瑞宝寺谷西尾根・石切道 (お勧め度 ★★☆) 北六甲【2-15】

今日はガイドブックにはあまり紹介されていない瑞宝寺谷西尾根を歩いてみた。
谷の下流域は整備がされつつあり、歩きやすくなっている。

Route MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 紅葉の名所、有馬瑞宝寺公園。そこから六甲に登れる瑞宝寺谷西尾根という尾根筋があることを最近知った。ハイキングガイドなどにもあまり載っていないコースである。今日(平成19年4月29日)は、その未知なるルートに挑んでみたい。
 神戸電鉄有馬温泉駅に午前11時15分に降り立つ。GWでもあり、駅前は観光客で大賑わいである。
 駅から15分ほど歩いて瑞宝寺公園に到着(11:30)。紅葉の頃はこの公園も人であふれかえるが、本日訪れている者はほんの2、3人である。駅前の賑わいとまったく対照的である。新緑のモミジもなかなか見ごたえがあると思うのだが・・・(写真右)。
瑞宝寺公園
瑞宝寺公園
太鼓滝  公園を南に進み、出会った沢の流れを遡る。するとすぐに太鼓滝に至る(写真左)。
 この滝は公園の間近にありながら、特に手が施された様子もなく、自然なままの感じで水が流れ落ちている。
 水の音が太鼓のように聞こえることから「太鼓滝」と命名されたのであろうが、当方にはなかなか太鼓の音は聞こえてこなかった。水量の加減で音が変るのであろうか!!
 瑞宝寺谷西尾根へは、この太鼓滝に向かって右側(左岸道)にある踏み跡を入っていく。赤いテープ表示もあり、入口はすぐわかる。
太鼓滝
 太鼓滝の手前入口から左岸道に入って4分程進み、流れをクロスして右岸道へ渡ることとなった(11:44)。クロスした箇所から瑞宝寺谷の流れを望むと新緑の下を澄んだ水が流れていた(写真右)。
 この沢は小滝や堤が多いのか、沢沿いの道を歩いていると絶えず爽やかな水音が聞こえてくる。
 少し進んで、森林整備作業中の表示が目に入った。そういえば、このあたりは、下草が刈り取られ、繁茂しすぎた木々が間伐されて、全体的に綺麗に手入れがされている。
 近くの木に「癒しの森整備事業」と記載された森林整備作業の概要に係る説明書も設置されていた。これによれば、この事業は「森林整備」と「歩道整備」の2つで成り立っているようだ。
瑞宝寺谷
瑞宝寺谷
癒しの森整備事業  整備事業のうち、「歩道整備」は、既存の歩道を活かしながら、2つの遊歩道ルートを設置するのだと記載してある。歩道の幅員は1mが基本で急傾斜地では0.6mにするとある。新規ルートは全長900mであり、これを既存の登山ルートと結ぶ。紅葉谷と魚屋道を結ぶルート、魚屋道から瑞宝寺ヘ抜けるルートを整備するとある。
 なるほど、見ると現在歩いているルートもよく整備されている。
 この整備されたルートに沿い、沢を左岸に渡る(11:54)。すぐ傾斜地となり、丸太材で階段が新たに作られていた(写真左)。
癒しの森整備事業
 さらに新設されたルートを進むと、尾根の先端となった場所に、展望台も作られていた(12:00 写真右)。ここからは、瑞宝寺谷の前方に町並みも見えている。中々の展望だ。
 また、整備されたルート沿いには、新たなベンチや案内標識も設置されている。しかし、まだ整備事業は完了していないようで、案内標識には表示が未記入である。
 展望台を過ぎると、道はどんどん下って行くことになった。ひとつ尾根を越えて谷底に下りてきた感じだ。その谷底で道が分岐している。北と南に向かって新しいルートが伸びている。瑞宝寺谷西尾根へは南に向かうルートを進むものと考えて、南に続く道に入っていった。
展望台
展望台
 すると、すぐに左右への分岐点が現れた。右は新しく整備された道で、左は従来からの道のようで、古いテープ表示もある。左の道は、先程下ってきた尾根を南に登り返すような感じで続いており、方向的に瑞宝寺谷西尾根に続いているものと思われたので、この登り道に入っていく。
 道はいきなり急な登りとなった。5分位この登りが続いて平坦路となったが、そこは岩が剥き出しになった危なっかしい尾根道である。慎重に進む。
 すぐに、また、急登となった。この辺りは、痩せ尾根沿いにどんどん高度が上がっている。それに連れて息も上がってきた。休憩を兼ねて立ち止まり後方を振り返って見ると、そこからは射場山を綺麗に望むことができた(12:18 写真右)。
射場山
射場山
痩せた瑞宝寺谷西尾根道  射場山の稜線はきれいな曲線を描いている。その様子を見ていると、射場山は登る山ではなく見る山だなとつくづく思う。
 射場山が望めた辺りから、道は山腹に九十九状で続く急坂となった。
 また、次に、岩が剥き出しの歩き難い道、馬の背のような痩せた道(写真左)と続き、どんどん高度が上がっていく。ふと、左手側を見てみると、瑞宝寺谷を越えた対面の山腹には、芦有ドライブウェーが見えていた。ちょうど有馬トンネルの入口がこちら側に向かい口を開け、登ってくる車をどんどん吸い込んでいた。
痩せた瑞宝寺谷西尾根道
 急な尾根道を7分ほど登ってやっと平坦な道となった。そこから左手側の瑞宝寺谷東尾根を望むと、先の大震災で崩壊したのか、斜面が削り取られて荒々しい姿となっていた。緑はまだ回復していないのだ(写真右 11:47)。
 平坦な道となり「ホッ!」としたのもつかの間、次は足場の悪い岩場の下りとなった。
 岩場を過ぎると笹に覆われた下りに変った。笹といっても半端ではない。背丈も量も凄く、繁茂した笹の中を掻き分けるようにして進むとでも表現したらいいであろうか・・(写真下)。
荒々しい瑞宝寺谷東尾根
荒々しい瑞宝寺谷東尾根
繁茂した笹道 瑞宝寺谷東尾根の様子
繁茂した笹道 瑞宝寺谷東尾根の様子
笹の尾根道  下り道は5分ほどで終わり、次に、また、登りとなった。登りは、岩場の道、笹の道と交互に登場する感じだ。途中に平坦な箇所も挟みながら、尾根道ははどんどん高度を上げていく。
 瑞宝寺公園をスタートして、ここまで、全くハイカーには出会わなかったが、この辺りで、3組4名のハイカーにお会いした。途中、岩場と笹の悪路もあるが、全体的には楽しめる道であり、魚屋道や紅葉谷よりこちらのルートを選択するハイカーも多いように思われる。
 この辺りからは、左手側に瑞宝寺谷東尾根の稜線が綺麗に望めた。尾根を登ってきた達成感と共に望むこの稜線は一際美しく感じる。(写真上)
笹の尾根道
  尾根道は最後に丸太の階段道となる。この階段を登り切ると登りは概ね終了である。平坦路となった尾根道は、一面に笹に覆われている(13:05 写真上)。背丈の低い笹であり、ここでは快適に歩を進めることができる。
 笹の平坦路となった辺りから、右手側に六甲最高峰のアンテナも見えはじめた。頂上は近い。
 笹道を進んで行くと、「瑞宝寺谷西尾根」を示す表示が現れた(写真右)。この表示には、「約90分で瑞宝寺公園へ」との記載と共に「難路」とも表示されていた。剥き出しの岩場と痩せ尾根はあるが、注意して進めば大丈夫のようにも思うが・・・。一般の評価は悪路なのであろう。
瑞宝寺谷西尾根の案内表示
瑞宝寺谷西尾根の案内表示
六甲最高峰  瑞宝寺谷西尾根から縦走路の車道にでてきた(13:15)。車道はやたら車が多い。GWで車で六甲山を目指す者も多いようだ。
 縦走路沿いに最高峰に進む。一軒茶屋のところまできて仰天した。ものすごい数のハイカーで茶屋の周辺が埋め尽くされている。北側の広場で弁当を広げる者、魚屋道を下ろうと準備している者、トイレに並ぶ者・・等等・・何度も六甲に登っているが、こんな沢山のハイカーは見たことがない。
 六甲の人気の凄さに驚きながら、最高峰に進んでみた。ここでも仰天である。人、人、人・・である。景色に見入る人と共に、ねそべって日光浴をする者もたくさんいる。
六甲最高峰
 写真上では、山上にそんなに多くのハイカーがいるようには思えないが、実際はものすごい人数であった。
 人ごみの中を下山のため13時40分にスタートする。縦走路を西に進み、石切道からの下山とする。
 石切道に進む途中の、極楽茶屋跡(14:05)、凌雲台(14:15)あたりも多くのハイカーで賑わっていた。特に、凌雲台の駐車場では駐車待ちの車で大渋滞となっていた。
 多くのハイカーとすれ違いながら縦走路を進む。今日は、普段では見られない老若男女すべての層がリュックを背負って山を楽しんでいる。六甲山は本当に市民に親しまれている山だとつくづく感じる。
 14時30分、立派な石で表示された石切道の入口に到着した(写真右)。
石切道入り口
石切道入り口
五助谷を望む  石切道の入口では、この道の謂れが説明してあった。
 その説明によると、
 むかし六甲山で切り出した花崗岩は牛車などで運び、御影の浜から各地に出荷したので「御影石」の名で世に広く知られるようになりました。「摂津名所図会」には京都や大阪など近畿一円の石橋や鳥居燈篭などが、この御影石で作られたと記されており、六甲山の石材は古くから近畿一円の街づくりに利用されていました。
 とある。
 石切道は六甲山で切り出した石を運んだ道ということなる。
五助谷を望む
 石切道に入ると、道は山腹に九十九状になって続き、どんどん高度を下げていく。石切というだけあって、道には石ころが多々ころがっている。
 しばらくして、ローウェーの鉄塔の下にきた。六甲有馬ロープウェーの鉄塔である。六甲有馬ロープウェーは有馬温泉と六甲山上を12分で結ぶ日本一長い(5000m)ロープウェーである(裏六甲線)。従前は、六甲山頂から更に六項ケーブルの山頂駅まで繋がっていた(表六甲線)。しかし表六甲線は利用者が減り、平成16年12月18日をもって廃止されてしまった。この鉄塔は廃止された表六甲線のものである。
 下り道の途中で東に踏み跡が続いている箇所があった。そこに進んでみると、眼下に五助谷を望むことが出来る絶景ポイントがそこにあった(写真上)。
石ころだらけの石切道
石ころだらけの石切道
五助尾根方面を望む  石切道に戻り、さらに下ると湧き水で滑りやすい箇所があった。注意して進む。この辺りの道はひどく石ころが転がり、歩きにくいことこの上ない(写真上)。
 その石ころ道を足元注意で進んで行くと、次第に東側に視界が開けてきた。五助山の尾根やら西おたふく山が見えている(14:50)。振り返ると五助谷が新緑に包まれすばらしい眺望となっている。その谷筋を眺めながら、道端の岩上で読書にふけるハイカーもいた。”風流”である!
 読書の邪魔をしないように傍らを静かに通り過ぎる。通り過ぎたあたりで、東側に広がる五助山の尾根筋を写してみた(写真左)。崩れかけた山肌は石切道の尾根である。
五助尾根方面を望む
 もうすこし下ると、丸太で作ったベンチが設置された場所があった。ここからも、東側に展望が広がっている(写真右)。ここでベンチに腰掛け景色に浸るのもお薦めである。
 このベンチのある場所を過ぎると、道幅が広がり車も通れそうな広さに変る。少し進んで味気ないコンクリートの道に合流した(15:15)。ここには、石切道を示す石柱も立てられていた。
五助702ピークあたり
五助702ピークあたり
石置き場  コンクリートの道を下ってくると傍らに切り出した石が山と積まれた場所があった(15:18 写真左)。
 使える石なのか使えないものなのかは知らないが、切り出された石には違いないであろう。とにかく凄い量である。
 さらに下ると、コンクリート道から左折して山道に入る箇所がある。コンクリート道をそのまま進んでも住吉霊園を通過して下山できるが、コンクリート道はなんとも味気ない。本来の石切道は左折して山道に入るコースなのでそちらに進む。入った山道は、これまた石切道にふさわしい石ころだらけの道であった(写真下)。
石置き場
 石ころだらけの道を石車に乗らないように注意して進む。途中、道が十字にクロスする個所があった(15:22)。右は西谷橋で左は五助滝と表示してある。五助滝も興味があったが、ここは直進して石切道を下る。
 15時33分に住吉道に合流。ここには石切道の石柱もあり、この場所が石切道の麓の起点である。
 当日は、ここからすんなり阪急御影駅を目指そうかとも思ったが、打越山、八幡谷方面に続く道がそこから伸びているので、今回はそちらに進んでみることにした。
 この道は打越山を肩越えして八幡谷に続いている。六甲山を越えてきた足には打越山への登りは応えたが、何とか踏ん張り、ちょうど17時に阪急岡本駅に到着することが出来た。
最後まで石ころが続く石切道
最後まで石ころが続く石切道
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