林間ルート・社家郷山・大藪谷 (お勧め度★☆☆) 東六甲【4-33】 |
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秋晴れの中、JR神戸線に揺られて「さくら夙川駅」までやってきた。ここから「さくらやまなみバス」で、かぶとやま荘に向かう。 多くのハイカーを乗せて満員のバスは、やがて「かぶとやま荘」バス停に到着したが、下車したのは当方を含め2名だけだった(8:46)。多くの方は、更に奥の山を目指すのだろう。 |
JRさくら夙川駅 |
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「かぶとやま荘」バス停のベンチで身支度を整え、駐車場奥の社家郷山キャンプ場「四季の道」出会い(ねこ柳の池)から山歩きをスタートする(写真左 8:54)。 四季の道では、社家郷山の森林整備がコープこうべにより進められているようで、「社家郷山観察のポイント」と題された大きな看板が随所に建てられている。その看板で、「四季の道」の観察をしながら、林間コースの取付きまで進んでいくこととしたい。 |
かぶとやま荘 |
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ねこ柳の池から四季の道を進む。 カワラナデシコの生える万葉の草原を経て長谷原に至る(写真右 8:59)。長谷原は、広場になっていて、案内看板では、「年月を経て谷筋からコナラ林に変わった。」と説明がある。 |
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長谷原 |
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長谷原は森林整備の中心部のようだが、今は、訪れる人も少ないようで、荒れた感じが漂うのが残念だ。 少し探索してみたが、繁茂して背の伸びた草むらで「ひっつきむし」の襲撃を受けてしまった。粘液によって張り付くタイプの種子で、散々な目にあってしまう。 |
長谷原にある社家郷山の看板 |
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長谷原を退散し、次に、長谷の沢に進む(9:03)。ここでは「長谷は樫ヶ峰で一番長い谷筋」と説明されている。 さらに、四季の道を進んでいくと「これよりハイキング道です。体調、装備は万全ですか?」の表示が登場した(9:20)。
この表示の場所から、丸太の階段道となる。 約2分進んで左からの道が合流した(9:23)。ここには「あずまや 290m」の看板があるので、これで樫ヶ峰林間ルートに入ったことがわかる(写真右)。 |
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「あずまや 290m」の看板 |
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その先でキレットルートとの分岐になる(9:25)。ここには道標があり、林間ルートと示された左側の道を登っていく(写真左)。 ここからすこぶる急な尾根道の登りが始まる。雨水で流れてきた土をかぶったり、倒木があったりと、荒れた感じの道が続くが、踏み跡はしっかりとしているので迷うことはない。 |
「林間ルート」の道標 |
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その先で二か所ほどロープのある急勾配が登場した。 ロープに助けてもらいながら急坂を登っていくと、いくぶん傾斜が緩んできた。その傾斜が緩んだ先に「あずま屋」が建っていた(写真下 9:41)。 |
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林間ルートのロープ場 |
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あずま屋は、太い角材で組まれたりっぱな造りで、テーブルとベンチが設置してある。 |
林間ルートのあずま屋 |
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あずま屋からは、真正面に甲山が見え、展望はなかなかだが、前方の草木が背丈をのばし、往時の景色とは違うようだ。 大きな桜の木もあり、その季節にはきれいな花が見られるのだろう。 |
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あずま屋からの展望 |
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あずま屋を過ぎると、また急登がはじまる。ロープ場もあり、なかなか厳しい登りが続く。道脇には、緑色の「林間ルート」の小さな道標が続いている(写真左)。 その次に石積みの段々の山道を登る(写真左下)。この石積みは、脆い山肌の土石流出を防ぐ目的もあるのだろう。この石積みの段々の坂道を登ったところで東四つ辻方向を案内する古い道標が登場した(写真下 9:50)。ここから山道の傾斜が緩む。 |
「林間ルート」の緑色の道標 |
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石積みの段々坂道 |
林間ルートに立つ道標 |
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傾斜が緩んだ山道から東側を望むと、樹間から樫ヶ峰の山頂が見えていた(写真左 9:52)。林間ルートはその名の通り、樹木に覆われた道で、あまり展望がなかったので、ここで気持ちが和む。 |
樹間から望む樫ヶ峰 |
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更にもう少し登って、西側にも少し展望があった(写真右 9:58)。ここからは、六甲最高峰手前にある鉢巻山あたりが見えているようだ。 |
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樹間から望む鉢巻山 |
その先、5分ほど登ると空が開けて、山道に陽が射しこんできた。ここで南側を振り返ると展望がひろがって大阪湾が一望であったが、逆光で霞がかかり絶景とは言えないのが残念だった(10:06)。 少し意気消沈な気持ちで進んでいくと、その先すぐで西三ツ辻出会に到着となった(写真右 10:08)。西三ツ辻出会には古い石柱と道標が立っている。 |
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西三ツ辻出会 |
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西三ツ辻出会からは西に下って行き、小笠峰のピークを目指す。 山頂にアンテナ塔が立つ大平山を右手側に見ながら緩やかに坂道を下って、次に、緩やかに登り返したところが小笠峰出会である(写真左 10:16)。 小笠峰出会からはキジ谷ルートが下っている。 小笠峰出会から、展望のない社家郷山展望ルートを更に西に進むと、約5分で小笠峰のピークに至った(写真下 10:21)。 |
小笠峰出会 |
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小笠峰も全く展望のないピークである。小笠峰のピークには古くなって朽ちた表示が立っていて、標高が記されているが、もう文字が読み取れない。 ところで、国土地理院のWEBの「地理院地図」を利用すると標高が確認できるが、それによれば小笠峰の標高は489mくらいで、小笠峰出会は491mくらいとなっている。
樫ヶ峰は457mであるから、社家郷山一帯では、小笠峰、小笠峰出会あたりが最も標高の高い地点ということになろう。 |
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小笠峰 |
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さて、小笠峰からは小笠峠に向けて下って行く。 この下りの急勾配は強烈である。地形図でも等高線の密度が半端ない。露岩むき出しの急な箇所もあり慎重に下る。ここは木々につかまりながら、ゆっくり下るのがいいだろう。剥き出しになった木の根っこなどにもつかまりながら、麓の車道に下りついた(10:34)。ここでは、ガードレールの切れ目から車道(旧県道82号線・盤滝峠道)に出る。ガードレール脇に古い道標があるが、これも古くなって、文字は全く読み取れない。 |
通行止め |
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盤滝峠道からは、小笠峠に向かい登っていくのだが、車道には通行止めの表示があり、道路が閉鎖されている(写真上)。 閉鎖により車が走らなくなってしばらく経つようで、アスファルトには枯枝と枯葉が堆積している。この先、通り抜けられるのか、少し不安を覚えながら小笠峠を越えていく(10:38)。 |
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小笠峠 |
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旧県道82号線は通行止め |
盤滝峠道は法面崩落 |
小笠峠を越えて少し下ったところで重機の音が聞こえてきた。見ると、大きな土砂崩れが発生しており、まさに復旧工事中であった。歩行者通行止めの表示があるも、今日の工事現場は崩落斜面の上部のようだったので、作業員の方に通行の許可を申し出た。結果、安全を確保して、路面の端を通過することができた。近くで見ても、大変な復旧工事のようであるが、安全に一日も早い工事完成を祈りたい。 なお、現場の看板では、工事期間は30/12/28までで、8:00から17:00まで、法面復旧工事が実施されるようだ。 |
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旧道に入る |
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工事現場を抜け、上盤滝橋で仁川を渡る(10:47)。ここからは車道歩きになるので、注意する。県道16号を車に注意しながら下って行く。県道16号は、車だけでなく自転車も走っている。サイクリングブームで山間の車道ではチャリダーが増えている。 兵庫県道16号と82号が重なる盤滝トンネル東の信号の手前で、旧道に入る(写真上 10:54)。ここからは、車は来ないので安心だ。緩やかな下り道を進む。大藪谷へはこの旧車道のハイカー用ゴミ箱が並ぶガードレールの切れ目から取付くので、ゴミ箱を見落とさないように注意して進む。 |
旧道はハイキング道 |
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そろそろゴミ箱かなと思われる地点に来たが、ゴミ箱がない。あれれっ??・・と、思ってよく周囲を見渡すと怪しい場所を発見した(写真右 11:03)。看板があって「この(ゴミ)箱は、ハイカー用に置いてあるもので、一般家庭ごみ・・等を入れるものではありません。(西宮市道路管理者)」と書かれている。ということは、ここに従前あったゴミ箱は撤去されてしまったようだ。あぶないところで、通り過ぎるところだった。 |
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大藪谷への取付き |
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従前、ゴミ箱が置かれていたところのガードレールには、赤いペンキで矢印があるので、それが大藪谷への取付きを示している。 ガードレールから石垣を下って、沢ににおりる。この沢は仁川の源流域と思われる。幅がある仁川を石伝いで越える(写真左 11:06)。 |
仁川の源流域を渡る |
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渡った先で大藪谷の遡行が始まる。大藪谷を流れる大藪谷川にそって左岸の道を進む。ここは、よく歩かれた道で、迷うことなく進んでいける。 |
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大藪谷 |
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大藪谷に入って10分ほど進んだあたりで疑似丸太の階段となる(11:19)。その階段を登っていくと、それは堰堤越えの道だった。堰堤名は、仁川通常砂防堰堤である。この堰堤の天端には、ダムに立ち入らないようにとの注意喚起看板と、堰堤周辺の川や谷の名称を付した地図が設置してある。その地図で、周囲の位置関係を理解して、さらに大藪谷を遡行していく。 |
仁川通常砂防堰堤 |
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仁川通常砂防堰堤を下って行くと、沢の流れを渡る(写真右 11:22)。右手側から流れてきているので大蛇谷川の流れを渡ったものと考えられる。 流れを渡ってからも、更に沢の左岸を進んでいく。この道は、大藪谷川の左岸に沿って遡行している。 |
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大蛇谷川の流れを渡る |
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次にまた、堰堤を大きく高巻く(11:25)。
そして、その先で、大藪谷の山道は谷から離れ、谷の左岸の斜面をどんどん上に登っていくこととなった(写真左 11:31)。んんぅん・・・?!地形図では、この辺りもずっと、大藪谷川にそって破線のルートが描かれているが、GPSの軌跡は、その破線のルートからどんどん離れていく。 この道は、位置的には大藪谷川の北側にある道なので「大藪谷北尾根」と呼べばいいのだろう。 |
大藪谷北尾根 |
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しっかりした踏み跡の大藪谷北尾根をどんどん登っていく。10分くらいは登り続けたと思われるあたりで、やっと平坦な道となった。そこから更に6分程進んだ所で小さな沢を二つ渡った(写真左 11:45)。 この沢は、大藪谷川の源流域だと思われる。 |
大藪谷川の源流域 |
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大藪谷川の源流域の沢を渡ると、また登りとなるが、そのあたりで前方からバイクの爆走音が聞こえてきた。これで、もう芦有道路の近くまで登ってきたことがわかる。その先で、六甲山最高峰方面の熊笹峠から下ってきた道と合流して、大藪谷北尾根道は終点となった(写真右 11:52)。 大藪谷道から大藪谷北尾根道は踏み跡がしっかりとついて、よく歩かれた道であった。大藪谷北尾根道は盤滝から芦屋に抜ける古くからの交通路であったのかもしれない。 |
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大藪谷北尾根道の終点 |
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さて、ここからは、芦屋奥池園地に出て、池を散策を楽しみたい。 大藪谷北尾根道と六甲最高峰から下ってくる道の合流地点から約8分程で、奥池の湖畔に下りついた(写真左 12:00)。奥池は、瀟洒な街並みの中に豪邸が並ぶ。高級住宅地なのか別荘地なのか分からないが、六甲山中に静寂な住空間が広がっている。有料道路「芦有ドライブウェイ」を使わないと、住宅地に入れないというのが、高級さを如実に物語っている。 |
奥池 |
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奥池の湖畔 |
奥山貯水池 |
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その奥池で、お握りを頬張りながらしばし洒落た雰囲気の中に身を置いた後、下山を始めた。 帰りはJR芦屋駅までバスで下りたい。ぶらぶらと奥池、奥山貯水池を周遊しながら洒落た住宅の並ぶ地区に進むと「奥池集会所前」バス停を見つけた。ここから前方に、奥池地区の背山「林山(745m)」が見えている。 やがて、12時33分発のJR芦屋経由阪神芦屋行きのバスがやってきたので、車中の人となって本日の山歩きを終えたのであった。 |
奥池集会所前バス停・後方は林山 |
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