長峰山・水晶山  (お勧め度★★★) 表六甲【1-1】

阪急六甲駅をスタートし、長峰山天狗塚に立ち、
さらに杣谷峠から縦走路を経て三国池、ダイヤモンドポイントと進み、
水晶山を越えて神戸電鉄の大池駅までの六甲を横断した記録です。

Route MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
向橋で六甲川を渡る  GWが始まった。初日の今日(平成23年4月29日)は晴天の予報。明日以降の空模様はもう一つのようで、ここは初日から元気を出して六甲を巡ってみることにした。
 南から北に山越えしてみようと思う。
 コースは、阪急六甲から長峰山天狗塚に登り、杣谷峠から縦走路を経て三国池、ダイヤモンドポイントと進み、水晶山を越えて神戸電鉄の大池駅を目指す予定である。
 ダイヤモンドや水晶の宝石をめぐるハイクである。
向橋で六甲川を渡る
 阪急の六甲駅を9:40に出発。駅の北側に出て、六甲登山口の交差点を目指す。
 六甲川に沿って北に進み、向橋で六甲川を渡る(9:50)。閑静な住宅街を流れる六甲川の水音がさわやかだ(写真上)。
 道なりに進み、角地の墓地の右側を登る。この辺りから、道が急勾配となってきた。
 ゆっくりと坂を登っていると左手側に厳島神社が見えてきた。春季大祭が近づき、氏子の方々が境内で提灯などの準備している。だんじりも繰り出す賑やかな祭りが、もう近い(お祭りは5/4〜5)。
篠原伯母野山町の急坂
篠原伯母野山町の急坂
神戸八景伯母野山住宅街  厳島神社を過ぎると勾配が更にきつくなった。右手側の松蔭女子学院、左手側の六甲学院を過ぎる。この急坂では通学も大変かと、いらぬ節介をしながらスローペースで進む。
 急勾配の坂の両側にはまだまだ民家が続いている。振り返ると、南側に神戸の町並みと海がきらめいていた(写真上)。これは絶景!と、感心していると、大きな石碑が目に入った。「神戸八景伯母野山住宅街」と書いてある(写真左)。
 昭和7年に神戸又新日報社が選定したとある。神戸又新日報社とは、耳慣れぬ新聞社だが・・。
神戸八景伯母野山住宅街
 神戸又新日報社は、その昔神戸新聞と部数競争を展開していた新聞社だったという。同社が選定した神戸八景とは、読者の投票により、布引、須磨の海浜や摩耶山などが選ばれたとネットでみたが、このような石碑は摩耶でも布引でも見たことがない。これは貴重な石碑なのだろう。
 神戸八景の石碑を過ぎても、急勾配の一本道が山に向かい続いている。その道が突き当たりで右に曲がる。そこから山裾沿いに少し東に進むと、長峰山の登り口となる(写真右 10:19)。
 「天狗塚を経て杣谷峠」の表示に従い、山道に入る。
長峰山登り口
長峰山登り口
一番目の鉄塔からの景色  いきなり、つづらになった急坂の登りが始まる。
 5分ほど進んで堰堤を右側から越える(10:25)。この辺りから椿の乱舞するエリアとなる。
 散り落ちた椿で赤い絨毯のようになった坂道が続く。あたりは椿の濃い緑葉により日光が遮られ、薄暗い。
 8分ほど暗い坂道を登って、明るい所に出てきた。そこは高圧鉄塔のある所で、草木が伐採されていたのだ。そこからは、南西に景色が広がっていた(写真左 10:33)。
一番目の鉄塔からの景色(H17)
 高圧鉄塔を過ぎると、また椿の繁る暗いエリアにもどる。さらにつづらの急坂が続く。
 10分弱登り続け、二番目の鉄塔が現れた。ここも少し開けており、休憩によいが、すでに4人のパーティーがお菓子をつまみながら、小休止をとっていた。挨拶を交わし、先に進む。
 この二番目の鉄塔を過ぎると、すぐに明るいエリアに出てくる。斜面一帯が低い背丈の笹に覆われた場所で、南東側に景色が開けている。植林もされているが、まだ大きな木は育ってなく、ここは長峰山の絶景ポイントの一つなのである(写真右)。
長峰山中腹で南に景色が広がる
長峰山中腹で南に景色が広がる
長峰山中腹からの景色 南西方向に絶景が望める
長峰山中腹からの景色 南西方向に絶景が望める
長峰山中腹からの景色  長峰山の登りは、ここに至るまで景色が望める場所が少なかっただけに、この場所の開放感が際立つのだろう。
 なお、長峰山は6年前に始めて登ったが、そのときの写真(写真左)と今回の写真(写真上)とを対比して見ると、風景はあまり変っていないように思われる。木々の生長が進んでいないのか、それともここは防火帯の位置付けなのだろうか。
 おかげで、ちょうどポートアイランド辺りがきれいに眺望できる。
長峰山中腹からの景色(H17)
長峰山に向かい尾根が続く  絶景エリアで5分ほど休み、再スタートする。
 少し登り、尾根道となった(写真左 11:00)。
 ここから緩やな登りの尾根歩きの道だ。この辺りでは野鳥の囀りが多く聞こえる。ウグイスや雲雀だろうか、にぎやかに鳴いて、当方を励ましてくれている。
 11:04 小さな石柱の立つ小ピークに到着。関電巡視路の表示有り。
 11:08ハチノス谷東尾根道が左に下っている。ここを下ると長峰霊園に下り付く。
 11:12ハチノス谷西尾根が左手に下っている。ここを下るとカスケードバレイに下り付く。
長峰山に向かい尾根が続く
 ハチノス谷西尾根の分岐から1分で長峰山(天狗塚)頂上に到着である(写真右 11:13)。
 ここは大きな岩の固まりが、山頂に座している。
 岩の上部は4畳ほどはありそうで、結構広く感じる。そこから周囲が360度見渡せるので、ハイカーに人気の絶景ポイントになっている。
 いつもの天狗塚なら、この大岩に座して、周囲の景色を楽しむ人で混雑しているのだが、今日は誰もいない。しばし景色を独占である。
長峰山(天狗塚)頂上に到着
長峰山(天狗塚)頂上に到着
長峰山(天狗塚)では360度の展望(H17)  ちなみに6年前に登ったときには、大岩の上に老若男女5〜6名が、それぞれの方向を向いて座り、周囲の景色を楽しんでおられた(写真左)。
 写真を写すのも大変だったような記憶がある。
 ところで、ここは別名天狗塚という。塚というのであれば、それは天狗様の墓所を意味するのかもしれない。
 そうであれば、岩の上に腰を下ろすのは失礼になるのかもしれないが、この絶景を、山を愛する者で共有することに、山の天狗様も反対はしないであろう。(塚は「小高い盛上がり地」の意味かも。)
長峰山では360度の展望(H17)
長峰山から摩耶山を望む(西方向) 長峰山から油コブシを望む(東方向H17)
長峰山から摩耶山を望む(西方向) 長峰山から油コブシを望む(東方向:H17)
 ここで長峰山(天狗塚)からの景色を確認しておきたい。
 まず西側には、でーんと摩耶山が対峙している(写真上)。ケーブル山上駅のアンテナやオテル・ド・摩耶の建物が見えている。
 次に東側は、一ケ谷西尾根の連なりの向こうに油コブシ方面が望める(写真右上)。南は、南西に景色が開けている。神戸大橋の先にポートアイランドが確認できる(写真右)。
 また、北側には、杣谷峠に続く尾根筋が見えている。
長峰山から南西(ポーアイ方面)を望む
長峰山から南西(ポーアイ方面)を望む
参考:摩耶山から長峰山を望む(H17)  なお、参考に摩耶山から長峰山を望むと、写真左のとおりである。
 ピークから麓に向かって長い尾根が続いているのが分かる。
 長峰というよりも、長尾根山(長〜い尾根)というべきかも??!
 (^_^;)
参考:摩耶山から長峰山を望む(H17)
 さて、長峰山での展望も十分楽しんだので、そろそろ出発としたい(11:19)。
 天狗塚の大岩から急な階段が下っている。これで、一気に鞍部まで下る。そこから小さなピーク状の場所を越え、再び急な下りとなる。長峰山まで、苦労して登ってきたのに、そんなに下らなくても・・と感じるような下りなのである。
 そう感じながら5分ほど下りつづけると、次は登りである(11:24)。目の前の階段がまるで梯子のように見えるとでも表現したらいいであろうか。そんな急な登りが次に待っていた。
自然の家分岐
自然の家分岐
杣谷峠に到着  急な登りを、足元ばかり見ながら、息を切らして登っていると、階段上部の脇で、一人のおじさんハイカーが当方の登ってくるのを待っていてくれた。全く気が付かなかったが、御礼を言ってすれ違う。
 階段を登ると、今度は尾根道のアップダウンが続く。長峰山(天狗塚)から杣谷峠までこんなに距離があったかいなぁ・・と思いながら進んでいると「自然の家」分岐点となった(写真上 11:34)。ここから、10分少々で杣谷峠に至るが、その間2人のハイカーとすれ違った。
 長峰山(天狗塚)を下りのルートとする方も多いということだ。
杣谷峠に到着
 11:46 杣谷峠に到着。ここにはトイレの設置がある。トイレが改修されてから、ここで休憩する方も多くなった。
 ここは縦走路、徳川道や穂高湖周遊コースの交差するポイントで、行き交うハイカーがいつも多い。
 ここからは、縦走路を三国池方面に進んでいく。
 奥摩耶DWから穂高湖脇のにシェール槍が頭を覗かせている(写真右)。
前方にシェール槍
前方にシェール槍
サウスロード方面へ導く階段  奥摩耶DW沿いの歩道はハイカーが多い。追い越していく人やすれ違う人で大賑わいである。
 また、今日は、自然の家からも子供達の元気な声が聞こえてくる。運動に行楽に、最適な季節になったことを実感する。
 11:53 奥摩耶DWからサウスロード方面に続く登り階段に入る。この階段は登りが延々と続き(写真左)、六甲全縦のときは相当足に応えるポイントでもある。
サウスロード方面へ導く階段
 12:02 サウスロード分岐。マウンテンバイクの元気な若者3人組がサウスロードの方に走り抜けていった。当方はここからDWまで続く階段をさらに登る。この辺りでも、多くのハイカーが前方から下ってきた。ご年配のハイカーも多い。六甲の整備された道は、若者から高齢の方まで皆、楽しめるのである。
 12:10 長い階段を登りきって奥摩耶DWの東屋のある休憩ポイントに到着した。ここでDWを渡り、三国池に向かって更に階段が登っている。休憩もそこそこに、その登り階段に取り付く。
 
東屋のあるDWに合流
東屋のあるDWに合流
三国池の看板 三国池
三国池の看板 三国池
笹の中に三石岩三角点が出現  東屋から4分で三国池に到着した(写真上 12:14)。
 この池は「六甲山村長」の愛称を持っていたグルームにゆかりの地として有名であるが、意外にここで人に出会ったことはない。しかし、今日は意外にも池の脇に設置されたベンチで2人のハイカーが昼食中であった。
 食事の邪魔をしてはいけないので、三国池は早々に出発とした。
 次に三国岩に足を延ばす。三国岩から先の道は私有地につき通行禁止の真新しい表示が目に付いた。私有地に立ち入らぬよう注意したい。
笹の中に三石岩三角点が出現
 ところでこの辺りには三角点「三石岩」があるが、当方にとってその場所が未だ不明であり、長年気になっていた。そこで、今日は一帯を徹底的に探索してみたい。
 三国岩からダイヤモンドポイントに続く道が分岐する辺りに取り付きがあるらしい。その近辺にやってくると、むむ!なにやら踏み跡が笹の中に続いているのを発見した。今まで、全く気が付かなかったが、意外としっかりとした踏み跡がそこにある。それに従い、笹の中に踏み込み1分程進んで、笹の切れ目であっさりと三角点を発見するに至った(写真右)。
三石岩三角点
三石岩三角点
ダイヤモンドポイントに到着  三石岩三角点の位置は、神戸市水道局の六甲山低区配水場施設の裏側の小高い一角であった。笹が繁っていると見つけ難い場所だ。見つかるときはこんなものかと納得し、次にダイヤモンドポイントに向かう。
 ダイヤモンドポイントまでは幅広の山道が続いている。寂しい感じの道であるが、脇にはポツンポツンと別荘が存在する。
ダイヤモンドポイントに到着
 ダイヤモンドポイントには12:40に到着。ここは車が転回できるような広場になっている(写真上)。
 北側に景色が広がるが、ダイヤモンドとまで評価できるか、水晶程度ではないか??といつも思う。一説に、夕日の際の景観が素晴らしいとも言われる。何かが夕日にキラメイて、ダイヤのように光り輝くのかもしれない。しかし、なかなかその時間帯に、ここに立つ機会はないのが残念だ。
 そんなことを考えながら、ここでやや遅い昼食休憩とする。眼前の景色と地図を比べ、下りのコース(水晶山を通り地獄谷西尾根を下る)を確認しながら、おにぎりを頬張る。
ダイヤモンドポイント
ダイヤモンドポイント
ダイヤモンドポイントから望む水晶山  ところで水晶山の位置であるが、国土地理院の地形図や山と高原地図(昭文社)ではダイヤモンドポイントから二つ目のピークを水晶山としている。ところが神戸市北区発行のハイキングレクリエーションマップにはダイヤモンドポイントから一つ目のピークが水晶山としてある。従前、地獄谷西尾根を歩いたときには一つ目のピークに水晶山の山名表示があったように思う。
 今ここから見えているのは、一つ目のピークであるから神戸市北区発行の地図が示す水晶山である(写真左)。今回はその辺りも確認しながら地獄谷西尾根を下りたいと思う。
ダイヤモンドポイントから望む水晶山
 昼食休憩を終え、13:15にダイヤモンドポイントをスタートする。
 階段を下って、5分で鞍部に到着。ここからは、左(西側)に踏み跡が下っている。石楠花谷への道だろう。
 ここから登り返して一つ目のピーク(720.3m)に到着した(写真右 13:22)。
 ここは小振りの岩が点在する、見通しの利かないピークである。従前掛けられていた「水晶山」の表示はなくなっていたが、松の木の根元にある水晶のような形をした小さな石柱に「水晶山」と掘られていた。
水晶山(旧)
水晶山(旧)
地獄谷西尾根  一つ目のピークを出発して坂道を下る。
 脇に「地獄谷西尾根」の古い表示が掛けてある(写真左)。
 一つ目のピークから5分ほどで二つ目のピークに到達した(写真下、左下)。ここも見通しの利かない場所だ。特に「水晶山」を示すものは何もないが、ここが地形図上の水晶山(710m)と思われる。
 なお、このピークは左右二つに分かれた形状をしている。
地獄谷西尾根
地形図上の水晶山(710m)か 水晶山
地形図上の水晶山(710m)か 水晶山
 さらに地獄谷西尾根を下っていく。
 何度かピーク状の場所を越える。それぞれ東側に展望が開け、地獄谷東尾根の荒々しい様子が観察できる。
 更に下っていくと、北側に阪神高速の高架と大池辺りの町並みも垣間見えるようになる(写真右)。
 この辺りは、楽しい尾根歩きが堪能できるゾーンだ。
大池方面が見えてきた
大池方面が見えてきた
足場の悪い地獄谷西尾根  尾根道は、どんどん高度を下げていく。その下り道で、足場の悪い箇所が何箇所も登場する。このコースは整備されたコースではなく、自然が剥き出しの所も多い。
 岩場の下りや、滑りやすい山土の急勾配など、くれぐれも慎重に歩きたい。ロープが張られた、崩落箇所もあった。ここは巻き道があるので、それを利用するのが無難だ。
 この辺りは全体的に風化が進んだ荒れた道で十二分に注意が必要と言う結論になる。
足場の悪い地獄谷西尾根
水晶山を振り返る  尾根の右手側下方に砂防堰堤が見えてくれば、地獄谷西尾根道も終わりに近づく。
 振り返って、今下ってきた地獄谷西尾根を再確認する(写真左)。この連なる山容のいずれかが水晶山であるが、特定は難しい。崩落防止の斜面工事が施された場所の右側上部辺りが水晶山か・・。
 ダイヤモンドポイントから下り始めて約1時間少々で地獄谷道に合流した。合流地点には、木々に赤ペンキでマーキングがあるが(写真下)、ここが地獄谷西尾根の入口であることを示す記載はない。
水晶山を振り返る
 更に下り地獄谷の入口まで出てきた。
 ここには「ハイカーのみなさまへ」と書かれた案内地図が設置されている。それによると地獄谷西尾根は「整備したハイキング道ではないので熟練者向き。ルート探しのできない人はご遠慮ください。」とされている。整備されていないのは事実だが、それによって自然の雰囲気に溢れた尾根歩きが楽しめるとも言い得る。そういう意味では地獄谷西尾根は貴重なルートだと思うのである。
 神港グランドから町並みをぬけ、神鉄大池駅には14:50に到着した。今日は充実の六甲越えであった。
地獄谷に合流
地獄谷に合流
 ●このページは、従前(17/5/3)に長峰山を歩いたときの記録を、今回(23/4/29)に概ね同様のコースをハイキングしたときの記録で整理し直し、「長峰山・水晶山」(改訂版)として再掲載しました。
 ●写真に(H17)の表示があるものは、17/5/3に歩いたときのものです。
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