高取山・萩の寺(お勧め度★★☆) 西六甲【3-9】

西代駅(山陽電鉄)〜高取大明神〜清水茶屋〜中の茶屋〜白川大明神〜安井茶屋〜月見茶屋
〜高取神社〜高取山〜縦走路〜萩の寺〜那須与一墓所〜那須神社前(神戸市バス) (約2時間30分)

ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 9月に入り猛暑も和らいできた。夏場控えていた山歩きを再開することにし、久しぶりに長田区の背山、高取山を目指すことにした(平成24年9月15日)。
 「登山・ハイキング案内 六甲山」(ヤマケイ関西)に紹介されているコースで、西代から鷹取団地を経て表参道を通って高取山頂を目指すコースを進む。下りは萩の寺方面に下り、那須与一にちなむ史跡を巡ってみたい。
白富大明神  西代駅を10:20にスタートする。
 車道沿いに少し西に進み、蓮池小学校のところで北に折れる。
 突き当たりの辻で「右高取神社本道 是ヨリ十八丁」の石柱が目に入る(10:26)。ここは案内に従い右に進む。
 更に、昔からの細い路地を道なりに進んでいくと、常盤短大、天理教の建物が右手側に登場する。次に大きな狛犬が目に入る。白富大明神と鳥居に書いてある(写真左 10:32)。道端すぐにある大きな狛犬はとても目立つ。
白富大明神
高取台中あたりの景色  狛犬を過ぎ、ゆるやかな坂を登って行くと鷹取団地に入り、次に車道に合流する。ここで横断歩道を渡る。
 渡ったところに階段があるのでそれを登ると、高取台中の西側の高いところを登る道となる。
 この辺りから、神戸の町並みが綺麗に望めるようになってくる(写真左 10:44)。
 その景色に見入っていると、坂道をハイカーが次々と下ってきた。毎日登山の方たちのようだ。元気いっぱいの早朝登山の皆さんと挨拶を交わしてすれ違う。
高取台中あたりの景色
 高取台中を過ぎると前方間近に高取山の緑が迫ってきた。これで、登山口が近づいてきたことがわかる。
 そして、高取山登山口の高取大明神(一ノ宮)には10:50に到着した(写真右)。
 ここで高取山に登る道が二手に分岐する。左は「お滝道」といい、高神滝を経て高取山に登る道である。右は表参道からの登山道である。
 高神滝なるものを見てみたい気はしたが、今日は表参道から高取山頂を目指す。
高取大明神(一ノ宮)
高取大明神(一ノ宮)
清水茶屋  舗装された登山道(参道)を早朝登山の皆さんとすれ違いながら登って行くと、清水茶屋のところで長田小学校方面から登ってきた道と合流した(写真左 10:55)。
 この茶屋は、井戸の清水が利用できることから、その店名になったと聞く。
 この合流地点を過ぎると、参道は樹木の鬱蒼と茂る階段道となる。その薄暗い荘厳な感じは神域が意識されるものである。
清水茶屋
 この神域エリアには、道の左右に小さなお社が点在する。一帯には多くの神社が祀られている。
 たくさんあるお社をキョロキョロと見渡していて気が付いたが、この登山道には随所に温度計が設置してある。気温と自分の体調とに気遣いながら、元気に毎日登山ができるよう、関係者の気遣いで温度計が設置されたのであろう。高取山を愛される地元の方々の気持ちが伝わってくるようだ。
 更に階段道を登って行くと前方に茶屋が見えてきた。中の茶屋である(写真右 11:03)。茶屋の前で、はためくビールの看板に後ろ髪を引かれつつも、誘惑をなんとか断ち切り山頂を目指して進む。
中の茶屋
中の茶屋
 中の茶屋を過ぎるとすぐに白川大明神となる(写真右)。
 この白川大明神のところで参道は左折する。左折するとすぐ、山道が右に分岐している(写真下)。
 この分岐は梅ノ木畑周遊路から堀切町方面に下る道である。
 5分ほど梅ノ木畑周遊路を散策してみたが、よく歩かれた道で、利用者も多い感じがした。
白川大明神
白川大明神
白川大明神で梅ノ木畑周遊路が分岐 遠く菊水山方面を望む
白川大明神で梅ノ木畑周遊路が分岐 遠く菊水山方面を望む
小展望台からの景色  白川大明神を過ぎ、階段道を登って行くと、右手側に景色が広がった(写真上 11:15)。
 遠くに菊水山の雄姿が見えている。天辺に鉄塔が立っているので菊水山はわかりやすい。

 階段を登ったところには、丸太を切って椅子にした小さな展望場所があり、ここからの眺めも最高であった(写真左 11:16)。
小展望台からの景色
 更に少し登ると右手側に市民トイレが登場し、このトイレのところで、「お滝道(高取大明神の所で分岐して高神滝を経て登ってくる道)」が合流した。
 トイレを過ぎると、安井茶屋となる(写真右 11:24)。茶屋の中からは、毎日登山の常連さんだろうか、賑やかな談笑が聞こえていた。
 この安井茶屋のところで全山縦走路が分岐して丸山町方面に下っている。高取山頂へは縦走路を逆に登っていく。
安井茶屋
安井茶屋
展望良し(神戸市街地を望む)  安井茶屋から少し登ったところにも、東方に景色が開けた場所がある(写真左)。広場状になっていてベンチもある。
 先客が一人、ベンチでその景色に見入っていた。
展望良し(神戸市街地を望む)
月見茶屋に到着  更に、整備された参道を登って、月見茶屋に到着(写真左 11:29)。
 ここはお月見が出来るくらい景色がいいということで、この店名になったとか。
 ここまでくると、高取神社まではあと少しである。
月見茶屋に到着
 月見茶屋から緩やかな階段道を登って行くと、石の鳥居の前で「高取神社 神域」書かれた看板が登場した(11:31)。ここから、粗相は許されない神のエリアに入るわけだ。
 次に赤鳥居をくぐって、神社境内に続く最後の急階段を上る(写真右 11:33)。ここは一気に登ると息が上がるので、自分のペースを守りたい。
 なお、この急な石段の手前には「高取神社本宮」の表示が示すとおり、ここからはまさに神社の聖域である。よって、縦走が目的でお参りをされない者は、左側に設けられている迂回路を利用したい。
高取神社境内に続く急階段
高取神社境内に続く急階段
高取神社  急な石段を登りきると神社境内となり、その奥に社殿がある(写真左 11:35)。
 神社境内から南に広がる展望は素晴らしく、神戸の町並み、大阪湾の向こうに奈良、大和の山々が遠望できる
 境内の案内看板には、大和葛城山・金剛山・大普賢岳などの位置表示がされていた。今日は少し霞んでいたが、澄み切っているときの景色はすごいのだろう。
高取神社
 さて次は、高取山の頂上を目指したい。高取神社境内から少し西に進むと「高取山頂上 高取山随一の景勝地」と表示された急な石段がある(写真右)。
 この石段を登ったところが、高取山の山頂である。
高取山頂上への石段
高取山頂上への石段
高取山からの景勝  息を整えながら急階段を登りきると、そこには又々絶景が広がっていた。
 神社境内からの景色も素晴らしかったが、そこより一段高いところの、この場所の方が、さらに絶景である(写真左、下)。
 「高取山随一の景勝地」の表示もうなずける気がする。
高取山からの景勝
 その絶景ポイントから、更に石段を数段登ったところは広場状になっており、そこが高取山の山頂であった。
 山頂には「高取山頂之碑」の石柱がある(写真下)。ただし、山頂は樹木に囲まれ、展望は利かない。

 なお、高取山頂から、さらに奥に山道が続いているが、そこを進むと、高取神社の西隣の荒熊神社手前のところで縦走路に合流する。
 この道の途中では、北側に展望が広がっている。ひよどり台からしあわせの村方面が遠望できるが、この景色も中々見事である(写真右下)。
高取山からの景勝(西方向)
高取山からの景勝(西方向)
高取山頂之碑 ひよどり台からしあわせの村方面を遠望
高取山頂之碑 ひよどり台からしあわせの村方面を遠望
 さて、高取山頂から先ほどの急な石段を下り、そのまま、縦走路を横断して、ほんの30メートル南に進むと、「大灯籠」がある。今日はその大灯籠まで足を伸ばしてみた(写真右 11:49)。
 この大灯籠は明治43年に建立されたが、先の大戦で消灯した。平成元年に平和の灯として再点灯されたが、こんどは、平成7年の大震災で点灯部分が倒壊した。その後平成13年に再建復興されて今に至るという。
 この大灯籠からの景色も中々見ごたえがある。
大灯籠
大灯籠
荒熊神社  さて、次は、縦走路を逆走して、荒熊神社を目指す。
 連続する赤い鳥居が印象的な荒熊神社には12時丁度に到着した(写真左)。
荒熊神社
 荒熊神社には高取山三等三角点の設置がある。
 従前は関西民放妙法寺放送局のアンテナが立つピークに三角点が設置されていたが(標高319.90m 写真右)、今は移設され、下の神社境内に設置されている(標高 312.8m 写真1663)。
旧 高取山三等三角点
旧 高取山三等三角点
現 高取山三等三角点  三角点は一度設置されるとあまり移動はしないように思うが、この高取山三等三角点の移設理由は何だったのだろう??

 旧・高取山三等三角点にある説明(写真上)
 ここは高取山須磨側の山頂で標高319.9mです。明治23年(西暦1890年)計測三角点(高取山)がありましたが現在、三角点標石は下の境内に移設されています。
 国土交通省国土地理院近畿地方測量部
現 高取山三等三角点
荒熊神社の眼下一望展望台  なお、荒熊神社の西端にも「眼下一望展望台→」との表示がある(写真左)。
 その表示に従って進んだ場所も、そこそこの眺望があるので、関心のある向きは足を運んでおきたい。
荒熊神社の眼下一望展望台
 さて、次は荒熊神社から縦走路を西に下っていき、途中から萩の寺方面の尾根筋を下ることにする。
 縦走路を下り始めると、意外にも多くの人が下から登ってきている。まだまだ、残暑厳しい中なれど、11月の全山縦走に向けて、練習を始めた方々なのだろうか。いやいや、中には息絶え絶えに、汗を絶えず拭いながらスローペースで登ってくる者もいる。縦走を目指す者ばかりではないようだ。
 そんなことを考えながら下っていると、六甲砂防事務所の三級基準点の設置されているところで、薄い踏み跡が分岐していることに気が付いた。荒熊神社からちょうど20分ほど下ってきたところだ(12:29)。
萩の寺方面へ下る尾根筋
萩の寺方面へ下る尾根筋
横尾団地のノッポなマンション群  
 この分岐には特に表示はないので、うっかりしていると見逃してしまうかもしれない。
 ここでハイカーの多い、縦走路から萩の寺方面の尾根筋に入る(写真上)。
 この道は、最初は少々藪道っぽい感じがしたが、すぐに岩場の開けた尾根道になった。尾根に沿ってずっと道が続いているのがわかる。
 右手側には横尾団地のノッポなマンション群が見えている(写真左)。中々の眺めだ。
 この尾根道は岩の風化が進み、大小の石が散らばり、至って滑りやすい。下りは要注意である。
横尾団地のノッポなマンション群
 ところで、この尾根は眺めはいいが、日陰がない。夏場に歩くのは不向きである。
 今日の天気予報では、沖縄方面に台風が近づいていることもあり、曇りがちとの予報であったが、それは大外れでドピーカンの天気である。よって、直射日光の降り注ぐこの尾根道では、空からの強烈な陽光と、岩場から反射する熱気で、ジリジリと焼ける感じだ。繰り返すが、この岩尾根は、夏場はお勧めできない。
 暑さに悩まされながら何とか麓の「萩の寺」まで下ってきた(写真右 12:40)。下りついたところは萩の寺の墓所の奥であった。
 萩の寺は、花の季節ではないせいか、人けは全くなく、シーンと静まり返っていた。
萩の寺
萩の寺
北向八幡神社  さて、ここからは、那須与一にちなむ史跡を巡ってみることにする。まず、萩の寺のすぐ北側にある北向八幡神社に参拝する(写真左)。
 この神社には大国主命が祀られており、その関係から出雲に対し敬意を表して北向きに神社が建てられたという。また、那須与一はこの北向八幡神社を守護神として数々の戦陣に加わったとされ、源平合戦の後、その御礼参りにここを訪れたが、中風のため当地で亡くなったとも伝えられている。よって、この神社境内には那須神社もあるのだが、こちらはいたって簡易な造りである(写真下)。
北向八幡神社
 ここから道路を渡った西側には、那須与一の墓所もある(写真下 13:00)。赤い幟がはためいているのですぐわかる。
 階段を登って墓所に入ると、そこでは線香がたかれて、お二人のご婦人がお堂の中で世話をされていた。
 汗だくで訪れた当方を見て、冷たいお茶を出していただいた。また、丁寧に記載された説明書「那須与市宗高公伝記」もいただいた。
 本当にありがとうございました。
那須神社
那須神社
那須与一の墓所  さて、この那須与一墓所が今日の山歩きのゴールであるが、ちょうど目の前にバス停「那須神社前」があり、ラッキーにもドンピシャでバスがやってきた。このバスで山陽電車の板宿まで行くことにした。
 バスの中で「那須与市宗高公伝記」を確認すると、与一が義経に「あの扇を射よ。」と命じられ、それを見事に射抜いたのは17歳だったことを知った。美少年であったという。
 義経も当然美少年だし、史実に名を残す武者は美少年が多いなー・・・なんて、考えながら、適度に効いたバスの冷房に癒されつつ、本日のハイキングを終了したのであった。
那須与一の墓所
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