五助山・石切道  (お勧め度★★☆) 表六甲【1-31】

JR住吉駅〜住吉台くるくるバス〜エクセル東バス停〜五助堰堤〜住吉川右岸道〜五助山取付き
〜五助山〜六甲ガーデンテラス〜みよし観音〜石切道〜エクセル東バス停(みなと観光バス) (約5時間)

Route MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 六甲縦走路で、六甲ガーデンテラス(凌雲台)のやや東に、「左への道は熟練者向きのコースです。迷いやすく危険です。」との表示が立っている。これと同様の表示が麓の住吉川右岸道にも立っている。何やら怪しい表示で、かえって注意を引きそうだが、ここが五助山登山道への入口である。今日(平成25年3月16日)は、その五助山を登り、石切道を下るルートを歩いてみた。
五助堰堤への道  五助山へは以前一度だけ訪れたことがある。その時は、凌雲台のところから下りで五助山に至った。したがって、五助山に麓から登ったことはない。そこで今回は麓の住吉川から迷いやすく危険な五助山に登ってみたい。
 五助山へのアプローチは住吉川右岸道からとなるが、そこに至るにはみなと観光バスの「住吉台くるくるバス」の利用が便利である。
 JR住吉駅から乗車しエクセル東のバス停までは15分程度である。これで標高差200m程が一気に稼げる。
 JR住吉駅でくるくるバスに乗車したが、乗客は当方も含めて4名で、皆ハイキングの様相だ。その全員がエクセル東のバス停で降車した(9:50)。
五助堰堤への道
小峰ケ原堰堤?  住吉台くるくるバスは、ハイカーの便利な足としてすっかり定着している。バスを降りた4名のハイカーは、全員住吉川方面に歩き始めた。道はすぐにアスファルトから土の道に変わる。幅の広い快適な道を進む(写真左上)。
 ところで、この辺りは住吉川が右手側のはるか下を流れているが、その川の対面に大きな構築物があるのがどうしても目に入る(写真左)。
 山の斜面に造られたその巨大な構築物は、山中の地下深くに造られた秘密基地の入口ではないかと、笑ってしまうような想像をしてしまう雰囲気を持っている。
  六甲砂防事務所の「住吉川流域図」によれば、その構築物は小峰ケ原堰堤か又は東谷堰堤と思われるが、その大きさは圧巻なのだ。
小峰ケ原堰堤?
 あんな巨大な堰堤が必要なのか・・・?などと、小峰ケ原堰堤?のことを気にしながら進んでいると、道が分岐する地点に至る。そこは、前方に黒五山が見えるところで、道標と「森林浴ハイキングについて」の大きな看板が立っている(写真右)。
 ここで道は、石切道方面、住吉川方面、打越山方面の三方向の分かれている。
  今日は五助山を目指すので、ここは住吉川、五助ダム方面に進む。
石切道方面への分岐
石切道方面への分岐
五助堰堤  すると、すぐに右手側に凄い水音の大きなダムが見えてくる(写真左)。
 これは、昭和32年に完成した五助ダムで、六甲山地で113番目に完成したダムということだ。
 堰堤の高さが30m、堰堤の長さが78mという大きなダムで、流域の土石流被害を防いでいる。
 五助堰堤は、昭和42年の集中豪雨の時に、五助谷で発生した大量の土石流を遮断し、下流域を災害から守ったという、強靭な堰堤ということだ。
五助堰堤
 五助堰堤の手前で階段を登り、左側から堰堤内に入る。
 堰堤内は広々とした感じで、住吉川の流れと五助谷の流れがここで合流している。その流れを越えるために板橋が作られているので、それを渡る(写真右)。
 この板橋を渡りきった辺りで、左手側に水の流れが確認できる。その流れを渡ったところに、五助尾根への取り付きがあったが、今はその一帯が藪になって分かりにくい。
 このポイントから五助尾根に入るとナイフリッジを渡ることになりスリルがあったが、今はどうなっているのか・・??。
五助堰堤内の板橋
五助堰堤内の板橋
 今日は住吉川右岸道から五助尾根へ取り付きたいので、更に住吉道を進んでいく。
 石畳の残る住吉道を快適に歩いて右岸道への分岐ポイントまでやってきた(写真右 10:21)。 ここには、「危険箇所あり。左岸線をご利用ください。」の表示があるが、五助山を目指すには、ここで右岸に渡らざるを得ない。
 右岸道方面に分岐するとすぐに大きな水溜りが確認できる。これは五助第三堰堤に溜まった水と思われるが、水量が多いときは、ここで道が水没しているときもある。
 今日は水が少なく、ここは難なく通過する。
住吉川右岸道への分岐
住吉川右岸道への分岐
五助山への登り口  少し進むと「左の道は熟練者向きのコースです。迷いやすく危険です。」の標柱(119番通報プレート「ひ6−12」)が登場した(写真左 10:27)。
 左の道にはちゃんと階段が造られて整備されているが、何処に続く道なのか。何が危険なのか。・・・といった情報は一切書かれていないので、かえって注目を引く標柱だ。(^_^;)
 このポイントが五助山への取付き点となる。
 ただし、標柱をよく見ると、その上部に黒のマジックで「五助山へ 木の階段途切れ 粘土の斜面 右手に回ってトラロープ 再び木階段  急階段4〜5分続く」とメモ書がある。見難いメモだが、これで、ここが五助山分岐であることが分かる。
 
五助山への登り口
 丸太の階段を上っていくと、すぐに斜面が崩壊した場所となった(写真右)。標柱のメモ書きのとおりだ。
 急傾斜に難工事で丸太階段を作ったのであろうが、残念ながらここで丸太階段が一部崩落している。
 崩落斜面は粘土質の土のようだが、そんなに滑る感じはしない。斜面にはロープが垂らされているので、これでよじ登る。
五助尾根の土砂崩れ箇所
五助尾根の土砂崩れ箇所
五助尾根の急階段  崩落斜面を登ると、また、丸太の階段道が現れる。
 ここからは、まるで壁のような急傾斜を丸太階段が曲がりくねりながら登っている(写真左)。
 この急傾斜の階段は登りで使うのであればまだしも、下りで使うのは恐怖かもしれない。踏み外すと、どこまでも転がり落ちそうで“びびル”感じだ。
五助尾根の急階段
 この急階段を8分ほど登り続けると尾根に乗る(10:36)。
 ここからは忠実に尾根道をたどるのだが、笹の量が半端でない。しっかりとした道があるのだが、びっしりと生えたミヤコザサで、全く足元が見えない(写真右)。
 最近、紅斑熱が笹ダニから感染すると報道されていたので、このミヤコザサの大群には少々たじろぐ。しかし、五助山には笹を恐れていては登れない。五助山は、笹に覆われた山と形容してもいいくらいの山だから、笹との格闘は避けられないのだ。トレッキングポールで笹を掻き分けながら前進する。
 時に、笹道は急勾配にもなる。枯葉が路面に積もり滑るので、注意したい。
ミヤコザサの五助尾根
ミヤコザサの五助尾根
西側から道が合流  尾根に乗り、笹道を20分弱登ったところで、西側から道が合流してきた(写真左 10:53)。赤い杭の立った所で、ここは笹が途切れている。
 西側から合流してきた道は、ナイフリッジから登ってくるルートと思われ、こちらは以前下ったことがある道である。
西側から道が合流
五助山からの展望  この合流地点からは笹がなくなる。しかし、ここから勾配が急となる。しばし、休みを挿みながら登ることにする。
 10分弱、急な道を登ると、やや勾配がゆるやかとなった(11:05)。と同時にまたミヤコザサが登場した。
 またまた笹のジャングルかー・・!と、愚痴りながら笹を掻き分けて進んでいると、右手側に展望が広がった。遠景に建物の屋根が見えている。ちょうど芦屋ゴルフ場辺りだろう(写真左)。
五助山からの展望
 この展望の場所のすぐ先が、五助山の山頂となる。
 山頂には四等三角点と「五助山636.6m」と記された登頂札がある。
 ここは山頂とはいえ、ピークのイメージはなく尾根の端という感じだ。
 なお、山の名は五助山だが、四等三角点の点名は「五介山」である。この辺りの地名が六甲山町五介山なので、点名も「五介山」とされているのだろう。
五助山の山頂
五助山の山頂
五助山の登頂札 五介山四等三角点
五助山の登頂札 五介山四等三角点
 さて、五助山の山頂でしばし休憩したあと、六甲ガーデンテラスを目指して進んでいく。
 山頂をスタートすると、笹道をゆるやかに1分程下る。
 次はなだらかな尾根道となる。このあたりも相当なミヤコザサである(写真右)。
笹の茂る五助尾根を進む
笹の茂る五助尾根を進む
迷いやすいポイント  次に登りとなって数分で、誤りやすいポイントに到達した(写真左)。
 ここは下りの際には左折するのが正解だが、誤って尾根道を直進し、五助谷に迷い込んでしまうことが多いらしい。
 誤ったルートにも踏み後がしっかりとついて赤い境界柱もあるが、尾根の直進方面には、木に「×」の赤ペンキ表示があるので、この表示に注意したい。
迷いやすいポイント
 更に五助尾根を進んでいくと、次第に大きな岩が目立つようになる。尾根道はアップダウンの繰り返しが増え、次に背丈を越えるような笹の道に突入した。
 そこを越えると目の前に景色がパッと開けた(写真右 11:39)。六甲ガーデンテラスのアンテナ群が見えている。東側には西おたふく山の電波塔も確認できる。また、ここには六甲砂防事務所のH8年と記された基準点のようなものも設置されていた。
 ここからガーデンテラスまでのルートを鳥瞰すると、まだまだ距離があり、おまけに小ピークを何箇所か越えていく必要があることが分かる。気を引き締めなおして進むことにする。
展望が広がる
展望が広がる
大岩が行く手を塞ぐ  砂防事務所の基準点の所からは、大きな岩を下らなければならない。スリルある場所で、慎重に下る。
 下ったところから先は、厳しいアップダウンの道が笹の中に続く。笹を掻き分けながらひたすら進む。
 砂防事務所の基準点のところから30分弱進むと、大きな岩に行く手を遮られた。ここで踏み跡が左右に分かれている。左は、岩の絶壁の登りである。右は比較的緩やかの登りで、赤ペンキの表示は右に進むことを促している(写真左)。
 素直に、ペンキ表示に従う。
大岩が行く手を塞ぐ
 更に、尾根道を進んでいくが、この辺りのルートは結構ハードだ。岩場の段差のある上り下りや、厳しい急勾配の登りやら、足場の悪い場所やら、これでもかと難所が登場する。笹が行く手を塞いで邪魔をする箇所も多い。
 次に、また大きな岩が登場した(写真右)。東の天狗岩と呼ばれている巨石と思われる。この岩は左から巻いて進む。
東の天狗岩
東の天狗岩
六甲縦走路に飛び出した  東の天狗岩を通過した後、ものすごい笹の中を抜けると、六甲縦走路に飛び出す(12:26 写真左)。
 そこは、「左への道は熟練者向きのコースです。迷いやすく危険です。」の表示が立っているところだ。
  五助山では誰にも会わなかったが、六甲縦走路は人が多い。一般の善良なハイカーからは笹のジャングルから飛び出してきた当方は“変な奴”と思われたようで、怪訝そうな目つきで見られてしまった。
 (笑)
六甲縦走路に飛び出した
 縦走路に出てからは、六甲ガーデンテラスに向かう。
 今日は神戸六甲縦走トレイルランという行事も開催されているようで、ランナーやら一般観光客やらで、ガーデンテラスは賑わっている。
 神戸六甲縦走トレイルランは、須磨浦公園から六甲山頂を経て有馬温泉までのコースを制限時間8時間で走破するというイベントらしい。
 六甲縦走は歩いてでも大変なのに、それをランするとは、尋常ではない。頭が下がる。
 ものすごい形相で走り去っていくランナーを横目に、当方はのんびりと六甲枝垂れの異形を見学していた。
六甲枝垂れ
六甲枝垂れ
みよし観音  さて、今日の下りは石切道にしようと決めているが、ここに来たときには、お参りしておかなければならないところがある。
 それは、みよし観音だ(写真左)。
 昭和39年、大阪から徳島に向かっていた飛行機が遭難した。搭乗していたスチュワーデスの麻畠美代子さんは、冷静に7人の乗客を救出した後、最後の1人を救出しようとして、航空機の爆発に遭い、帰らぬ人となった。彼女の悲壮な捨身行は、観音様の化身であろうと受け止められ、このみよし(美代子)観音が建立された。
 ここでは、しばし、静かに両手を合わせてお参りさせていただくことにする。
みよし観音
 お参りの後は、石切道を下る(写真右 12:51)。
 石切道は何度も歩いているが、その名の通り石の多い道だといつも思う。
 また、石切道は五助山と異なりポピュラーな道なので、ハイカーも多い。もう午後となっているが、まだまだ登ってくるハイカーがいる。
石切道の下り口
石切道の下り口
石切道の展望広場  石切道の展望広場まで下ってきた(写真左 13:26)。
 ここからは、五助谷越しに五助山のピークが展望できる。五助山を遠望しながら、午前中のミヤコザサとの格闘を思い出す。
石切道の展望広場
 石切道を下り初めて50分位で路面が舗装路となり、次に道が分岐した(写真右 13:40)。
 ここは、付近の地図やら、道標やら、「石切道」と掘り込まれた御影石やらが設置されたところだ。
 この分岐を進んでいくと、五助谷から五助滝にショートカットで到達できるということをHPで見たことがある。どんなルートなのか、少しだけ確認してみようと思い、探索にとりかかった。
五助谷方面の分岐点
五助谷方面の分岐点
五助谷堰堤  2分程進むと広場状の場所となった。ここで広い道は終わっているが、広場の一角の粗大ごみが廃棄されているところから、更に細い道が続いているのを把握した。それに従って進んでみる。
 道は谷に向かって下っているが、それは次第に危なっかしい道になってきた。ザレた細道で、片側が崩落している。ずり落ちないよう細心の注意が必要な道である。
 やがて右下に堰堤が見えてきた。位置からして五助谷堰堤と思われる(写真左)。 次に、道はザレ場を下って谷に降りる所となった。広場から5分ほど進んだところだ。注意すれば、谷に下れそうだが、落石の恐れもある。よって、このルートの探索はここまでにすることとした。
五助谷堰堤
 また、石切道に戻り、麓のくるくるバスの停留所まで下っていくことにする。
 石切道は、六甲で切り出した花崗岩を牛車などで運び出した道ということで、その名残の切り出された石が山積みされたところがある(写真右)。切り出した石にしては角が丸いな・・、などと、突っ込みを入れながら、エクセル東のバス停に到着したのは14時45分だった。朝、バス停を出発したのが9時52分だったので、5時間ほど山中にいたことになる。
 今日は、久しぶりに五助山に登り充実の一日だったが、また、機会があれば、五助谷にショートカットで入り、五助滝を見てみたいと思いながら、本日の山歩きを終えたのであった。。
石切道の切り出された石
石切道の切り出された石
 ●五助山は迷いやすい山とされ、途中の道標なども整備されていませんので、十分な注意が必要です。なお、従前(18/6/3)、五助山を歩いたときの記録は、こちらを参照願います。
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