西お多福山・住吉川右岸道 (お勧め度★★☆) 表六甲【1-10】 |
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久しく西お多福山に登っていなかった。そこで、今日(平成24年5月13日)は、久しぶりにこの山を目指してみた。 今日のルートは、阪急岡本駅から八幡谷に入り、打越峠を越えて住吉川に出る。そして、住吉川右岸道を遡行し、大平岩の辺りから西滝ケ谷に沿って北に上っていく道である。 西滝ケ谷から西お多福山までの道は、地形図では点線の道として表示されているが、あまりガイドブックなどでは紹介されていないようだ。 |
八幡谷の入口 |
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阪急岡本駅を出て(10:15)、駅の東側の道を北に進む。突き当たりは天上川に架かる「みそぎ橋」で、この橋を渡ると八幡神社となる。 この神社の左側(西側)の道を更に登って行く。 急勾配となった道を登りつめると車道は左折するが、直進すると八幡谷の入り口である(写真左上)。 岡本駅からここまで15分程度を要する(10:30)。 入口には八幡谷入口の表示と、付近のハイキングマップの案内板がある。 |
二体の地蔵 |
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八幡谷に入ると、右下に深い谷底を望みながらの遡行となる。この薄暗い道の両端に、二体の地蔵が立っている。一方は正面を向き、もう一方は右を向いている(写真上)。通常、この手の像はどちらも正面を向いていると思われるのだが・・・?。何か意を含んだ設置なのか。 次につづらの登りとなり、すぐに現れる八幡滝砂防ダムを右手に見ながら進んで行くと、道が二手に分岐する(写真右 10:43)。直進の道と左は階段の登り道である。どちらを進んでも少し先の「山の神」の手前で合流するが、今日は左の階段道に入る。こちらの道は堰堤を高巻く道である。 |
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八幡谷分岐 |
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分岐から5分で山の神に至る。ここではおじさん二人が休憩されていた。 山の神を過ぎると道が分岐する。右は「はぶ谷」で、左は打越峠に続いている。 今日は左に進む。すぐ杉林の中のつづらの登りとなる。ここは等高線の幅が狭く急勾配である。 杉林が雑木に変わり、道の傍らにお地蔵様が登場すると登りが終わる(写真左 11:00)。 ここはつづらの登りが10分程続き、結構きつく感じる。 |
道端のお地蔵さん |
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さらに5分ほど進むと水平道と交差する(11:05)。ここは打越峠方面に登って行く。 右手側の間近に七兵衛山を確認しながら、だらだらと続く幅広の山道や階段道を登りきると、打越峠に到着した(写真右 11:13)。 峠では、おじさんが一人休憩されていた。挨拶を交わし、峠を黒五谷に向い下っていく。 緩やかな下り道を進むと黒五谷の流れに突き当たる(11:21)。ここは飛び石で流れを渡ると、すぐに黒五谷の分岐となる。 |
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打越峠 |
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黒五谷を過ぎると、道は緩やかな登りとなるが、それも黒五山への登り口までである。 この黒五山の登り口から、黒五山とは反対の東側にも薄い踏み跡が登っている。東黒五山へ続く道とでもいうのであろうか。 少し進んでみたが、倒木が多く(写真左)、すぐに断念した。赤い頭の境界柱と共に薄い踏み跡は続いていたので、どこかには行けるのだろう。 |
東黒五山?は倒木多し |
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また、黒五山への登り口まで戻り、そこから住吉道に向かい下って行き、11:36に住吉道に合流した。 住吉道を少し下流側に戻ると、住吉川右岸への分岐点がある。
ここには、「危険箇所あり。左岸線をご利用ください。」との表示が神戸市によりなされ、右岸への道が閉鎖されている(写真右 11:38)。 神戸市としては住吉道右岸道は廃道扱いということなのだろうが、踏み跡からすれば、いまだ多くの者が右岸道を利用しているようである。 西お多福山へは右岸道を進んだ方が便利なので、当方も右岸道を利用させていただくことにする。 |
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住吉川右岸道分岐 |
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神戸市の「危険箇所あり」の表示から踏み跡に従い、右岸道に向かう。 階段を数段下ると左手側に大きな水溜りが出来て、行く手を阻んでいるが、少し迂回すれば通行は可能である。 その水溜りの先で、住吉川を飛び石で渡る(写真左)。ここで水量が多いと、渡河に苦労するが、今日は何とか無事に渡れた。 |
住吉川を渡る |
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川を渡り、右岸道を少し進むと、五助山への分岐道となる。ここには 「!左の道は熟練者向きのコースです。迷いやすく危険です。」 の表示がある。 五助山へは心して向かえ!!というメッセージだ。 この表示を過ぎ、新緑の右岸道を気持ちよく進んでいると、左手側に崖の崩落跡が登場した(写真右 11:48)。 ここが、神戸市が指摘する「危険箇所」ではないだろうか。山土と石が剥き出しになっていて、自然の猛威を感じるが、通行の障害となることはない。 |
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住吉川右岸道(危険箇所) |
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更に進んで、西滝ケ谷の流れの手前で、道がやや怪しくなった。右岸道の整備がされなくなって、ここの箇所は道がわかりにくくなっている(写真左)。 ここでは、西滝ケ谷の流れを渡るのが正解である。 |
西滝ケ谷の流れを渡る |
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西滝ケ谷の流れを渡った所に古い「住吉道」の表示が残っていた(写真左)。 今は住吉道といえば整備された左岸道をさすが、この古い表示の示すとおり、従前は住吉川右岸道が住吉道の本道であったことがわかる。 |
住吉道の古い表示 |
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「住吉道」の表示を過ぎ、また住吉川の右岸を進む。すぐに大岩と小岩の間をすり抜け(写真右)、大平岩に至る(写真下 11:55)。 この岩は、超ビッグで、表面が平らなところから「大平岩」と呼ばれるようになったのだろう。 |
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大岩の隙間を抜けて進む |
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なお、大平岩のところには、丸太を二本束ねた橋が掛けられており、これを利用すれば、左岸から右岸に簡単に渡れる。 左岸道の写真下の休憩所の少し上流の「太陽と緑の道→」の表示の所から住吉川に下れるようになっている。下ったところが、大平岩の丸太橋である。 先ほど登場した「危険箇所あり。左岸線をご利用ください。」の表示に従って右岸道を回避される者は、ここで住吉川を渡れば、危険箇所を通過せずに右岸に渡れる。 |
大平岩 |
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絶好の休憩ポイントである大平岩に腰を掛け、地形図でこの後のルート確認を行う。 この大平岩の辺りから、西滝ケ谷沿いに登って、西お多福山に至る点線のルートがある。 今日はその道を進んでみたい。 |
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左岸道の休憩所 |
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大平岩を出発し、分岐を確認しながら歩み始めると、それはすぐ見つかった。 大平岩のすぐ先で、右岸道から左手側(北側)に道が分岐している。 分岐点には、岩と木に赤ペンキの表示(写真左)があるので、すぐわかる。方向的にも、西滝ケ谷沿いに登っており、西お多福山に向かっていそうである。 |
西滝ケ谷分岐 |
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その分岐から、西お多福山を目指して12:07にスタートした。 この道は、地形図にも載っているだけあって、しっかりとした山道である(写真右)。 時折、左手側の西滝ケ谷に下る枝道があるが、一般のハイカーがそちらに迷い込まないように古枝で塞いである。 |
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西滝ケ谷沿いに登る |
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木々の間から、西滝ケ谷の西側の尾根筋が時折顔を見せる。五助山のピーク辺りだろうか。 また、道は西滝ケ谷の流れの近くを進む箇所もある。ここで、流れまで下ってみると(写真左)、堰堤の連なる西滝ケ谷の様子が確認できた。 |
西滝ケ谷の流れ |
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大平岩の分岐から山道に入り、15分ほど西滝ケ谷沿いに進んだところで、西お多福山への道は流れから右にはずれ、斜面に取り付いた。ここからは、やや薄暗い林の中の登り道となる。 概ね踏み跡はしっかりとしているが、不明瞭な箇所では赤ペンキの「○」印の表示が誘導してくれる。 斜面の登りに入ると、西滝ケ谷を流れる水の音がどんどんと下方に遠ざかり、だいぶ登ったなと感じ始めた所で尾根に乗った。 そこからものすごい笹の道になった(写真右)。しかし、笹の下にはしっかりと道が続き、迷うことはない。 |
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笹の繁る道 |
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笹をかき分け進んでいき、やや道が下りになったと思ったら、突然に広い道に飛び出した(12:33)。ここで、西お多福山へ登る本来の道に合流となった。 合流地点は、写真左の三本に枝分かれする白い木が立っているところで、木には薄い赤ペンキの表示もあるので、確認できる。 |
西お多福山へ登る道に合流 |
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この合流地点から、西お多福山の山頂まではすぐかと思っていたが、それは大いなる錯覚で、地図を見ると頂上はまだまだ先であった。 がっかりした気持ちを建て直し、よたよたと西お多福山を目指して、坂道を登っていると、西お多福山から下ってくる何組ものハイカーとすれ違った。 西お多福山はマイナーと考えていたが、意外や多くの者で賑わっている。しかし、先ほどの西滝ケ谷の道では誰にも会わなかったので、同じ西お多福山への道でも地形図で点線となっている道には、皆、踏み込まないのだろう。 |
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笹の中を西お多福山へ向かう |
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延々と続く登り道に、やや飽きてきた頃、右手側に芦屋の奥池辺りの景色が見えてきた。そろそろ、頂上も近い感じである。 次に、右手側に赤く塗られた工事用の構築物が登場した(写真左)。鉄骨で汲まれた塔にワイヤーが張られている。ワイヤーが通る下は、笹や木々が伐採されている。 何の工事か特に表示はなかったが、今日は休日で、工事も休みのようである。 |
工事用の構築物 |
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工事で木々が伐採された箇所では、南に展望が広がっていた(写真右・下)。 今日は霞がかかっているが、空気が澄んでいたら素晴らしい景色だろう。更に、「ブナの森・峠の小道」の表示に従い登って行くと、両脇に笹が繁茂した道になり、次に明るい所に出てくると、ヤマツツジの真っ赤な花が咲き乱れていた(写真右下)。 ヤマツツジは、明るく乾燥した山頂付近を好む植物らしいが、ここはまさに山頂が近い感じで、赤い花の遠景には大阪湾が広がっていた。
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工事現場から展望が広がる |
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遠景にポートアイランド |
ヤマツツジ |
次に「西おたふく山周遊歩道 ハイキングコース案内図」の地図が登場し、西おたふく山の山頂付近を周遊する歩道エリアに入ってきた。 ほどなく、左手側の間近に西お多福山の鉄塔が現れ(写真右)、そこからもう一登りすると、西お多福山の舗装道路に登りついた(写真下 13:17)。 そこは、ちょうど西お多福山の鉄塔(建設省近畿地方建設局・六甲無線中継所)の東側であり、舗装道路の突き当たりは広場となっている。その広場は、現在、工事資材の保管場所とされ、立入禁止であった。 |
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西お多福山のアンテナ |
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さて、ここからは、西お多福山のピークの確認をしておきたい。 「西おたふく山周遊歩道」に設置されたハイキングコース案内図によると、西お多福山の表示は鉄塔のやや北辺りとなっている。 神戸市の六甲全山縦走マップの古いもの(平成15年3月)では、西おたふく山は標高867mとされ、同じく鉄塔の北辺りを山頂としている。 その両者が示す場所は、「針葉樹の森」の案内表示がある箇所を少し入った所と思われるが、そこには特に山頂らしき表示はない。 |
西お多福山に到着 |
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一方、国土地理院地形図や「山と高原地図」の表示では、標高878mを西お多福山として、一帯の中で最も標高の高い所を山頂としている。 そこがどこか、確認すべく、舗装路を少し北に進んでみた。すると、カーブミラーのやや南の車1台分の駐車スペースがある所から西側に明確な踏み跡が登っているのか確認できた。 その踏み跡に従い、笹の中を登って行くと、大きな松の木が倒れている辺りがピークで、踏み跡もこの辺りで消滅していた(写真右)。
恐らく、ここが878mのピークだろう。 |
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西お多福山頂上 |
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5年ほど前に、867mピークと思われる場所に登ったことがあったが、その際には小さな板切れに「西お多福山」の表示があった。しかし、今はそれもない。ここは木立の中で眺望は全くなく、山頂マニアしか踏み込まない場所のようだ。
次に、「西おたふく山周遊歩道」と称される山道も確認しておこうと考え、案内表示に従い進んでみたが、そこは笹のジャングルの様相で(写真左)、早々に周遊はあきらめた。 さて、西おたふく山山頂も、「西おたふく山周遊歩道」も一応確認したので、そろそろ西お多福山を下ることにする。 |
西おたふく山周遊歩道 |
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下山は、登ってきた道を途中まで下り、西滝ケ谷沿いの道との分岐を左(東)に進んで、森林管理道(高巻き道)の方に下るポピュラーな道を利用したいと思う。 13:49 西お多福山の舗装路から山道に入り、下山をスタートする。 14:15 西滝ケ谷沿いに登ってくる道との分岐点まで下ってきた。この分岐を左手側に進み、さらに、笹の生い茂る道をつづらに下っていく。 やがて東側から爽やかな沢音が聞こえ始めると、本庄橋方面に続く森林管理道との分岐点となる(写真右)。ここには、「多目的保安林総合整備事業」(兵庫県六甲治山事務所)の大きな看板があり、わかりやすい所だ。 |
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森林管理道との分岐 |
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ここから杉林の下りとなるが、杉は枝打ち、間伐がされて、木洩れ日が入り、通常の杉林と異なり、そんなに暗い感じではない。かえって住吉川の水音が近づき、心地よい雰囲気だ。 住吉川には14:29に下りついた。ここにも神戸市による「危険箇所あり。左岸線をご利用ください。」との表示があった(写真左)。 |
右岸道閉鎖の表示 |
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危険箇所は午前中で確認済みで、そこは注意して通行することとし、そのまま住吉川右岸道を下っていくことにする。 右岸道は、流れに沿って快適な道が続いている。古い住吉道の表示も残っていた(写真右)。これには神戸市の「119番つうほうプレート」も取り付けられている。 このプレートが付けられた頃は、住吉川右岸道も神戸市により管理されていたわけだ。 更に下り、大平岩には14:39に到着した。次に、西滝ケ谷の流れを飛び石伝いに渡り、右岸道をどんどん下る。五助山への分岐は14:47に通過し、次に住吉川の流れを渡って、左岸道には14:50に合流した。 |
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つうほうプレート付住吉道の表示 |
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少し進むと感じのいい板橋の歩道が登場した(写真左)。この辺りは五助堰堤でせき止められた水の流れが縦横に走っているので、このような橋が架けられたのであろう。板橋を過ぎ、五助堰堤、石切道分岐と確認しながら、幅広の林道を下っていく。ここから、歩いて阪急御影駅を目指すのが、通常のルートだが、舗装路を延々と歩くのは気が乗らない。そこで、今回はくるくるバス(小型の乗り合いバス)を利用して楽珍でJR住吉まで下ることにした。 エクセル東のバス停で15分ほどバスを待っていると、15時30分発のバスが停車場にすべりこんできた。早速、車中の人となり、今日のハイクを終えたのであった。 |
感じのいい板橋 |
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