赤子谷左俣・赤子谷右俣 (お勧め度★★☆) 東六甲【4-26】 |
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JR生瀬駅の改札を出る(9:24)。今日は秋晴れで清々しいが、生瀬駅で下車した乗客でハイカー姿は当方一人である。 赤子谷へは生瀬高台の住宅地からも行けるが、今日は一般に紹介されることが多い有馬街道からアプローチする。 改札を出て、線路沿いに西に進む。すぐに線路を潜って国道176号に出る。そこは、ちょうど西宝橋南詰で、国道を三田方面に進む。 すぐに「太多田橋」の信号があり(写真左)、ここで有馬方面に向かい兵庫県道51号に入る(9:29)。 |
太多田橋 |
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ここからしばらくは歩道があるが、それも民家のとこまでで、そこから先は車道の端を注意して進む。 猛スピードのダンプが多く、冷や冷やものだが3分程で千都橋に至り、ここで太多田川を渡る(9:35)。
千都橋を渡ると太多田川を挟んで兵庫県道51号と並行して道がある。この道は車の通行量は少ないが、道幅いっぱいにトラックの車輪跡がついており、トラックが来ると退避困難で、必ずしも安全とは言えない。幸い車と遭遇せず、まさよし橋に至る(写真下 9:40)。 |
千都橋 |
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まさよし橋で左折し舗装路を登って行く。まさよし橋辺りでは琴鳴山から採石場の大きな音が聞こえてくる。 急勾配の舗装路を登ると左手側に野球グラウンドがある。今日も若者の元気な声が聞こえている。 まさよし橋から6分ほど坂道を登ると門に突き当たり、その手前に「木工教室」の看板がある。その看板の方向に少し下ると、赤子谷からの流れに合流するので、そこから遡行を始める(写真下 9:47)。 |
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まさよし橋 |
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流れと石垣の間にしっかりと踏み跡がついており、それに従って遡行する。 次に、流れから右の岸に踏み跡は進み、すぐにT字路に登りつく。T字路は左に進む(9:48)。 やがて左手側に西宝橋が登場する(9:50)。生瀬高台の住宅地から赤子谷を目指す場合はこの西宝橋に出てくることになる。西宝橋を過ぎると、丸太と木片を並べた小橋を通過。小橋は、木片が朽ちた感じで、安全性に不安を覚える橋だが、無事に通過。 |
赤子谷からの流れに合流 |
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小橋を通過すると、すぐに左手側の斜面に踏み跡が分岐する(9:53)。この分岐は赤子谷東尾根への道である。 さらに進んで流れを渡り(9:55)、踏み跡を辿るとケルンに至る(写真右 9:57)。 ケルンには「左俣」と「右俣」分岐表示があり、ここで赤子谷左俣方面の踏み跡に入る。 |
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左俣、右俣分岐のケルン |
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すぐに石積みの堰堤が登場し、ここは左から巻いて進む(10:00)。次にすぐ、二つ目の堰堤が登場し、ここはロープを使って左側から巻いて進む(10:02)。 次に大きな滝(赤子滝)が見えてきた(写真左 10:06)。赤子滝は右の斜面をロープで登る。 斜面を登ったところで進路を誤り、斜面をそのまま登って行ってしまった。踏み跡がなくなり、急勾配で危険な雰囲気を察知して、進路誤りに気付く。 元に戻ると、ロープで登ったところからすぐにロープで岩壁を下り、赤子滝の滝口に降りるのが正解だった。この道迷いで20分ほど時間をロスした。 |
赤子滝 |
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赤子滝を越えると流れを渡り、すぐ石積みの堰堤となる(10:33)。ここは左から超えていく。 少し進むと、右手側の岩壁に滝が確認できる(10:39)。 この辺りから、前方に赤子谷左俣で著名なゴルジュが姿を現す(写真右)。 今日は秋晴れで雲一つない晴天だが、光の射しこまないゴルジュ周辺は薄暗く、その暗がりの中で両面の岩壁が圧倒的な存在感で迫ってくる。 |
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ゴルジュが見えてきた |
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感動気味の気分を落ち着かせながらゴルジュに入っていく(10:41)。 一段一段、段差を越えながら狭い岩壁の間を進む。 今日の水量は歩行を困難にするほどではない。 岩に絡まった流木を避けながら遡行していく。 両側の岩壁はごつごつした表面に湿りがあり、シダや苔の生えたところもある。 |
ゴルジュに突入 |
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途中大きな岩があり、段差になって行く手を塞ぐが、ここには丸太を組んだ梯子がある(写真右)。梯子は崩れそうな感じで慎重に上る。 赤子谷左俣は小滝の連続とこの廊下状の狭まる谷床で人気のコースだが、今日は人影はなく、その雰囲気を独占的に堪能する。 |
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段差のある大岩 |
六甲ではあまり体験できない雰囲気に引き込まれ、感心し、ゴルジュの通過に10分ほどを要した。 赤子谷左俣のゴルジュは通常は5分で超えれるようだが、倍の時間をかけてしまった。
写真右は、狭まる谷床を登りきった後、振り返って撮影したもの。 |
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圧倒感の赤子谷ゴルジュ |
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ゴルジュを抜けるとルートが左右に分岐した(写真左 10:51)。左は赤子谷左俣の支流なのでここは右に進む。 次に、大きな斜めに滑り下るような滝に至る。ここは右側の岩壁に張られたロープにすがりながら、ヘツルようにして慎重に超える(写真下)。 |
分岐 右が赤子谷左俣本流 |
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11:07 細い木を組んだ梯子が掛けられた滝が登場(写真下 11:07)。この滝は左から超える。 11:11 また、大きな滝が登場した。 ここで赤子谷左俣を下ってきたハイカーとすれ違う。挨拶を交わすと、「ゴルジュは近いですか?」と尋ねられ、「もう少し下ったところで、岩壁はすごい迫力ですよ。」お答えする。 暗くて寂しい感じの赤子谷で人に会い、何かほっとした気持ちになった。 11:15 岩壁を斜めに流れ落ちる滝 ここは左側にロープあり。 11:22 またまた滝が登場 ここも左側のロープで越える。この滝をこえると、次第に水流も減ってきて、水音も小さくなってくる。 |
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この滝は岩壁をへつる |
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この滝は左から超える |
ケルンが登場 |
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11:27 次にケルンが登場(写真上 11:27)。 このケルンを越えると傾斜がきつくなり、赤子谷左俣も源頭部に近づいた感じとなる。 にぎやかだった赤子谷左俣の水の流れる音が随分と小さくなり、水流も細ったなーーと思い始めた時、左手側に水場を発見した(写真左 11:34)。細い二本のパイプが岩の間に差し込まれ、そこから水が飛び出している。ここから上流には水気はなく、二本のパイプを湧き出た水から沢の流れが始まっていた。ここがおそらく赤子谷左俣の源頭部と思われる。 なんだか登り詰めた感がじわじわと込み上げ、少し感動に浸る。 |
赤子谷左俣源頭部 |
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源頭部から上部は涸れた谷を登って行く。 11:38 小さなケルンが登場。このケルンを過ぎると登りの傾斜が更にきつくなり、沢の幅も狭まってきた。 11:42 赤子谷左俣もこの辺りまで登ってくると、沢の岩が少なくなってきて、普通の山道という感じになる。 一層、傾斜がきつくなり、遡行スピードもゆっくりめになる。脚部に疲労が蓄積してきたが、前方から光が射しはじめた。 斜面の上部の方が明るくなってきたので、そろそろ縦走路に合流だろうと、ほっとしながらもうひと登りすると、高圧鉄塔の下に出て赤子谷左俣を登り詰めた(写真右 11:48)。 |
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赤子谷左俣から縦走路に合流 |
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赤子谷左俣、右俣分岐のケルンからこの縦走路合流地点まで1時間50分を要した。 縦走路は秋晴れで、すがすがしい。赤子谷左俣の暗いジメジメした雰囲気と対照的だった。鉄塔下から縦走路に出て少し西に進むと南側に踏み跡が分岐する。 そこは展望の場所で、岩倉山反射板を東側に見ながら南東側に広がる景色を楽しむ(写真左)。ちょうど南側にお椀を伏せたような甲山の山塊が見えていた。 10分ほど景色を楽しんだ後、縦走路に戻り西に進む(11:59)。縦走路では多くの人とすれ違う。六甲全山縦走の練習の人も多いのだろう。 12:04 南側にゆずり葉台方面に下る道が分岐した。 |
縦走路からの遠景 |
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譲葉山東峰及び北峰への踏み跡が縦走路から分岐する地点までやってきた(12:06)。 前月(平成28年9月24日)、譲葉山北峰を探索したとき、発見できなかった祠(譲葉山北峰南側のピークにある祠)があったことを思い出した。今日はもう一度北峰に挑み、その祠を探索してみたい。 譲葉山北峰に向かい踏み跡に入ると、イノシシにより、山肌一面が掘り返されており、進路がやや確認しずらい状態になっていた。ルートを外さないように慎重に登り、祠を求めて一帯のピークらしきところを探査する。 |
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譲葉山北峰 南の祠 |
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譲葉山北峰は想定外に踏み跡が縦横に続いており、それらを彷徨いながら探索を続け、何とか譲葉山北峰の南側の祠にたどり着いた(写真上 12:20)。 こちらの祠は譲葉山北峰の北側の祠に比して、保存の状態が良い。洞窟状に掘り込まれた形状が幸いしたものと思われた。 北峰の南側の祠にお参り後、縦走路に戻り、赤子谷右俣方面に下る分岐までやってきた(写真左 12:25)。ここには赤子谷の標柱があり、それに手書きで「右又」と書き足してある。 |
赤子谷右俣分岐 |
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赤子谷右俣方面の踏み跡に突入する。この一帯も地面がイノシシに激しく掘り返され、ルートがわかりにくくなっている。おまけに樹木が茂って薄暗いので、よけいに進路が分り難い。幸いにも赤紐などが適度な間隔で誘導してくれるが、しっかりと周囲の状況を確認しながら下って行く。 赤子谷右俣の歩行は地形読みを体得できると聞いたことがあるが、なるほどと思った。 倒木などが行く手を塞ぐ個所もあるが、ほぼまっすぐ下る感じだ。 やがて、涸れ谷の様相となり、その先で左側から流れが合流してきた(12:36)。チョロチョロの水流だが、ここからが本格的な赤子谷右俣ということになるのだろう。 |
赤子谷右俣に向かって下る |
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すぐに流れをクロスして左岸歩きとなる。次に水の流れは右下にどんどん離れていき、左岸道は沢から高いところを下っていく。雨水のせいか、溝のように少し掘られた道を快適に下って行く。ここまでだいたい北方向に下っていた感じだったが、この辺りから下る方向が北東に変わった感じだ。 沢から離れていた道が沢に近づき、やがて流れに合流となった(12:44)。 次に、ロープ場が登場した(12:51)。ここまでは歩きやすかった赤子谷右俣だが、このロープ場から山腹にへばり付くような道となる。 |
赤子谷右俣の堰堤 |
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ロープを頼りにへつった後は流れを飛び石でクロスし、左岸歩きとなる(12:54)。この辺りまで下ると沢の水量もだいぶ多くなっている。 堰堤が登場し(写真上 12:56)、ここで流れを又クロスしてロープで高巻きした後、左岸歩きとなる。 次にガレた斜面を下って沢を渡り右岸歩きとなったが(13:02)、この辺りで踏み跡があやしくなる。おかしいなと思い、周囲を観察したところ、左岸にルートを発見した。 赤子谷右俣道はしっかりとした踏み跡が必ず続いているので、ルートがあやしいと思った場合はしっかりと周囲を確認する必要があることを学習した。 13:14 石積み堰堤 ここは右岸側から越えて下って行く。その下で沢を渡り左岸歩きになる。 |
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赤子谷右俣 |
そのまま8分ほど下ったところで、石積みの構築物のようなものを確認した(写真右 13:22)。誰かが何かの目的で積み上げたのであろうが、何の用途なのか、やたら気になった。 石の構築物を過ぎると沢の中を歩いた後、右岸に乗って、すぐに堰堤を右から大きく高巻いて越える。そのまま、ナイフリッジのような尾根に乗り、赤子谷中央尾根の下りとなる。最後に尾根の端を一気に下ると、そこは朝方通過した赤子谷左俣、右俣分岐のケルンのところだった(13:30)。 赤子谷右俣は赤子谷左俣に比して特に特徴もなく、淡々と下ってきたという感覚であった。それだけ赤子谷左俣のイメージが強烈だったという事かもしれない。 |
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赤子谷右俣 謎の石積み |
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ケルン近くの赤子谷の流れが交わる砂地の河原で周囲を散策しながら10分ほど休憩を入れる。 散策の途中で引っ付き虫にやられる。 この時期は、植物も散布体としての果実を結び、生息地域を広げようと必死である。逆さとげによってくっつくだけでなく、粘液も有しているヤツが脚部にびっしりくっついていた。最悪のやつにやられた。手をべとべとにしながら、しばらく引っ付き虫と格闘した。 引っ付き虫との格闘を制した後、赤子谷の河原をスタートする(13:41)。 |
生瀬水路道入口 |
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朝来た道を戻って行くと、やがて生瀬水路道の分岐点となった(写真上 13:55)。 車やダンプの多い兵庫県道51号を歩くのは避けたいので、今日は生瀬水路道を利用してJR生瀬駅まで下っていくこととする。 生瀬水路道は、水路沿いの細い道で生瀬高台の住宅地まで続いている。細い水路を清流が勢いよく流れている。水の流れをよく見ると、小魚が流れに向かって群れていた。 途中、JRの鉄橋と兵庫県道51号が交差する所を見下ろしたり(写真右 14:07)、周囲の景色を楽しんだりと、快適に生瀬水路道を進む。ただし、切り立った斜面上の細道の個所もあるので、そこは慎重に進みたい。 |
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生瀬水路道(JR鉄橋の脇) |
展望の良い水路道から生瀬高台の住宅地に出てきた(14:11)。ここは生瀬高台の北側に新たに開発された住宅地で真新しい。生瀬2丁目公園の表示もピカピカだった(写真右)。 やがて、車道に出て、坂を下ったところがコープこうべのコンビニで、生瀬駅は目の前であった(14:18)。
今日歩いた赤子谷左俣は廊下状の狭まる谷床であり、圧巻そのもので見事であった。六甲で、他にこのような地を知らないので、貴重なコースとしていつまでも維持してほしいと感じた。 |
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生瀬2丁目公園 |