ガベノ城・ゴロゴロ岳(六麓荘ルート) (お勧め度★★☆) 東六甲【4-39】 |
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六甲山系で唯一、岳の名がつく山として知られるゴロゴロ岳。この山には何度か登っているが、芦屋市六麓荘からゴロゴロ岳に通じるルートは歩いたことがない。そこで今日はその六麓荘ルートを歩いてみることにした。六甲山系登山詳細図(吉備人出版)では、六麓荘ルートは急登で熟達者向きのコースとされていて興味がわく。登りは、北山公園からガベノ城を目指し、下りでゴロゴロ岳の六麓荘ルートを歩くことにした。出発は阪急電車夙川駅とした。 |
阪急夙川駅 |
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阪急電車夙川駅で下車(9:23)。夙川駅の神戸線ホームは夙川の上にあり、その姿が川面に逆さで映っている(写真左上)。その夙川駅から夙川河川敷緑地に入り、まずは北山公園を目指す。コロナ騒動の中、夙川河川敷の夙川さくら道に人影は少ない。犬の散歩の方などが、疎らに桜並木の下を過ぎていく。河川敷の桜は、まだ蕾を固く閉じて、開花迄には時間を要す感じだ。 |
夙川さくら道 |
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夙川の左岸を遡行していくと、左手側に阪急苦楽園口駅が見えてきた(9:39)。その先で、左岸道は阪急甲陽線の線路の下をくぐる(9:42)。くぐった先は夙川上流緑道となって、さらに上流に進む。飛び石のある場所で、右岸、左岸と流れを渡りながら、夙川を遡行していくと、やがて銀水橋に到着となる(写真右 9:58)。 |
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銀水橋 |
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銀水橋で県道大沢西宮線を渡って北山公園に入る。公園内を夙川に沿うように西に進み、途中、右手側の分岐から山道を登っていく。北山砂防ダムから石階段の登り道が延々と続き、脚部にずしりと負担がかかる。7分ほど階段道が続いたところで山道が分岐した(10:12)。道標があり、ここは右折して北山池方面に進む。すぐに展望台があり、そこを過ぎて更に一登りすると北山池の堰堤に出た。池の脇にはボルダー群が覗いている(写真左 10:17)。
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北山池 |
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北山池は南北に3つが並んでいる。その池の周りの周遊路を散策する(写真右)。そこらじゅうでボルダー(boulder:丸い大きな石)が見られる(写真右)。岩の間を縫うようにして進み、一番北側の池までやってきた。ここから進路を西に変えて北山緑化植物園の方に進む。 |
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北山公園 |
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少し進むと猪除けの柵があり、それを開けて園内に入る(10:29)。北山緑化植物園は都市緑化や家庭園芸のモデルとして、多年草を使った花壇が充実していると、同園のHPに記載がある。それらの花壇を散策しながら、北山墨華亭、小蘭亭の建物を過ぎる。 |
北山緑化植物園 |
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北山緑化植物園では、薬草園、ボーダー花壇、バラ花壇、アジサイ花壇など様々な花壇が並ぶ。すべての見学には時間を要するので、本日は園内一画に咲いていた紅白の梅の花を観賞し、植物園を後にすることにした。 柏堂町バス停のところで北山緑化植物園を出た(10:40)。 |
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北山緑化植物園の梅 |
県道大沢西宮線の横断歩道を渡り、車道を北に進む。すぐに「剣谷町」の看板の所で車道がYの字に分岐する(写真右 10:43)。ちょうど曹洞宗西明禅寺があるところで、ここで左に入って剣谷町の住宅地の中を進む。延々とアスファルトの坂道を登っていくが、途中の民家の庭先で満開のミモザの花が出迎えてくれた。鮮やかな黄色の花が、無粋なアスファルト道の苦痛を救ってくれた。 |
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県道大沢西宮線 剣谷町交差点 |
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県道大沢西宮線から剣谷町の住宅の中の坂道を登ること約12分で、剣谷町の北西角までやってきた。ここで高い石垣の角の電柱にカーブミラーが取り付けてある(写真左 10:55)。この電柱に青色の目立つ色の道標が結び付けられている。古い道標で、文字が劣化しているが「剣谷登山口」と読むことができる。ここが、ガベノ城への登山口となる。 |
剣谷登山口が近づく |
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民家と民家に挟まれた狭い階段を登っていく(写真右)。道は民家の裏で左折となり、そこには西宮市上下水道局の剣谷排水水槽の構築物がある。ここから山道が始まる。 |
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剣谷登山口 |
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雨水で掘られた真砂土の山道を登っていくと、すぐに展望のある大きな岩に登りつく。ここは東側に景色が広がる(写真左)。剣谷町の住宅の屋根越しに大阪湾が一望できる。ここで、しばしの休憩を入れる。なお、この展望岩には、「山」と彫られた三角点のような小さな石柱と、3級基準点(六甲砂防事務所)がある。 |
3級基準点展望台 |
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展望の岩を過ぎると、小シダの茂る道となる。真砂土の山道の両脇に小シダが繁茂している。その小シダの道から後方を振り返ると、東側に展望が広がっている。この、ガベノ城への登山路は、随所で大阪方面に展望が開けていて、楽しく登れる山道といえる。 |
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真砂土の道 |
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その小シダの茂る道を登っていくと、前方にガベノ城らしきピークが見えてきた(写真左 11:07)。ガベノ城までは、まだまだ距離がありそうだ。ここから少し下った後、また、真砂土の滑りやすい山道の登りとなる。 |
ガベノ城方面を望む |
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展望の尾根道 |
甲山を望む |
その先で、また、大阪方面に展望が開ける箇所が登場した(写真上、右上)。市街地の連なる屋根やこんもりとした甲山の姿が見えている。またまた、小休止となる。随所で景色に見入ってしまい、なかなか登っていけない自分にここで気づき、少し急ぎ足で登っていくことにする。 黙々と15分ほど登って行ったところで、前方に石垣が見えてきた(写真右 11:23)。この辺りの山斜面には何段にも渡り石垣が並んでいる。 |
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石垣が登場 |
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この石垣が古い城壁ではないかということで「ガベノ城」と呼ばれるようになったらしいが、専門家の見解では、史料にその記載がなく、また、堀や土塁など山城の痕跡も確認できないということで、山城というのは虚構らしい。なお、「ガベノ城」の名称の経緯も不明のようだ。 |
ガベノ城道標 |
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石垣から少し進んで、枯木に「←ガベノ城」の表示板がくくりつけられていた(写真上 11:30)。ここで左折し、坂道を登っていく。真砂土が剥き出しで滑りやすい急登にはロープがつけられている。それをつかんで坂道を登り切ったところが、「ガベノ城」のピークだった(11:32)。 |
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ガベノ城 |
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ガベノ城の展望 1 |
ガベノ城の展望 2 |
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ガベノ城は、標高は約480m。大阪平野が一望で、東側には甲山(標高309m)の姿が見える。ガベノ城では強風が吹き抜けていたが、ここでまたまた休憩を入れることにした。 |
ガベノ城山名札 |
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ガベノ城で10分弱休憩して、そこを出発した(11:39)。ロープの急坂を下って、ゴロゴロ岳の方に登って行こうとしたところで、地面近くに青い道標が目に入った(写真右)。古いもので一部文字がはがれて読みにくいが、どうやら「剣谷・北山公園 ←新道 旧道→」と書かれているようだ。ということは、ガベノ城への登山路で、今登ってきた道が新道で、もう一つ旧道という山道があるようだ。 |
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旧道の道標 |
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道標の旧道の方を見ると、踏み跡が確認できた。そこで少しだけ旧道に入ってみたところ、踏み跡が残っているようだった。ここはまたの機会に探索してみたい。 旧道探査を終えて元の道に戻り、ゴロゴロ岳の方に登っていく。少し登ったところで左手側に高圧鉄塔(新神戸線No37)が見え、そちらに踏み跡が続いていた。そこで、その踏み跡を登っていくと鉄塔の周囲が植林エリアとなっていた(写真左 11:47)。高圧線保全で切り払われた樹木の再生が図られているようだった。 |
鉄塔 |
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鉄塔から戻り、更に山道を登っていく。鉄塔から5分程登ったところで、東側に展望の開けた大岩があった。ここは、当方が六甲の山々を歩き始めたころ、ガベノ城と誤認してしまった場所だ。ここも、すばらしい展望岩なので、少し休憩していくことにする。 ここからも真正面に甲山が見え、北山貯水池と対になって見事な展望だった(写真右 11:54)。 |
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上の展望岩 |
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なお、この展望岩の入口には、私製の道標があり、それに「ここはガベノ城ではありません。」と案内されていた(写真左)。当方以外にも、誤認する者が少なからずいるようだ。また、この道標によれば、今登ってきた山道は「剣谷ライン」と表記され、美しい稜線と案内されていた。確かに、展望に優れた尾根道なので、ファンも多いに違いない。 |
剣谷ライン道標 |
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展望岩から戻り、ゴロゴロ岳の方に登っていく。真砂土の山道を登っていけば、関電の「火の用心」の先で道が分岐する(写真右 12:04)。ここは、観音山、鷲林寺方面分岐で、その旨を示した道標も立っている。ゴロゴロ岳はこの分岐で左に進む。 |
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鷲林寺方面分岐 |
鷲林寺方面分岐からは、疎林の中の快適な道になる。この道は、ゴロゴロ岳、観音山、奥池を巡る主要なハイキングルートで、歩く者も多い。少し進んで、右手側に奥池遊びの広場に続く道が分岐していった(12:10)。その先、山道のすぐ横に住宅が並び始める。ゴロゴロ岳は山頂直下まで宅地開発されてしまったため、山道のすぐ脇に住宅という状況になっている。 |
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ゴロゴロ岳への道 |
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住宅が並び始めるとゴロゴロ岳の山頂も近い。その先で、前方に3人のハイカーが休憩している姿が見えてきて、そこがゴロゴロ岳の山頂だった。ゴロゴロ岳の山頂には三角点とりっぱな山頂表示石碑がある(写真左 12:16)。この石碑の後方に進むと西側に展望がある(写真左下)。しかし、目の前は住宅の庭先であり、山に登った感はあまりしないのが残念。 |
ゴロゴロ岳 |
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ゴロゴロ岳西側の展望 |
芦屋市ハイキングコース地図 |
さて、ゴロゴロ岳からは六麓荘ルートを下山したい。山頂から少し南に進むと「芦屋市ハイキングコース地図」の設置がある。その脇に緑色のフェンスに囲まれた荒地がある。ここが恐らく人間灯台跡(剣谷森林気象観測所)と思われるが定かではない。このフェンスに囲まれた荒地のところで道が左右に分岐している。六麓荘ルートは、この分岐を左に進む。すぐに、芦屋市設置の六麓荘コース道標がある(写真右 12:20)。 |
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六麓荘コース道標 |
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その先、陽の射しこむ明るい道を進むと右手側に植林されたエリアが見えてきた。次に高圧線の鉄塔が道脇に立っていた。この鉄塔は送電線「新神戸線」No38の鉄塔で、その周囲が植林され幼木が植えられていた(写真左 12:28)。 |
第一鉄塔 |
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鉄塔を過ぎると急下りのロープ場となる。ここは山土で滑りやすく、注意して下る。その先で、道脇に大きな岩が目立ち始めた。見渡すと、そこらじゅうの山中の山肌に、大きな岩がゴロゴロところがっている。苔がむして緑色になった岩も多く、古くから存在する岩であることがわかる。大坂城築城の頃、石垣に使用するために切り出された頃のまま残っているものに違いない。 |
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道脇に大岩 |
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明るい尾根道 |
六麓荘登山口道標 |
その先、明るい尾根道を下って行くが(写真上)、段差のある場所もあるので注意を怠らないようにしたい。やがて、六麓荘登山口と苦楽園尾根分岐の道標が立つ場所となる(写真右上 12:40)。ここは右に曲がって六麓荘ルートに入る。六麓荘ルートに入るとすぐに展望場所が登場する(写真右)。ここからは、真正面に芦屋浜のマンション群が見えている。展望を楽しみながら、ここで遅い昼食休憩とした。なお、この展望所には六甲砂防工事事務所の2級基準点が設置されている。 |
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六麓荘ルート展望所 |
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展望場所で昼食の後、六麓荘ルートを下り始めた(12:47)。ここから石を伝っての段差のある下りが始まった(写真左)。ロープの箇所も登場して、スリルある急下りが続く。落葉の堆積した場所もあり、足元に注意して下る。ほぼ直下降に近いような場所もあり、足場を間違えると危険な感じだ。しばらくは、緊張の下りが続く。 |
六麓荘ルートの急傾斜 |
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六麓荘ルートの道標 |
急下りが続く |
木々につかまりながら下るような個所もあって、慎重に、慎重に下って行く。展望場所から20分くらい急な下りが続いたが、やがて下方からチョロチョロと水音が聞こえてきて、流れに沿った道になってきた。ここで、傾斜が緩みほっとする(写真右 13:10)。 |
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流れに沿った道になる |
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その先、雑木の中を進んでいくと、突如、陽の射しこむところに飛び出した(写真左 13:18)。そこは、植林地帯のようで、幼木が植えこまれている。大きな木の切り株も見られるので、 ナラ枯れの被害が発生して植林したものと思われた。 |
植林地帯 |
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次に、剣谷国有林の看板が登場すると、その先で民家が見えてくる。民家と民家の間の塀に挟まれた細い道を伝うと、街灯の立つ場所で六麓荘の住宅街に出てきた(13:22)。塀に張り付けられた金属板に「六麓荘登山口」の表記があるらしいが、文字は消えて見えなくなっていた。ここから、六麓荘の住宅街の中をおもむろに下って行く。 |
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六麓荘の住宅街に出た |
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物凄い邸宅が並ぶ六麓荘の中を一人で歩くのは避けたいが、致し方ない。怪しい者と思われないように、山歩き用のストックを手にもってハイカーをアピールしながら広い舗装路を下って行く。やがて、阪急バスの「日出橋」バス停まで下ってきた(写真左 13:33)。ここでバスを待つのがお決まりのコースだが、今日は芦屋でもう一か所訪ねたい場所があるので、そのまま六麓荘の中をてくてく下って行った。 |
日出橋バス停 |
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もう一か所、訪ねたい個所は東山公園で、そこは打出二等三角点の設置がある。三角点の確認に併せてもう一つ、東山公園は桜がきれいと聞く。その桜を愛でるのが、今日の最終の目標だ。芦屋の住宅街をを延々と歩き、やっと東山公園に到着(14:04)。 |
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打出二等三角点(地下30Cm) |
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櫻はきれいだったが、打出二等三角点は地下30Cmに埋没し、発見に至らなかった。残念。東山公園は整備されて桜が植樹された感じだが、その際に、工事の関係で打出二等三角点は地下深く潜ってしまうことになったと想定された。さくらに癒されたので、これで良しとしようと諦め、芦屋川駅に向かった。阪急芦屋川駅には14時28分に到着して、本日の山歩きを無事終えた。 |
櫻 その1 |
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櫻 その2 |
櫻 その3 |