再度東谷南尾根・天王谷東尾根 (お勧め度★★☆) 表六甲【1-30】 |
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ここ二ヶ月ほど、公私に何かと用事が重なり、山から遠ざかっていたが、12月になり時間が取れたので、久しぶりに六甲に出かけることにした。 体が鈍っていると思われるので、市街地から手近なところを選び、新神戸駅をスタート地点とした。 布引の滝から市ケ原に至り、再度東谷南尾根を登り、二本松林道を経て、天王谷東尾根を辿ってみることにする。 再度東谷南尾根は初めての道であり、天王谷東尾根は5年ぶりに歩く道である。 |
布引の滝(雌滝) |
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新神戸駅を北に出て(9:30)、坂を少し登ったところで砂子橋(いさごばし)を渡る。すぐに左折して坂道を登ると布引の滝の雌滝に至る(写真左上)。 今日の雌滝に客はなく、ひっそりしている。 さらに階段を登り雄滝に至る。こちらは、まばらな見物人である。日本三大神滝の一つ、布引の滝も年末は寂しい感じである。 布引の滝を過ぎ、見晴らし展望台に到着(9:50 写真左)。 ここはその名のとおり素晴らしい展望が開けるが、今日は人が少ない。 |
見晴らし展望台に到着 |
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見晴らし展望台を立ち、布引谷を布引貯水池を目指し登っていく。途中、谷川橋を渡る。この橋は大正初期の築造で国指定重要文化財である。 この橋から上空を見上げると、布引ハーブ園ロープウェイのゴンドラがちょうど真上に見える(写真右)。 |
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布引ハーブ園のゴンドラ |
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布引貯水池には10時に到着した。寒風が水面に吹きつけ、肌寒さを増幅している。 今日は北から寒気が流れ込んでクリスマス寒波になるとニュースが言っていたが、そのとおりだ。 その布引貯水池を足早に通り過ぎ、市ケ原には10:20に到着した(写真左)。 夏は子供連れでにぎわう市ケ原の水辺も、寒空の下では人っ子一人いない。 |
市ケ原の水辺 |
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流れに架かる板橋を渡り、再度東谷南尾根の取り付き地点までやってきた(写真右)。 取り付き地点は「ゴミは持ち帰ってください。(マナーを守って美しい山に)」の看板の南側(向かって左手側奥)である。 再度東谷南尾根の取付きからは踏み跡が斜面を登っているので、それに従う(10:25)。 |
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再度東谷南尾根の取付地点 |
再度東谷南尾根は落葉の積もるつづら道で始まる(写真右)。 積もった落葉の量が多く、踏み跡が分かりにくいかもしれないが、注意してみると、つづらの道が見えてくる。 登り始めは道幅が狭く、おまけに傾斜もあるので、滑り落ちないように、やや注意が必要だ。大きな倒木をまたぐ箇所もあり、ここも慎重に越えたい。
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再度東谷南尾根のつづら道 |
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再度東谷南尾根の古い石柱 |
神戸区の石柱 |
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しばらく登って、三角点のような石柱が登場した(写真左上)。一つには神戸市のマークが彫られ、もう一つには「川崎」と「神戸区(区は旧字)」の文字が彫られている。 町村合併で神戸区ができたのは、明治の初めのころで、神戸市となったのが明治22年だったと聞くので、この石柱はその頃のものということだろうか。 再度東谷南尾根では、この神戸区と彫られた古い石柱(写真上)が5本確認できた。 |
再度東谷南尾根の高圧鉄塔 |
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更に落葉の積もった坂道を登っていくと、高圧鉄塔に登りついた(写真上)。 ここからは、平坦な尾根道となる。笹が生えた尾根だが、笹はきれいに刈り取られている(写真右)。 ということは、この尾根は関電の看視路ということで、整備がされているのだろう。 この辺りで後方を振り返ると、東方の遠くに摩耶山の山頂が見えていた。 |
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笹の刈られた再度東谷南尾根 |
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更に、よく整備された道(写真左)を進んでいくと、やがてルートは左に大きくカーブし、下り道になった。 この下りは、傾斜があり、おまけに落葉が積もって滑りやすい。 ここは、ずり落ちないように、くれぐれも慎重に下りたい。 |
再度東谷南尾根 |
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下りついた所は深く枯葉が積もっており、ここから急な斜面を笹を掴みながら登ると、奥再度ドライブウェイに飛び出した。 ちょうどカーブミラー(カーブNo32)の設置してあるところだった(写真左 11:00)。 再度東谷南尾根では、予想通り誰にも会わなかった。 登り始めはやや危なっかしい道だが、尾根に乗るとしっかりとした歩きやすい道なので、再度東谷南尾根はもっと歩かれてもいい道だと感じた。 |
奥再度ドライブウェイに飛び出した |
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さて、奥再度ドライブウェイに出て、それを少し北に進むと、カーブNo43の所から二本松道ハイキングルートに入れる。 二本松道は、その昔、善助茶屋への毎日登山に使われたルートの一つである。 二本松道を快適に登り、10分弱で善助茶屋跡へ到着した(11:09 写真右)。 ここでは、ハイカーが二名休憩していた。
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善助茶屋跡 |
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善助茶屋跡からは、「→大師道」の表示に従い、大師道に下っていく。 大師道は、弘法大師も歩いたと伝わることからその名がついたもので、道端には丁石も並んでいる(写真左)が、コンクリートの舗装道なので山道としては味気ない。 大師道を少し下ると、猩猩池に到着した(写真下)。猩猩池造営を讃えた内容が記された「猩猩池の碑」が立つところから湖畔をめぐり二本松林道にでた(11:26)。 ここから二本松林道を西に進む。二本松林道は幅広の歩きやすい道だが、変化に乏しく、歩く人をあまり見ない。
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大師道の丁石 |
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なお、二本松林道の入口には神戸市建設局による「多目的管理道整備工事」の看板表示があった。林道沿線で平成25年2月28日まで工事がされているようなので、平日の通行には注意が必要だ。 猩々池から20分弱で右手側に再度公園方面に続く道が分岐していた(11:36)。 この分岐するところは、以前、社会福祉法人の施設があった場所で、この場所の向かって左側から、七三峠に登る道が分岐している。今日は、七三峠へは向かわず、二本松林道をそのまま進む。 |
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猩猩池 |
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広い林道を更に西に進み平野谷東尾根の分岐点までやってきた(写真左)。 平野谷東尾根は現在廃道となっているが、以前は防火道として整備されていた。廃道後の状態が気になって、今年の10月に歩いてみたが、全く歩けない状態ではないものの、荒廃が進んでいた。 ちょうど今、その平野谷東尾根から二人のご婦人ハイカーが下ってこられていた(写真左)。 荒れた平野谷東尾根へ入る人は少ないものと思っていたが、果敢に挑戦されるご婦人に接し、こちらも力をいただいた気がした。 |
平野谷東尾根の分岐点 |
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平野谷東尾根分岐を過ぎ、更に二本松林道を西に進んでいくと、道脇に工事現場があり、ブルドーザーが止められていた。林道の北側の一帯で工事がされている。「多目的管理道整備工事」は林道への直接の工事ではないのかもしれない。 やがて、平野谷、天王谷東尾根の分岐点までやってきた(写真右 12:06)。この分岐を左に下れば平野谷道で、右に登れば天王谷東尾根となる。 なお、天王谷東尾根への入口には「天王谷へ至る」の表示と森林整備事務所による「防火線」の看板が立っているのですぐ分かる。 |
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天王谷東尾根の分岐点 |
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階段を登り天王谷東尾根道に取り付いた。下りのはずが尾根道は徐々に登っている。その道は防火線だけあって、道脇の笹がきれいに刈り取られている。 この辺りから、右手前方に菊水山のピークが見えている。 快適に歩ける山道を登っていってピークにたどりつくと、そこには神戸市道路公社の基準三角点が設置されていた(12:12)。 |
快適な天王谷東尾根道 |
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三角点のピークを過ぎると今度は下りである(写真上)。 尾根の木々は葉を落とし、その隙間から神戸市街地を垣間見ることができた。 天王谷東尾根道はアップダウンがきついものの、周辺の景色を望みながら、なかなか快適な山歩きが楽しめる。 しかし、油断は大敵である。写真右のような滑りやすい急勾配も待ち構えているので、注意を怠ってはいけない。
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天王谷東尾根道 |
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やがて、119番通報プレート「ち58−5」の立つところで、道が分岐した。案内表示では、右に下ると天王谷インターと表示してある。 その方向に少しだけ進んでみたが、それはすごい急階段で、まるで梯子を下る感じである。 少し先に高圧鉄塔(第一番目の鉄塔)が見え、関電がプラ階段で整備していたが、足を踏み外すとだいぶ下まで、“ズズズッ”と滑り落ちそうで、やや恐怖を覚えた。あわてて、天王谷東尾根道に戻ってきた。 |
天王谷インター分岐 |
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天王谷東尾根道は、さらにアップダウンを繰り返しながら徐々に下っていく。次のピークでは、六甲砂防事務所の3級基準点が設置してあった。 平野谷東尾根ほどではないが、天王谷東尾根のコブ道もなかなかタフである。下りでは、落ち葉が深く積もり、滑りやすいので十分注意である。 また、119番通報プレートが登場した。こんどは「ち58−4」である(写真上 12:31)。ここでも道が分岐しており、右に下ると天王谷インターと表示してあった。ここからは、ちょうど右下に天王谷インターが見えている。 木々の枝越しに見える神戸の市街地もだんだん間近になってきた(写真右)。 |
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天王谷東尾根道から望む市街地 |
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さらに、天王谷東尾根道を進み大きな高圧鉄塔(第二番目の鉄塔)をくぐる事になった。 この鉄塔からは、道が右手側に分岐しており、その先にも小さな鉄塔がある。その小さな鉄塔に至る道からは南西に展望が開けている。ここはお勧めの展望ポイントである。 また、先ほどの大きな高圧鉄塔まで戻り、天王谷東尾根道を下っていくことにする。 第二番目の鉄塔を過ぎると、すぐに激下りが待っていた。ここは落葉で滑るので注意が必要。この辺りから、右下に見えている有馬街道の車の音が大きく聞こえてくる。 |
高圧鉄塔をくぐる |
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12:42 第三番目の鉄塔が登場。この鉄塔は右脇を通過する。 第三番目の鉄塔を過ぎると、またまた急な下りとなる。つづらに下ると、第四番目の鉄塔が登場する。この鉄塔はミニである。 第四番目の鉄塔を過ぎると樹林帯に入り、頭上が緑で覆われる。薄暗い感じとなり、すぐに急な岩場の下りとなる(写真左)。ロープの設置があるので、これで慎重に下りたい。 岩場を過ぎて一気に下ると、ゴミが散乱したエリアとなる。前回も感じたが、天王谷東尾根は快適な道なので、ここのゴミの整理は行政で何とか対応できないものだろうか。 |
急な岩場の下り |
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ごみのエリアを通過すると、119番通報プレート「ち58−2」が登場した。 案内表示では「二本松林道を経て鍋蓋山へ至る 3km」とある。 ここから道は南に下るのだが、藪状になっており進みにくい。すぐ西側にあるアパート「メゾンオランジュ」の駐車場に簡単に出れるので、ここから旧有馬街道へ抜けるのが分かりやすいだろう(写真右)。 |
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アパートの駐車場に出る |
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旧有馬街道に出るとバス停「桃山」(写真左)があるので、バスも利用できるが、バス便は概ね一時間に一本しかない。 旧有馬街道は、車の通行量が少ないので歩いて下るのがいいだろう。 その旧有馬街道を少し下ると、変電設備のような建物がある(写真左下)。ここが天王谷東尾根の本来の取り付きであるが、道は荒れており危険である。変電設備の脇には119番通報プレート「ち58−1」の設置があり、「平野西尾根展望道」の表示もあるが、ここは絶壁の斜面沿いの道で、柵もないので、通行しないほうがいいだろう(写真下)。 |
桃山バス停 |
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変電所横が本来の入口 |
本来の道は絶壁で危険 |
さらに旧有馬街道を南に下り、祇園神社まで下ってきた(13:10)。 ここは、牛頭天王(ごずてんのう)を祀る社で、牛頭天王由来記には貞観11年(869年)の年号がある。古くからの神社であり、天王谷の名はこの神社に由来するものという。 祇園神社に参拝の後、有馬街道を南に進んで高速神戸駅まで歩き、そこから電車に乗って本日の山歩きを終えることにした。 今日は未踏の再度東谷南尾根と、快適な天王谷東尾根が歩けて、充実の一日であった。 |
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祇園神社 |