白髪岳・松尾山(高仙寺山) (お勧め度★★★) 関西の山【7-23】 |
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JR西日本福知山線の電車に揺られ、山間の古市駅で下車する(8:58)。古市駅は無人駅だが、「ICOCA」の利用が可能である。 駅前では、複数名のハイカーが待ち合せながら出発準備中のようだ。 古市駅から地道を南西に進む。国道372号に合流してすぐ線路を渡る。線路に沿った前方の山は採石場なのか山肌が剥き出しになっている。 |
JR古市駅 |
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次に道が国道からYの字に分岐するので、ここで右に入る(写真左 9:09)。分岐点には「白髪岳・松尾山(住山ルート)」の道標がある。 Yの字に分岐する国道372号線は、 京都と西国を結ぶ裏街道 (播磨道) として、古くから利用された道だったらしく、義経のころの伝説も残っている。 その伝説を説明した「源義経と名無木」の案内が分岐の脇に設置されていた。義経の「ムチ」から芽が生じたという名無木は、春の彼岸には淡いピンクの花が咲くという。 Yの字の分岐からは田んぼが広がる住山の集落に入って行く。 |
白髪岳は右へ進む |
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住山地区に入って行くと道脇の田んぼに水が張られて田植えの準備が進んでいる。その田んぼからはカエルの鳴き声がにぎやかだ。 随所に設置された白髪岳方面の看板に導かれ、のどかな田舎道を進む。 やがて田んぼの向こうに綺麗な山容が望めるようになる(写真右 9:13)。あれが、目指す白髪岳か。
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前方遠くに白髪岳 |
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道中で、義経伝説の集坂(つどいざか)の看板などを確認しながらのんびりと進んでいく。 古市駅から40分ほど歩いて「松尾山・白髪岳案内図」の大きな看板が登場した(写真左 9:41)。 丹南ライオンズクラブ設置のもので、一帯の登山地図が示されている。松尾山・白髪岳ハイキングコースの見どころが記載された分かりやすい地図であり、これで今日のルートを再確認する。 |
松尾山・白髪岳案内図 |
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大きな看板(松尾山・白髪岳案内図)のすぐ先が、白髪岳と松尾山への分岐となっていた(写真右 9:42)。 石垣が積まれたところで道がYの字に分岐している。石垣前には、松尾山方面、白髪岳方面を示す案内表示が幾枚も掲げられているので分かりやすい。 ここは左に進み、白髪岳方面の道に入る。 |
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白髪岳・松尾山登山道分岐 |
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白髪岳方面への道に入ると、すぐに満開の桜が見えてきた。一本だけで寂しそうだが、これでもかというくらい枝いっぱいに花をつけていた。 この桜の木から舗装路が土の道に変わる。 更に、栗園の脇を登って行くと、「篠山市林道ワン谷線」の表示が立っていた。この林道の通る谷は「ワン谷」というようだ。「ワン谷」とは珍しい呼び名だが、漢字では鰐谷と書くらしい。 |
桜咲く栗園脇を進む |
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次に、ガードレールのある小さな橋でワン谷を左に渡る(写真右 9:59)。その先の杉林の中を林道がつづらになって登っている。 右下にワン谷の水音を聞きながら林道を登って行くと、東屋のある分岐となる(写真下 10:08)。 ここが白髪岳の登山口で、ここから山道となる。 |
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ガードレールの橋で左折 |
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東屋の裏には水場があるが、飲料に適するのかどうかは不知だ。 この分岐には「住山生活環境保全林」の看板があり、それには白髪岳山頂よりの眺望が説明されている。 北に多紀連山、南に六甲山系、東に高城山、西に播州の山並みが広がるようだ。その360度のパノラマ景色に、早くも期待が膨らむ。 白髪岳への山道に入ると、道脇に小学校児童による植林の表示が確認できる。白髪岳が地元から大切にされている山であることが知れる。子供たちも植樹林もりっぱに育つことを願う。 |
東屋のある白髪岳登山口 |
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階段の山道に入るとすぐに右に道が分岐する(10:13)。特に表示はないが、いずれを進んでも白髪岳へと続く山道であろう。当方は、この分岐はまっすぐに進む。 涸れた谷に沿って登って行くと次第に急勾配になっていく。ゆっくり、無理をせず登ることにする。 涸沢ぞいの山道はやがて沢の中に入り、石ころの中を進むことになる(10:19)。するとすぐに右手側に鉱山跡の表示が登場した。見ると小さな穴が岩壁に開いている。鉱山というには小さすぎる穴のようだが、ここが明治8年から3年間銀を掘った銀鉱穴跡らしい。当時の兵庫県知事伊藤博文に納鉱したとある。 |
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銀鉱穴跡 |
銀鉱穴跡の先で右側から山道が合流してきた。先ほど分岐していた道がここで合流してきたのだろう。ちょうど二人組のハイカーが、そちらの道から白髪岳を目指して先に登って行かれた。 ここからも丸太材で仕切られた急階段が続く(写真右)。階段脇にはロープが張られている。それにすがり付くようにして、体を急階段から引き揚げていく。 急斜度の山腹にへばり付く様な山道をゆっくりと登り、やがて前方に尾根が見えてきた。そこで休憩していた二人のハイカーを追い越した。 |
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白髪岳への急な登り |
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二人を追い越した先で尾根に乗った(10:36)。 急な山道を含め、このあたりの一帯はよく間伐され、山の手入れがされている。地元の方の白髪岳への思いが伝わってくる。 平坦な尾根に乗ると、その先が展望所になっていて、二つのベンチが設置してあった(写真左 10:45)。「ホッ」と気持ちが和み、ベンチに座り込んだ。 |
ベンチの休憩所に登りつく |
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ベンチからの景色(左手側) |
ベンチから望む松尾山(右手側) |
二つのベンチからは南北に展望が開ける。 右手側には松尾山が、左手側には今田町あたりの連山が見えているようだ。 咲き始めたツツジが展望に彩を添えてくれる。 少しの間、ベンチで景色を楽しみながら休憩を入れた後、正面に見える白髪岳を目指し出発する。 |
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白髪岳を目指し出発 |
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ベンチのあった尾根筋からもう一段登ると、岩場となる。岩に張られたロープをつかんで岩壁をヘツる(11:00)。 ごつごつした岩がちょうど良い足場になるので、それほど危険ではない。 この岩場からもお隣の松尾山がきれいに望める。 |
大きな岩壁を巻く |
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次に岩壁が前面に立ちふさがる(写真右)。ここには鎖とロープが垂らされている。修験の山らしい感じとなってきた。 鎖をしっかりと握り、岩壁を一気に登る。 スリルのある岩壁を制覇して大岩の上に立つ(11:02)。 |
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鎖の岩壁を登る |
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大岩からの景色(南側) |
大岩からの景色(西側) |
大岩の上からの景色はサイコーだった。南と東西に延々と展望が広がる。 きつい傾斜に苦戦しながらもピークに立って、連なる山並みを前にすると、感動が溢れてきた。 (^。^;) 登ってきて良かったと思う瞬間だ。 |
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白髪岳の山頂 |
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感動の岩場の先が、白髪岳の山頂だった(写真上 11:08)。 山頂には二人連れの先客が松の木の下で弁当を広げておられた。 「今日は、景色を独り占めできますよー!」・・・と、声掛けしてもらう。 連休の好天なのに、今日の白髪岳山頂は意外と登山者が少ないのだった。 |
白髪岳の山名表示 |
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白髪岳の山頂には二等三角点がある(写真右)。 国土地理院の点の記では、三角点「白髪岳」の読み方は「しらがみだけ」となっている。山名は「しらがだけ」なので、微妙に読みが違う。 「点の記」の三角点所在地は「多紀郡丹南町味間白髪岳」となっているが、丹南町は、1999年(平成11年)4月1日に多紀郡の篠山町、西紀町、今田町と合併して、篠山市となった。点の記は平成9年のもので、旧所在地である。 三角点の標高は721.50m 。 |
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白髪岳の三角点 |
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白髪岳の展望(南側) |
白髪岳の展望(西側) |
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白髪岳の山頂は岩の散らばる場所で、ぐるりとほぼ360度のパノラマである。これは素晴らしーーーーーい!。 頂上からは虚空蔵山、多紀連山の山並みが楽しめるらしいが、地名に疎い当方は、どの山が虚空蔵山でどこが多紀連山なのか??だ。 しかし、山の名はわからなくとも、周り一面に広がる雄大な山並みには感動を覚える。 まだ11時過ぎであるが、適当な岩を見つけて、景色を楽しみながら昼食休憩をとることとした。 |
白髪岳の展望(北西側) |
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白髪岳の山頂で15分ほど休憩したのち、次に松尾山を目指す。 白髪岳からは一気の下りとなる。急で一直線の道に延々とロープが続いている(写真右)。岩場交じりの急な道で、足元を確認しながら、ロープにつかまり慎重に下る。 ロープを下りきると稜線に出る(11:30)。 次に分岐となる(11:32)。左は稜線をそのまま進んでいる。右は山腹を山道が下っている。右への下りが松尾山への道で、そちらに進む。 |
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白髪岳からの急下り |
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松尾山へ向かう道は、山腹にへばり付く様な細道で、それをアップダウンしながら進んでいく。ちょうど白髪岳の北側の小ピークを肩越えして巻いていく感じだ。 この道で松尾山方面からやってきた一人のハイカーとすれ違う(11:42)。 更に進むと尾根歩きとなる(11:43)。その先で、住山集落のワン谷林道から登ってきた道が南側から合流してきた(11:45)。 次にすぐ「味間奥里づくり協議会」作成の道標が登場した。文保寺、味間奥に下る道のようだが、踏み跡は薄い。
次に登りとなり、前方に松尾山のピークが見え隠れしている(写真左 12:01)。続いて左側に古い分岐が登場した。文保寺へ下る道のようだ。 |
前方に松尾山 |
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少し進んで鐘掛の辻に到着した(写真左 12:06)。ここで道が3方向に分岐している。 左は文保寺で真ん中を登る道が松尾山への道である。 しっかりとした踏み跡を淡々と登り、鐘掛の辻から10分で松尾山に登りついた(12:14)。 |
鐘掛の辻 |
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松尾山山頂は、雑木に囲まれまったく展望はない。 この山は南北朝から戦国期にかけて酒井氏の山城があった。その山城跡ということで、松尾山の広い山頂には段差が残っている。 その他、遺構らしきものはなく、「酒井城跡」の看板が寂しくおかれているだけだ。 |
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松尾山(高仙寺山) |
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そういえば、住山地区にあった「白髪岳と松尾山」の看板では松尾山が次の通り説明されていた。
松尾山は山頂に松尾城本丸跡や高仙寺跡(酒井城)などの史跡があり、高仙寺城は、矢代酒井党の惣領主水介氏治が築いたとされています。
松尾城と高仙寺城と酒井城は同じ城のことなのか、もうひとつ分り難い??。 松尾山山頂で数分の休憩を入れ、その後「卵塔群から住山へ」の道標に従い、松尾山を後にする(12:19)。 |
松尾山山頂 |
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松尾山山頂から5分ほど下ると大きな杉が道脇に確認できる。見ると「千年杉」の表示がある(12:24)。 太い幹に圧倒される。ここでご夫婦ハイカーとすれ違う。 千年杉を過ぎると、落葉で踏み跡が分りづらい道となる。足元をしっかりと確認しながら進んでいると、訪れるはずだった「仙の岩」を見落として、通過してしまった。 |
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千年杉 |
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次に、急な下りとなって、ロープ場を下りきったところが卵塔群だった(写真左 12:40)。 卵塔群は高仙寺の僧侶の墓であるらしい。 卵塔群で手を合わせた後、そのまま尾根伝いに続く踏み跡を少し下りかけたが、次に愛宕堂や高仙寺本堂跡を巡る計画であったことを思い出した。 高仙寺本堂跡等は卵塔群から東に山腹を巻いて進む必要がある。卵塔群まで再度登り返し、そこから高仙寺本堂跡方面の道に入る(12:45)。 |
卵塔群 |
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高仙寺本堂跡方面の道の入り口には「高仙寺本堂跡から住山へ」の案内表示もあるので、見落とさないようにしたい。 卵塔群から7分ほどで愛宕堂に到着(12:55)。愛宕堂の先が高仙寺本堂跡だった。 高仙寺本堂跡は礎が残るのみで、寂寥感がただよっていた。 |
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愛宕堂 |
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高仙寺本堂跡からさらに先に進めるものと思い、荒れた感じの杉林に踏み込んだ。この辺りから、踏み跡があるような、無いような感じとなる。地形図を確認すると、一帯には点線のルートが幾本か引かれている。 古くは、高仙寺を巡る道が整備されていたのであろうが、今は自然に帰りつつある。 強引に杉林の中を踏み進んでいくと、突如地蔵が現れ(写真左)、さらに林の中を進むと「松尾山(高仙寺山)ご案内」と書かれた古い大きな看板の立つ場所に飛び出した(写真下 13:14)。 どうやらここは、三基の石仏のある阿弥陀堂跡のようだ。 |
首なし地蔵? |
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古い大きな看板にはルート絵図があり、それによれば先ほどの地蔵が首なし地蔵だったのかもしれない。 なお、古い大きな看板には、要旨以下の通り説明されていた。 「高仙寺は、大化元年、法道仙人が開基、鎌倉時代には七堂伽藍の外、25坊があった。」
ところで、当方は道のない杉林をさまよって、この阿弥陀堂跡にたどり着いたが、愛宕堂の前の道をそのまま下ってくると、簡単にこの阿弥陀堂跡に至るので、ここに注記しておく。(^。^;) |
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松尾山(高仙寺山)ご案内 |
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さて、阿弥陀堂跡からは不動の瀧に向かい道を下っていく(13:24)。 阿弥陀堂跡からつづらに下った後、小さな流れに沿ってどんどん下る。 大きな岩のところでロープ場となり、慎重にロープを伝っていると、その大岩の間に「金剛蔵王」がまつられていた(写真左 13:33)。 踊りを踊っているかのような姿の金剛蔵王にも手を合わせ、無事の下山を祈る。 |
金剛蔵王 |
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次に山腹を巻く道から急な下り道になり、ロープ場が続く。そのロープを伝って下りついた先が「不動の滝」であった(写真右 13:38)。 苔のむした岩の間を滝が落ちている。落差約25mで、高さのある滝だが水量がやや寂しい。 滝の上部は光が射しこんでいるが、全体としては薄暗い場所に滝がある。 |
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不動の滝 |
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さらに下ると幅の広い道に出てきた(13:45)。 その道を10分弱下ると、民家と茶畑が見えてきた(写真左 13:57)。 その民家の先で舗装路となって、すぐに今朝がた通過した分岐点まで戻ってきた(写真下 14:00)。 ここからまた、住山地区の地道を古市駅を目指して歩いていると、当方の脇に一台の車が停車し、運転していた男性から「駅まで送りましょうか?」と声をかけていただいた。 |
民家と茶畑 |
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駅まで歩くと40分ほどの距離であり、恐縮しながらも厚意に甘えることにした。
聞くと、運転していた方も山歩きが好きで、今は、地元の白髪岳の間伐などの世話をしておられるのだという。車中で山談義を交わしながら、駅に着くとすぐに電車がホームに滑り込んできた(14:21)。 お礼の言葉もそこそこに電車に駆け込んで本日の山歩きを終えたのであった。
本当にありがとうございました。 また、白髪岳を訪ねたいと思います。
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白髪岳・松尾山登山道分岐 |