桜谷北尾根・二十渉第三堰堤南尾根   鵯越・鈴蘭台周辺【5-16】

摩耶山への登山ルートの一つ、“桜谷北尾根”と、
黒岩尾根の西側の枝尾根の一つ、“二十渉第三堰堤南尾根”を歩いてみました。

Route MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 今日(平成23年2月5日)は、前回歩いた黒岩西尾根の南側に位置する二十渉第三堰堤南尾根と摩耶山への登山路の一つである桜谷北尾根を目指してみた。
 いずれの尾根も当方にとっては未踏のもので、ワクワクした気持ちで家を出る。
 今日のルートは、神鉄の鈴蘭台駅から有馬街道を越えて洞川林道に入り、分水嶺越林道、高雄山管理道、徳川道を経て桜谷出会に至り、桜谷北尾根で摩耶山に登り、黒岩尾根から二十渉第三堰堤南尾根を下る予定である。
洞川教育キャンプ場
洞川教育キャンプ場
鍋蓋北道への分岐  神戸電鉄の鈴蘭台駅を10時に出発。
 バス道を東に進み、神戸親和女子大を左手に眺めながら、丘を越えて有馬街道に至る。街道をやや北に進み、ぎょうざの王将を過ぎた所で洞川林道に入る(10:25)。
 林道に入った一帯には、老人ホームや葬儀会館、動物霊園、神戸変電所、ゴルフの練習場と、山裾にいろんな施設がひしめいている。
 時折やってくる車に注意しながら林道を東に進むと、洞川教育キャンプ場の表示が見えてきた(写真上 10:35)。
鍋蓋北道への分岐
 洞川教育キャンプ場の所からは、鍋蓋北道が分岐しており、これを進むと洞川梅林を経て再度公園に至るが、当方は、このまま洞川林道を進む。
 仙人橋を渡るとすぐに堰堤が見えてくる(写真右)。これは洞川湖の堰堤である。
 洞川湖畔では寒空の下、数人の釣り人が薄く氷の張った湖面に釣り糸を垂らしていた。
 更に、洞川湖畔に続く洞川林道を進む。左手側に学習の森の入口が見えてきた。このあたりまでは、犬の散歩の人やら、散策を楽しむご近所の人やらで、結構人出が多い。
洞川湖の堰堤
洞川湖の堰堤
分水嶺越林道附近の山歩き地図  学習の森を過ぎると洞川林道は再度DWに突き当たる(10:57)。このDWを越えると、次は「分水嶺越林道」が始まる。
 この林道の入口には鎖が張られており、車両の通行は禁止されているが、ハイカーの利用は自由である。
 また、分水嶺越林道の入口には、附近の山歩き地図が立てられているので、これでこの先のルート確認も可能だ(写真左)。
 分水嶺越林道は幅広の道で(写真左下)、トゥエンティ・クロスまで続いている(1.3Km)。
分水嶺越林道附近の山歩き地図
分水嶺越林道 高雄山管理道
分水嶺越林道 高雄山管理道
 分水嶺越林道に入って15分ほど進んだ所で、左手側に高雄山管理道が分岐している。今日はこの山道に入って、森林植物園の東門に抜けようと思う。
 高雄山管理道は北ドントリッジの東側の山腹に続く山道で、森林植物園の東門へはトゥエンティ・クロスを迂回するよりショートカットである。
 しかし、高雄山管理道は思った以上にアップダウンがきつく、時間的にはショートカットになったのかどうか、疑問が残った。(高雄山管理道入口から森林植物園の東門まで30分弱を要した。)
森林植物園東口
森林植物園東口
徳川道  森林植物園の東門からは徳川道を東に進み、桜谷出会を目指す。
 徳川道はハイカーに人気のコースで、今日も多くのハイカーとすれ違った(写真左)。
 11:47 八州嶺堰堤が右手側に登場。この堰堤は石積みの堰堤で、その上部には小木や雑草が繁り、造られてから多くの年数を経ていることが窺われる。
 11:55 左手側に、黄連谷道が分岐。この道を辿ると石楠花山に至る。
徳川道
 更に徳川道を東進する。
 11:59 八州嶺第二堰堤が右手側に登場。
 この堰堤は高さ10m、長さ74mという大きな堤であり、危険なので柵が付けられ、堰堤上に立ち入ることができない(写真右)。
 12:04 桜谷出会いに到着。ここで、徳川道は飛び石渡しで生田川を渡るが、今日は河原に転がる大きな石伝いで川を遡行してみた。しかし3分も進まないところで大きな水溜まりに突き当たり、遡行は不能となった。
八州嶺第二堰堤
八州嶺第二堰堤
桜谷北尾根入口  また、徳川道に戻り、これを東進する(12:15)。
 すぐにシェール道が左手に分岐する場所に至った(12:17)。
 シェール道方面へは案内標識も立てられている。しかし、そのシェール道の方向と正反対の方向にも踏み跡が伸びている。笹の中にしっかりとしたルートが確認できるが、そちらには何らの案内表示もない。
 ここが、桜谷北尾根への入口となっているのである(写真左)。
 さっそく、この桜谷北尾根に踏み込む(12:18)。
桜谷北尾根入口
 まずは、短い笹の中に続く踏み跡を辿り、緩い傾斜の斜面に取り付く。
 すぐにルートがやや不明瞭な感じになるが(写真右)、慎重に踏み跡を探しながら斜面を登ると3分ほどで岩尾根にたどり着いた。
 その尾根は急な傾斜の岩尾根である(写真下)。
 感じからすると、少なからず人が入り、歩かれている風である。
 その岩尾根を少し登って後ろを振り返ると、形のよい三角形の独立峰が対峙していた。新穂高の西側のピークと思われる。
桜谷北尾根へは落葉の斜面を登る
桜谷北尾根へは落葉の斜面を登る
桜谷北尾根の尾根に出た  さらに桜谷北尾根を登っていく。
 尾根筋に、岩がちょうど恐竜の背中のでこぼこのように並んでいる。そう感じながら登っていると、それは次第にコンクリートで固められたいびつなものになった。
 コンクリートは古いもので、多くの箇所で破損が進み、その下に鉄のパイプが見えている(写真下)。
 どうやらこの尾根には鉄パイプが埋設され、その上をコンクリートや岩で覆っているようだ。
桜谷北尾根の尾根に出た
 覆いが取れてむき出しとなった鉄の管は、錆びているのかコケでも生えているのか、不気味な黒色に変色している箇所もある(写真右)。
 そのパイプラインに沿って、尾根をどんどん登っていくと、やがて尾根道は大きな岩場の片隅の細いルートとなった(写真下 12:31)。
 ここにもパイプラインが続いているのであろうが、この岩場のどこを通っているのか、どうでもいいことが気になる。
桜谷北尾根には水道管が
桜谷北尾根には水道管が
桜谷北尾根  さらに進んで、足元に四角いマンホールの蓋のような設備が登場した(写真下 12:33)。
 見るとその蓋には「水道排気弁 神戸市」と表示してある。
 これで、このパイプラインが古い水道管であることを確認した。
 桜谷北尾根は水道管の通る尾根なのである。
桜谷北尾根
 この水道排気弁から2分ほど進んで、ピーク状の所に至った(12:35)。ここにも水道管を覆うコンクリートの残骸のようなものが残っている。
 ピークを過ぎると、桜谷北尾根道はやや下ったあと、丸太の階段道の登りとなった(写真右下)。斜面に丸太の階段がきれいに続いている。
 桜谷北尾根道は地図にはほとんど紹介されていないが、結構、整備されていた道だったのだ。ただ、丸太階段は、古いもので傷みも激しい。水道管と同じように、整備されないまま破損が進み、いつのまにか忘れ去られ、置き去りにされたルートとなったのであろう。
桜谷北尾根の排気弁
桜谷北尾根の排気弁
細い岩場の道(桜谷北尾根) 桜谷北尾根に丸太階段が登場
細い岩場の道(桜谷北尾根) 桜谷北尾根に丸太階段が登場
しっかりとした道が続く桜谷北尾根   そういえば、シェール道と徳川道の分岐点の近くに神戸市水道局の上水道ポンプ場跡があると聞いたことがある。
 この桜谷北尾根道の水道管はそのポンプ場と関係しているのかもしれないが、ポンプ場も桜谷北尾根道の水道管も月日がたち、廃墟となりつつあるのだろう。
 その後、丸太の階段道が何度か登場し、馬の背状の道(写真左)や、つづらに登る道などを経て、桜谷北尾根道は奥摩耶DWに合流した(12:57)。
しっかりとした道が続く桜谷北尾根
 合流点は、ちょうど天上寺の駐車場のやや北(摩耶天上寺前バス停の50mほど北)であり、奥摩耶DWの柵が始まるところである(写真右)。
 その合流地点では、ちょうど夫婦連れのハイカーが歩いておられ、藪道から出てきた当方を見て、「この道はどこへ続くのか?」と質問された。桜谷の北尾根道であり、桜谷出会いに下ることを伝え、やや急で荒れた部分もあるので下りは不向きかも知れない旨を説明すると、ご夫婦はそのまま奥摩耶DWを進んでいかれた。
桜谷北尾根からDWに合流
桜谷北尾根からDWに合流
天上寺山門  以上のとおり、桜谷北尾根道は、テープ等の表示はなかったが、水道管と明瞭な踏み跡が続く尾根道なので迷うことはなく、楽しく辿ることが出来た。
 奥摩耶DWを少し登ると、天上寺の山門が登場した(写真左)。そこで、天上寺にお参りしていくことにして、山門から続く石段を登っていった。境内には先客が1人おられ、静かな境内でゆったりとした時間を過ごされていた。
 その後、摩耶山掬星台で昼食の後、二十渉第三堰堤南尾根を目指して黒岩尾根を下り始めた(13:42)。
天上寺山門
 黒岩尾根は前回も辿った尾根道である。その前回の時も気になったのであるが、黒岩尾根に入って25分ほど進んだ地点に気になる分岐点があるのだ。今日は、その分分岐点も探索してみたい。
 黒岩尾根へのルートに入り、桜谷から突き上げている659mのピークを超えると、山道は一気に谷底に下りている。
 そして、その谷底から黒岩尾根に向かい登り始めると、右手側に踏み跡が分岐している箇所がある。小木に黄色いテープ表示が、また、岩に黄色いペンキ表示がある地点である(写真右 14:04)。
黒岩尾根のバイパス入口
黒岩尾根のバイパス入口
黒岩尾根バイパスに先人の足跡が  今日はこの分岐点を入ってみる。
 潅木の中に続く踏み跡に従って進むと、道は尾根に上りついた。
 その尾根を進むと雪の残っている箇所が何箇所かあった(写真左)。そのいずれにも先人の足跡が複数個残されていた。まだ真新しい足跡もある。
 すなわち、この道は山人には知られたルートであり、よく歩かれている道ということである。
黒岩尾根バイパスに先人の足跡が
 どこに出るのか興味を抱きながら、ややアップダウンのある明瞭な道を進んでいると、突然に目の前が開け、見覚えのあるベンチの場所に飛び出した(写真右 14:15)。
 ここは、前回、黒岩西尾根を下り始めたベンチが2つ並ぶポイントなのだった。
 そうか、今辿ってきた道は、黒岩尾根の北側に並行して走るバイパス道だったのだ。
 「なーんだ、そうだったのか。」と、妙に感心して、ベンチで15分程座り込んでいた。
二十渉第三堰堤南尾根取付のベンチ
二十渉第三堰堤南尾根取付のベンチ
二十渉第三堰堤南尾根を下り始める  黒岩尾根のバイパス道の存在もわかったので、次に二十渉第三堰堤南尾根を下ることにする。
 14:30 ベンチの場所をスタートする。
 明瞭な道が尾根をまっすぐ下っている(写真左)が、すぐ行く手が藪になった。
 あれっ!と思ったが、ここで道が右折していた。
 初めてのルートでは、強引に突き進まないで、絶えずルートファインディングを実施することが大切なのである。
二十渉第三堰堤南尾根を下り始める
 さらに踏み跡が尾根に続いている。
 この尾根道は落葉樹の葉や、松葉の枯葉が深く積もり、その上に踏み跡がある。
 したがって、歩きなれた人ならすぐ先人の付けた足跡と理解できるが、初めての人には判別しにくいかもしれない。
 しかし、尾根を忠実に下っているので、そういう意味では分かり易いともいえる。
落葉の積もる二十渉第三堰堤南尾根
落葉の積もる二十渉第三堰堤南尾根
二十渉第三堰堤南尾根の大岩  ところで、この二十渉第三堰堤南尾根は前回下った黒岩西尾根に比して、勾配が急な気がする。おまけに積もった落葉で足元が滑りやすい(写真上。下)。
 二十渉第三堰堤南尾根の下りは、木々の小枝や小木につかまりながら、落葉の上を滑り落ちていく感じとでも言い表せばいいであろうか!!。
 いうなれば、尋常な勾配ではないのだ。当方は3回ほど、滑って尻餅をつきかけた。
 ここは十分に注意して下る必要がある。
二十渉第三堰堤南尾根の大岩
 また、二十渉第三堰堤南尾根では、二箇所ほど大きな岩が行く手を阻んだが(写真上)、いずれも左側に巻き道がつけられていた。
 倒木の下を潜る箇所も二箇所あった(写真下)。
 このように二十渉第三堰堤南尾根は、なんとも野生的なルートで、その方面に興味のある方には楽しめるが、初心者には向かないコースであることは間違いなさそうだ。
激下りとなった二十渉第三堰堤南尾根
激下りとなった二十渉第三堰堤南尾根
倒木が塞ぐ二十渉第三堰堤南尾根  急勾配の尾根道が終わると、下方でトエンティクロスを歩くハイカーの声が聞こえてきた。
 しかし、勾配が緩やかになった辺りで、ずっと続いていた踏み跡も散逸しており、特定のルートがなくなっている。
 そこで、歩きやすそうな場所を選んで更に下っていくと、119番通報プレート「ち27−9」の近くでトエンティクロスに合流した(写真下 15:00)。
 二十渉第三堰堤南尾根の下りには、ちょうど30分を要したことになる。
倒木が塞ぐ二十渉第三堰堤南尾根
 さて、ここからはトエンティクロスを北に進んで、又ケ谷(ヌケ谷)の長い階段道を登って森林植物園の門のところまでやってくると、ちょうど北鈴蘭台駅と森林植物園の間を往復している送迎バスが到着したところであった(15:40)。
 お客さんは数名で、寂しい感じであり、運転手さんが「乗って行かないか」と言ってくれているような気もしたので、ここで車上の人となる。
 無料のバスでもあり、得々気分で北鈴蘭台の駅まで下りついたのであった(16:00)。
二十渉第三堰堤南尾根から20クロスに合流
二十渉第三堰堤南尾根から20クロスに合流
 ・この頁で使用した二十渉第三堰堤南尾根の呼称は、TokiwaさんのHP「Tokiwaの山歩記」で使われているものを参考にさせていただきました。ありがとうございました。
 ・また、二十渉第三堰堤南尾根のレポートは、TokiwaさんのHPがさらに詳しく、多々参考となります。
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