大池地獄谷・地獄谷東尾根 (お勧め度★★☆) 北六甲【2-38】

神鉄大池駅(9:26)==地獄谷東尾根分岐(9:54)==539mピーク(10:33)==地獄谷東尾根==六甲アルプス分岐(11:16)
==シュラインロード合流(11:40)==前ヶ辻(12:03)==ノースロード(12:19)==地獄谷分岐(12:30)==地獄大滝(13:38)==
水晶山第四堰堤(14:03)==神鉄大池駅(15:00) (約5時間30分 令和2年2月8日) 
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 裏六甲にも地獄谷がある。名称を大池地獄谷といい、以前は道標が比較的整備されていた。この大池地獄谷にはいくつかの堰堤があるが、その堰堤に水が溜まり、登山道が水没しているとのレポがネットで発信されている。現状を確認すべく、今日(令和2年2月8日)は、大池地獄谷を目指してみた。登りは、地獄谷東尾根を進み、ノースロードを経て大池地獄谷を下ったが、水没個所の巻道は十分な注意が必要と感じた。
神戸電鉄大池駅  大池地獄谷へのアプローチは、神戸電鉄の大池駅からとなる。六甲の裏側を有馬、三田方面に向かう神戸電鉄有馬線に乗り込む。山間を縫うように進む電車は、鈴蘭台を過ぎると六甲の裏側に回り込む。やがて、電車は大池駅に到着し、数人の乗客と共にホームに降り立った。
 改札を出てすぐの道を南に向かってスタートする(9:26)。前方に一人、ハイカーが歩いている。地獄谷に向かう方のようだ。
神戸電鉄大池駅
地獄谷行  大池駅から地獄谷の取付きまで約20分程かかるが、それは住宅街の中の道で、初めての場合は分かり難い。道中の要所に、「地獄谷行」の道標がああるので(写真左)、それを見落とさないようにしたい。
 東大池の住宅街の周りを反時計回りに巻きながら地道を進み、二つ目の「地獄谷行」の道標で右に下ると(9:40)、信号の交差点になる(9:42)。
地獄谷行
 交差点の信号で広い車道を渡って左に進む。すぐに神港学園の大池グランドへの道が右に分岐してる。そこを過ぎて、次に車道から右に下る分岐が、地獄谷への分岐となる(9:47)。ここには「地獄谷・地獄谷西尾根」と記された道標がある。分岐から舗装路を少し進むと右側に階段が下っている(写真右 9:51)。ここにも「地獄谷・地獄谷西尾根」の道標があり、併せて、もう一つ看板があった。「注意 大池地獄谷道は途中の砂防ダムに水が溜まり、登山道が水没しており通行できません。」 階段と地獄谷の道標
階段と地獄谷の道標
工事用のレール  「注意」の看板から階段を下って、道なりに進んで、阪神高速の高架をくぐる(9:50)。この辺りで、工事用のレールがハイキング道に設置されていた(写真左)。近くの堰堤の方から重機の音も聞こえるので、堰堤工事の荷物運搬用のレールのようだ。少し歩きにくいので注意して進む。
工事用のレール
 その先すぐ「ノースロード出会」の道標で道が分岐する(写真右 9:54)。ここは直進が地獄谷で、分岐を左折すると地獄谷東尾根に進む。道標には地獄谷東尾根の案内はない。
 大池駅から先行していたハイカーの方は、ここで地獄谷の方に進んでいかれた。当方は、この分岐から地獄谷東尾根方面に入る。すぐに明瞭な道が左右に分岐するが、そこは左側の道を登っていく。
地獄谷東尾根分岐
地獄谷東尾根分岐
阪神高速が見える 水晶山第二堰堤
阪神高速が見える 水晶山第二堰堤
展望の地獄谷東尾根  分岐からも、よく歩かれた山道が続くが、すぐに急登となる。尾根に向かう急な登りで一気に汗が出てきた。上着を一枚脱いで、ゆっくりと登る。
 分岐から10分少々で尾根に乗った(10:07)。尾根は開けて開放的だ。尾根から北側を見やると、阪神高速の高架の向こうに大池の街並みが見下ろせる(写真左上)。
 少し進んで、尾根の右下に水をたたえた堰堤が見えてきた(写真上 10:10)。水晶山第二堰堤のようだ。
展望の地獄谷東尾根
 更に、よく踏まれた尾根道を進んでいくと、南に向かっていた山道が東方向に進路を変える(10:17)。ここは地獄谷の枝谷を東に回り込んで回避する道のようだ。東に向かい一気に下り、その先、登り下りを繰り返しながら、次の尾根に乗った(10:27)。この辺りの尾根道も、北西に展望があり、快適に歩ける(写真上)。
 次に、地形図で539mとされている場所を通過し(10:33)、その先で分岐点らしき場所に到達した(写真右 10:37)。
分岐は右に登る
分岐は右に登る
地獄谷東尾根  この分岐は残置テープの指示通り右に登っていく。ここから更に急な登りが始まる。
 歩きやすいが、単調な尾根道にすこし退屈してきたところで、前方に大きな岩が見えてきた(写真左 10:49)。大岩の横をへつりながら進み、山道の変化を楽しむ。急な登りの連続はこの大岩の辺りで一段落し、その先、小ピークを越えて下りとなる。
地獄谷東尾根
 しかし、下りの先にまだまだアップダウンが待ち受けていた。地獄谷東尾根は、タフな山道だ。急登で休憩を挟む時間が多くなったが、休憩中に地獄谷東尾根道がよく整備されていることに気が付いた。道標類は一切ないが、小枝や下草は払われて、歩きやすく手入れされた跡がある。先達の方に感謝しながら、地獄谷東尾根を登っていく。
 次に、周囲が笹に覆われた山道になり、緑の中を快適に登る(写真右 11:10)。
笹の地獄谷東尾根道
笹の地獄谷東尾根道
地獄谷東尾根の古い道標  笹の道を快適に進んでいたが、前方に一気の下り道が待っていた。そこを下って笹道を登り返したところに、古い私製の道標が残っていた(写真左 11:16)。道標の文字は劣化で読みにくいが「地獄谷東尾根入口」と書いてあるようだ。
地獄谷東尾根の古い道標
 また、古い道標のある場所のすぐ先に、「シュラインロード→」、「←東尾根・神鉄大池」の私製道標の設置もあった(写真右)。ここまで地獄谷東尾根道は、南東に向かって登ってきたが、この私製道標がある場所で枝尾根が北に延びている。その北に延びる尾根には薄いが踏み跡がある。この枝尾根は「六甲アルプス」と呼ばれる道だが、その旨を案内する道標はない。岩稜の劣化が進む六甲アルプスの尾根道は、歩行に適さなくなっているのだろう。 六甲アルプス分岐
六甲アルプス分岐
笹の尾根道が続く  六甲アルプス分岐で地形図を確認する。ちょうど六甲アルプスの真下を六甲有料道路の六甲山トンネルが通過していた。この六甲アルプス分岐から、地獄谷東尾根道がシュラインロードの合流するまでは、まだ少し距離があることが地形図でわかる。アップダウンもまだ続きそうだ。心して進むことにする。
 六甲アルプス分岐から笹の尾根道を歩くこと約20分で、突如、ベンチのある広場に飛び出した(写真左下 11:37)。
笹の尾根道が続く
ベンチの広場に飛び出した シュラインロードに合流
ベンチの広場に飛び出した シュラインロードに合流
 ベンチのある広場の左上には、古い山荘の屋根が見えている。バブル経済の頃ににぎわったシュラインロード沿いの山荘の一つだろう。その先、すぐにシュラインロードに合流した(写真右上 11:40)。合流地点には「東尾根入口・大池駅→」の私製道標がぶら下がっていた。
 地獄谷東尾根道は、公的な道標は全くなく、私製の道標もわずかだったが、歩きやすい尾根道で、迷うところもない道だった。
シュラインロード
シュラインロード
シュラインロードの石仏  地獄谷東尾根道では、一人のハイカーにも合わなかった。裏六甲らしい静かな雰囲気の山道と言えるが、誰にも会わないのは少し寂しい。もう少し歩く人があればとの思いを持った。
 シュラインロードからは、前ヶ辻まで進んでみたい。この辺りのシュラインロードは舗装路で、周囲に散らばる山荘利用者の車がたまに通るので注意して歩きたい。
シュラインロードの石仏
 舗装路脇の笹の斜面には野仏(石仏)がたたずむ(写真上)。時を経て風化した石仏のお顔は分かり難くなっているが、なにやらやさしい表情で見送ってくれているように感じる。目礼しながらシュラインロードを進むと、ノースロード分岐となった(写真右 11:52)。下山はここから地獄谷を下る予定だが、まずは前ヶ辻まで進むことにする。 ノースロード分岐
ノースロード分岐
前ヶ辻  ノースロード分岐から10分で前ヶ辻に到着した(12:03)。ここで六甲縦走路と合流する。前ヶ辻でグルームさんゆかりの白鬚白菊大明神に御参りする。次に、前ヶ辻近くの酒屋「藤原商店」に向かう。店の前の自販機で熱い缶コーヒーを調達して暖をとる。あったかい肉まんも販売しているが、カロリーを考慮して自重した。
 缶コーヒーで休憩を入れた後、下山を始める。下山路は水没個所の確認も兼ねて地獄谷道とする。
前ヶ辻
 前ヶ辻からシュラインロードを引き返し、ノースロードの分岐まで戻ってきた(12:19)。ここで左折してノースロードに入る。舗装路の先で緩やかに階段を下ると、周囲に笹原が見えてくる。近畿自然歩道にもなっているノースロードは、歩きやすい山道だ。笹の緑に癒されながら快適に進む。その先、地獄谷分岐で「注意」の看板が登場した。「地獄谷(中・上級者向)」の道標の傍に、「大池地獄谷は、途中で登山路が水没している」旨の表示がある(写真下 11:27)。 ノースロード
ノースロード
地獄谷分岐(注意) ノースロードを進む
地獄谷分岐(注意) ノースロードを進む
地獄谷分岐  「注意」の看板がある分岐から地獄谷に下って行くのは、少しはばかられたので、ノースロードをもう少し進んだ所にあるもう一つの地獄谷分岐まで進んでいくことにした。ノースロードは何度も小さな流れを板橋で渡りながら、快適な道が続く(写真上)。やがて、もう一つの地獄谷分岐のところまでやってきた(写真左 12:30)。ここには、「注意」の道標も、ここが地獄谷分岐であることを示す表示もない。
地獄谷分岐
 分岐から地獄谷に向かって下っていく。笹が茂る尾根道に整備された道が続いている。その道は、すこぶる急な階段が連続するので注意して下りたい。 地獄谷への下り道
地獄谷への下り道
下方に堰堤池の水面  やがて、下方に水面が見えてきた(写真左 12:37)。砂防ダムに溜まった水で登山道が水没した箇所なのか・・・と、身構えたが、近づいていくと、水面の周りにう回路が付けられていた。
下方に堰堤池の水面
 堰堤に溜まった水は、青黒い色で不気味な感じだ。おまけに水面が薄く凍っている。ここは「ドボン」は避けなければならない。水面近くの道はぬかるむので注意して進む。その先で、池の斜面を少し高巻くように迂回路が作られていた。ロープの設置もあるので、それにつかまり、慎重に越える(写真右 12:42)。 下方に堰堤池の水面
池の斜面をへつる
 ロープで斜面をへつった先で、古い地獄谷道の道標が残っていた。黄色い119番通報プレートの設置もある(写真右 12:45)。
 その先、右下に水を湛えた堤防を見やりながら、地獄谷道を進んでいく。よく歩かれた地獄谷道には、次々に119番通報プレートの設置された道標が登場する。地獄谷の道標は、古いものや新しいものが混じっており、神戸市が整備を継続していた道であったことが窺われる。
地獄谷の道標
地獄谷の道標
地獄谷の苔むす岩  堰堤を越え、急な階段を下って進むと、地獄谷道はやがて地獄谷の流れに合流した。苔むした大小の岩の中を進んでいく(写真左 12:52)。流れの景観がよく、野趣もあって、なかなか楽しめるエリアに気持ちが和む。
 地獄谷道は、その先、何度も流れをクロスしながら下って行く。踏み跡はしっかりとしているので、それを忠実に拾いながら進む。ルートが怪しいと思ったら、対岸を確認したい。そこに踏み跡が見えているはずだ。
地獄谷の苔むす岩
 更に下って行くと、右手側から地獄谷の枝谷が合流している場所があった(13:02)。その先に、大きな水音の滝が待ち受けていた(写真下 13:06)。滝の一部が少しだけ凍っている。ここは、滝の脇を慎重に下る。
 次に15分程下って、流れを渡ったすぐ下で、比較的大きな滝が流れ落ちていた(写真右下 13:21)。この滝は左岸を巻いて下る。
何度も地獄谷の沢を渡る
何度も地獄谷の沢を渡る
地獄谷の滝 1 地獄谷の滝 2
地獄谷の滝 1 地獄谷の滝 2
 地獄谷道は、この辺りから野趣が一層増してくる。流れのクロスでは、慎重に足を置く石を選び、滑り落ちないように慎重を期す。
 地獄谷の流れを渡りながら、大きな円形の淵が確認できた(写真右 13:28)。この釜は巾が10m程ありそうだ。
地獄谷の釜
地獄谷の釜
岩壁をロープでへつる  次に、地獄谷道は岩壁をへつる場所になった(写真左 13:32)。ここは迂回路は見当たらず、岩壁に沿って進まざるを得ない。この岩壁は大池地獄谷一番の難所だろう。水深はそんなに無いようだが、寒空の下、ドボンは避けなければ・・・。幸いにも岩にはロープが張られているので、それにつかまって、へつりで何とか越えた。
岩壁をロープでへつる
 岩壁をへつって越えた先では、地獄谷一番の地獄大滝が待ちかまえていた(写真右 13:38)。ここは滝の左岸を下って行くが、その水音の大きさで、圧倒される。滝の右岸の高いところに、兵庫登山会の「地獄大滝」の看板が残っていた。少し下流の登山道ら流れに降りて、地獄大滝の滝壷まで近づき、しばしの間、流れ落ちる水流に見入ってしまった。 地獄大滝
地獄大滝
水晶山第四砂防ダムの巻道  地獄大滝を10分弱、眺めていただろうか。そろそろ大滝を出発することとする(13:49)。滝壺から地獄谷道に戻り、下山を急ぐ。
 地獄大滝から5分程で、水晶山第四砂防ダムが近づいてきた。ここで、堰堤内に溜まった水面が前方に見えてきた。水没で通行不能はこの場所だった。本来の地獄谷道は通行不可能だが、ダムの右岸に巻道が作られているのでそれに従う。巻道は、急な斜面にへばりつく細道だ(写真左 13:57)。滑落しないように慎重に進む。
水晶山第四砂防ダムの巻道
 細い斜面の道を進んだ先で堰堤が近づくと、それを越えるため、細い道が更に高巻くように作られていた。水面から相当高いところにロープが張られた巻道がある(写真右 14:00)。ここは急ごしらえ感丸出しの迂回路で、足場も悪く、更に慎重に足を進める。 う回路のロープ場
う回路のロープ場
水没した登山道  ロープ場を慎重に通過し、水晶山第四砂防ダムの堰堤の上に降り立った(14:03)。本来の地獄谷道は、この堰堤から階段で堰堤内に降りていたが、今は階段の下部が水面に飲み込まれている(写真左)。これでは、通行不能でやむを得ない。
水没した登山道
 水没した箇所の確認を終え、水晶山第四砂防ダムを出発する。堰堤から右岸道で堰堤下に降り立つ(写真右 14:07)。堰堤を振り返ると、二つの洪水吐から水が勢いよく吐き出されている。その吐き出された水は、滑滝になって流れ落ちていたが、滑滝の色は黄土色で、美的にはもう一つの感じだった。 水晶山第四砂防ダム
水晶山第四砂防ダム
水没注意の看板  水晶山第四砂防ダムから地獄谷道を更に下り、左側から地獄谷西尾根道が合流してくるところで、ノースロードで見かけた水没注意の看板と同じ看板が確認できた(写真左 14:17)。更に下って、右手側に水晶山第二堰堤が登場し(14:25)、その先で午前中に通った地獄谷東尾根分岐に戻ってきた(14:40)。ここからは、午前中にやって来た道を逆にたどる。神鉄大池駅にはちょうど午後3時に到着した。今日は地獄谷の尾根と谷道で、裏六甲の静かなルートを堪能した。
水没注意の看板
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