紅葉谷・小川谷 (お勧め度★☆☆) 北六甲【2-40】

神鉄有馬温泉駅(8:00)==瑞宝寺公園(8:18)==RW有馬温泉駅(8:47)==紅葉谷==極楽茶屋跡(10:40)
==ガーデンテラス(10:58)==番匠屋畑尾根分岐(11:16)==小川谷==小川谷第五砂防ダム(11:50)
==横谷分岐(12:19)==シラケ谷分岐(12:33)==東山橋(13:08)==神鉄唐櫃台駅(13:30) 
(約5.5時間 令和2年10月24日)
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 今日(令和2年10月24日)は、北六甲の紅葉谷と小川谷をめぐってみた。紅葉谷は平成26年の台風で土砂崩れが発生し、ロープウェイ有馬温泉駅から炭屋道分岐点までが長い間、通行止めとなっていた。6年ぶりに復旧と聞き、早速、歩いてみた。小川谷は、舗装路のイメージがあるが、荒れていると聞く。現状確認で探索してみた。
有馬温泉駅  神戸電鉄で有馬温泉行の電車に乗る。鈴蘭台駅を過ぎると線路は裏六甲に回り込み、左手側には丹生山系の山々も見えてくる。電車は山間を縫うように進んで、やがてターミナルの有馬温泉駅に到着した(写真左)。駅横のコンビニで食糧を調達し、山歩きに出発する(8:00)。駅から、まず、瑞宝寺公園に立ち寄った後、紅葉谷に向かうこととする。
有馬温泉駅
落葉山を望む  瑞宝寺公園は、有馬温泉では紅葉の名所となっている。少し早いが、紅葉の具合を確認に向かう。コロナ禍のせいか、温泉街は人は少ない。瑞宝寺公園に向かう道にも、ほとんど人影はない。公園への急坂から、後方を見返すと、ちょうど落葉山(有馬三山の一つ)が真正面に見えていた(写真左)。
落葉山を望む
 駅から約15分少々で、瑞宝寺公園に到着した(写真右 8:18)。公園には、ハイカーらしき者が1名。その方は、すぐ、瑞宝寺谷の方に向かっていかれた。瑞宝寺公園の紅葉はまだまだで、色づき始めた木々が数本といった感じ。誰もいない静まりかえった公園を一回りして、次に、紅葉谷に向かうことにした(8:25)。 瑞宝寺公園
瑞宝寺公園
ロープウェイ有馬温泉駅  紅葉谷道の起点は、ロープウェイ有馬温泉駅なので、温泉街の中を西に向かってロープウェイ有馬温泉駅を目指す。「かんぽの宿」を過ぎると、道沿いに「虫地獄」、「炭酸地獄」、「鳥地獄」などの古い石碑が並んでいる。かつて、射場山断層から吹き出した炭酸ガスで、虫や鳥が死んだことにその名の由来があるらしい。やがて、ロープウェイ有馬温泉駅に到着(写真左 8:47)。
ロープウェイ有馬温泉駅
 ロープウェイ有馬温泉駅から先が、長い間通行止めとなっていた区間で、復旧なった紅葉谷道に踏み込んでいく。前方を4人の若者がワンちゃんを連れて、進んでいる。当方が、ロープウェイ駅の写真を撮っている間に、ワンちゃん達は早いスピードで登っていった。
 ロープウェイ駅から少し進んだ所で、左手の斜面に青色の養生シートが見えてきた(写真右)。崩落斜面の修復跡だろう。右手側の切れ落ちた斜面も修復の跡がある。
斜面に養生シート
斜面に養生シート
落石防止柵 急斜面補強
落石防止柵 急斜面補強
炭屋道分岐点  次に、大きな木製の板塀で落石防止の柵が作られていた。このあたりは落石の恐れがある場所が多い。その先で、急な斜面の高いところまで、コンクリートで補強された法面が登場した。一目で、その補修規模の大きさがわかり、大変な工事であったろうことが頷けた。紅葉谷道復旧のため尽力された関係者の方々に敬意を表したい。その先にも、小さな落石痕、土砂の流出跡などが残り、慎重に進む。
炭屋道分岐点
 やがて、通行止めとなっていた区間を通過して、炭屋道分岐点までやってきた(写真上 9:06)。ここからが従来より通行できたルートになる。炭屋道分岐の先で少し広い流れを渡ると、コンクリの道になる。舗装路を少し歩くと、左手側に湯槽谷第一砂防ダムが見えてくる(写真右 9:15)。次に、紅葉谷、湯槽谷峠分岐の道標が登場する(9:17)。湯槽谷峠方面は難路と案内されているが、相当荒れた感じで、通行は不可能に近い状態と思われた。この分岐は左折して、紅葉谷方面に進む。 湯槽谷第一砂防ダム
湯槽谷第一砂防ダム
白石砂防ダム  湯槽谷峠分岐からすぐに小さな流れを渡る。渡ったところには古い案内地図の看板が残っている。その先、石階段を登っていくと白石砂防ダムとなる(写真左 9:23)。この辺りは歩きやすい道だ。
白石砂防ダム
 白石砂防ダムの先は、右側から高巻いて堰堤越えの道となる。越える堰堤は白石第二堰堤で、その堰堤内に溜まった水は瑠璃色できれいだった。次に、白石第二堰堤内に降りていく。砂が堆積した堰堤内で流れを渡る。ここは、何年か前の大雨で大量に砂が溜まり、深く堆積した。その砂で埋まった道標の写真(写真下)を撮っていると、後方から男性ハイカーがやってきた。 白石第二堰堤
白石第二堰堤
紅葉谷の道標  しばし、その男性とソーシャルディスタンスのもと、山談義となった。その方も、通行止めが解除された紅葉谷に久しぶりにやってきたらしい。従前の紅葉谷道について、あれやこれやとお話しした。その男性は、ここから山上に登り、縦走路で宝塚まで歩くらしい。お互いに、気を付けてと声をかけあい、お別れした。
紅葉谷の道標
 白石第二堰堤内から、さらに山道を登っていくと、石階段のところで道が分岐する(写真右 9:39)。ここは白石谷への分岐点で、左折して少し下ると白石谷に向かう道となる。紅葉谷方面は、そのまま階段道を登る。なお、白石谷分岐には、「百間滝から南の通路が全面崩落して危険です。」の注意!掲示がある(写真下)。 白石谷分岐点
白石谷分岐点
白石谷分岐点  白石谷分岐から、古い道標の残る紅葉谷道をさらに登っていくと、急階段のう回路が登場する。ここも平成26年の台風で旧道が崩落し、う回路が付けられた箇所と記憶する。急勾配にう回路が設置されており、段差のある狭い階段が、痩せた尾根を登っている。慎重に登っていくと、途中で二人連れハイカーが下ってきた。少し広くなっか箇所で、すれ違った。
月見茶屋
急階段のう回路 百間滝、似位滝分岐
急階段のう回路 百間滝、似位滝分岐
 う回路が終わるとつづらに登っていく。途中、古い通行止めの表示が残る。紅葉谷道は、自然災害で、なんどもルートを変えてる。つづら道を登りきったところで、百闡黷フ分岐となる(写真右上 10:00)。ここには、「百間滝・似位滝(難所あり、通行注意)」の道標がある。併せて、「30m先で通路が全面崩壊しているため危険です」の表示が設置されていた。危険個所の確認のため少し進んでみると、写真右のような様子で、走行は回避した方が良さそうだった。 崩落個所
崩落個所
倒木残る紅葉谷  紅葉谷道に戻り、更に登っていく。百間滝分岐から少し進んだ所で、大きな倒木が道を塞いでいた。通過できるのかと危惧したが、先人のたどった踏み跡がある。それにそって、大木の下を潜って進んだが、やや難儀をした。ここで、後方からやってきたハイカーが追い越されていった。修復なった紅葉谷に、ハイカーが戻ってきつつあることがわかる。
倒木残る紅葉谷
 倒木を越えて、紅葉谷道を進んでいくと、右手の谷側の木々が一部紅色に染まり始めていた。モミジの木ではないが、紅葉谷で秋を感じることができた。
 その先で、右手側に段々と沢音が聞こえるようになり、やがて、沢の流れに並行して歩くことになる。沢音が心地よいが、ここは濡れた岩の上を進むので注意したい。
紅葉が始まる
紅葉が始まる
つづらの紅葉谷道  やがて、沢に沿った道は、沢と一体となって、石を伝いながらのルートとなる。その沢道が堰堤に突き当たったところで(10:13)、紅葉谷道はV字に切り返して、つづらの登りとなる。つづらの登りは堰堤越えの道で、その堰堤の銘板には「紅葉谷第二砂防ダム」と記されていた。紅葉谷第二砂防ダムを越え、深い緑の中のつづら道を登っていく。
つづらの紅葉谷道
番匠屋畑尾根分岐  つづらの紅葉谷道は、やがて石階段の道となって、木洩れ日に向かって登る感じとなる。その石の階段道をひたすら登り続け、登り切ったところが番匠屋畑尾根分岐だった(写真左 10:40)。番匠屋畑尾根分岐の一帯はブナ林となっていて、差し込む陽光にブナの葉っぱが黄金色に反射して、なんとも癒される風景となっていた。
番匠屋畑尾根分岐
 そのブナ林を抜けたところが極楽茶屋跡で、ここで車道を渡る。車道を渡ったところは、南に展望が開けるが、更に、展望を求めて、六甲ガーデンテラスまで足を延ばしてみることにした。六甲縦走路の階段道を、ガーデンテラス目指して登っていく。縦走路に入ると、紅葉谷道と異なりハイカーが多い。子供連れのハイカーもいて、六甲山の人気がわかる。 極楽茶屋跡
極楽茶屋跡
 六甲縦走路を逆走して五助山への分岐までやってきた(10:56)。ここには「スズメバチ注意」の掲示がある。五助山の先にハチの巣があるようで、刺された方が注意喚起で掲示されたものだった。更に進んで、六甲ガーデンテラスに到着(10:58)。ここは、ロープウェイと車利用の客でいっぱいで、三密状態。これはいけないと、すぐに退散とした(11:02)。さて、ここからの下山路は、小川谷を下る予定だ。 六甲ガーデンテラス
六甲ガーデンテラス
六甲最高峰と西おたふく山  小川谷の取付きは極楽茶屋跡であり、六甲ガーデンテラスから極楽茶屋跡まで戻ることにする。その道中、東側に展望が開ける。西おたふく山と六甲最高峰のアンテナが、青空の中でひときわ目立っていた(写真左)。
 極楽茶屋跡から紅葉谷分岐に至り、ここから番匠屋畑尾根方面に進む。すぐに、番匠屋畑尾根と小川谷の分岐点となる(写真左下 11:16)。ここには「小川谷・逢山峡を経て神戸電鉄有馬口駅」の道標がある。
六甲最高峰と西おたふく山
小川谷道への分岐 笹が繁茂の小川谷道
小川谷道への分岐 笹が繁茂の小川谷道
 小川谷へ向かう山道は、青々とした笹の中に続いている。踏み跡はしっかりと付いているが、深い笹がそれを覆い隠している。笹道はすぐに終わるだろうと、軽い感じで笹の中に踏み込んでいった。しかし、笹道は終わるどころか延々と続き、おまけに急な下りの道になってきた。笹で足元が見えない中、急な下りは危険を伴う。ゆっくり、慎重に下って行く。 小川谷道の岩場
小川谷道の岩場
小川谷に下りつく  急な笹道の次には、急な岩場の道が待っていた(写真上)。段差のある急傾斜の岩場は要注意。ここも慎重に下る。岩場の次に、また、笹の急下りとなった。足元に落葉が積もり、笹の中で見ずらい。滑りそうでゆっくりと下る。
 その先で、やっと笹が無くなり、雑木の中の道になった(11:33)。しかし、雑木の中の道は踏み跡が薄く、ルートを外しやすい。古い残置テープや紐の表示を確認しながら注意して進む。
小川谷に下りつく
 何度か踏み跡をロストしながらも、何とか小川谷の流れまで下りついた(写真上 11:40)。下りついた流れに沿って右岸を下って行く。あまり歩かれた形跡がなく荒れた感じの踏み跡を辿る。小川谷の水の流れが賑やかに聞こえてくる。やがて、その流れは堰堤に付き合ったって行き止まりとなった(11:47)。周囲を見渡してルートの確認をしたところ、堰堤の手前で流れを渡り、堰堤の左側から、堰堤上部に道が登っていた。 小川谷第五砂防ダム
小川谷第五砂防ダム
コンクリ舗装の小川谷道  登りついた堰堤は「小川谷第五砂防ダム」だった(11:50)。番匠屋畑尾根分岐からこの小川谷第五砂防ダムまでの小川谷道は、難路の連続だった。笹の中の急な下り、段差のある岩場の急下り、荒れた雑木の中の薄い踏み跡・・・などなど、小川谷は一般の登山路ではなくなっていた。歩く者が減り、自然に戻りつつあるのだろう。
コンクリ舗装の小川谷道
 小川谷第五砂防ダムからはコンクリの林道となる(写真左)。12年前、小川谷を歩いた時の記憶では、ここからコンクリの舗装林道が逢山峡まで続いていた記憶がある。ここまで、笹に覆われた急な下りと、薮の様相の小川谷右岸道に難儀をしたので、コンクリの道にほっと安心した。しかし、その安心はすぐに不安に変わった。 歩きやすい舗装路
歩きやすい舗装路
路面底の土砂流出  歩きやすいコンクリの舗装林道は数分進んだ所で終わり、土砂崩れが行く手を塞いでいた。崩れた土砂に雑草が繁茂し、薮の様相だ。雑草の中に、細い踏み跡が付けられていたので、何とか前進する。次に、コンクリ舗装面が宙に浮いている場所となった。舗装面の下の土が流出している。上に乗ると崩落しかねない路面をひやひやしながら、通り過ぎた。
路面底の土砂流出
 次に、大きな倒木が待ちかまえていた。腰をかがめて、倒木の下をくぐり、通り過ぎた。小川谷のコンクリ道は、その後も、土砂崩れ、雑草の繁茂、大小の落石、法面が崩落流出して宙に浮いた舗装面、大きな倒木などが繰り返し登場し、行く手を次々と妨害していた。 重なる倒木
重なる倒木
落石・土砂流出  小川谷道は一般ハイカーが歩ける道ではなくなっていたが、先人が通行された跡がわずかに残っていた。全く歩かれなくなったわけではないが、廃道に近い状態に変わり果てているという評価が適切だろう。
落石・土砂流出
 薮道の中を難儀しながら進んでいると、前方に工事車両のトラックが見えてきた(12:12)。そこは、小川谷周辺の堰堤工事の現場となっていた。ちょうどお昼時で、トラックの運転席でおじさんが昼食中だった。登山者に対し、「注意して通行」するよう記載した看板もあり、通行止めではない。トラックのおじさんにあいさつして通り過ぎた。 堰堤工事現場
堰堤工事現場
横谷分岐  堰堤工事の現場は、そこから横谷の分岐地点まで続いていた(写真左 12:19)。工事区間は約7分程の距離になる。工事中は車両に注意が必要だろう。横谷の分岐地点には、工事現場のベースがあるようで、プレハブの建物が設置され、複数の車両が止まっていた。雰囲気からして、横谷の分岐から、湯槽谷峠への道(横谷道)は通行できないような感じだった。
横谷分岐
 横谷分岐で堰堤工事の区間は終わり、そこからは茶園谷の林道にになる。コンクリの舗装路を緩やかに下って行く。横谷分岐から10分ほど進んだ所で車止めの柵があったが、この柵は開放されていた。その柵から3分で仙人谷第二砂防ダムがあり、ここでシラケ谷が分岐する(写真右 12:33)。シラケ谷も舗装路で仙人窟に続く道だが、特に表示はない。 シラケ谷分岐
シラケ谷分岐
茶園谷分岐  シラケ谷分岐の先5分で仙人谷砂防ダムがあり(12:38)、その先6分で茶園谷分岐となった(写真左 12:44)。ここは茶園谷とシュラインロード方面の分岐となる。茶園谷分岐のすぐ先が、仏谷分岐で、その分岐を過ぎると猪ノ鼻小橋となる(12:50)。猪ノ鼻小橋の下には、滝が勢いよく滑り落ちている。橋の少し手前から滝口に下り、しばらく流れ落ちる水を爆音とともに眺めていた。
茶園谷分岐
 猪ノ鼻小橋から所々紅葉が始まった逢山峡を下って行く(写真右)。奥山川右岸の逢山峡林道では、ずっとにぎやかな渓流の水音が聞こえてくる。ここは舗装路だが、癒しのある道だと思う。花の添えられた不動明王、逢山峡ポンプ場を過ぎ、東山橋まで下ってきた(13:08)。ここで東山橋を渡り、阪神高速北神戸線の方に登っていく。その先、高速の下をくぐって唐櫃台の住宅地に入る。 逢山峡
逢山峡
神鉄唐櫃台駅  唐櫃台の住宅地の中を縫うように進み、神鉄唐櫃台駅まで戻ってきた(写真左 13:30)。駅前の広場は、秋の花がきれいに並んで迎えてくれた。
 今日は、復活なった紅葉谷を六甲ガーデンテラスまで登り、小川谷を唐櫃台に下った。紅葉谷道は裏六甲の主要道で、また歩きたいと思ったが、小川谷は廃道に近い感じで、厳しい道になっていた。小川谷道も復活できないものかと寂しく思った一日だった。
神鉄唐櫃台駅
● 鳥地獄、炭酸地獄、虫地獄
 射場山と愛宕山の間の谷を地獄谷と呼び、そこは数十万年前の射場山断層です。この谷には、鳥地獄、炭酸地獄、虫地獄があり、断層の割れ目から炭酸ガスが噴き出て、虫や小鳥などが死んだことからそのように呼ばれるようになりました。(有馬温泉観光協会の古い看板より要旨抜粋)
● 12年前の小川谷歩行記録はこちら
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