ナガモッコク尾根・赤子谷西尾根 (お勧め度★☆☆) 東六甲【4-22】 |
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ナガモッコク尾根へは、宝塚から蓬莱峡経由で有馬方面に向かう阪急バスの利用が便利である。 阪急電車に揺られ宝塚駅で下車し(9:25)、そこから阪急バスの乗り場へ急ぐ。 バスは本数が少ないので、一本逃すと途方にくれることになる。 ちょうど9時30発のバスがあり、それに乗り込む。 バスは大多田川沿いの有馬街道を進み、宝塚から10分少々で知るべ岩バス停に到着。 バス停の近くには「太閤の知るべ岩」の看板がある。看板は、太閤の知るべ岩の謂れを要旨次のように説明していた。
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知るべ岩 |
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「昔、京の都に住んでいた座頭が療養のため有馬へ急ぐ途中、道を誤り座頭谷に迷い込み、飢えと寒さのためになくなった。付近の人は座頭を弔い、この谷を座頭谷と呼ぶようになった。太閤秀吉が有馬へ湯治に行くときこの話しを聞き、「右ありま道」と大岩に揮毫した。その岩が知るべ岩と呼ばれるようになった。 バス停名になるような有名な岩であれば、一度見ておかねばならない。そこで、看板に従いロープを伝って慎重に河原に下る。 すぐにそれと分かる大きな岩が目に入る(写真左上)。岩の上には「往時豊太閤有馬入湯之際・・・」と彫られた石碑がたっていた。 |
蓬莱峡堰堤(後方の堰堤) |
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知るべ岩の確認を終え、次にナガモッコク尾根を目指す。 車道に戻り、少し有馬方面に進む。すぐに左手側に橋が二本見えてきた(写真上)。ナゴモッコク尾根、座頭谷方へは後方の茶色いうねったような橋(万里の長城のような道で蓬莱峡堰堤という。)を渡っていく。 車道から万里の長城に入り橋を渡り始める(9:50)。 蓬莱峡堰堤からは、座頭谷の鎧積堰堤の連なりが確認できる。遠くに蓬莱峡の奇岩もみえている(写真右)。 |
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座頭谷の堰堤群 |
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座頭谷への道を5分ほど進むと左手側に踏み跡の分岐が確認できた(写真左 9:55)。ここには細い木に赤い紐や赤ペンキ表示がある。 この分岐がナゴモッコク尾根の入口だが、文字による案内はない。夏場は草木に覆われこの入口は分かりにくいかもしれない。 ナゴモッコク尾根への分岐を入ると、いきなり急な登りとなる。ガレた道で小石で滑るので慎重に登る。 次にロープのある急斜面の登りとなる。この辺りは急勾配で、要注意だ。 |
ナガモッコク尾根取付き |
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更に登ってシダが見えてくると尾根に乗る。 シダの道を進んで行くと前方から「シャー・・・」という音が聞こえてきた(10:03)。おまけに水滴が周囲を漂っている。今日は雲ひとつ無い晴天なのに、変だな・・!?、と思いながら、よく確認すると、山肌を這う黒の太いホースから水が漏れて噴出しているのだった(写真右)。 どこに水を送るホースか知らないが、穴が開いて破損している。 |
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水滴漂うナガモッコク尾根 |
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シダのナガモッコク尾根 |
ナガモッコク尾根から望む蓬莱峡 |
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水漏れしていたシダのエリアを過ぎるとロープのある急登となる。それを登りきると小ピーク。 次に少し下った後、尾根の登りが更に続く。 ナゴモッコク尾根は全般的にあまり展望が利かないが、時折樹木越しの南西方向に蓬莱峡方面が遠望できる(写真上)。その方向からは統一地方選後半戦の選挙カーのマイクの声がこの山中まで聞こえてくる。 10:32 登りの続いていた山道から平坦な場所に登り着いた(写真左 10:32)。ここには木にテープが巻かれ、「→大谷」、「→ナガモッコク・岩原山」の表示がある。この場所からは、大谷方向に下る道があるようだ。ここはナガモッコク尾根方面に進む。
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ナガモッコク・岩原山方面表示 |
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次に馬の背道のような細い道を進み(写真右)、その後登りとなって、登りきったところは小ピークで平坦な広場のようになっていた(写真下 ここを、以下「A分岐点」と表示する。10:44)。 ここには小さな石積みがあり、一目でルートの分岐点と分かる。ここが赤子谷西尾根の分岐と思われるが、何らの表示も無い。 今日の下りはこの赤子谷西尾根を使う予定だ。 |
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ナガモッコクの馬の背道 |
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赤子谷西尾根分岐のピークからは少し下って鞍部に降り着く(ここを、以下「B分岐点」と表示する。)。ここからも大谷方面に踏み跡があるようだが、大谷までルートが続いているのか否かは不知だ。 B分岐点からは岩原山に向かっての最後の登りとなる。急な道を少し登ると道が右に分岐する(ここを、以下「C分岐点」と表示する。)。ここを右に行くと笹の茂る急な登り道を経て岩原山山頂となる。 この分岐は落葉が積もり踏み跡が薄い。注意しないと分岐を見落とすかもしれない。ここは直進する。 |
ナガモッコク尾根A分岐点 |
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C分岐点を直進すると、また、すぐに分岐となる。松の木の根元に小石が10個ほど積んであるところだ(写真右 11:01)。 ここから少し下っている直進のルートは分かりやすいが、右に分岐して登って行く薄い踏み跡もある。 この分岐からの直進ルートは岩原山のピークの東側を迂回して縦走路に至る道だ。一方、ここを右折して登って行くと岩原山のピークとなる。今日は、ここから岩原山のピークを目指す。 |
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岩原山手前の石積みの分岐 |
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登り道になると松葉が積もって、踏み跡が確認し辛い感じとなるが、丁寧に薄いルートを拾って進む。 すると分岐から2分で岩原山のピークに登り着いた(11:05 写真左)。 岩原山のピークには先客のハイカーが一人いて、「岩原山山頂 五七三米 宝塚の最高峰」の表示を確認していた。 今日、山中で初めてお会いしたハイカーだ。挨拶を交わす。 |
岩原山山頂 |
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岩原山の山頂から周囲への展望はない。岩原山は宝塚の最高峰なれど地形図にも山名表示は無く、寂しい感じのピークである。 六甲縦走路に「岩原山山頂まで三〇〇米 宝塚の最高峰」の案内表示があるが、その案内がなければこのピークを訪れる人は少ないだろう。
岩原山の山頂からは大谷方面に向かって下っている踏み跡がある。その踏み跡を確認したり、縦走路までピストンしたりと、岩原山周辺をうろうろして40分ほど時間を過ごす。 |
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宝塚の最高峰 岩原山 |
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昼前の11:46 岩原山の山頂を出発し、次に赤子谷西尾根を目指すこととする。 岩原山山頂からは「C分岐点」を目指して笹の茂る道を下っていく(写真左)。この道の勾配は急で、慎重に下る。 4分ほどでC分岐点に到着(11:50)。更に急な下り道を進む。 この辺りでは登ってきたとき以上に勾配が急に感じる。滑り落ちないよう注意して下る。 |
岩原山から笹道を下る |
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C分岐点から7分でB分岐点に到着した(11:57)。 B分岐点から少し登るとすぐにA分岐点(赤子谷西尾根分岐)に到着する(12:00 写真右)。ここで、ちょうどお昼のサイレンが麓から聞こえてきた。 |
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A分岐点(赤子谷西尾根分岐) |
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A分岐点から赤子谷西尾根に入る。 すぐに周囲のシダが目に飛び込む(写真左)。 ナガモッコク尾根と赤子谷西尾根はシダが多い。道にシダが少しかぶった箇所が多々あるが、この季節は歩行の妨げになるほどではない。 |
笹の多い赤子谷西尾根 |
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ナガモッコク尾根では周囲の展望がなかったが、赤子谷西尾根では樹木越しではあるが北側に少し展望がある(写真右 12:08)。 今日は少し霞んでいたが北摂の山々が遠望できた。一部、山肌が露出しているのは琴鳴山の採石場だろう。 その景色をちらちらと見やりながら下っていると、石車に乗って尻餅をついてしまった。 下り道はくれぐれも慎重を期する必要があることを再認識する。
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赤子谷西尾根からの展望 |
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足元に気をつけながら赤子谷西尾根を下っていくと、鞍部に至った。小木に「不動峠」の札が掲げてある(写真左 12:18)。 不動峠では道が十字にクロスしている。北に下れば、本日のスタート地点の知るべ岩に至るらしい。南は赤子谷右俣へ下るのだろう。今日は、不動峠を直進して赤子谷西尾根を下る。 |
不動峠 |
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不動峠から少し登るとすぐに道が左手に分岐した(12:04)。そこには紐やテープの表示が多く付けられ、そちらが本線のようにも思われた。深く考えず、その分岐には入らず尾根道をそのまま進む。 しかし、道は次第にあやふやとなってきた。不動峠までの赤子谷西尾根道と比べ踏み跡が極端に薄い感じだ(写真右)。ただし、古いテープ表示は時折登場する。 道をはずしたかもしれないと思ったが表示も続くのでそのまま進んでみることにした。 しかし、それは少々無謀だった。尾根のルートは次第に急下りになり、殆ど、ずり落ちるような感じになってきた。 赤子谷西尾根の本線は不動峠を登ったところのテープ表示で左折するのが正解だったのだろう。 |
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赤子谷西尾根 |
やがて右下からは水の流れが聞こえてきた。赤子谷右俣が近いと思われる。 その水音に向かい藪道の様相の中を強引に下っていくと、赤子谷右俣の枝谷と思われるところに下りついた。 ごろつく岩を慎重に伝い、更に枝谷を下る。少し進むと、前方に赤子谷右俣の流れが見えてきた。 赤子谷右俣に向かい藪こぎで進んで行くと、小木に小さな札がかかっていた(写真右 12:40)。 |
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赤子谷右俣東枝道 |
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こんな藪の中に案内札があるのでびっくりしたが、それには「赤子谷右俣東枝道・西尾根不動峠へ」と記されている。 当方が今下ってきたので、確かにここから赤子谷西尾根、不動峠へは行けるが、ほとんど道無き道の急勾配だった。 不動峠からここまで苦難の道であった。 赤子谷右俣東枝道は一般のハイカーは入り込めない要注意ルートであることを、ここに強く記しておく。 |
赤子谷右俣の堰堤 |
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赤子谷右俣に降り着いて、流れの中を右に左に渡河しながら下っていく。 右岸、左岸に時折踏み後のようなものが確認できるが、明瞭なものではない。ルートが分からないエリアは、流れの中を小石を伝いながら慎重に下っていく。 やがて、前方に堰堤が見えてきた(写真上)。これは右側を巻いて下っていく。 そうこうしている内に、赤子谷右俣道のはっきりした道にいつのまにか合流していて、右俣、左俣分岐点のケルンには13時07分に到達した(写真右)。 ナガモッコク尾根の赤子谷西尾根への分岐(A分岐点)から、このケルンまで約一時間であった。 |
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赤子谷右俣、左俣分岐点 |
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更に山道を下っていく。板が腐って渡るのを躊躇するような板橋を過ぎ(13:12)、やがて西宝橋に到着(13:14)。この橋を渡って東に進むと生瀬高台の住宅地だが、今日は橋を渡らずそのまま下る。 通行止めの箇所では、先人の踏み跡に従い小川沿いの迂回路を進む。その先で、少々道に迷いながらもなんとか生瀬水路道の入口まで下ってきた。 この先、車の多い有馬街道を歩くのは危険なので、今日は生瀬水路道を伝ってJR生瀬駅まで進むことにする。 |
生瀬水路道 |
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生瀬水路道は、水路沿いの細い道で生瀬高台の住宅地まで続いている。勢いよく流れる水を追っかけながら、また、周囲の景色を楽しみながら生瀬水路道を進む。途中、JRの線路を跨いだり、武庫川の流れを遠望したりと、ゆったりと生瀬水路道を進む。水路道の最後は生瀬高台の宅地開発で閉鎖状態であったので、壁面を越えて道路に何とか脱出した。JR生瀬駅への到着は14時ジャストであった。 今日は、ナガモッコク尾根と赤子谷西尾根の不動峠までは楽しく歩けたが、その先がno goodだった。「ルートをはずしたと思ったら引き返す」の鉄則は遵守すべしと自身に言い聞かせ、今日の山歩きを終えたのであった。 (^。^;)。 |
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生瀬水路道から望む武庫川 |