石楠花谷・地獄谷西尾根 (お勧め度★★☆) 北六甲【2-43】 |
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六甲石楠花谷や地獄谷へは神戸電鉄大池駅が起点となる。電車にゴトゴト揺られ、神鉄大池駅に到着(写真左 9:28)。ここから地道を南に進む。坂を登った交差点に「地獄谷行→」の表示(9:32)。ここで右折して更に地道を進む。やがて三差路で二つ目の「地獄谷行→」の表示(9:41)。ここで右折して坂を下る。 |
神鉄大池駅 |
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坂を下ると広い車道に突き当たる(9:43)。そこで信号を渡って車道を南に登っていく。前方にこれから挑む六甲の山並みを望みながら進むと、テニス倶楽部の大きな看板の脇に兵庫登山会の「地獄谷コース案内図」の案内表示が確認できる(写真左 9:46)。ここで右折して、テニス倶楽部の方に舗装路を下って行く。 |
地獄谷コース案内図 |
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高校野球の練習グランドの脇を過ぎ、テニス倶楽部の施設手前で路傍に古い兵庫登山会の看板が横たわっていた(写真右)。これは、石楠花谷の入渓ポイントまでのルート図で、その指示の通りにテニス倶楽部の駐車場の中を通過させていただき、坂道を下って行く。すると、舗装路の突き当りで流れに行く手を遮られる(9:50)。ここで流れを渡るのだが、今日は少し水量が多い。 |
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シャクナゲ谷入口 |
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いかに流れを渡るか思案していると、後方から一人の女性ハイカーがやってきて「石楠花谷ですか」と声をかけていただく。その方も、石楠花谷に進むとのことで、軽やかに流れを渡って先に進んでいかれた。当方も、何とか流れを渡り、石楠花谷に向かって進んでいく。踏み跡を進むと高速の高架下をくぐってT字路となる(10:00)。ここを左に進むと石楠花谷の入口石標が出迎えてくれた(写真左 10:01)。 |
石楠花谷の入口石標 |
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その先、広い林道のような道が続くが、やや草木が繁茂している。その中を進んでいくと、すぐに左手側に石楠花谷堰堤が登場した(10:04)。その堰堤を過ぎると、広い道に倒木が幾重にも重なっているのが見えてきた(写真右)。通れるのかとたじろいだが、通行にはほぼ支障がない感じの倒木群だった。 |
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石楠花谷の倒木群 |
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倒木を踏み越えて進んでいくと、次に林道が左右に分岐した(写真左 10:08)。石楠花谷道を進むにはこの分岐を右に行くのが正解だが、左の道も気になるので、今日は左側の林道に少し進んでみた。すると、すぐに放置されたバイクの残骸が登場し、その先で小さな流れに突き当たって林道は終点となった。 |
林道が左右に分岐 |
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林道の終点から、細い踏み跡が小さな流れを渡って更に先まで続いているようにも思われたが、探索はここまでとした。なお、林道の終点から流れの方に降りてみると少し上流には堰堤があり、洪水吐が大きな水音をたてていた(写真右)。林道はこの堰堤の工事のためのものだったのだろう。 堰堤から林道の左右分岐点まで戻り、次に右側の林道に進んでいく。 |
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左側の林道は堰堤で終点 |
林道には、古い倒木が点々と続くが、いずれも通行に差し障ることはない。その倒木をよけながら、沢の水音を楽しみつつ林道を進むと、前方にコンクリの塊が迫ってきた。それは、石楠花谷第三砂防ダムの雄姿だった(写真右 10:22)。堰堤内に水を湛える石楠花谷第三砂防ダムを右側から越えていった。 |
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石楠花谷第三砂防ダム |
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石楠花谷第三砂防ダムを越えると、すぐに流れを渡るポイントなる。水量が多く腰が引けた感じで慎重に渡っていると、二匹のクロアゲハが優雅に舞いながら当方の横を過ぎていった。 なんとか流れを渡って右岸を進んでいると、傍らの木に「石楠花谷」表示が残っていた。石楠花谷は、かつてはよく歩かれていたのかもしれないが、今は忘れ去られたルートとなっていることを、この半分に割れ落ちた道標が示しているようだった。 |
石楠花谷の古い道標 |
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その先、沢音と鳥の鳴き声を聞きながら、感じの良い石楠花谷右岸道を進んでいく。しかし、すぐにその感じの良い道が無くなったぞと思われる場所となった。周囲をよく見ると、そこは渡河ポイントで、流れを渡ったところにの小枝には「サワを渡る」の親切な表示が残っていた(写真右 10:33)。石楠花谷では、しっかりと沢を渡るポイントを確認しながら進む必要がある。 |
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「サワを渡る」 |
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沢を渡って左岸を進むと、やがて、前方に二重になった大きな堰堤が迫ってきた(写真左 10:40)。その堰堤の手前で流れを渡る。手前の堰堤は、石楠花谷第四副砂防ダムで、後方の堰堤が石楠花谷第四砂防ダムの本堰堤となっている。副堰堤では、薄く広がって流れ落ちる水が白く光って、まるで水のカーテンのようになっていた。これら、二重の堰堤は左側から越えていく。 |
石楠花谷第四砂防ダム |
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石楠花谷第四砂防ダムを越えて、階段で堰堤内に下る。その先、石楠花谷は渓谷の様相に変わる。右岸道はどんどん登って行き、流れの右岸の高いところをへつるように進んでいると、下方の河原から人の呼び声が聞こえた。声の方を見ると入渓時にお会いした女性ハイカーの方だった。何か、探査をされているとのことで、「お互い気をつけていきましょう。」と挨拶をして、そこを過ぎていった。 |
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渓流となった石楠花谷 |
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その先、石楠花谷右岸道は濡れた岩場の滑りやすい箇所が増えてくる。慎重にへつりながら過ぎていく。傍らの流れは、滑滝のようになって滑り落ちている。その流れを見下ろしながら慎重に進むと、流れが分岐する地点となった。ここは、紐やテープの表示に従い左に進む。道は小さい流れの左岸道となって登っている。少し荒れた感じの道だが、そこを登りきると分岐点となった(写真左 11:02)。 |
石楠花尾根道分岐 |
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分岐点に向かって右下には新しそうな堰堤が見下ろせる(写真右)。堰堤には、「立入禁止(兵庫県)」の表示があるが、堰堤名は書いていない。 この分岐点には、古い私製の道標があり、文字が見にくくなっているが、右に登ると石楠花尾根道、左に進むと石楠花谷と示しているようだった。石楠花尾根道の方には誰かがボールペンで×印を入れているが、踏み跡はしっかりとついている。 |
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く |
右下に新しそうな堰堤 |
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そこで、石楠花尾根道を少し進んでみた。この道は、ものすごい急登の道だが、しっかりと踏まれていて、歩く者がいることを示している。テープ表示なども続いている。ゆっくりと急登を登っていくと、その先で、道はつづらになって傾斜が更に急になった。その急勾配を見て、ここで石楠花尾根道の探査は終えることにした。 |
石楠花尾根道を少し進む |
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急な道を下って、元の分岐点まで戻り、次に、本来の石楠花谷のルートの方に進んでいった(11:16)。流れの左岸道を進んでいく。左手側に何個か堰堤が並んでいる。比較的新しそうに見える堰堤もある。こんな山奥の堰堤工事は大変だろう・・・と、余計な心配をしながら進んでいくと、山道はその堰堤を越えたところで、堰堤内に下っていた(写真右)。堰堤内に溜まった水に反射する青空がきれいだ。ここで流れを渡る。 |
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堰堤内に下る |
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流れを渡ったところで右岸道を進む。倒木などで荒れた個所もあるが忠実に右岸道をたどっていくと、右手側に滑滝になった流れが爽やかな水音を響かせていた。そこで、そのまま滑滝を見ながら通り過ぎてしまうところだったが、ここには炭焼窯跡が残っている(写真左 11:29)。深い山中で炭焼窯跡を見ながら、昔の暮らしぶりをしのんだりした。 |
炭焼窯跡 |
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炭焼窯跡を過ぎると、左手側の斜面に苔むした岩がごろつく箇所となる。苔で緑色と化した岩が一面に並んでいるのが特異な景観となっている。ここは苔岩群と名付けたい。苔岩群を過ぎると、踏み跡が怪しくなる。よく見ると、対岸にテープ表示がある。そこで流れを渡って左岸を進む。 |
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苔岩群 |
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しかし、その左岸道もすぐになくなり、道は川床をたどることになる(写真左)。歩きやすそうな岩を踏みながら、倒木をよけながら、流れの中を慎重に進む。 |
川床を進む |
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その川床も少し進んだ所で、もうこれ以上は進めないという雰囲気の場所となった。そこは、右側前方に大きな岩壁があって威圧的な景観の場所だ(写真右 11:39)。一帯は、倒木がおびただしく、荒れた感じがただよう。ここで、左手側(右岸)をよく見ると、倒木の傍らにロープが垂らされているのがわかる。そこは急な岩の斜面で、滑りやすい感じがする。特に道標などはないが、ここでロープを頼りに岩壁を登っていく。 |
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右岸に登る地点 |
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濡れた岩壁を慎重に登ると、流れの右岸道となる(写真左)。右下では滝の流れがにぎやかな水音をたてている。その右岸道は、右下に切れ落ちた個所もあるので慎重に進む。その先で、流れを渡る個所となる。ここでは、対岸に赤いリボン表示があるので、それを見落とさないようにしたい。 |
右岸道を進む |
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赤いリボン表示の渡河の場所は、落石で小岩が重なった場所なのでそれが目印になる。その先の左岸道は少し荒れた感じの道だが、忠実に踏み跡をたどって登っていく。すると、大きめの滝の所で行く手が遮られる(11:50)。ここは、滝の右手側の岩壁にロープが垂らされている(写真右)。ほぼ垂直の濡れた岩壁なので、細心の注意で登る。 |
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垂直の岩壁 |
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ロープで岩壁を登った先で、すぐに流れを渡る(12:00)。その先で、流れは大きく左折している。何ヶ所か見事な滝を越え、滝口から流れ落ちる水流を確認しながら、ワイルドな自然を楽しむ。この辺りの滝の連続では、ぬれてすべる岩場も多く、慎重さを忘れないようにしたい。 |
石楠花谷の小滝 |
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その先、何度か流れを渡りながら石楠花谷を遡行していく。やがて、流れが二股に分かれたところで、上流から下ってきた女性ハイカーと出会う。その方は、次回に石楠花谷を登る計画で、今回は少し下見をしているとのこと。挨拶して、すれ違う。 |
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滝口の水流 |
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次に、笹の中に続く踏み跡を登っていくと、地獄谷西尾根の鞍部に登りついた(12:14)。登りついた場所には兵庫登山会の「地獄谷西尾根案内」の道標が設置されていた(写真左)。テニス倶楽部のところで石楠花谷に入って、二時間少々経過していた。ここまで相当ゆっくりめの山歩きだった。さて、ここからは、ダイヤモンドポイントまで登って行きたい。 |
地獄谷西尾根に合流 |
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「地獄谷西尾根案内」の道標から階段道を登っていくとすぐにダイヤモンドポイントに到着となった(12:19)。ダイヤモンドポイントからは北方向に展望が広がる。従前、ダイヤモンドポイントで人にお会いすることは少なかったが、今日はどうしたことか、十数名の方がそれぞれに場所を確保して休憩されていた。人が映らないように苦労しながら、何とかダイヤモンドポイントの風景をカメラに収めた(写真右)。 |
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ダイヤモンドポイントの風景 |
密状態のダイヤモンドポイントは回避すべく、そこをすぐに出発した。ダイヤモンドポイントからは三国岩、三国池の方に山道が続いているので、今日は久しぶりにそれらを探訪することにした。両サイドを笹に囲まれた山道を南に向かって進み(写真右)、まずは三国岩を目指す。 |
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三国岩に向かう道 |
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山道はやがて神戸市水道局の六甲山低区配水場の施設前を通って(12:33)、六甲縦走路に合流した。この合流地点には周囲の地図「六甲山上案内図」と道標が立っている。そこから縦走路を西に進むと、すぐに三国岩に到着した(12:37)。 |
三国岩 |
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三国岩は大きな岩が四重になって重なったような変わった形状の岩だが、言い伝えでは「7月の下旬、太陽の位置によって、その岩の表面に人面のような、また象形文字のような彫り物が浮かび上がる。」といわれている(神戸市のHP灘百選の山の項目参照)。また、岩の前にたつ案内看板では「三国岩が所在する場所は六甲山の分水嶺で、かつては武庫、菟原、有馬の三郡の境界点でもあった。」旨説明されていた。 |
三国岩の上部 |
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なお、三国岩より西は私有地につき通行禁止の表示もあるので、周囲の探索では注意したい。 三国岩からは、近くある三国池に進む。 縦走路を少し西に進んで、右手側に入っていくとそこに三国池がたたずんでいた(写真右 12:44)。三国池はグルームが別荘を建てたことで著名となったが、人の気配のない今日の三国池は、静かな水面に青空が反射して、神秘的な感じになっていた。 |
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三国池 |
三国池からは、縦走路を西に進んで県道明石神戸宝塚線に出た。この道路は西六甲ドライブウェイとも呼ばれ、六甲山上で快適なドライブが楽しめる道となっている。ただ、よく交通取締まりがあり、今日も乗用車が一台、白バイに反則切符を切られていた。 当方は、西六甲ドライブウェイで丁字ヶ辻まで進み、そこからダイヤモンドポイントに戻ることにした。 |
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西六甲ドライブウェイ |
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丁字ヶ辻を経て(13:04)、ダイヤモンドポイントまで戻りついた(13:20)。一時間ほど前には十数名のハイカーで大賑わいとなっていたダイヤモンドポイントも、この時間ではハイカーは一人だけで、静かな場所に戻っていた。ここで展望を楽しみながら少し休憩を入れた後、地獄谷西尾根を下って行くことにした(13:25)。 |
ダイヤモンドポイント |
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ダイヤモンドポイントから階段道を下り、すぐに石楠花谷への分岐点を通過(13:26)。その先、少し登り返したところが水晶山南側のピークとなる(13:28)。ここは笹の中に数個の岩がころがるピークで展望はない(写真下)。 |
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ダイヤモンドポイント標柱 |
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水晶山 南側のピーク |
水晶山 |
水晶山の南側のピークを過ぎ、両側に笹の茂る道をどんどん下って行く。その途中で、一人のハイカーとすれ違う。その場所を過ぎると、笹の中の道が左右に分岐した(13:31)。左は水晶山の肩越え道で、右側が水晶山に登る道となっている。よって、右側の道を登っていくとすぐに水晶山に到着した(写真右上 13:35)。ここは、山頂の真ん中が窪んでいて、ピークが二つに分かれている。 |
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水晶山 北側のピーク |
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水晶山のピークを過ぎ、更に地獄谷西尾根道を下って行く。水晶山を肩越えしてきた道が左手側から合流すると(13:41)、その先すぐで水晶山の北側の小ピークに登りついた(写真上 13:45)。このピークからは、東側に地獄谷東尾根の連なりが展望できた。次に地獄谷西尾根道は、枯れた松葉の堆積した急下りになる。段差のある岩場の下りも登場するので注意して下って行く。 |
地獄谷西尾根 |
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歩きやすい尾根道や、ロープの張られた厳しい急下りを繰り返しながら、地獄谷西尾根道はどんどん標高を下げていく。急な下りでは、風化した真砂土で滑りやすくなっていて、滑落にはくれぐれも注意したい。更に、激しい段差で、三点確保を求められる場所もあって、地獄谷西尾根道では注意の連続となる。その尾根道でふと後方を振り返ると、先ほど越えてきた水晶山がこちらを見下ろしていた。もうだいぶ、水晶山ピークから下った感じだ。 |
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水晶山を振り返る |
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更に、風化で痩せ尾根となった地獄谷西尾根を最後までつめていくと、やがて大池地獄谷道に合流となった(14:32)。その先で流れを渡って、高校野球の練習グランドの脇から階段を登り、道標の立つところで車道に出てきた(写真左 14:42)。車道に出てからは、午前中に歩いてきた道をそのまま戻っていく。 |
地獄谷西尾根への道標 |
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途中、住宅街から南側を見返すと、青空の中に大池地獄谷方面の山々が、当方を見送ってくれていた(写真右)。石楠花谷も地獄谷西尾根も、整備されたルートではないが、山歩きを趣味とする者にとっては、十二分に楽しめる山道だった。しかし、いずれも難易度があるルートなので、注意必須だったと思い出しながら帰途の道を進んだ。神鉄大池駅に到着すると同時に電車がホームに滑り込んできた。急いでそれに乗り込み今日の山歩きを終えた(15:02)。 |
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地獄谷方面の山々 |