っていく。
黒甲越分岐
屏風川中俣谷を遡行 天下辻に戻る
屏風川中俣谷を遡行 天下辻に戻る
 黒甲越分岐から屏風川中俣谷を遡行していく。何度も、流れを渡りながら山道を登っていき、最後に急傾斜を登りきると、天下辻にもどりついた(13:36)。天下辻から山道を下り大池駅には午後2時の到着だった。本日のルートは、従前、丹生山系の縦走路としてよく歩かれていた道の一部で、古くには、谷上と八多町を結ぶ生活の道だったようだが、今は歩行者もいなくなって、荒れた感じになっていることに寂しさを覚えた。
  
● ビクニ池(手箱の池):昔し、大蔵山奥蔵寺に八百比丘尼(やおびくに)という尼さんが長らく住んでおり日々写経や読経に励んでいたが、ある日、日頃大切にしていた玉手箱を抱え池に身を投じた。「我が命尽きるまでこの池の水は渇れることなし」といい残したといわれる。現在もかれることなく青々とした水をたたえている 神秘な池である。(ビクニ池堰堤にある説明看板)
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