新穂高(六甲)・徳川道(お勧め度★★☆) 鵯越・鈴蘭台周辺【5-18】

北鈴蘭台駅(神戸電鉄)〜バス〜神戸森林植物園〜長谷池〜植物園東口〜徳川道
〜桜谷出会〜新穂高〜杣谷峠〜カスケードバレイ〜杣谷堰堤〜阪急六甲駅(阪急電車) (約4時間)

Route MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 六甲にも穂高の名を冠する山がある。ちょうど摩耶別山の北に位置する新穂高(六甲)がそうだ。
 この山の南東には、上高地の大正池に似ているところから命名されたという穂高湖があるので、それにつられて新穂高と呼ばれるようになったと考えているが、真偽は不知だ。今日(平成25年1月26日)は、徳川道からその新穂高にアタックしてみたい。
神戸森林植物園  今日は少々朝寝坊してしまい、出発がおそくなってしまった。そこで、はずかしながら今回は安直に六甲に入る方法を採用することにした。神戸電鉄の北鈴蘭台駅前から出ている神戸森林植物園行きの送迎バスを利用する方法だ。これで一気に森林植物園までの距離を稼ぐことができる。
 寒風の中だが、森林植物園の送迎バスは時間通り北鈴蘭台駅前の停留所に来てくれた。当方を入れて8名の乗客がバスに乗り込んだ。
 11:05に定刻発車したバスは僅か5分で、神戸森林植物園に到着した。
  今年も年間パスポート(900円)を買い求めて、植物園に入園する(2120)。
神戸森林植物園
長谷池  まず、森林展示館で、直木重一郎実地踏査編纂の六甲−摩耶−再度山路図を確認する。
  この六甲の山路図には、今は歩かれなくなった経路が多々記入されており、昭和初期の頃の六甲には縦横に山道が走っていたことが知れる。
 今日は、新穂高周辺の地図を念入りに確認した。新穂高には、四本の尾根線が引かれている。昔は登り口が複数箇所あったようだ。
 実は、新穂高には8年前(平成17年)に一度登っている。もうその時の記憶は、ほとんど薄れてしまっているが、登山口の把握に苦労した記憶がある。今日は登山口が分かるだろうか・・などと考えながら、森林植物園の中を散策する。
長谷池
 園内の長谷池の水嵩は減って、薄く氷が張っている(写真上)。
 その池を半周し、カモシカ園から野鳥の森方面に下っていく。
 この道は森林植物園の東門に通じる道で、途中に池がある(写真右)。野鳥の森の池では野鳥を観察する者が多いが、今日は人気がない。
野鳥の森の池
野鳥の森の池
八洲嶺堰堤補強工事  森林植物園を東門から出て(11:43)、飛び石渡しを渡り、徳川道方面に進む。徳川道は生田川沿いの山道でよく整備されている。
 その徳川道を進んでいると、工事現場に突き当たった(写真左 11:45)。
 八洲嶺堰堤補強工事が実施されており、徳川道は通行止めだ。工期は平成26年2月28日までで、長期間にわたる。
八洲嶺堰堤補強工事
 ハイカー用に斜面に退避道が付け替えられている。
 迂回路は丸太で土止めされた階段と、金属製の階段が組み合わされて、斜面を大きく遠回りしている。迂回路の最上部からは工事現場が遠望できるが(写真右)、今日は土曜で工事は休みのようだ。
 なぜか、迂回路に徳川道の説明がなされていたので、参考に記しておく。
 「徳川道は、御影、杣谷、摩耶山から明石、大蔵谷までの34kmに渡って、参勤交代のための西国街道の通行に当たって外国人との紛争を避けようと、江戸幕府が迂回路として西国往還付替道を造ったのが1867(慶応3)年。12月7日に竣工したものの、その後の大政奉還で、参勤交代には使われないまま、廃道になった街道。」
八洲嶺堰堤
八洲嶺堰堤
 徳川道の名残がこの辺りでハイキング道となっている訳だ。なるほど!と思いながら、工事現場を離れ、徳川道を進んでいく。
 左手側に道が分岐した。古い案内表示が残る黄蓮谷分岐だ(11:54 写真右)。
黄蓮谷分岐
黄蓮谷分岐
徳川道  さらに、徳川道を進む。
 徳川道は脇の笹が刈り取られて、よく整備されている。このあたりの徳川道は、参勤交代の行列を想定したバイパスらしく、なだらかなつくりで、当時をしのばせる(写真左)。 
徳川道
 やがて、ヌクト河原に到着(12:04 写真右)
 ここは飛び石で流れを渡る。また、ここは桜谷出合でもある。前を歩いていたハイカーは、その桜谷に入っていかれた。
 河原を渡り、左岸の階段道を登るが、ここは普段から湿っている場所で、今日は寒さで水分が凍りつきツルツルの状態だ。滑らないよう注意して進む。
ヌクト河原
ヌクト河原
シェール道分岐  12:08 シェール道の分岐点までやってきた(写真左)。ここでシェール道は左手に分岐するが、右手の斜面にも踏み跡が伸びている。笹の中にしっかりとしたルートが確認できるが、そちらは桜谷北尾根への入口だ。この道は水道管が埋設された道である。
 12:12 関電看視路を示す「火の用心」の表示があるところで、踏み跡が山を登っているのに気が付いた。ここが、新穂高の登り口ではないかとの思いが頭をよぎったが、なぜか通過してしまった。(実は、ここが新穂高の西側の登り口だった。)
 「火の用心」の表示の所で流れを渡って、左岸に続く石畳の階段道を緩やかに登っていく。
シェール道分岐
 12:17 徳川道石積みの表示が現れた。
 表示では「対岸の雑木の間に見える石積みは、徳川道名残りの石垣であり、石垣の上を徳川道が通っていた。ここの石垣は25間(45m)にわたってつくられ、高さは平均四尺(約1.2m)であった。石の積み方は「ごぼう積」といって、加工しない自然石で奥行きを深く積み上げ、内側でしっかり組み合わせる積み方である。(環境庁・兵庫県)」とある。
 しかし、その看板が示す場所は写真右のとおり、石は崩れ落ち、土砂が露出して、石積みの往時の様子はもはや窺えない状況だった。
 この石積みの表示のところで右岸に渡る。
元 徳川道石積み
元 徳川道石積み
新穂高東側の登り口  徳川道は、緩やかな階段の登りとなった。
 勾配は緩やかだが、延々と続く登りは、ボディブローのように足の負担となる。息も上がり気味で、気持ちの余裕もなくしていたようで、気が付くと新穂高への東側の登り口まで来てしまっていた。ここまで来て、西側の登り口を見落としていたことに気が付いた。
 東側の登り口は、笹の中に薄い踏み跡がある(写真左)。小さな「新穂高登山口」の表示もあるので、わかりやすい。
 ここから新穂高にアタックを開始する(12:30)。
新穂高東側の登り口
新穂高は笹の中を登る  東側からの新穂高への登りは笹との格闘である。
 膝丈位に伸びた笹の中に続く道を登っていく(写真左)。
新穂高は笹の中を登る
 途中、左手側の木立越しにピークが顔を覗かせていた(写真右 12:38)。
 方向から見て、目指す新穂高の頂と思われる。
 ピークが見えた地点を過ぎると、やや西向きに激下りとなった。笹につかまりながら慎重に下る。
 下り終わると、ピークに向かって急な登りである。
 背丈のある笹が行く手を遮ると共に足にまとわりつき、すこぶる難儀である。こちらのルートは下りで利用すべきと感じた。
新穂高ピークが顔を見せる
新穂高ピークが顔を見せる
新穂高山頂  笹の中を登りきると少し開けたピークに飛び出した(写真左 12:49)。
 地図からみて、ここが新穂高のピークと思われるが、何らの表示もない。
 前回、ここを訪れたときは何枚かの山名札がかけられていたが、今日はそれが取り除かれている。やはりピークには、その名を記した表示があると安心するのだが・・・!
 新穂高の山頂からは南に少しだけ眺望がある。その景色を眺めながら、昼食とする。
新穂高山頂
 昼食後、新穂高を西方向に向かって下ることにする(13:03)。
 こちらは、先ほどの登りと異なり笹のない道で、急坂の下りである。木々につかまり慎重に下る。
 最初の下りを下りきって、登り返すと笹の生えた展望のない小ピーク。このピークを越えると、次に大きな岩のピークに突き当たる(写真右 13:14)。
 ここで踏み跡が不明確になる。
 大きな岩を左下から迂回するような薄い踏み跡があり、それに従って進むも途中でルートが途切れた。ここで、踏み跡は散逸し、先人も皆迷ってしまった感じが窺える。
大きな岩のピークに突き当たる
大きな岩のピークに突き当たる
新穂高西側のピーク  これ以上、前には進めそうにないので、大きな岩の手前まで引き返す。ここで、再度踏み跡をよく確かめると、岩を右から巻いて登って行くのが正解だった。
 この辺りは踏み跡が薄い。この踏み跡の薄さからすると、新穂高にはあまり人が入らないのかもしれない。
 大岩を右側から巻いて進むと、その大岩の上に出た。ここは枝振りのいい松が生えた展望の利く場所である(写真左 13:21)。
 8年前に新穂高に登った時にもここで松の木を見たことを思いだした。
 岩の上で、しばらく展望を楽しんだ後、さらに西に下っていく。
新穂高西側のピーク
 西への下りは、急で滑りやすい。山土剥き出しの斜面に松葉が積もり、頗る滑るので要注意だ(写真右)。
  その急斜面を慎重に下っていくと高圧鉄塔が立っていた(写真下 13:30)。
 この鉄塔で、新穂高への西側の登りは、「火の用心」の表示があった所と確信した。
新穂高西側の急な下り
新穂高西側の急な下り
高圧鉄塔を通過  高圧鉄塔からプラ階段を下る。
 次に急勾配のつづらの下り。
 そして次は深く落葉が積もったエリアとなる。
 ここは、ルートの確認がしにくい感じで迷うが、周辺をよく見ると、薄い踏み跡が見えてくる。古い残置テープもあるので、ルートを慎重に確認したい。
 やがて、水音が聞こえてくると、徳川道に飛び出した(13:43)。
高圧鉄塔を通過
 飛び出した所は、やはり、想定どおり「火の用心」の表示があった場所だった(写真右)。
 よく確認すると、ここには赤と黄色のビニールテープ表示もされていた。
  今日の新穂高へのアプローチは、東から笹の中を登って、急勾配を西に下ったが、新穂高を目指すなら西から登って東に下るのが正解だろう。
 西側の「火の用心No19」の表示の登り口を見落とさないように心がけたい。
新穂高西側の登り口
新穂高西側の登り口
シェール道、摩耶山方面への分岐  さて、ここからは、また徳川道を東に進み、杣谷峠を目指すことにする。
 1時間ほど前に通った徳川道を、また東に登って行く。
  14:00新穂高東側の登り口を通過。
  14:03シェール道、摩耶山方面への道が分岐する地点を通過(写真左)。
 ここには古い石柱の道標が立っており、それには平仮名で「すぐまや」及び「すぐありま」の表示がある。「すぐまや」は理解できるが、有馬はすぐではないよなー!!・・と、いつも考えてしまう。
シェール道、摩耶山方面への分岐
 穂高湖の表示が立つところで、奥摩耶DWに出てきた(14:15 写真右)。
 ここから車道沿いに少し東に進むと、杣谷峠に到着である(14:17)。
 杣谷峠から杣谷道(カスケードバレイ)を下る。
穂高湖の表示で奥摩耶DWに合流
穂高湖の表示で奥摩耶DWに合流
杣谷道の氷瀑  杣谷道は前半は階段の下りが連続する。
 ひたすら階段道を下っていると、左手側に見事に氷結した小さな滝が確認できた(写真左 14:30)。
杣谷道の氷瀑
 摩耶第4砂防ダムを越え、木ノ袋谷出会いで階段道は終わる。
 次は、岩場が連続して楽しく歩けるルートとなる。
 途中、南に展望が開けた。長峰霊園の南に神戸の町並みと海が望める(写真右 15:00)。
杣谷道からの展望
杣谷道からの展望
杣谷堰堤内の除石工事現場  杣谷堰堤内の除石工事現場まで下ってきた(15:05)。
 ここは、工事と水の流れで従来の道が抉り取られている。ロープを使わないと、通行できない感じになっている。
 次に永峰堰堤を越え、市街地に出た。
 ここからひたすら舗装路を進み、15:40に阪急六甲に到着した。
 今日は、新穂高の西側登り口を見落とすという失態はあったものの、静かな山歩きでリフレッシュができた一日だった。
杣谷堰堤内の除石工事現場
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