西六甲縦走・須磨アルプス・高取山(お勧め度★★★) 西六甲【3-4】

梅の花もそろそろ終わり。今日(平成18年3月19日(日))は、
神戸の梅の名所である須磨浦公園を訪ね、梅の花を観賞することとし、
さらに、そこから六甲山縦走路を東にたどって、鵯越まで歩いてみました。

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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 昨日までの雨もあがり、晴れ間ものぞく日曜日。強風が吹き荒れてはいるが、梅の花見を兼ねて西六甲を縦走してみることにした。
 六甲山の全山縦走路の起点は須磨浦公園駅である。その駅に降り立ったのは午前9時30分。駅の前にはすぐ須磨の海が広がっている。ここから鉢伏山に登るにはロープウェイもあるが、縦走者にロープウェイは無用である。駅の西側から鉢伏山まで整備された階段が続いている。山頂を目指してまずは階段に第一歩めを踏み出した。
 鉢伏山への登りは結構急である。鉢伏山はその山すそを海岸線ギリギリまでのばしているので、階段を上るにつれて背後に須磨浦の海が一気に広がってくる(写真右)。
鉢伏山への登り
鉢伏山への登り
鉢伏山からの景色  何度か振り返って海の青さを確認しながら階段を登って行くと、約20分で鉢伏山の展望台に到着した。鉢伏山の展望台からの景色は最高であり、瀬戸内海や淡路島、明石海峡大橋が一望できる(写真左)。
 この展望台からさらに5分ほど登るとロープウェイの山上駅とカーレーターの始発駅がある。カーレーターとは動く椅子のようなものであり、ここから鉢伏山山頂までを繋いでいる。このカーレーターの乗り場の屋上も展望台になっていて、ここからの眺めも最高である。
 海を行き交う船がつけた白波の痕を眼下に望むことが出来るのである。
鉢伏山からの景色
 ロープウェイの山上駅とカーレーターの始発駅がある辺りから鉢伏山山頂の回転展望閣辺りまでは開けた遊園地のようになっている。
 この広場にあるすべり台のあたりが一帯の中で一番高い場所と思われ、ここが鉢伏山山頂であろう。すべり台の近くには山頂を示す真新しい標識も立っていた(写真右)。
 ここから旗振山までは観光リフトが谷を渡って繋がっている。

 鉢伏山山頂から少し山を下り、尾根伝いに山道を進むとすぐに登り道となる。これを登るきると旗振山山頂である。鉢伏山の山頂から旗振山山頂までは5分とかからない。
鉢伏山山頂
鉢伏山山頂
旗振山山頂  旗振山山頂には創業昭和六年三月の旗振り茶屋がある(写真左)。
 この茶屋はいつもハイカーでにぎわっている。今日も茶屋の中からは、酒の肴のししゃもを焼くおいしそうなにおいが流れてくる。
 ここ旗振山は、その名の通り昔”旗振通信”をしていた場所である。江戸時代から大正初期電信が普及されるまで、畳一畳位の旗を振り、大阪堂島の米相場を加古川から岡山方面に伝達していた。この山は、その中継点であった事から「旗振山」の名が残っている。
旗振山山頂
旗振山三角点  また、茶屋の前の説明板には、この山が摂津の国と播磨の国の国境であったと説明されている(写真下)。
 現在は須磨区と垂水区の区境がこの山を通っている。
 なお、この旗振山山頂には四等三角点が埋もれそうになりながら設置されている。
 点名はなぜか鉢伏山である(写真左下)。
旗振山三角点
 また旗振山の山頂から西に少し下った場所には須磨浦山上遊園の梅園が広がっている。
 今日の目的の一つは梅の花見でもあったのでさっそく梅園に行ってみた。
 梅園には紅梅が310本、白梅が350本植えられている。
 梅の花は咲くには咲いていたが満開とまではいかず、ちょっとがっかり(写真右下)
 (^_^;)!
旗振山の国境
旗振山の国境
 話は変るが、この辺りは、源平一ノ谷合戦の戦場としても知られている。旗振茶屋の前にも「源平の戦」についての説明板が掲げられていた。そこには、義経が一の谷の平家本陣を逆落としによって奇襲した場所が鉄拐山と旗振山であったと記載されている。しかし、平家物語などによると義経が逆落としをしたのは「鵯越」であるとされる。鵯越と一の谷は直線距離でも7〜8キロも離れている。地理的には、鵯越を逆落しして一の谷の平家の陣地を攻めることはできないのである。このことにより「逆落し」の場所を鵯越とする説と一の谷とする説が未だに対立していると聞く。歴史を感じながら梅の花を楽しんでいたら、あっという間に30分ほどを費やしてしまった。今日はまだまだ先が長いので、あわてて旗振山を出発することにした。 須磨浦山上の梅園
須磨浦山上の梅園
鉄拐山三等多角点  それにしても、今日は風が強い日である。旗振山の山頂にある電波塔が強風を受けてすごい唸り声をあげている。もうすこし風も止んでもらいたいなどと考えながら、尾根道を進んで行くと、すぐに右手側に妙見堂への分岐が現れた。これを下ると山腹道から妙見堂跡へと続く。今日は六甲縦走路の尾根道をそのまままっすぐ進んでいく。すると次に、鉄拐山への急な登り道が現れる。これを登ると鉄拐山の山頂である。旗振山から鉄拐山の山頂までは13分程度で到着した。鉄拐山の山頂には、復興基準点・点名 FK322と鉄拐山三等多角点がある(写真左)。山頂は回りを木立で囲まれ眺望は全く効かない。f^_^;
 鉄拐山の頂上からは、南に下ると妙見堂跡へと続く道となる。一方北側に下ると鉄拐山の山腹を左に巻いて進む六甲山全山縦走路へ合流する。
鉄拐山三等多角点
 鉄拐山の頂上から六甲山全山縦走路へ合流し、次に高倉山を目指す。
 このあたりの尾根道も平坦で歩きやすい道であり、両サイドには一面にウバメガシの木が繁っている(写真右)。そして、尾根道にはそのウバメガシについて説明した看板が立っていた。その説明では「ウバメガシは、九州、四国、本州伊豆半島までの海岸のごく近くにだけ自生する常緑広葉樹である。もし、内陸部でこの木が見つかると、昔はその付近まで海岸が入りこんでいた証となる。この木で焼いた木炭は備長炭といい、とても硬く火が立ち消えせず、最高級の木炭になる。鉢伏山、鉄拐山、横尾山、高取山に多く自生している。」とある。
 ハイキングをしているといろいろな説明に出合い知識も豊富となりラッキーである。(^-^)V
ウバメガシの尾根道
ウバメガシの尾根道
高倉山から見た旗振山と鉄拐山  ウバメガシの樹林帯を進むこと約15分でおらが茶屋に到着した。
 ここまでの途中の尾根道で後ろを振り返ると、今越えてきた旗振山と鉄拐山を遠くに望むことが出来た(写真左)。
 ところで、ここ高倉山には四等三角点(点名、立原谷)があるはずであり、これを見つけるべく付近を探索したが発見には至らなかった。三角点探訪は次回に譲って、おらが茶屋の展望台に登ってみることにした。
高倉山から見た旗振山と鉄拐山
おらが茶屋  おらが茶屋の1Fはトイレと自販機があり、その屋上が展望台となっている。ここからは360度のパノラマを楽しむことが出来る。
 しかし、この日は風が強く帽子が飛ばされそうになったので、早々に展望台から退散し縦走路に戻ってきた。
おらが茶屋
 おらが茶屋を過ぎると、縦走路は高倉山からの下り道となる。この下りは狭くて急なコンクリートの階段であり、この急階段が山の麓の高倉台の住宅地まで続いている。
 階段を一気に下りきった箇所から高倉山を振り返って見ると、もうおらが茶屋を見ることは出来ない(写真右)。
高倉台から見た高倉山
高倉台から見た高倉山
高倉台の中を行く縦走路  高倉台の住宅地に入ると縦走路は茶色のコンクリートで固められた歩行者用の道路となった(写真左)。ここ高倉台は、高倉山から神戸ポ−トアイランドの埋め立てに土砂を削りとった跡地に造られた町である。
 高倉台の中を行く縦走路沿いには大丸ピーコック(コンビニ)があり、ハイカーはここで食料や飲料水を調達できる。
 また、郵便局や銀行(みなと銀行)もあるので路銀に窮した方はここで資金の調達も可能である。(^_^;)
高倉台の中を行く縦走路
 高倉台の中を行く縦走路からは前方に栂尾山の300階段を望むことができる(右の写真で、急な階段に果敢にアッタクするハイカーの姿を確認することができる)。
 この300階段から須磨アルプスの馬の背を越えるコースは西六甲の縦走路の中でも特に人気のコースであり、休日ともなると、多くのハイカーがここ高倉台の住宅街を通過して須磨アルプスを目指していく。静かな休日の一日を願う住民の方にとって、ハイカーの談笑する声は騒音以外の何者でもないであろう。住民の方の理解があってこそ縦走路の存続がある。住宅街を通過するハイカーは十分注意して静かに住宅街を通過したい。
 ・・なーんて!!えらそーなことを言っているが、当方話をしたくても単独行であり、静かに歩くしかないのである。(-o-;)トホホ・・・
高倉台から見た栂尾山
高倉台から見た栂尾山
栂尾山の300階段  高倉台の住宅街を抜けて、多数の車が凄いスピードで行き交う道路の上の歩道橋を越えると、いよいよ栂尾山の300階段の登りとなる。
 この階段は下から見上げると、どこまで続いているのだろーかと不安を覚えざるを得ないような長さである(写真左)。
 階段の途中には、何箇所かベンチが置かれているので、無理をせず、これを利用するのもいいだろう。
 しかし、当方は、何とかベンチのお世話になることなく階段を登りきった。
栂尾山の300階段
栂尾山山頂  栂尾山の急階段は休憩しなければ5分ほどで登りきることができる。
 ここからは道中に大きな岩々が登場し始める。
 この岩を登って、尾根道を進むとすぐに栂尾山山頂に到着した(写真左)。おらが茶屋からここまで約25分を要した。
 栂尾山頂上からの眺望は無いが、ここには丸太で組まれた展望台があり、これに登れば少しは見晴らしもいいであろう。しかし、当日は先客がいて、そこで弁当を広げていたので展望台には登らず先に進むことにした。
栂尾山山頂
 栂尾山の山頂を過ぎると急な階段の下り道となる。
 下りきると尾根道となるが、この尾根道も小さなアップダウンを繰り返す。
 そして、次に横尾山への登りとなる。
 登りきると横尾山頂上(写真右)。ここも眺望は利かない。
 栂尾山から横尾山頂上までの所要時間は15分ほどであった。
 横尾山山頂には三角点(二等三角点:点名 須磨)がある(写真右)。
横尾山山頂と三角点
横尾山山頂と三角点
 横尾山をこえると、風化した花崗岩の岩場が多くなる。急な下りの鎖場も登場し、須磨アルプスの名勝「馬の背」も近いことがなんとなく感じられるようになる。おのずから気持ちも高ぶり、緊張感もアップする。
 そして、横尾山山頂から10分ほど進んだ辺りからついに馬の背の痩せ尾根が見えてくるのである(写真右)。(‘o‘)ノ
須磨アルプス
須磨アルプス
馬の背を渡るハイカー 馬の背
馬の背を渡るハイカー 馬の背
東山山頂  鉄製の階段を下っていって、ついに当方も馬の背の手前にやってきた。何度かここには来た事もあり、痩せた尾根道も通過しているので、左右の足下に広がる急斜面を物ともせずこえて行こうとしたが、今日は調子が違った。強風が吹き荒れているのである。馬の背を通過中に強風にあおられると間違いなく落下する。しばし、沈思黙考を重ねたの末、馬の背手前の岩陰で弁当を広げ昼食をとりながら風が弱まるのを待つことにした。

 昼飯を平らげ、喉も潤した後、再度馬の背にチャレンジすべくリュックを背負い直した。風も幾分弱まったような気がする。気合を入れ直して、一気に馬の背をこえて行った。しかし気負いすぎて、前方の東山頂上までそのまま走破してしまった。
東山山頂
 東山からは、須磨アルプスの全貌が望めるので、馬の背を越えてきたハイカーにとってここは絶好の昼食ポイントとなっている。この日も多くのハイカーが弁当を広げ談笑していたが、当方は既に弁当を平らげてしまっているので、ここでは写真を数枚写して、そのまま通過することとした。(-.-;)

 写真上は、東山の頂上とその向こうに広がる馬の背辺りの景色である。また、写真右は、須磨アルプスの後方に見える栂尾山の様子である。
東山から見た栂尾山
東山から見た栂尾山
妙法寺  東山頂上から縦走路は急な階段となって麓の横尾の住宅街に続いている。頂上から10分程度で住宅地まで降りてきた。
 ここから、縦走路は住宅地の中を進んでいくことになるが、住宅地の中のコースは全く分かりにくい。事前に地図でよく調べておくか、地元の方に確認して進むのが間違いないだろう。
 縦走路のアスファルト道はバス道に出て、横尾2丁目のバス停を過ぎ、17棟の団地の手前を右に入る。縦走路でなければ誰も歩くことはないであろうと思われるような寂しい歩道がしばらく続き、さらに、阪神高速神戸山手線を越えて進んで行くと道は妙法寺(写真左)の前に出てくる。
 更に住宅街を進み県道神戸三木線を越え、妙法寺小学校の前の道を高取山の方に向かい進んでいく。すると右手側に高取山への登り口らしき場所が見えてくる。ここまで、住宅地の中を歩くこと約35分位である。
妙法寺
 高取山は赤土と岩場の混じった登り道で始まる。最初、階段の登りもあるが、すぐに九十九になった坂道に変り、この状態が山頂付近まで続く。途中、ウグイスの鳴く声も聞こえてきた。
 登り始めて25分で荒熊神社に到着。ここには三角点があるはずなので早速探索にかかる。すぐに電波塔の横の三角点を発見(写真右)。
 ここでは、地元の方が、黙々と下草刈りをされ、神社境内の手入れをされていた。こういった方々の努力で景観と信仰が守られているのか思うと頭の下がる思いがする。
 三角点のある場所から、長田の町並みはもちろんその前方に鉢伏、旗振の山々から淡路島まで綺麗に望むことができる。
高取山三角点
高取山三角点
高取山からの景色  荒熊神社からまた縦走路にもどり高取神社を目指す。すぐに高取神社に到着。高取神社では縦走路から北に向かい登りの階段が延びている。案内の表示板では、この上に高取神社奥の宮があると記されている。
 お参りすべく階段を登っていくと、なんと、奥の宮前の展望台からは素晴らしい景色が眼前に広がっていた。六甲山にビューポイントの展望台は数々あれど、ここはその仲でもトップクラスの景観を持っていると思う。180度の展望が広がっているのである(写真左)。今日の強風でスモッグが吹き飛ばされたのか、シャープな景色が手に取れるようだ。
高取山からの景色
 絶景を提供していただいたお礼と残りの山道の安全を祈願して奥の宮に参拝する。
 奥の宮で参拝をすませて、ふと横を見ると、まだ奥に向かって道が続いている。
 「きっとそこが高取山の山頂だろう。」と思い進んで行くと、予想通り高取山山頂を示す表示がそこには建っていた。(写真右)
 高取神社で絶景に見入り、お参りなどをしていたら、既に20分もここに滞在していることに気が付いた。まだ、今日は鵯越まで歩こうと思っているので、縦走路に沿って高取山を下っていくことにした。
 
高取山山頂
高取山山頂
 15分で山道を下りきると、麓の長者町の民家が見えてきた。しかし、この辺りの住宅地は急傾斜地に面している。見れば「急傾斜地崩壊危険区域」の表示もある。ここはまだ高取山の山域なのかなどと考えながら道を下っていると、県道長田箕谷線に出てきた。ここを横切り鵯越まではまだまだ民家が続く。この辺りを歩くときも事前によく地図を確認するか地元の方に聞きながら進んで行くのがいいだろう。縦走路の表示は何ヶ所かあるが、やはり道が分かりにくいのは事実だ。
 何とか住宅地を抜けて、神戸電鉄鵯越駅に到着したのがちょうど3時。須磨浦公園の駅を9時30分にスタートしてちょうど5時間30分のハイキングであった。(‘o‘)ノ
神戸電鉄鵯越駅
神戸電鉄鵯越駅
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